「熱い血を誤って流さないでください。皆さんの敵は海を隔てたこの地にはいないのです。お元気でどうか生き抜いてください」 1938年から41年にかけ、中国の戦場で、若い日本人女性の声が繰り返し響き渡った。37年に始まった日中戦争を「軍事ファシストが自分たちの利益のために起こした侵略戦争」と喝破し、ラジオ放送で日本兵に戦闘停止を呼びかけた。 「反戦放送」の声の主は、当時20代の長谷川テル(12~47年)。日本の都新聞(現・東京新聞)は38年11月、テルの身元を割り出し、「嬌声(きょうせい)売国奴の正体はこれ」「怪放送、祖国へ毒づく」と伝えた。当時、テルは中国国民党に協力し、武漢、重慶から放送を続けていた。記事では、テルの父親が取材に応じ「(事実ならば私は)立派に自決する」と語っている。 テルは37年、こんな文章を発表している。「お望みならば、私を売国奴と呼んでくださっても結構です。決して恐れませ

イスラエル軍の攻撃で負傷し、足を切断した少女=パレスチナ自治区ガザ地区南部のヨーロピアン病院で2023年12月28日、ロイター パレスチナ自治区ガザ地区で、イスラエル軍が無数の細かい金属片を入れ、殺傷能力を高めた砲弾を住宅密集地で使用している疑いが浮上している。軍は「民間人の被害を最小限に抑えるために努力をしている」と強調するが、専門家からは、軍の行動を疑問視する声が上がっている。 ※関連記事あります 長さ40メートルのクレーター出現 巨大な爆弾で攻撃するイスラエル 1割のエラーを「容認」民間人を犠牲にするイスラエルのAI兵器 ガザ南部のヨーロピアン病院で4月に2週間、ボランティアとして勤務した米国人の外科医、フェローズ・シドワさん(42)は、治療を続けている中で奇妙な症例があることに気づいた。

digital.asahi.com 公認心理師の信田さよ子さんへのインタビュー記事。当ブログではかねてから、戦後の日本社会が加害体験を「個人化」してきたことの問題点を指摘してきたが、PTSDについて専門的な知見を持つ信田氏でさえ2018年に中村江里氏の『戦争とトラウマ』を読むまでは「父たちの「戦争トラウマ」がDVや虐待の背景にあったという視点を持ち合わせていませんでした」というところに問題の根深さを感じる。 「さすが」と思わされたのは「(虐待、抑圧の)連鎖」という捉え方の問題点に注意を促しているところ。 ただ、連鎖という言葉はすごい荒っぽい。「元兵士たちは加害者だが被害者でもある。だから彼らは可哀想なんだ」という言説につながりかねず、注意が必要ですね。そう言われてしまうと、殴られ続けた妻や子どもら家庭内の被害者たちはどうなっちゃんうんだと。 「侵略戦争の被害者たちはどうなっちゃうんだ」とい
ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、6月中旬に約100の国・機関が参加する「世界平和サミット」がスイスで開かれたものの、ロシアは招待されず、中国は欠席、インドなど主要新興国も共同声明への署名を見送った。ロシアの軍事に詳しい小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター准教授(42)は「戦争は当面続く」と見通した上で「即時停戦には反対だ」と言い切った。(滝沢学) 小泉氏は「ロシアのプーチン政権は、(ウクライナが)占領地を差し出せば戦争をやめる、とは約束していない」と指摘。「ロシアの要求はウクライナの政権すげ替えや非軍事化であり、土地を渡せば停戦が可能との議論は第三者の勝手な思い込みだ」と楽観論を否定した。ロシアの侵攻から2年となる2024年2月24日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)で、献花するウクライナのゼレンスキー大統領(中央)、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長(右から2人目)ら

仮設の追悼会場に立てられたウクライナ国旗(2023年11月10日撮影、資料写真)。(c)Sergei SUPINSKY / AFP 【4月8日 AFP】ウクライナ南部ザポリージャ(Zaporizhzhia)州で8日、ロシア軍による攻撃で3人が死亡した。知事が明らかにした。同州では前日にも死者が3人出ている。 イワン・フェドロフ(Ivan Federov)知事は、ポロヒウツキー(Pologivskyi)で「3人が死亡、3人が負傷した」とソーシャルメディアで明らかにし、人口が密集している8地域への攻撃が、24時間で「357回」に及んでいると述べた。 前日には州内フリアイポレ(Huliaipole)が攻撃を受け、3人が死亡した。 一方のロシアは7日、同国が占拠しているザポリージャ原子力発電所がウクライナ軍のドローン(無人機)1機に攻撃されたと発表している。(c)AFP

春の徴兵に合わせて貼り出された軍のポスター。ロシア・モスクワ市内で(2024年4月2日撮影)。(c)NATALIA KOLESNIKOVA / AFP 【4月3日 AFP】ロシアで1日、春の徴兵が始まった。ロシアでは、春と秋に年2回の徴兵が実施される。 春の徴兵は18~30歳を対象に7月15日まで行われる。15万人が招集され、1年間の兵役に就く。ロシア国防省は「徴兵者がドネツク(Donetsk)、ルガンスク(Lugansk)、ザポリージャ(Zaporizhzhia)、ヘルソン(Kherson)などの軍配備地点に送られることはない」とし、また、徴兵者がウクライナでの「特別軍事作戦」に参加することもないとしている。(c)AFP

ある日あなたの家――農家であったと仮定しよう――に突然外国人がやってきて、「今日からもうサトウキビは植えつけなくてもいい」「ゴムのタッピング(樹液採集)もしなくていい」「若い衆は、こんなところで農業をやっていないで、○○の飛行場建設現場で働けばもっといいカネになるぞ」とか、「この稲は収量が悪いからこの新しい品種に植え替えて、せいぜい増産するように」などと命令口調で言い、勝手に家計の経済活動を変えてしまうとしたら、あなたはどうするだろう。その外国人の言い分は「もうお前たちを圧迫していた悪徳地主は追い払った。これからは我々が、お前たちが幸せになれるよう指導してやる。悪いようにはしないからついてこい」ということなのだが、それでも「そんなに突然、何の権利があって……」と誰もが戸惑うだろう。あなたたちの土地や資源に対して何の法的権利ももたないはずの外国人が、自分たちの都合でかき回してそのような要求を
『「ロシア人は家に帰れ」。でも私に帰る家はありません』ロシアの隣国ジョージア(グルジア)の首都・トビリシ。観光客でにぎわう旧市街の一角で、ロシア人のナターシャさん(24)は表情を曇らせた。 【動画で見る】「ロシア人は帰れ」国を捨てた先で待っていた“拒絶” 若者たちの苦悩ロシアがウクライナに侵攻を始めてから、1年5カ月。祖国を捨てた多くのロシア人が流入したジョージアでは、今、反ロシア感情が最高潮に達している。現地取材から見えたのは、さまよい続ける若者たちの苦悩だった。 (7月29日放送 「サタデーステーション」より) ■街中にあふれる“拒絶”『ロシア人お断り』6月中旬。サタデーステーションの取材スタッフが向かったのは、ロシアの隣国・ジョージア。ソ連崩壊により、1991年に独立を果たした国だ。首都トビリシの、旧市街と現代の建築物が共存する美しい街を歩いていると、取材スタッフの目にあるメッセ

2022年5月28日に閉幕した世界3大映画祭の1つ、フランスのカンヌ映画祭。連日世界の人気俳優や監督たちがレッドカーペットを歩き、例年通りの華やかさが見られる一方で、ことしはロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響が色濃く表れた12日間となりました。 (World News部記者 古山彰子) ※この記事は2022年6月1日に公開したものです 開幕にはこの人も それは、5月17日の開幕式から明確でした。 会場の巨大スクリーンに姿を現したのはウクライナのゼレンスキー大統領。引き合いに出したのは第2次世界大戦のさなかにヒトラーを風刺する「独裁者」を製作したあのチャップリンでした。 開幕式でビデオ演説するウクライナ ゼレンスキー大統領政治や社会の問題と向き合う カンヌ映画祭はこれまでも、その時々の政治や社会の問題と正面から向き合ってきた伝統があります。 それは1938年にさかのぼります。この年

本放送はウクライナ侵攻後の2022年で、録画で視聴した。元はBBCが制作したドキュメンタリ『F@ck This Job』で、元が44分なのでノーカット放送だろう。 www.nhk.jp プーチン政権が2期目に入り、景気は好調で政治への興味が薄れていた2008年のロシアで、ひとりの女性が独立系放送局をつくろうとする。支援するのは投資家の夫で、ドシチと名づけた放送局の姿勢はポジティブで、イメージカラーはピンクというバブリーぶり。 しかしちょうど世界的な不況に見舞われ、予定していた景気のいいビル街に入ることができず、無機質な建物から素人まるだしでスタートすることになった…… 世界的な不況とリンクすることにはじまり、日本の現代史と重ねあわせながら視聴することになった。 国営か政府傘下におさまった主要放送局とちがって、ドシチがリアルタイムで詳細に報じて注目されたドモジェドボ空港爆破事件も、2011年

北丸雄二と辛淑玉が、マスメディアでは見落とされがちな社会の課題を拾い上げ、マイノリティからのまなざしで語り合い、本質を見抜き、怒り、笑い、ため息をつきながらも前に進む縦横無尽の1時間番組(ときどき長くなる)。エンタメもあります。■今月のレポート軍備反対の声ふさぐ産経デマ記事ニュース ピックアップ・袴田巌さん再審決...

<1月末にロシア軍がまた大規模「敗戦」を喫したようだ。死者のなかには、ロシアの精鋭部隊「第155海軍歩兵部隊」の兵士が多く含まれていたという。クレムリンの愛国主義勢力はますますロシア軍への信用を失った、と専門家はみる>ウクライナ軍は1月末、5000人以上の兵士からなるロシア軍の一個旅団をほぼ壊滅させたと、ウクライナ軍の報道官が明らかにした。ウクライナ東部ドネツク州ブフレダールにあるウクライナ側拠点を攻めようとしたロシア軍部隊をウクライナ軍が殺傷、もしくは捕虜にしたという。 【動画】地雷原に次々突っ込むロシア戦車ウクライナ軍タヴリスキー管区の合同プレスセンター長を務めるオレクシー・ドミトラシキフスキーによれば、ロシアが1月末に攻めてきた際にウクライナ軍が反撃し、旅団の指揮官を含む数千人のロシア軍兵士を死に追いやったという。またロシア軍は、ウクライナの攻撃によって36両の戦車を含む130の

ブフレダール周辺でロシア軍の陣地に向かって自走砲を発射するウクライナ軍の兵士ら/Chris McGrath/Getty Imagesウクライナ・キーウ(CNN) 現場は大混乱に陥っている。戦車は強引に向きを変えた後で爆発するか、一直線に地雷原へ突っ込んでいく。兵士らは四方八方に走り回り、中には体に火がついた者もいる。戦車にひかれた死体も見えている。 複数のロシアの軍事ブロガーがこの惨状を失敗、さらにはそれ上回る言葉で形容した。 これらの場面はウクライナ軍のドローン(無人機)が過去2週間、東部ドネツク州の町ブフレダール周辺を上空から撮影したものだ。現地ではロシア軍による襲撃が立て続けに失敗している。 ブフレダールでのこのような失態は、ロシア軍の指揮系統や戦術が慢性的な機能不全に陥っていることを示唆する。同軍は春季の攻勢に向けた準備を進めているが、ドネツク州からルハンスク州にかけて伸びる前線

戦場カメラマンの横田徹さんこの記事の写真をすべて見る 世界を震撼させたロシア軍のウクライナ侵攻からもうすぐ1年が経つ。当初、電撃的に首都キーウ制圧を目指したロシア軍の動きはウクライナ軍によって阻まれた。その後、ウクライナ軍はロシア軍による占領地域の約4割を奪還した。ただ、戦場での情報を厳しく統制するウクライナ軍は前線への取材をほとんど許しておらず、戦闘の様子を目にした報道関係者、特に日本人は極めて少ない。その一人、ベテラン「戦場カメラマン」の横田徹さんに話を聞いた。 【写真】戦場カメラマンの横田さんが撮影した貴重なカットの数々 * * * 横田さんと会ったのは1月11日。ウクライナに出発する前夜だった。昨年5月と9月に続く、3度目のウクライナ取材だという。 まず、横田さんが語ったのは、昨年の大晦日にロシア軍のミサイル攻撃で朝日新聞の関田航記者が足を負傷したことだった。 「関田さんが

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