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今日は私は行きつけの天丼屋で夕食を済ませることにした。戸を開けるとしゅうしゅうという揚げ物の音と...今日は私は行きつけの天丼屋で夕食を済ませることにした。戸を開けるとしゅうしゅうという揚げ物の音と食器同士が触れる音が高らかに響いている。油の中に野菜やエビが入る時に立つ、細かい泡が浮かんでは消えていく鋭い音が食欲をそそる。もちろん匂いもだ。私はこの店の大将と知り合いなのでカウンター席に座り、揚げている大将に挨拶する。 「こんばんは」 「おっ久しぶりやね」 「今日もいい匂いしとるね」 「いやいや」 「そう言えば外、かなり曇っとるよ。雨になるかもしれんね。曇り空……いわゆる天丼、だったかな」 「いやそれ、天丼やのうて曇天ですよ」 「こりゃ失敬」 といった会話をしていると店の奥で大声が響いているのが聴こえた。二人の人物が立っている。一人はスーツをスマートに着こなした妙齢の女性。その身なりからすると俗に言う「キャリア」だろう。一方ではすっかり禿げ上がった、ポマードの匂いがしそうなよれよれのスーツに








