なぜ1%と信じられたのか?なぜ1%と信じられたのか? /Credit:Canvaヒトとチンパンジーは遺伝的にほとんど同じ──。 この考え方の象徴が「わずか1%の違い」という数字でした。 1970年代から2000年代にかけて行われた分子生物学的比較では、ヒトとチンパンジーのDNA配列の98~99%が一致することが報告され、長年にわたり広く引用されてきました。 実際、2005年にチンパンジーのゲノム概要配列が初めて発表された際にも、一塩基レベルで見たヒトとの差異は約1.2%に過ぎないと強調されました。 しかし、この「1%」という数字には重要な前提と限界がありました。 それは「比べられる部分(揃って配列が読めた部分)のみを比較した値」であるという点です。 つまり、当時の技術では解読が難しく比較から除外されていたゲノム領域が多数存在し、それらを考慮に入れていなかったのです。 ヒトや大型類人猿のゲ

レビュー 日本人祖先の「3系統説」、従来の定説に修正迫る ゲノム解析で進化人類学は「人類、日本人の本質」を探究 2024.07.24 内城喜貴 / 科学ジャーナリスト、共同通信客員論説委員 「日本人の祖先はどこからやってきたのか」。このロマンに満ちた問いに対しては、祖先は縄文人と大陸から渡来した弥生人が混血したとする「二重構造モデル」が長くほぼ定説となっていた。そこに日本人のゲノム(全遺伝情報)を解析する技術を駆使した研究が盛んになり、最近の、また近年の研究がその説を修正しつつある。 日本人3000人以上のゲノムを解析した結果、日本人の祖先は3つの系統に分けられる可能性が高いことが分かったと理化学研究所(理研)などの研究グループが4月に発表した。この研究とは別に金沢大学などの研究グループは遺跡から出土した人骨のゲノム解析から「現代日本人は大陸から渡ってきた3つの集団を祖先に持つ」と発表し、

東北大学は1月4日、父親の加齢が子どもの神経発達障害様行動異常の原因となりうること、またその原因となる分子病態基盤として、神経分化を制御するタンパク質「REST/NRSF」が関与し、加齢した父親の精子の非遺伝的要因が子どもに影響することを発見したと発表した。 同成果は、同大学大学院 医学系研究科・発生発達神経科学分野の大隅典子教授、東北大 加齢医学研究所 医用細胞資源センターの松居靖久教授、東京農業大学 応用生物科学部 バイオサイエンス学科 動物発生工学研究室の河野友宏教授、愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 障害モデル研究部の吉崎嘉一研究員らの共同研究チームによるもの。詳細は、「EMBOReports」にオンライン掲載された。 将来の健康や特定の疾患へのかかりやすさなどは、胎児期や生後早期の環境に強く影響を受けると考えられている。これまでは、主に母体の栄養状態や薬物摂取など、母

DNAを単にデータ保存装置と考えるなら、それが保存するデータは、生物情報です。ヒトでいえば30億の文字があり、2万個の遺伝子をもっています。古遺伝学とは、はるか昔に死んだ生物のDNAを研究する学問です。この技術が開発されたのはここ10年ほどで、本格的な研究はまだ5年ほどという新しい分野です。 興味深いことに、DNAはデジタルディスクやテープなどよりもはるかに安定しています。条件さえ整えば、DNAはヒトや有機体の骨の中に数十万年も留まることが出来ます。それを取り出せるようになって、数十万年前に死んだ生物のゲノムを研究することも可能になりました。(参考記事:「ゲノム編集でヒト受精卵を修復、米初、将来性は?」) 最初の転機は、2009年に訪れました。ネアンデルタール人の骨からDNAを抽出することに成功したのです。こうして私たちとは別の人類の全ゲノム配列が決定され、古生物学者の長年の謎が解明されま

HOME 最新情報一覧 やくしまるえつこがバイオテクノロジーを用いて制作した新曲『わたしは人類』配信スタート、楽曲をゲノムに組み込んだ遺伝子組換え微生物も展示 KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭のテーマソングでもある、やくしまるえつこの新曲『わたしは人類』がAppleMusic &iTunes Storeにて本日16日から先行配信スタートしました! この楽曲はバイオテクノロジーを用いて制作され、音源と微生物の形で発表され、実際にこの楽曲をDNAに暗号化して組み込んだ遺伝子組換え微生物も培養・展示されます。 バイオテクノロジーを用いて制作した楽曲を国際芸術祭のテーマソングとし、更にポップミュージックとして流通させ、微生物そのものも音楽作品として展示する、この試みは世界初となり、国内でも初めて経済産業大臣から大臣認可を受けた作品となります。 『わたしは人類』のコンセプトは「人

私たち人類を含む、あらゆる生物のDNAを自在に改変する驚異の技術「ゲノム編集」。中でも最新にして最強のモデルである「クリスパー(CRISPR)」を巡る特許紛争が激しさを増してきた。 すでに(当事者双方のうち)片方の弁護士費用だけで1,500万ドル(約15億円)を突破した他、もう片方が提出した証拠書類の中に、自ら「技術の盗用」を暴露する(相手方の)内部告発者からのEメールが含まれるなど、早くも泥仕合の様相を呈している。 クリスパーとは何か「クリスパー」はもともと、大阪大学の研究チームが1980年代後半に、大腸菌のDNA上に発見した奇妙な塩基配列(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC213968/pdf/jbacter00202-0107.pdf)を指す用語だった(クリスパーという名称は、この発見から数年後につけられた)。 ところが2012年


「クマムシ」と呼ばれる緩歩動物の光学顕微鏡写真(2015年11月23日提供)。(c)AFP/SINCLAIR STAMMERS/UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL 【11月26日 AFP】顕微鏡でしか見えないほど小さいにもかかわらず非常に強い耐久性を持ち、クマに似ていることからその名がつけられた「クマムシ」が、細菌や植物などの全く類縁関係のない生命体から大量のDNAを獲得していることを解明したとする研究結果が発表された。これらの「外来」遺伝子は、クマムシが極めて過酷な環境で生き延びる助けになっているという。 緩歩(かんぽ)動物とも呼ばれるクマムシは、世界中に生息し、体長は通常0.5ミリほどで、8本の脚でゆっくり不器用に歩く。環境適応力が非常に高く、極端な温度下でも生存可能だ。マイナス80度の冷凍庫に10年間入れられた後でも、解凍から20分


DNA型鑑定をしたところ、父と子に血縁関係がなかった。その父子関係は取り消されるのか。最高裁第一小法廷が9日、そんな争点の2件の訴訟で当事者から意見を聞く弁論を開いた。妻側は父子関係の取り消しを求め、夫側は「子に対しては父親としての愛情がある」として関係を維持するように訴えた。 最高裁が結論を変える際に必要な弁論を開いたことで、父子関係を取り消した一、二審の判断が見直される公算が大きい。 争っているのは、北海道の元夫婦と近畿地方の夫婦。ともに妻が夫とは別の男性と交際。出産した子と交際男性との間でDNA型鑑定をしたところ、生物学上の父子関係が「99・99%」との結果が出た。これを受けて妻が子を原告として、夫とは親子ではないことの確認を求めて訴えた。 一、二審はいずれも「鑑定は親子関係を覆す究極の事実」などと、父子関係を取り消す判決を出した。ともに夫側が上告した。 「1歳2カ月の可愛い盛りのわ


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