米国においてオープンソース・ライセンスが契約ではなく「著作権の一方的な許諾」であると長らく見做され、Jacobsen v. Katzerの訴訟でその効力が法的にも認められるようになった流れは前回の記事で解説したが、一方でこの訴訟の判決はオープンソース・ライセンスが法的に強制力のある契約として認知されるまでの道のりの一歩でもあった。 今回は4つの訴訟での判示からこの長い道のりの過程を詳細に示しつつ、ライセンスが強制力のある契約として確立することで、国境を越えたライセンス違反リスクにどのような影響が生じているのかを日本企業、そしてコミュニティへの影響を含めて解説していく。 English version: https://shujisado.org/2025/09/17/from-permission-to-contract-dual-enforcement-and-rising-risk-i

「日本人」を理由にしたくないし、「コードは全世界共通語」なのは分かっているけど、自分が日本人で日本語を母国語としていることはOSSにおいて不利になる。 この2年間のHonoの開発をしてきた経験で分かったことだ。 そこに目を瞑ってはいけないし、自覚することで世界と戦えるかもしれない。今回はそのことについて書こうと思う。 8k 現在、HonoのGitHubスター数は8,000を超えた。 これはとんでもない数字なんだけど、もっと伸びるべきで、早く1万を超えなくはいけない。 npmのダウンロード数は週間「46,000」とこれは相対的に低く、こちらも伸びるべきである。 数字が全てではないが、こうした数字は昨今のOSSにとって「一番の」指標であることは確かだ。 だから戦うことはこの数字を伸ばすことである。 なぜ「戦う」のか なんで「戦う」というおっかない言葉を使い、そして戦わなくてはいけないのか。 ま

背景 難しさ 利益相反になりがち 競合OSSの存在 コミュニティからのPull Request 競合サービスによる利用 レベニューシェアにならない 利用統計が取れない やっておくべきことお金を払いたい機能を見極める 境界線を決める ライセンスについて考える 利用統計の取得方法について考える OSSから有償版へのスムーズな移行を考える まとめ 背景 弊社(AquaSecurity)ではOSS開発をしており、そのOSSを組み込んだ有償サービスを売ることで利益を上げています。 自分はその中のOSS開発をフルタイムで担当しています。 会社は何を目的としてOSS開発をしているのか、というのは以前発表しました。speakerdeck.com フルタイムOSS開発者をやってみての感想なども昔書いています。 knqyf263.hatenablog.com 今回はOSSをベースにしたサービス提供の難し

これがだいぶ面白い感じで、それぞれのモデルで次のような特徴がある。 Federations: ユーザーも多く、コントリビューターも多いRustやNode.jsなどの言語に近いレイヤーに多いモデル n:nの構造になってる Stadiums: ユーザーは多いが、コントリビューターは少ないwebpack、Babel、Bundler、RSpecなどユーザーは多いが、開発者は少ないモデル 1:nの構造になってる ユーザーからコントリビューターになるときのコストが高い(そもそものユーザーが多い)ため、コントリビューターが増えにくいという問題があります また、知識を外部化せずに長く続けるほど、新規参入が難しくなります Clubs: ユーザーとコントリビューターが重複してる ニッチな分野のツールに多く、ユーザーがコントリビューターであるケース ユーザーの増加率が高くないが、コントリビューターが多い(相
序2023-01-12にLinux界隈に激震が走ったらしい。Linux環境(Unix環境を含む)の日本語入力を支えていた、Mozcdic-UTプロジェクトが終了したからだ。 まず、前提として私の立場を明確にしよう。 私は2017年から、従来のMozc-UTに代わる新しい(ライセンス上の懸念のない)Mozc辞書として誕生したMozc-NEologd-UTのFcitxバインディング、fcitx-mozc-neologd-utのAURパッケージをメンテナンスしてきた。 その後新生Mozc-UTが誕生してからはfcitx-mozc-ut-unifiedとfcitx-mozc-ut-unified-fullというふたつのパッケージを加え、計3つパッケージをメンテナンスしてきた。 その後、mozcdic-ut自体がfcitx4をサポートしなくなったこと、fcitx5は既にメンテナーがいたことから私

Open source is coming for your business.It isjust a matter of time before there exists a compelling open source alternative to your software.It won’t happen overnight,it will start out as a poor alternative, but slowly growing to become the robust and cheap (in fact, free!) solution that everyone uses. In thisblog post, I’ll prove this to you with data. I present a measurement I call “Time Ti
自動車業界をはじめ、製造業の製品に用いられる組み込みソフトウェアでも採用が拡大しているオープンソースソフトウェア(OSS)。このOSSを最適に管理する仕組みの構築などを支援する「オープンソース管理ソリューション」を提供する日立ソリューションズは、国際標準になったOSS管理仕様であるOpenChainの国内唯一の公式パートナーでもある。Linuxに代表されるオープンソースソフトウェア(OSS)は、サーバやクラウドなどの大規模なITシステムで広く用いられているイメージが強い。しかし近年では、製造業が設計開発する製品に組み込むソフトウェアでもOSSの採用が拡大している。その背景には、製品の高機能化に加えて、IoT(モノのインターネット)の浸透によるネットワーク接続への対応などによって組み込みソフトウェアの規模が急激に増大していることが挙げられる。あらかじめ開発されているOSSは再利用性が高く、

はじめに こんにちは。WEBエンジニアのmasakichiです。 OSSを始めたいと思いながらも「なにから始めたらいいかわからない…」と悩んでいませんか? そんなOSS未経験者にGood First Issueというリポジトリをお勧めしたく記事にしました。 この記事で書いてあること この記事には以下の2つが書いてあります。Good First IssueについてGood First Issueからコントリビュートするまでの流れ(経験談)Good First Issueとは OSSにコントリビュートしたことのない開発者でもすぐに始められる人気プロジェクトをピックアップしたキュレーションサイトです。プロジェクトのリンク先はgithubリポジトリで管理されています。 リポジトリはこちら キュレーションサイトはこちらGood First Issueでは下記の基準を満たしたプロジェクトがピ

オープンソースcURLの作者、某大企業から「24時間以内にこの質問に答えるように」との無礼なメールを受け取る コマンドラインからさまざまなプロトコルでデータ転送を実行できる「curl」コマンド(以下cURL)は、多くのITエンジニアにとって欠かせない、非常に便利なツールです。cURLはオープンソースで開発されているソフトウェアです。先日その作者であるDaniel Stenberg氏に、某大企業からオープンソースを全く理解していないとみられる大変無礼なメールが届いたとして話題になっています。 If you are a multi billion dollar company and are concerned aboutlog4j, why notjustemail OSS authors you never paid anything and demand a response f

christine.websiteのブログより。 または:お金を払わない限り、有用なソフトウェアを書かないのか? 最近、重要なJavaエコシステム・パッケージに大きな脆弱性が見つかりました。この脆弱性が完全に兵器化されると、攻撃者はLDAPサーバから取得した任意のコードを実行するよう、Javaサーバを強制することができます。 <マラ> もしこれがニュースで、あなたがJavaショップで働いているなら、残念ですが、あなたには2、3日が待っています。 私は、これが「オープンソース」ソフトウェアの主要なエコシステム問題の全ての完璧な縮図だと考えています。log4j2が、この問題の最悪のシナリオの1つの完璧な例であると思うので、このすべてについていくつか考えを持っています。この問題に関与したすべての人が、現実世界の問題に対する完全に妥当な解決策のためにこれらすべてを行ったことは完全に合理的であり、
さて、ついに退職エントリだ。私は米国のオープンソース・ムーブメントを日本で再現するためのコアを作るために民間企業へやってきたはずだった。それから21年、随分と長い航海になってしまったが、結局様々な尻拭いを続けてきたという感慨ばかりが起きてくる。一つの歴史として書き残すいいタイミングなのでその苦闘を振り返っておこう。 なお、長く付き合いが続いてしまう米国側法人は下記のように名称が変化している。なるべく頭に米国と付けて日本側法人と区別しやすいように記述するが、突然名称が変わったりするので注意してほしい。多くがもはや消滅した法人のことなので、さすがに一気読みするような酔狂な人はほぼいないと思うが。 VA Research Andover.net ↓ ↙︎ (VAによる買収) VALinux Systems ↓ ↘︎ (Andoverから社名変更) VA

私はjsrsasignというJavaScriptのオープンソース暗号、PKIライブラリを個人的な趣味で開発し公開しています。ところが最近、npmパッケージのダウンロードが月間60~70万件と、異常にユーザーも増え、製品でも使われ始め、ちょっと厄介なことになっており、いろいろ悩んだ挙げ句、これが正解なのかもわかりませんが、ライブラリの維持のために寄付金を募ることにした次第です。今日は、心の吐露をつらつら書いていくことにします。 jsrsasignとは 2010年ごろ、スタンフォードの学生さんであるTom Wooさんという人のJavaScriptでRSA暗号化できるコードを見つけ、自分はPKIや電子署名を専門にしていたので「JavaScriptでRSA署名できたら面白いな」と思い、2010年6月に、ほんのRSA署名単機能のライブラリとして公開したのが jsrsasign です。当時のはしゃぎっ
こんにちは、あんはるです。 接触確認アプリ「COCOA」の開発に貢献したこと、そして、簡単に開発に参加する方法を紹介します。 みなさんに接触確認アプリ「Cocoa」の開発の参加は簡単にできるということを伝えたくて書きました 実際自分で改善してみた経験も書いていますcocoaが使いにくい!と思ったら是非この記事を読んで改善してみるといいと思います👍 是非読んでみてください🙇♂️https://t.co/3G1UEL9Rb2 — あんはる@アプリ作れるJK (@_anharu) June 26, 2020 追記 7/12 この記事見て実際に接触確認アプリを改善してみました!っていう方 いらっしゃったらご連絡ください 追記 7/23 この記事見て実際に接触確認アプリを改善した方々🎉🎉🎉 この記事によって、実際に接触確認アプリにコミットする方が増えたらいいな!という目的で書いたので少

Endless road | During our roadtrip we turned off the highway… https://www.flickr.com/photos/98063470@N00/326044514GitHubリポジトリ Covid19Radar に対して起ったことがかなり特殊な状況だったため、開発を追い掛けていた視線からレポートをします。 この記事の著者について 代表作のない個人アプリ開発者(かなしい)Covid-19 Radar Japan の人ではないGAFAMやCode for Japan の人でもない 4/8Covid-19 Radarを発見するCovid-19 Radarとは、この時点ではシンガポールのTraceTogetherの日本版を目指した個人開発者 廣瀬一海さんのアプリのリポジトリ 4月にContact Tracing技術について

2013: はじめに 約5年前にソフトウェアエンジニアになりたくて前の会社を辞めた。当時3人の会社の4人目として入社。Web系のソフトウェアエンジニアの親しい友人はいない。その時からソフトウェアエンジニアコミュニティというものが存在していることは知ってたんだけど、どうしても好きになれくてその中に積極的に入っていこうという思いもあまりない。いわゆるスタートアップと呼ばれる会社だったけど、当時スタートアップ野郎には全く良い印象がなく、身内ノリがキモすぎてあまり関わりたくなかったので距離を取っていた。 会社で一日中設計してコードを書いて家に帰ってDjangoやfluent-agent-hydraやpaho-mqtt、気になったソフトウェアを写経して土日は自分が感じる不便を解決するOSSを書く。写経は脳を大きく動かさなくてもとにかく開始できるという一点において便利な練習で、その頃はよくやっていた。
Deleted articles cannot be recovered. Draft of this article would be also deleted. Are you sure you want to delete this article? Sizzyというツールがあります。 様々なサイズの画面を同時に表示し、レスポンシブレイアウトがどうなるかを一気に確認できるという便利なツールです。 スマホ向けWebサイトを開発している人なら、持っていると非常に便利でしょう。 参考:レスポンシブの確認ツール、後発だけに便利!スマホ・タブレットの主要なデバイスでの表示確認が同時にできる -Sizzy / 『Sizzy』様々なデバイスでのサイト表示を確認出来る便利サイト さてこのSizzy、元々無償のChromeエクステンションだったのですが、先日2019年7月に単独のアプリとして有償化され

リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く