2021年2月1日のミャンマー軍によるクーデター後、ミャンマー全土で大規模なデモや抗議活動が連日続いた。その先頭に立っていたのは10代から20代の若者たちで、ミャンマーではズィージェン(Z Gen / Z世代)と呼ばれている。この世代は今までのミャンマーに存在しなかった、まったく新しい世代だった。何十年にもわたる軍事独裁政権下で生きてきた親や祖父母の世代とは異なり、物心ついた頃には(限定的ながら)民主化された国であり、スマートフォンを駆使するデジタルネイティブとして、世界と繋がっていた。日本の同世代の若者と比べても、ほとんど変わらない。 武力闘争を選んだZ世代の若者たち クーデター後、彼らは真っ先に先頭に立った。軍の恐ろしさを知る親たちはデモへ参加しないよう諭したが、若者たちは耳を貸さなかった。やがてデモは親世代や祖父母世代も巻き込む大規模なものへと発展した。デモの先頭に立つ若者に質問した

2021年2月1日にミャンマーで軍事クーデターが起きてから2023年10月28日でちょうど1000日、2年9ヶ月が過ぎた。世界ではウクライナ、イスラエルと次々と戦いが起き、日本ではミャンマーのことは忘れられたように見える。しかし、今でもミャンマーでは戦いが毎日続き、悲惨なことが毎日起きている。私はヤンゴンに住む一人の日本人だが、このミャンマーの1000日間に何が起こったか日本にいる人たちにも伝えたいと思う。 まさかのクーデター(2021年2月1日〜2月3日)2021年2月1日のまだ薄暗い早朝、軍によるクーデターが起きた。第一報を知ったのは、日本のメディアが伝える短いネットの速報だった。驚いてFacebookで調べると、BBCビルマ語放送のページがクーデターのニュースを慌ただしく伝えていた。その直後にインターネット回線が切れ、しばらくして携帯の電話回線も切断された。テレビも全チャンネルが停止

2019年の11月13日から三日間、写真仲間と一緒にミャンマーを回ってきました。世界がまだコロナを知る前、まだ世界を自由に動き回れた頃の話です。たった1年半ほど前なのに、大昔に思えます。 さて、今日の文章に関しては、写真を中心に、ちょっとした旅行記みたいなものにしたいと思っています。書きたいことは最後に書きますね。 11月13日は、その直前に回っていたタイからの移動日でした。タイのチェンマイから、目的地であるミャンマーのバガンへは直行便は出てないので、一度ヤンゴン空港で乗り換えが発生します。そこでまずは、アジアらしい光景を見ることになります。もともと3時間ほどの待ち時間に、何事もなかったかのように1時間の遅延が加わり、空港の中は気だるい雰囲気に。 2分でも電車が遅れると怒り出す人もいる日本の通勤電車を見ていると、まるで違う星に来たかのようなのんびりとした感覚。 空港職員さんだって、ほら、こ

2017年8月25日に発生した大規模なロヒンギャ難民危機。命の危険を感じてミャンマーのラカイン州マウンドー郡から隣国バングラデシュへと逃れた21歳の青年から話を聴くことができた。 彼は涙を流すでもなく、自らの境遇を淡々と語った。その境遇が、彼を21歳とは思えぬほど成熟した存在へと変化させているように思えた。努めて明るく話す口調の中に、時折深いため息が混じっていた。 彼の身の安全のために、そして今もミャンマー国内にいる彼の家族の身の安全のために、情報を一部加工している。 危機以前8月25日に始まった危機の前、私はラカイン州マウンドーの市街地に住んでいました。当時の暮らしは「まあOK……」といったところです。 2014年に大学入学試験を通過したのですが、ロヒンギャであることで大学への進学も認められず、仕事も全くありませんでした。 こうしたことは今に始まったことではなく、2000年よりも前の時代

「麺」というのは、本来的な意味でいえば、小麦粉を原料とするものだそうです。しかしここでは、小麦粉に限定せず、日本で使われている意味合いのものを「麺」とします。 ビルマで主に使われている麺としては、米粉が原料の「モンバッ」、主に小麦粉が原料の「カウスエ」、はるさめ風の「チャーザン」などがあります。調理方法は、スープをかける、あえる(トウッ)、炒める(チョー)といったところです。 まず、モンバッについては、太さによって次のような種類があります。 「ナンデー」…細い(そうめん程度) 「ナンラッ」…中位(太めの中華麺程度) 「ナンヂー」…太い(細めのうどん程度) 「ナンビャー」…細めのきしめん風 モンバッを使った麺料理といえば、まずは「モヒンガー」(語源についてはこちら)が筆頭にあげられます。ビルマの代表的麺料理でもあるモヒンガーは、魚をベースとするスープの汁麺。麺はナンデーやナンラッが使われ、揚
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