「1人の日本の教授が教えてくれた。実は、最初の慰安所は上海にあると。私は全く知らなかった」 中国での日本軍「慰安婦」問題研究の第一人者で、上海師範大学教授の蘇智良さん(69)は、1990年代に研究を始めたきっかけを振り返った。 大学構内にある「中国『慰安婦』歴史博物館」を訪ねると、館長の蘇さんが、流ちょうな日本語で迎えてくれた。 蘇さんは91年から東京大学で研究員として過ごし、その際に上海の慰安所について知らされた。93年に上海に戻り、慰安所の調査を始めたという。 「それから32年たった。最初、上海の慰安所は4~6カ所ぐらいだろうと思っていたが、今までの私たちの調査では、上海だけで182カ所あったと分かっている」と、蘇さんは語った。 日韓の研究者らとも連絡をとり、中国各地を巡り、調べた。中国に置かれた慰安所は2100カ所に上り、生存していた中国の被害者358人を把握した。 「そのうち現在、