俺が通っていた高校は進学校とギリギリ呼べるような学校で、それなりに偏差値も高かった。 だが俺は勉強が嫌いで、塾さえサボり気味だった。 将来にやりたいことは思い付かなかったし、毎日をだらだらとしながらもそれなりに謳歌していた。 周りは勉強に真面目で、友人と一緒に勉強する時ぐらいしか自習をしなかったので当然授業について行くのが難しくなっていった。 高校2年の夏休み前。梅雨が明けて、日照りのような暑い日が続いていた。 隣の席だったSさんは一年の時にも同じクラスで、しかしこれといって会話をしたことはなかった。 日直の日、最後に教室を閉めることになると俺はがらんとした教室を目にして、ここでなら勉強ができるかもという気がした。 家でも塾でもやる気は出なかったが、学校の教室。それも無人となれば不思議とそういった気持ちが湧いてきたのだ。 俺は自分の席に着くと教科書とノートを広げた。Sさんがなにやってるの?