『バイバイ、ブラックバード』(伊坂幸太郎/双葉社) 二度と会えなくなってしまう前に、きちんと「さよなら」だけは告げておきたい。伊坂幸太郎氏の『バイバイ、ブラックバード』(双葉社)は、5股をかけていたダメ男が恋人たちに別れを告げていく物語。 太宰治の絶筆『グッド・バイ』に影響を受けた作品で、「複数の女性と同時に付き合っていた男が、全く恋愛関係になかった女性の協力を得て、関係を清算していく」という話の筋は共通している。 だが、太宰作品で主人公の「別れ行脚」の相棒となった女は、“絶世の美女”だったのに対し、伊坂作品で描かれる相棒は、「身長190cm、体重200kg、金髪でハーフ」の“怪物女”。高良健吾が“ダメ男”を城田優が “怪物女”を演じ、2018年WOWOWプライムで伊坂作品としては初めて連続ドラマ化された。 主人公は、5人の女性と交際している男・星野一彦。怪しい組織から多額の借金を抱えてい

韓国でリメイク版が現在公開中の『ゴールデンスランバー』や、本格ミステリー映画の金字塔『アヒルと鴨のコインロッカー』など、伊坂幸太郎の小説は映像化作品も面白い。2月17日(土)よりWOWOWで放送開始となる『連続ドラマW バイバイ、ブラックバード』は、同名小説(双葉文庫)の映像化。伊坂にとって、初の連続ドラマ化だ。 原作に忠実なドラマ版が付け加えた「一瞬」と「一瞥」 五股をかけていた星野一彦が、体も態度もばかでかいニセの婚約者・繭美を伴って、付き合っていた女性たち一人一人への「さよなら」の行脚を始める——。『連続ドラマW バイバイ、ブラックバード』は、伊坂幸太郎の原作小説が採り入れていた全6話の「連作短編」形式をそのまま、全6話で「連続ドラマ」化している。 と、その一点を取っても明らかなように、本ドラマはとことん「原作に忠実」だ。例えば、脚本。冒頭で紹介した2作の伊坂映画も手掛けた鈴木謙一は

『バイバイ、ブラックバード』は、五股のダメ男とその相棒の怪物女が「さよなら」の行脚を繰り広げる連作短編だ。主演の高良健吾と女性役に初挑戦した城田優、監督の森義隆、そして原作者の伊坂幸太郎が、同作への思いを4人で初めて語り合った。 ★― 第1話の完成映像を拝見したんですが、楽しくて切なくて驚きもあってちょっと怖くて、いろいろな感情が詰め込まれた作品に仕上がっていました。みなさんは、ご覧になっていかがでしたか? 伊坂● 第1話も面白いですけど、全部観ると、もっといいですよ。 城田● 第1話はほんの入口ですね。最初は〈星野〉という五股をかけていた、まぁ言ってしまえばクズみたいな男と、〈繭美〉という怪物みたいな女が出てきて「なんだ、こいつら!?」って衝撃が大きいと思うんですが、回を重ねていくうちに彼らの人となりが分かってきて、不思議と愛おしくなってくる。 高良● 僕もそう思います。2、3、4、5、

口達者な奴はどいつもこいつも癪に触るものだが、伊坂幸太郎氏が描いたこの男だけはどうにも憎めない。『チルドレン』およびその続編『サブマリン』に登場する、超マイペースな男・陣内。いつでも彼は巧みな話術を武器に、周囲を自分のペースに引き込んでいく。一見、彼は、思い付いたことをただひたすら話続けているだけの調子の良い人間にしか思えないかもしれない。しかし、陣内を知れば知るほど、彼の独自の哲学とその正義感に、ほんの少し、尊敬の念を抱いてしまう。 陣内が初登場する『チルドレン』は、連作の短編が5作収載されている。冒頭で描かれる「バンク」は、陣内がまだ大学生だった頃の話。陣内と友人・鴨居、盲目の青年・永瀬が、たまたま立ち寄った銀行で、銀行強盗に出くわし、人質となる物語だ。普通だったら、銀行強盗などに出くわしたら、恐怖のあまり萎縮してしまうところだろうが、陣内のモットーは、何事にも立ち向かうこと。銃を構え

伊坂幸太郎が贈る聖夜の奇跡の物語『クリスマスを探偵と』が、2017年10月26日(木)に発売される。 同書は、デビュー以来の伊坂作品のモチーフである「探偵」「男2人」「親子愛」「巧妙な構成」「ラストのどんでん返し」といったエッセンスがすべて詰まった、挿絵付きのオールカラー絵本。描き下ろし挿絵を手がけるのは、伊坂も注目し、また松本大洋ら日本の第一線の漫画家も各所で注目しているフランスのバンドデシネ作家マヌエーレ・フィオールによるもの。伊坂作品にはおなじみの“あのキャラクター”の元祖とも言える人物も登場し、この冬最高の物語が展開される。 生まれて初めて完成させた短篇が元となった作品です。伊坂幸太郎 お話の最後ではいつも呆然となり、もう一度読み直したい気持ちで胸がいっぱいになりました。マヌエーレ・フィオール <舞台はドイツ。探偵カールがクリスマスの夜に出会った謎の男とは…?> 同書の刊行に際して

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