長崎港(長崎市)から観光船に乗り40分ほど進むと、軍艦のような形をした島が現れる。端島(はしま)は、大正時代以降に造られた高層建築の朽ちてゆくさまが人気で、観光客が増え続けている。 小さな島は10年前、ユネスコ世界文化遺産登録の審議の舞台で論争の的となった。韓国政府は第2次世界大戦中に朝鮮人の強制労働があったとして、登録に反対した。日本政府は「犠牲者を記憶にとどめるための措置」を約束し、登録にこぎ着けた。 約束の施設「産業遺産情報センター」は、長崎から遠く離れた東京に完成した。記者が訪れると「朝鮮人への虐待や差別はなかった」と話す元島民のメッセージが並んでいた。展示全体で、韓国側の主張は間違っていると伝えたいようだ。 そもそも戦後から80年もたつ中で、朝鮮人徴用工に関する公的調査は行われていないのか。徴用された人々はどう証言しているのか。疑問を抱き、もう一つの資料館を訪ねてみた。(共同通信

■記者コラム「多事奏論」 論説委員・田玉恵美 図書館で奇妙な体験をした。ある資料を閲覧したいと申し出ると、しばらくしてやってきた職員にこう言われた。 「これは、所蔵しているかどうか、お答えしないことに…

韓国外務省は、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決策を話し合う公開討論会で、日本企業による賠償や日本側の謝罪を期待するのは難しいという意見があるとした上で、裁判で賠償を命じられた日本企業に代わって韓国政府の傘下にある既存の財団が原告への支払いを行う案を軸に検討していることを明らかにしました。 太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決策を話し合うため、韓国外務省が12日ソウルで開いた公開討論会には、国会議員や有識者、それに「徴用」をめぐる裁判の原告側の代理人などが出席しました。 討論会では、韓国外務省のソ・ミンジョン(徐旻廷)アジア太平洋局長が、去年4回開催した官民合同の協議会での議論も踏まえて韓国政府の方針を説明しました。 この中でソ局長は、▽被告となった日本企業による賠償や日本側の謝罪を期待するのは難しいという意見や、▽第三者が原告への支払いを肩代わりすることも可能だという指摘があっ

元徴用工訴訟を巡る日本企業資産の「現金化」が迫るなか、日本年金機構が年金加入を確認した人に「99円」を支払ったことへ支援団体が猛反発です。韓国の元徴用工支援団体「日帝強制動員市民会」によりますと、日本年金機構が年金番号を控えていた元徴用工とされる女性に、厚生年金への加入事実が確認されたとして脱退手当金99円を支払ったということです。 支援団体は4日に会見し、この金額は当時支払われるべき金額で現在との貨幣価値の差を考慮していないとして、「悪質な愚弄(ぐろう)で弱いものを踏み潰す日本の本当の姿だ」などと反発しました。 また団体は、こうした事態を招いたのは日韓関係改善を急ぐ「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の態度に問題がある」などと主張しています。 元徴用工を巡っては、韓国政府が主催する現金化回避のための方策を協議する「官民協議会」に原告側弁護士らが今後参加しないと発表するなど、韓国内で対立が深

日韓外相会談に臨む林芳正外相(右)と朴振外相=東京都港区麻布台の外務省飯倉公館で2022年7月18日午後3時58分(代表撮影) 林芳正外相は18日、韓国の朴振(パク・ジン)外相と東京都内で会談した。会談で両外相は、徴用工問題の早期解決を目指す方針で一致。朴氏は徴用工判決に基づき日本企業の資産を売却する「現金化」の手続きが韓国で進んでいることを巡り「現金化が行われる前に、望ましい解決策が出るよう努力する」と約束した。 日韓対面会談、尹政権で初 朴氏は18~20日の日程で訪日。韓国外相の訪日は2019年11月以来、対面での日韓外相会談は5月の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後初で、会談は夕食会も含め約2時間半行われた。 会談で朴氏は、銃撃事件で死去した安倍晋三元首相に対する弔意を表明した。両外相は日韓・日韓米3カ国の関係について「協力の進展が今以上に重要な時はない」との認識で一致。共にロシア

戦時労務動員における朝鮮人の「強制労働」について、インターネット上では、以下のような書き込みをたくさん見かけます。 「一般的に『強制労働』とはシベリア抑留のような『奴隷的強制労働』を指します。給与がもらえる時点で当てはまりません」 「給与帳簿が残っているから強制労働でなかったことは明らかです」… どうも彼らは、「強制労働」とは給与が支払われない労働のことを指すと考えているようです。しかしこれは全くの間違いです。 なぜなら、賃金が支払われていても、そこに強制があれば「強制労働」だからです。 ILO「賃金や報酬が提供されているかどうかは関係ない」 労働者を保護するため、国際的な労働基準を設定するなどの活動を行う国連の専門機関であるILO(国際労働機関)のサイトでは、強制労働について、以下のように定義しています。 強制労働とは、ある者が処罰の脅威の下に強要され、かつ、右の者が自ら任意に申し出たも
2022年1月29日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫 一、岸田文雄首相は28日、「佐渡島の金山」(佐渡金山)を世界文化遺産の候補として国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦すると表明した。わが党は、佐渡金山は世界文化遺産として推薦に値するものだと考えるが、日本政府が、登録推薦を行うならば、戦時中の朝鮮人強制労働の歴史を認める必要がある。 一、世界遺産とは「人類の知的・精神的連帯に寄与し、平和と人権を尊重する普遍的な精神をつくる」というユネスコの理念に基づくもので、登録推薦物について調査・勧告をおこなう国際記念物遺跡会議(ICOMOS)は「より広い社会的、文化的、歴史的、自然的な文脈と背景に関連させなければならない」(「文化遺産の解説及び展示に関するICOMOS憲章」)との原則を示している。 佐渡金山についても、戦国時代末から江戸時代にかけてだけでなく、明治以降、戦時の朝鮮人強制労働などを

会見で日韓併合100年の談話などについて語る当時の菅直人首相=首相官邸で2010年8月10日、尾籠章裕撮影 徴用工問題をめぐる近年の調査研究には、強制動員被害者の口述集のように問題の実態に迫る貴重な成果もある。それらは、継承すべき記憶を残し、問題を正しく理解することに資するかもしれない。韓国・世宗大の朴裕河(パク・ユハ)教授はそうした進展を踏まえ、日韓関係の基本的な枠組みになっている1965年の日韓基本条約当時の努力と限界を見据えつつ、慰安婦問題の混乱を教訓に東アジア共通の歴史作りを模索するよう提案する。 脱植民地主義の視点から過去を問い直す 徴用工問題に関する昨今の相反する見解には、それぞれ傾聴すべきところもある半面、多くの矛盾を抱えている。にもかかわらず、両国の国民はまたもや慰安婦問題の場合と同じく、この両方のどちらかの言い分のみを信奉する状況が続いている。 しかし、慰安婦問題が30年

政府が韓国で開かれる次回の日中韓首脳会談に関し、元徴用工問題で受け入れ可能な措置を講じない限り、菅義偉首相は出席しないとの立場を韓国に伝えていたことが分かった。首相の意向を踏まえた対応。複数の日韓関係筋が12日、明らかにした。日韓対立が続く中での首相訪韓に難色を示した形だ。韓国が要求を受け入れる可能性は低く、年内開催は見送られる公算が大きい。 日韓関係を巡り日本国内では保守層を中心に、歴史認識問題を背景にした韓国への反発が強まっている。日本政府はこうした世論の動向を踏まえ、強硬姿勢を示す必要があると判断したとみられる。会談出席に条件を付けることで、韓国に前向きな対応を促す狙いもある。韓国の文在寅政権の出方が今後の焦点になりそうだ。

太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国の裁判所は、被告の日本企業の資産の売却に関する書類をホームページに公開する「公示送達」の手続きをとりました。ことし12月には書類は日本企業に届いたとみなされ、原告側による資産の「現金化」に向けた手続きが進むことになります。 太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国の最高裁判所はおととし、被告の新日鉄住金、今の日本製鉄に対し、「徴用工として日本で強制的に働かされた」と訴えた韓国人4人に賠償するよう命じる判決を言い渡しました。 これについて日本政府は、日韓請求権協定に基づき解決済みだとして、国際法違反の状態を是正するよう韓国政府に求めていて、日本製鉄も賠償に応じていません。 こうした中、原告側の申し立てを受けた韓国の裁判所は、日本製鉄の韓国国内の資産の売却に関する書類をホームページに公開する「公示送達」の手続きを今月8日付けでとりました。 これによっ

<2018年10月に韓国の大法院(最高裁)が、日本企業側に賠償を命じたいわゆる徴用工裁判だが、「元徴用工」の主張に反論を述べる人も少なくない...... > 2018年10月、韓国の大法院が日本製鉄に対し、旧朝鮮半島出身労働者1人あたり1億ウォン(約900万円)の支払いを命じたいわゆる徴用工裁判で、日本製鉄が8月7日までに即時抗告を行い、差し押さえが回避された。 19年4月、韓国南東部の全羅南道と光州市の12人が、三菱重工業と住石ホールディングスを相手に慰謝料請求訴訟を提起した裁判でも、三菱重工業は過去4回の公判に欠席したが、7月23日の第5回の公判に代理人が出席した。 被告が出席しない民事訴訟は、原告が勝訴する可能性が高い。三菱重工業に続いて、住石ホールディングスも9月の公判に代理人を出席させる予定である。 大邱地裁浦項支部は今年6月、日本製鉄に対して差し押さえ命令を送達し、日本の外務省
菅義偉官房長官は1日、読売テレビの番組で、韓国最高裁が日本企業に韓国人元徴用工への賠償を命じた判決に基づいて企業の資産が売却された場合の対応について、「ありとあらゆる対応策を政府では検討している。方向性はしっかり出ている」と強調した。資産差し押さえを企業側に伝える「公示送達」の効力が8月4日に発生すれば、韓国の裁判所が売却命令を出す可能性があり、菅氏は対抗措置を示唆することで韓国側をけん制したとみられる。 菅氏は「(2018年10月の判決で)この問題が発生してから、ありとあらゆる対応策を検討している。関係する日本企業には政府で担当チームを作って対応している」と述べた。ただ、資産が売却された場合の具体的な対抗措置の内容については「現時点で国にとって不利になる発言はすべきではない」と説明を避けた。

韓国政府は、長崎県にある軍艦島をはじめとする世界文化遺産(明治日本の産業革命遺産)の登録取り消しの検討を求めた Photo:PIXTA 国際社会のルールを軽視し 軍艦島の世界遺産登録取り消しを求める韓国 6月22日、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の事務局長宛に書簡を送付した。その中で韓国政府は、長崎県にある軍艦島をはじめとする世界文化遺産(明治日本の産業革命遺産)の登録取り消しの検討を求めた。世界遺産への登録は国際社会の決定だ。自国の事情だけで、その取り消しを求める韓国は国際社会のルールを軽視しているとしか思えない。 今回の韓国政府の主張の背景には、北朝鮮政策が思うように進まず、立場がなくなりつつあるという文在寅(ムン・ジェイン)大統領の厳しい情勢が影響していると見られる。反日と南北統一を政策の二枚看板としてきた文大統領としては、北朝鮮の共同事務所

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