村田沙耶香(以下、村田) 『大家さんと僕』、読んでいて本当に楽しかったです。ほのぼのさせられるだけじゃなくて、戦争中の疎開経験の話や、昔はホタルがいた川の光景など深く考えさせられたり、なぜか思わず泣いてしまう場面もあって、感情が大きく揺さぶられました。 矢部太郎(以下、矢部) お笑い芸人の僕としては、読者に爆笑してもらおう! というつもりで描いたんですけど、その点ではまったく目的が達成できていません。でも、「クスッときた」とか「ほっこりした」と言ってもらえることもあるので、じゃあもうそっちの路線を狙ったことにしておこうかと(笑)。 村田 大家さんのささやかな言動や心の動きを、ひとつずつ掬い上げる矢部さんの丁寧なまなざしが、この作品をつくり上げているんでしょうね。だって雑な人だったら、年配の方から伊勢丹が好きと聞かされても、「へえ、そうなんだな」と聞き流してしまいそうじゃないですか? 矢部さ

西加奈子さん 西 初めて沙耶香ちゃんと会ったのは、2010年の9月に北京で行われた「日中青年作家会議」に出席したときでした。日本側のメンバーは、茅野裕城子さん、山崎ナオコーラさん、中村文則さん、綿矢りささん、青山七恵さん、羽田圭介くん、そして沙耶香ちゃんと私。それまでも作品は読んでいたし、顔も知っていたので、クールな人だろうと想像していたんです。実際、空港で待ち合わせたときも、率先して「パスポート、集めます」と仕切ってくれたりして、なんと凜としたしっかりした人なんだろうと。でもしばらく一緒に過ごすうちに、「あれ? この人……」ってなってきて。 村田 それまで海外に行ったことがないわけではなかったけど、旅行自体に緊張していたし、もともとすごく人見知りな性格なんです。 西 海外旅行が怖すぎて、パスポートを腹巻きにいれてたんやっけ? 村田 盗難防止のために、服の下に巻くベルト状の貴重品入れを買っ

◆ ◆ ◆ ストーマをつけた自分やその後の生活が想像できなかった ──内田さんは、大腸がんと人工肛門(ストーマ)の造設について、いろいろなところで体験を発表されていますね。 内田 自分ががんになってみたら「実は私も」という人が意外に多くて、みんな黙って治療していたんだなあと思ったんです。私は情報がほしくていろいろな人に話を聞いたり、本を読んだりして調べたんですけど、がんってものすごく個人差があって、その人によってみんな違うんですよね。だから、私の体験も情報のひとつとして誰かの参考になればいいかなと。 ──がんが見つかった時、どんなお気持ちでしたか。 内田 私の周りの大腸がん経験者は、治療がうまくいっていた方が多かったので、私も「大腸だからダイチョウブ! 死ぬようながんじゃないと思う」とずいぶん簡単に言っていました。でも、私の好きだった女優の坂口良子さんも大腸がんで亡くなられていますし、女性

プラズマ:大分県生まれ。NDGのメンバー。17年に活動休止した後は、同NDGのメンバー、セキとぼく脳と共にギャグ(g.a.g)として活動している。バンド活動以外では、“粋な着こなし”を提案する ECショップ「エクシオ」で社員として勤務中。12月28日に新宿ロフトで、“NATURE DANGER GANG一夜限りの復活LIVE”を開催する。過去に出演した短編映画「そうして私たちはプールに金魚を、」が第33回サンダンス映画祭グランプリを受賞。監督・脚本を務めた長久允の次回作「WE ARE LITTLE ZOMBIES」にも出演する PHOTO BY MAYUMI HOSOKURA 10月初旬、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」2019年春夏パリ・コレクションのランウエイを歩いた日本人男性がSNSで拡散され、一躍有名人になった。彼の名前はプラズマ。現在活動休止中のネイチャー・デンジャー・ギ

TBSラジオ公式サイト(周波数:FM90.5MHz/AM954kHz)。番組、記事、イベント/グッズ、キャンペーン等の最新情報が満載。月間3,000万回再生以上の「TBSPodcast」や累積視聴回数13億回以上のYouTubeコンテンツもお楽しみいただけます。

午後7時、渋谷のホテルラウンジ。壁を背にして座っている初老の男性は、こちらが気付くと「ニカッ」と笑みを浮かべ手を挙げた。胸元の〈2020年東京五輪〉のバッヂが薄暗い照明に反射して鈍く輝く。2度目の会合だが、こちらの顔はすぐにわかったようだ。 「カリアゲのバカがまたなんかやってる、くらいにしかみんな思ってないんじゃないの? ワイドショーのネタとしか見てないっていうかさ」 そう語るのは、元警視庁公安部外事二課警部のA氏。〈カリアゲのバカ〉とは朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者、金正恩のこと。北朝鮮がかつて、今ほど世界中で注目されたことはないだろう。 だが、北朝鮮問題は今に始まったわけではない。〈日本人拉致疑惑〉〈大韓航空機爆破事件〉〈不審船の出没〉など、昭和の不可解な事件の背後には北朝鮮の不気味な影がチラついていた。その謎の国家と対峙してきたのが公安外事二課、通称〈ソトニ〉。A氏は、2015年

パリ、左岸にある「カフェ・ド・フロール」は1885年に誕生した。店名は店のあるサン=ジェルマン大通りに当時置かれていた春の女神「フロール」の彫像に由来している。創業以来、いつの時代も時の詩人、文学界、俳優、画家たちがここで出会い、語り合い、新たな作品が生まれてきた。 今日でも、フロールの存在意義は変わることなく引き継がれている。ジャン=ポール・サルトルは「フロールのギャルソンは、フロールという舞台を毎日演じている俳優である」と語り残したという。その役割を2003年より担っている日本人がいる。彼目当ての常連で席がうまる程の美しいサービス。山下哲也氏に話を聞いた。 ■はじめに この度はインタビューを受けて下さり、ありがとうございます。 山下氏: どういたしまして。 正直、自分のことは自分の仕事で100パーセント表現してこそ真のプロフェッショナルだと思っているので、フロールという舞台で表現してい

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