近年、政府や地方自治体は障がい者雇用の拡大を推進している。くら寿司も積極的に応じてきた。2017年には〈障がい者が働きやすい環境づくり〉などが高く評価され、本社がある大阪府の松井一郎知事(当時)から表彰を受けている。 担当者が松井一郎府知事(当時)から表彰されたことも しかし、保護者の叔母と共に取材に応じた吉田さんは「店長にいじめられて退職に追い込まれました」と明かす。 「今年4月13日、シャリにクリップが混入した寿司がお客さんに提供されるトラブルが発生しました。すると翌日に突然、『しばらく出社しないで』と出勤停止を言い渡されたのです」 吉田さんは、5月2日に店長のX氏に呼び出された。この時に交わした会話の内容を吉田さんはiPhoneのメモに記録している。 X店長「何で休んでたかわかる?」 吉田さん「しゃりにクリップが入っててお客さんが食べたから」 X店長「正直、クリップいれたやろ?」 吉

ところが、2017年4月から2020年10月まで宮崎県などの店舗で勤務した元社員は「くら寿司は、まともに従業員に有給休暇を取らせる気がありません」と憤る。 「2018年、副店長だった時にアルバイトに有休の存在を教えてあげたんです。すると店長に『なぜ会社の不利益になるようなことをする。要らんことを言うな!』と叱責された。そのアルバイトは有休取得を希望しましたが、店長に『お前は勤務態度が悪いからダメ』と“拒絶”されました」(同前) 有休を巡っては労働基準法が改正され、2019年4月から使用者(会社)は年次有給休暇が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日間、有給を取得させることが義務化された。 創業者の田中邦彦社長(くら寿司HPより) しかし、2018年4月から2021年6月まで都内の店舗などで勤務した別の元社員はこう明かす。 「在職中、退職時の消化も含めて一度も有休を取得できなかった。取りた

訴訟を起こす意向を示しているのは、埼玉事務所にパートとして勤務する事務スタッフ。弁護士同席のもとで取材に応じ、「夏までに数百万円の損害賠償を求める訴状を出す予定です」と明かした。 この事務スタッフは勤続11年目。入社当初からずっと「勤務時間を延ばして社会保険に加入させてほしい」と会社に伝えてきたという。くら寿司の場合、パートの社会保険加入は「週20時間以上の勤務」等が条件となる。また、埼玉事務所の採用サイトには〈希望すれば(社会保険に)加入できる〉と明記されている。実際、事務所に勤務するパートの大半が社会保険に加入している。しかし、この事務スタッフの要望だけは放置され続けているという。 なぜ自分だけ加入できないのか。上司に説明を求めると、こう一蹴されたと語る。 「社会保険には“枠”があるんだ。今それが一杯だから、あなたを加入させることはできない」 提訴する意向を示した従業員が勤務する埼玉事

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