2010年代のアイドルシーンを複数の記事で多角的に掘り下げていく本連載。今回は“楽曲派”と呼ばれるアイドルグループを記事のテーマとし、amiinAなどを手がけてきた齊藤州一、ゆるめるモ!のプロデューサーである田家大知、THERE THERE THERES(ex. BELLRING少女ハート)やMIGMA SHELTERを世に送り出してきたAqbiRecの田中紘治、tipToe.をプロデュースしている本間翔太の4人による座談会をセッティングした。“楽曲派”は2010年代以前に起源のある言葉だが、ここ10年くらいは王道のアイドルソングを歌わず、洋楽などへのオマージュに満ちたコアな音楽性を持つグループ、音楽好きの運営が手がけるアイドルのことを指す際に使われてきた。なぜ2010年代のアイドルシーンにそういった楽曲派アイドルが多く登場したのか、4人のトークを通してその答えに迫る。 取材・文 / 小野


華やかなステージでアイドルが弾けるような笑顔で歌って踊る。だが舞台を降りれば一人の人間だ。気になる人がいれば恋愛をしたいし、大人びたネイルもしたい。生理が訪れたら不機嫌になるときもある。しかしアイドルの世界で“理想の偶像”からはみ出ることは暗黙の規範のもと強く制限される。 2019年8月1日、和田彩花が自身の25歳の誕生日にブログで発表した「宣言」はひときわ注目を集めた。 「私の未来は私が決める 私は女であり、アイドルだ」 和田彩花、アイドルグループ・アンジュルムとHello! Projectの元リーダー。彼女はグループ卒業後もなお、“アイドル”であることを宣言した。さらに現代美術展や仏像のレビューやトーク、文芸誌への寄稿を行うなどアートの魅力を世に伝える発信を行いながら、生理ケアの知識や選択肢を発信するプロジェクト「#No Bag For Me」のメンバーとしても積極的に発言。そして表現


多くの人が挑戦したであろう、「自担」と「推し」の違いについて挑戦したいと思う。 私の語彙力は周りのはてなブロガーに比べるとゼロに近いが、それでもやりたい。のでやる。 「自担」について ジャニオタ用語の「自担」。はてなブログ内のはてなキーワードにはこう書いてある。ジャニーズ用語。 自分が担当、すなわち好きな、または応援しているメンバーの事。 女性アイドルで言えば「推しメン」。 自分が「好き」で「応援している」メンバー メンバー、ということだからこの場合この「自担」と言われている人は複数人いるなんらかの所属していることになる。 だから自担はそのグループ内で一番応援している人、ということになる。 「推し」について だとしたら推しはなんなのか。 女性アイドルでいう「推しメン」がジャニーズ界隈でいう「自担」と定義付けられている。でも私は「自担」と「推し」は別の枠で語られている。 なので、自分なり


SMAPが変えたもの 「音楽番組冬の時代にデビューしたSMAPはCD売上に苦戦し、活路を求めてバラエティに進出した」 このストーリーは何度となく語られてきたことだ。SMAPは「終わらないことを目指すバラエティ」を「いつかは終わるアイドル」に持ち込んだ。 それはある意味矛盾したことだっただろうし、厨二病極めた言動をするならばパンドラの箱とか禁断の林檎とか、そういうたぐいのものだったのかもしれない。 SMAPの先輩である今なお伝説的なアイドル光GENJI、他事務所だが爆発的人気を誇ったチェッカーズ、当時一世を風靡した偉大なグループ、それでも解散した。 しかし、SMAPは20歳を過ぎても、30歳になっても、メンバーの過半数が40歳になっても、解散しなかった。 それを受けて、ジャニーズアイドルの寿命は格段に伸びた。 それまで20歳をすぎればアイドルを辞め、他の分野に進出していたアイドルは、アイドル

昭和の昔から、女子アイドルは<やらされてる感>を常に背負っている。それは宿命なのだが、と同時に彼女たちの器量の見せ場でもある。 例えばAKB48グループは、ずっと<やらされてる感>を漂わせてきた。総選挙とかチーム再編とか、運営サイドからのお達しに振り回されながら生き抜く姿は競争社会と自己責任の縮図で、まさに<やらされてる感>ワールドそのものだったりする。 しかし峯岸みなみが坊主頭になった一昨年あたりから、生身の女たちの執念がとうとう決壊――ここにきて<やらされてる感>を乗り越えた者たちの修羅の場と化している。アイドルグループというより、エゴを隠しきれない女たち、だ。 ももクロの場合は、世間的には自由奔放な<逝くまで少女>のイメージだが、実は大きいおともだちの妄想を「元ネタがわからない」まま一身に引き受けている。とはいえ<やらされてる感>とは真逆の、豪快な<やってあげてる感>はなんとも痛快で


社会学者、批評家であり、かつアイドルグループ「PIP」のプロデューサーとして活動する濱野智史さん。常に冷静な視点と分析で批評をしてきた気鋭の社会学者は、なぜ批評される側のアイドルをプロデュースするに至ったのか? そこには、自らがAKB48にどハマりしたという実体験と、売れないアイドルのセカンドキャリアを憂う“親心”があった——。 左から、権八成裕(すぐおわパーソナリティ)、中村洋基(すぐおわレギュラーゲスト)、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)、空井美友(アイドルグループPIPメンバー)、橋田 唯(PIPメンバー)、小林希望(PIPメンバー)、濱野智史(批評家、社会学者、アイドルプロデューサー)※本記事は2月6日放映分の内容を収録したものです。 AKB48は宗教である! 澤本:今回のゲストは、批評家で社会学者の濱野智史さんです。 濱野:よろしくお願いします。濱野です。 澤本:濱野さんは『前


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