『サイレント(上・下)』(カリン・スローター:著、田辺千幸:訳/ハーパーBOOKS) 真冬のような11月の早朝、凍える冷たさの湖の底で女子大生アリソンが遺体となって発見された。岸辺に残された「もう終わりにしたい」というメモから「自殺」と考えられた彼女を水から引き上げてみると、身体には工業用の太い鎖がウエストにまかれ、鮮やかな黄色の南京錠がベルトのバックルのようにたれさがり、鎖の先には2個のコンクリートブロックがつけられていた。そして首の後ろには刺された傷——「自殺」ではなく「他殺」だったのだ。 寒々しい情景と重い疲労を抱えたような刑事たちのやりとりに、冒頭からなんともいえない沈鬱な世界にひきこまれる『サイレント(上・下)』(カリン・スローター:著、田辺千幸:訳/ハーパーBOOKS)。著者のカリン・スローターは2001年に出版した処女作『開かれた瞳孔』(早川書房)がいきなり世界的ベストセラー

『In These Words 3』(Guilt|Pleasure/リブレ)海外ドラマばりの重厚ストーリーと美し過ぎる作画で、日本の全腐女子を震撼させた話題作『In These Words』(Guilt|Pleasure/リブレ)の最新3巻が4月末に発売された。 2巻発売からおよそ3年。「待ってたよ!!」と歓喜した腐女子も多いはず。 そこで、3巻発売を記念して「『In These Words』? 知らないなぁ」という人のために、今からでも遅くない本作の「ハマる」見どころを紹介しようと思う。 まずはあらすじ。 若い男性ばかりを標的とした猟奇的連続殺人犯に「自白をさせる」ため、警察に協力することになった精神科医の浅野克哉(あさの・かつや)。犯人の篠原(しのはら)と対話をしながら、彼の本心を探ろうとするが、篠原と対峙すればするほど、浅野はおかしな夢を見るようになる。 それは顔のない男に監禁され

『渇きと偽り』(早川書房) オーストラリアといえば、豊かな自然や農作物を連想させられ、観光に向いた穏やかな国というイメージを抱いている人も多いのではないだろうか。しかし、実際には激しい日照りが産業を脅威にさらし続けている、厳しい一面を持っている国だ。特に農村地帯に足を運べば、生活苦にあえいでいる人々も少なくない。 傑作サスペンス小説『渇きと偽り』(早川書房)の原題もまた、“THE DRY(渇き)”である。オーストラリア人からすれば特別な響きを持つこの単語を冠した本作は、新人のデビュー作でありながら既に世界中でベストセラーとなっている。オーストラリアの農村の現状と、忌まわしい過去を巡るハードな物語は、日本でも多くの読者を惹きつけるだろう。 農場がこれまで死と無縁だったはずはないし、黒蝿たちはえり好みしなかった。動物の死骸だろうと人間の遺体だろうと、黒蝿にとっては大差なかった。本作の衝撃的な

2018年公開予定の映画「検察側の罪人」に、木村拓哉と二宮和也が出演することが発表された。2人の共演に「うそ!? 木村君とニノが同じ映画に出るなんて胸熱すぎるよ!」と大きな反響が起こっている。 同作の原作となるのは、これまでにも『クローズド・ノート』『犯人に告ぐ』などが映画化されている雫井脩介のサスペンスエンターテインメント小説。監督は「日本のいちばん長い日」などで知られる原田眞人が務める。 木村演じるエリート検事である最上と、二宮演じる若手検事の沖野の対立が描かれる同作。時効が成立した殺人事件の重要参考人・松倉が、最上と沖野が担当する殺人事件の容疑者に浮上。最上は今度こそ松倉に法の裁きを受けさせようとする。そんな最上の姿に疑問を覚える沖野。お互いの正義を胸に2人は対峙していく。映画では初の共演となる木村と二宮。木村は主演作「無限の住人」が公開中で、二宮も主演映画「ラストレシピ~麒麟の舌

「相棒」シリーズの脚本で知られる太田愛さんが、作家としても注目を浴びるようになったのは4年ほど前。通り魔事件に隠された社会を揺るがす陰謀を描いた『犯罪者 クリミナル』で鮮烈なデビューを果たした。続く第2作『幻夏』では、司法や警察によって人生を狂わされた者の慟哭を描き、日本推理作家協会賞候補に。新刊『天上の葦』は、前2作でも活躍した興信所所長の鑓水七雄と所員・繁藤修司、刑事の相馬亮介の3人が、日常と社会を一変させる犯罪に挑むクライムサスペンス巨編だ。 実社会で起きている異変。今書かないと手遅れになる 構想の発端について太田さんはこう語る。 「このところ急に世の中の空気が変わってきましたよね。特にメディアの世界では、政権政党から公平中立報道の要望書が出されたり、選挙前の政党に関する街頭インタビューがなくなったり。総務大臣がテレビ局に対して、電波停止を命じる可能性があると言及したこともありました

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