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増田は老いていた。小さなスマホではてな匿名ダイアリーにアクセスし、独りで日記を書いていた。 1ブク...増田は老いていた。小さなスマホではてな匿名ダイアリーにアクセスし、独りで日記を書いていた。 1ブクマも付かない日が、既に八四日も続いていた。最初の四〇日は少年と一緒に日記を書いていた。しかし、ブクマの無いままに四〇日が過ぎると、少年に両親が告げた。あの老人はもう完全に「弱者男性」なんだよ、と。弱者男性とは、すっかり世間に見放されたということだ。 少年は両親の言いつけ通りに自分のアカウントでログインし、一週間で三回もホッテントリ入りした。増田が毎日ブクマ0で帰ってくるのを見るたびに、少年の心は痛んだ。彼はいつも増田を迎えに行って、増田の日記をトラバしたり、ブクマしたり、はてなスターをつけたり、Twitterで拡散するのだった。増田がはてな記法で書いたつもりの日記は、記号が文字化けしていて、永遠の敗北を示す旗印のように見えた。増田は細くやつれ、首筋には深い皺が刻まれていた。増田に関しては何も


