握りこぶし大の味噌玉。熟成に時間がかかるが、その分、味噌の味が深まる(写真提供=まるや) GIとは、「神戸ビーフ」「夕張メロン」のように、「地域名+一般名称」の形(※2)で商品の原産地を特定する表示。もともとヨーロッパで始まった制度で、地域との強い結びつきによって生まれる農産品に対し、その品質にお墨付きを与え、食文化やそれを支える環境、作り手を国内外で保護することを目的とする。 基準を満たした産品にのみ使用が許可されるGIマーク(画像=農林水産省提供) ※1:愛知県内43社の味噌・醤油メーカーで組織。 ※2:「すんき」のように一部例外あり。 「排除ではない」と農水大臣は言うが…… 日本でGI制度がスタートした直後、「八丁味噌」という名称で先に申請したのは、実はカクキューとまるやで組織する「八丁味噌協同組合(以下、八丁組合)」のほうだった。遅れをとる形になった県組合の申請は意見書扱いだったと

読売新聞が「女系天皇」を提言して話題になっているので、2019年5月5日の記事を修正して再掲します。 皇統の安定 現実策を…皇族減 典範改正が急務[読売新聞社提言] : 読売新聞オンライン https://t.co/IxaDeQnpd0 #皇統の安定 #読売新聞社提言 — 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) May 14, 2025 「男系男子」は明治時代に井上毅が創作した皇室典範に定める「男系男子」の皇位継承者は3人になり、「皇室の危機」が論じられている。普通に考えれば皇室典範を改正して愛子様が継承すればいいのだが、それに反対する人々がいる。その顔ぶれは、かつて「生前退位」に反対した人々と重なっている。歴史的には、推古天皇から江戸時代の後桜町天皇まで10代8人の女帝がいる。それが「男系の中継ぎだ」というのは苦しまぎれの理屈で、そんな文書は残っていない。 日本の天


女人禁制は伝統ではない 救命活動中の女性に「土俵から降りろ」とアナウンスがあったことが報道されている。 相撲は「女人禁制」が伝統と信じ込んでいる観客が騒いだので、行司が慌ててアナウンスしたらしい。 人命を無視して心臓マッサージを止めるわけにはいかないのは当然のことだ。 人命より伝統が大事というのは伝統を原理主義と勘違いしているカルトである。 今回のケースを緊急時であるから特例だと考えてはならない。 「女人禁制」は伝統ではなくて、「因習」であるからだ。 相撲における「女人禁制」は、明治の「男尊女卑」の強化から伝統だと勘違いされていったものだ。 日本書紀の雄略天皇の記述部分に、最古の采女による女相撲の記述があるし、室町時代には比丘尼が相撲をとっている。 江戸時代には女相撲は頻繁に行われていたし、明治15年にも山形県で女相撲が行われている。 もちろん女相撲も上半身裸で乳房丸出しだ。 だが明治にな

輪島裕介『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』を読んだ。 超面白い。 内容はタイトル通り、「演歌=日本の心」っていう図式は、「伝統の創造」じゃないの?、それって昔っからじゃなくて「最近」できたものじゃないの?、って内容である。 創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 (光文社新書) 作者:輪島 裕介発売日: 2010/10/15メディア: 新書 「ヨナ抜き」も。 「ヨナ抜き五音音階」は、大正期にきわめて近代的な意識に基づいて生みだされた和洋折衷の産物 (63頁) 演歌といえば「ヨナ抜き」であるが、なんと、これも和洋折衷の結果だという。 「カチューシャの唄」の作曲者・中山晋平が、伝統的な民謡音階と西洋の長音階の折衷としてヨナ抜き長音階を生み出した。 じっさい、邦楽由来だか唱歌にはない「ユリ」の技巧などが、「カチューシャの唄」には使用されている。 都はる


江戸文化の第一人者である田中優子さんは、 きちんと検証もせずに「日本の伝統文化」という言葉を軽々しく使い、政治利用していることについて、鋭く批判します。 たなかゆうこ 法政大学社会学部・メディア社会学科教授。専門は、日本近世文化・アジア比較文化。 1952年横浜生まれ。法政大学大学院博士課程修了。近世文学を専攻後、研究範囲は江戸時代の美術、生活文化、海外貿易、経済、音曲、「連」の働きなどに拡がってゆく。 江戸時代の価値観から見た現代社会の問題に言及することも多い。 書著に『江戸の想像力』(ちくま学芸文庫)、『江戸はネットワーク』(平凡社)、『江戸百夢』(朝日新聞社)、『江戸の恋』(集英社新書)『樋口一葉「いやだ!」と云ふ』(集英社新書)『江戸を歩く』(集英社ヴィジュアル新書)他、多数。


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