『スラヴ研究』No. 72(2025) [ 書 評 ] 松里公孝著『ウクライナ動乱:ソ連解体から露ウ戦争まで』 (ちくま新書、2023 年、 502+viii 頁)(1) 宇山 智彦ロシアのウクライナ侵攻に関連して出版された数多くの書籍の中で、本書は極めて異色で ある。副題に「露ウ戦争」という言葉が入ってはいるが、ロシアによる介入・侵攻の分析が本書に占める比重は小さい。そして、クリミアとドンバスの親露派地域をはじめとする現地 調査で得られた情報が濃密に詰め込まれている。 刊行後間もない時期に、 新聞やインターネッ トに出た本書に関する論評の大半は、著者がウクライナに厳しすぎるといった違和感を示し ながらも、現地調査に基づく豊富な知見を高く評価していた (2) 。 他方、本書は侵略への支持を表明してはいないにもかかわらず、親露的な人々は、著者がウクライナにこそ問題があると指摘してい

2025年03月02日 未完の国民国家の戦争(2日の日記) テーマ:ニュース(95347) カテゴリ:ニュースロシアの歴史を専門的に研究してきた東京大学教授、松里公孝氏の最終講義を聴講した毎日新聞専門編集委員の伊藤智永氏は、2月15日の同紙コラムに、次のように書いている;ウクライナ停戦へ米露交渉が始まる。ロシアの侵攻から間もなく3年。何度も即時停戦を唱えて批判されてきたコラムとしては何か言うべきだが、気が重い。 どんな議論にも、どっちの肩を持った、正義はどうなる、といった反応が大勢を占める間は、この戦争に正解も出口もない。 10日、東京・本郷の東京大学法学部で松里公孝教授の最終講義があった。一昨年の著書「ウクライナ動乱」(ちくま新書)は、「ロシア=悪、ウクライナ=善」の通説と全く別の視点を教えてくれた。これは聴き逃せない。 演題は「ロシア帝国の総督制 19世紀~1917年」。100年以






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