再開された学校ではこれから学習の遅れをどう取り戻すかが大きな課題になる=東京都葛飾区立葛飾小学校で2020年6月1日午前11時17分、長谷川直亮撮影 新型コロナウイルスによる長期休校で生じた学習の遅れの解決策として政府が検討していた「9月入学案」について、萩生田光一文部科学相は5日、閣議後記者会見で「制度として直ちに導入することは想定していない」と見送りを表明した。安倍晋三首相が「前広に検討」と発言し議論に火が付いたが、教育現場から慎重論が相次ぎ、学校が再開される中で導入の機運は一気にしぼんでいった。

安倍首相、求心力低下浮き彫り 「9月入学」構想頓挫で 2020年06月01日07時11分 政府は「9月入学」の来年度導入を見送る方向だ。新型コロナウイルス感染拡大による休校長期化で検討を進めてきたが、与党内で反対論が強まり頓挫した形。「1強」を誇ってきた安倍晋三首相の求心力低下を指摘する声も漏れている。 衆院解散、狭まる選択肢 支持率急落、コロナも左右―「ポスト安倍」に持ち越しも 首相はかねて大学の9月入学を提唱。小泉政権の官房長官だった2006年に著書「美しい国へ」に記し、第1次政権でも政府の教育再生会議で国公立大への9月入学枠設置などを打ち出した。 今年3月、感染防止のため全国の小中高校で臨時休校が始まると、文部科学省はひそかに始業時期を9月に遅らせるシミュレーションに着手。同省幹部が4月上旬に首相に報告し、「検討を進めておいてほしい」と承諾を得た。 9月入学について、首相は4月29日

政府・与党は27日、新型コロナウイルスによる学校休校を受けて検討した2021年度からの「9月入学」の導入を見送る方針を固めた。政府・与党は緊急事態宣言中の授業の遅れを取り戻す方策として検討したが、保育の期間にしわ寄せがいくなど課題が多く、教育現場を混乱させかねないと判断した。安倍晋三首相が夏までに正式判断する。自民党の秋季入学制度検討ワーキングチーム(WT、座長・柴山昌彦元文部科学相)は27日、9月入学への移行は一定の準備期間や国民的な合意が欠かせず時期尚早だとする提言骨子案を党幹部に提示した。WTは一方で今年度に限り就学期間を1カ月程度延ばす特例措置の検討を政府に要請し、来年の大学入試も2週間から1カ月程度遅らせるよう求める。公明党も21年度までの9月入学に反対する方針で、山口那津男代表は「時間をか…

9月入学にしたところでコロナ影響による学力低下は避けられない9月入学によって、3月から今日までの子どもたちの失われた学力が取り戻されることはない。同等量学習する手段しかない。いくら暦の上で学年をいじったところで、実際の年齢と学力が乖離するのは避けられない。 たとえば夏休み13日・冬休み2日・春休み5日カットを3年程度行う方がよっぽど現実的。 入学・卒業は5ヶ月遅くするのではなく、7ヶ月早めなければいけない国際的に合わせるのであれば、9月入学は5ヶ月後ろに持っていくのではなく、7ヶ月早く入学・卒業させなければいけない。(もし5ヶ月後ろに持っていったら海外と1年ずれる。海外では2年生の歳でも日本は1年生で、1年生のカリキュラムをすることになるし、高校卒業時の年齢は19歳になる。つまり強い子どもは家庭や塾のおかげで19歳時点で19歳の能力なのに、カリキュラム通りの子は18歳の能力しかない。これで

長期にわたる休校がもたらす負の影響 5月18日(月)に自民党本部で第3回の「秋季入学制度検討ワーキングチーム役員会」のが行われた。これは、学校の入学や始業を9月にする「9月入学」を検討するために立ち上がったワーキングチームであるが、座長の柴山昌彦前文科大臣のみならず、複数の元文科大臣経験者が参加しており、自民党が「本気」で 9月入学案を検討していることが窺われるものとなっている。同日、筆者は、早稲田大学の田中愛治総長とともに、有識者として意見を述べる機会を得た。 秋季入学制度検討ワーキングで意見を述べる中室教授 この記事の画像(10枚) ここでは18日に報告した内容をもとに、科学的根拠に基づいて、9月入学の是非について論じたい。まず、長期にわたる休校がもたらす負の影響が大きい可能性がある点について言及しておきたい。過去に生じた臨時休校がもたらす影響について分析した論文は複数、発表されている

政府などが検討を始めた9月入学について、教育学者らが検証した結果、導入による効果は限定的な一方、受験や就職などの競争が厳しくなり、費用負担も大きいとして、十分な効果は見込めないとする提言をまとめました。 提言をまとめたのは、教育制度などの専門家でつくる日本教育学会のメンバーです。 この中で、9月入学に移行した場合、国際化が促進されるという見方については、日本と同じ4月入学のインドや韓国では、日本より多くの学生がアメリカに留学しているなどとして、効果は限定的だとしています。 一方、デメリットとしては、移行期の学年が極端に人数が増えて、受験や就職などが厳しくなる可能性があるとしています。 また、待機児童の問題や、小学校から大学まで大幅なカリキュラムの見直しも必要となるほか、制度の切り替えだけで自治体と家計の費用負担は、合わせて数兆円に上るとして、9月入学は十分な効果は見込めず現場の混乱につなが

「9月入学・始業制」問題検討特別委員会 2020年5月22日(金)14:00、文部科学省の担当者に、「9月入学・始業制」に関する提言書:9月入学よりも、いま本当に必要な取り組みを-より質の高い教育を目指す改革へ-、を提出しました。その後、15:30より、文部科学省において記者会見を開催しました。記者会見に臨んだのは、広田照幸氏(学会長、日本大学教授)、乾彰夫氏(「9月入学・始業制」問題検討特別委員会委員長・東京都立大学名誉教授)、清水睦美氏(同委員会委員、日本女子大学教授)、中村高康氏(同委員会委員、東京大学教授)、末冨芳氏(同委員会委員、日本大学教授)の5名です。 「9月入学・始業制」に関する提言書につきましては、以下のリンクをご参照ください。 概要PDF 提言書全文PDF 提言書は、9月入学への制度変更が拙速になされようとしている状況に対して、教育学の専門的立場から、そのメリット・デメ
新型コロナウイルスに伴う休校の長期化を受け、政府が検討している「9月入学」について、文部科学省が、入学時期だけを9月に移す案など3案についてシミュレーションしていることが判明した。国際標準より就学年齢が遅れたり、学年構成にひずみ・分断が生じたりするなど、それぞれデメリットがある上、いずれも幅広い社会制度の変更が必要になり実現には多くの課題があることも分かった。今年9月の導入は準備までの時間がないことから見送る。 シミュレーションしたのは、来年9月からの移行を視野に、①4月2日~翌年4月1日生まれという現行学年の枠組みを維持したまま入学時期だけを9月に移す②来年9月の小学校入学者だけを6歳~7歳5カ月に拡大し、再来年9月以降は6~7歳に戻す③来年9月以降は移行期間として1学年の子どもの年齢を1カ月分拡大し、5年かけて6~7歳に戻す――の3案。 ①の場合は現在よりも義務教育開始が5カ月先送りと

新型コロナウイルスの感染拡大で政府が検討している「9月入学」を来秋から実施した場合、学校教育や保育などにひずみを生みかねないことが、苅谷剛彦・英オックスフォード大教授の研究チームの推計でわかった。新…

中学生の頃、期末テストの前になるとなぜか小説が読みたくなるということがあった。その理由は今も不明だが、目の前の困難に直面して現実逃避をしていたのかもしれない。いま盛り上がっている「9月入学」の話も、どことなくそれに似ているような気がする。 臨時休校が続いている小中学校や高校の授業時間をどのように確保するか、児童・生徒の失われた学生生活をどのように取り戻すかという現実の切実な課題が、「高等教育のグローバル化のために9月入学を」という話に転化していく様子をながめていると、これはさしずめ試験勉強を投げ出してポエムをつくっている中学生のようだ。中には長年の悲願達成ということで「ピンチをチャンスに」「災い転じて福となす」「この難局を乗り切るために9月入学を」とやっている有識者もいるようだが、これは対応を間違えると火事場泥棒と非難されることになるだろう。 もちろん、海外留学の促進や留学生の受け入れ拡大

「9月入学・始業」の拙速な決定を避け、慎重な社会的論議を求める ――拙速な導入はかえって問題を深刻化する―― 去る4月30日、新型コロナウイルス感染拡大防止のための学校休校が長期化するなか、全国知事会は、内部に賛否両論がありながらも、政府に対し9月入学の導入を検討するよう要請しました。これを受けて、安倍首相は国会で「選択肢の一つとして検討する」と答弁し、首相官邸が各府省に論点整理を指示し、6月上旬には方向性を示す予定であるとの報道がなされています。 今般、9月入学問題が浮上した背景には、勉強の遅れと受験への不安や部活動や行事などの貴重な学校生活の時間を削減しないで欲しいという子どもたちの声があります。また、学校再開後の短縮された期間での詰め込み・スピード教育が子どもたちのストレスを高め、不登校を増やすのではないかとの心配を保護者や教師が抱いていることも事実です。 こうした声や心配には真摯に
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にわかに真実味を帯びて急浮上してきた「9月入学」案。教育ジャーナリストのおおたとしまささんは「9月入学」議論をどのように受け止めたのか。テーマを3つに分けてお届けする。まずは拙速に9月入学を実施したときの問題点を具体的に提示してもらおう。 影響大きく論点整理すら困難休校期間が長引いていることへの対策として、学校の始業や入学を9月に移行する、いわゆる「9月入学」案がにわかに浮上している。まともに授業ができていない本年度4月からの各学校での取り組みをリセットし、9月に1学期を始めようという案である。 GWを前にして、私も複数のメディアから意見を聞かれた。その時点で「あまりに影響範囲が大きすぎてにわかには論点整理すらできず、論理的に是非を表明することは難しい。ただし直感的には、たった4カ月で準備するにはちょっと無理があると思う」と述べた。 ところが、である。これに対して著名人らが前向きな意見を表

こんにちは。9月入学一斉移行には財政上、高いハードルがあります。全私立学校が半年分の授業料収入を事実上失うので、大規模大学の傘下にない私立中高や、小規模私大は、経営破綻に瀕します。本気で9月一斉移行を望むのであれば、同時に全私立学… https://t.co/JY0soJYB2p

学校の休校が長期化する中、一部の知事などから9月入学を求める声が出ていることについて、全国のPTAでつくる団体は「子どもたちに不安を与える」などとして、文部科学省に対して慎重な検討を要望しました。 全国の保護者などでつくる日本PTA全国協議会は文部科学省に対して、9月入学は慎重に検討するよう求める要望書を提出しました。 この中では、突然の9月入学の議論の高まりは子どもたちに不安を与え、保護者にとっても戸惑いが生じているとしたうえで、今は、子どもたちの心と体のケアや、感染防止対策をして、学校を再開させるため、予算と時間を費やすことが必要だと指摘しています。 さらに、始業の時期を9月に遅らせることで学校の負担や家庭の経済的な影響が増すことなどが強く懸念されるとして、慎重に検討すべきとしています。 文部科学省は「こうした意見も踏まえ、あらゆる自体を想定してさまざまな選択肢を検討していきたい」とし

新型コロナウイルスの影響で、休校(臨時休校)が長引くなか、学習や学校生活に支障をきたしていることへの対応策として、9月入学、9月新学期を提案するアイデアがある。昨日、宮城県の村井知事は「学校の入学、始業の時期を9月にずらすのも大きな方法。9月入学にすれば学力差が無くなる。今は学校をやっているところと、ずっと休校しているところでかなり学力差、地域格差が出ている」と述べた(東日本放送記事4/27)。 このYahoo!ニュースのコメント欄にも賛成意見が多く寄せられている。また、わたしが小中高などの教員向けに独自調査した結果でも、9月入学を提案する意見は多かったし、何人かの先生にヒアリングしても、賛同する方がほとんどだった。保護者のなかにも賛同する意見がかなりあるようだ。 わたしも当初は、これもひとつの選択肢かと感じていたが、よくよく考えてみると、問題も大きいと思うようになった。きょうは、その理由

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校の長期化を受けて、入学時期などの9月への変更を検討すべきだという声が上がっていることについて、萩生田文部科学大臣は、社会全体で共有できるか課題があるという認識を示しました。 これについて萩生田文部科学大臣は記者会見で、「こういう事態が生じたときから、省内では考えていかなければならないテーマとして、さまざまなシミュレーションはしてきている。確かにメリットはいろいろある」と述べました。 一方で、萩生田大臣は「文部科学省だけで完結する問題ではなく、社会全体に影響を及ぼすもので、各方面との調整が極めて必要な案件だ。本当に社会全体でこのスケジュール感を共有できるのかどうかという課題がある」と述べました。 そのうえで、萩生田大臣は「今は、なんとか一日も早い学校の再開に向けて、しっかりと学びの保障ができるように各自治体、各学校と努力をしていくことに注力をしたい」

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