経済産業省はエネルギー基本計画に合わせた2030年度時点の発電にかかる総合的なコストの試算を示しました。天候が変動することへの対応などの要素を加えると太陽光発電のコストが高くなるという内容になっています。 経済産業省は先月下旬、エネルギー基本計画の素案を示し、2030年度に再生可能エネルギーの割合を「36%から38%」へと大幅に引き上げることなどを盛り込んでいます。 この計画に合わせて電源別の発電にかかる総合的なコストの試算を示しました。 それによりますと1キロワットアワー当たりのコストは事業用の太陽光が18.9円、陸上風力が18.5円となりました。 また原子力は14.4円、LNG火力は11.2円でした。 計画の素案が出る前、先月12日に発電コストの試算を公表していますが、そのときと比べて事業用の太陽光は7.7円程度、陸上風力は3.8円程度コストが高くなっています。 理由について経済産業省

日本工営(東京都千代田区)が自社開発・製造した「らせん水車」が岩手県一関市に完成した八幡沢発電所(岩手県一関市)に採用された。国産の商用らせん水車が日本国内で導入された、初の事例になるという。2019年4月10日に運転を開始した。 八幡沢発電所は、地域の農業用水路の維持・管理を担う照井土地改良区が事業主体となって農業用水路を活用した小水力発電所で、発電電力は全て東北電力に売電し、建設コスト回収後は農業水利施設の維持管理に充て、農業者の負担の軽減を図る計画だ。 らせん水車は、低落差で発電でき、枯れ葉などのゴミが詰まりにくい特徴があるため、農業用水路を活用した小水力発電に適している。同土地改良区では、その特徴に早くから着目し、同地区内にある小規模発電所で海外製のらせん水車を導入しており、今回が2例目となる。既存の海外製に対して維持管理の改善が期待できることから、同発電所では日本工営が開発・製造

8年前の福島第一原発の事故後、11基の原発で廃炉が決まり、日本の原子力は「廃炉の時代」を迎えています。NHKのまとめでは、原発や関連施設の廃止にかかる費用の総額は少なくとも6兆7000億円に上り、費用には電気料金や税金などが充てられることから、作業の安全を図りながらどうコストを下げられるかが課題です。 こうした中、NHKが各電力事業者や研究機関の国への報告をまとめたところ、全国各地の原発や原子力関連施設の廃止にかかる費用の総額は少なくとも6兆7205億円に上ることが分かりました。 このうち、建設中の3基の原発を除いた53基の廃炉にかかる費用は3兆578億円になり、1基当たりの平均は577億円でした。 原発以外では、青森県にある使用済み核燃料の「再処理工場」が1兆6000億円となり、最も高額です。 また、日本原子力研究開発機構では、全国79の施設の解体などの費用が1兆9100億円と公表され、

異例の猛暑で電力需要が拡大する中、大手電力会社の各エリアで夕方以降に需給バランスが不安定になる事態が起きている。普及が進んだ太陽光発電の出力が急減するためで、今夏は特に熱帯夜続きで夜間でも冷房需要が増えている。九州電力管内では7月、供給力に占める需要の割合(電力使用率)が午後7時台に「厳しい」とされる95%に達したケースもあった。国は将来的に太陽光など再生可能エネルギーを主力電源にする方針だが、いかに安定供給を維持するかが課題になりそうだ。 300万→0キロワット 関西電力管内では需給が逼迫(ひっぱく)した7月18日、太陽光の出力が午後2時台に大型原発3基分に相当する300万キロワット程度に達し、供給力全体の約1割を占めた。ところが、午後4時台には160万キロワット程度となり、ほぼ半減。関電は事前に火力発電所を稼働させていたが、一部が設備トラブルで停止し、中部電力など5社から計100万キロ

夢物語はあくまでも夢のなかの話で、現実ではない。クリーンで環境への負荷がないと喧伝された太陽光エネルギーも然り。環境へ配慮すべく、日本列島のそこかしこに敷きつめられた太陽光パネルがいま、人災として私たちに襲いかかろうとしている。 *** 人は切羽詰まると「藁にもすがる」という。 たとえば2011年の東日本大震災では、多くの人の心が潰えた。とりわけ福島第一原子力発電所の事故では、漏れ出した放射能に世界が震撼した。太陽光エネルギーを中心とした再生可能エネルギーに過剰なまでにすがったのも、無理はない面がある。 原発の有用性を説くことがタブーとなる一方で、代替策として再生可能エネルギーを導入すれば、ばら色の未来が開けるかのように説かれた。その際、先頭に立ったのが、当時の菅直人総理である。 経済部記者が解説する。 「政府は12年、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が高値で買い取

電気自動車や電動バイクの普及の課題となっている充電時間を短縮するため、メーカーの間で、電池を丸ごと交換する新たな仕組みが注目されています。 この仕組みは、街なかに充電済みの電池を備えたステーションを設け、ドライバーは代金を支払って、残量の少なくなった電池を交換するもので、作業は数分程度で終えることができます。 日本のメーカーでは、日産自動車が中国で、電池が交換できるステーションを展開するベンチャー企業と組んで、2年前から電池交換式の電気自動車を販売しています。 また、ホンダとパナソニックは、共同で電池交換式の電動バイクを開発し、ことし12月からインドネシアで実証実験を行います。インドネシアの数十か所にステーションを設け、実用化に向けた調査をすることにしています。 このほか、トヨタ自動車も導入を検討していて、電気自動車、電動バイクの普及の課題となっている充電の待ち時間を短縮するため、メーカー

小泉純一郎元首相(76)がこのほど朝日新聞のインタビューに応じ、安倍政権のエネルギー政策について、「安倍(晋三)首相では『原発ゼロ』はもう無理だ。やればできるのに見過ごした」と批判した。さらに来夏の参院選では「原発ゼロ」が争点になるよう、野党共闘への期待感を表明した。自民党の首相経験者としては異例の主張だ。 小泉氏は自らの立場を明らかにした2013年の記者会見以降、安倍政権に対して「原発ゼロ」への政策転換を繰り返し求めてきた。このことについてインタビューでは「安倍首相に会ったときに『経産省にだまされるなよ』と何回も言ったが、苦笑するだけだった。5年経っても気付かない。もったいない」などと、安倍氏への失望感を口にした。 小泉氏自身は17年4月、原発ゼロをめざして創設された全国連合組織「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(略称・原自連)の顧問に就き、各地の講演で「原発ゼロは可能だ」などと訴えて

各地で記録的な寒さや大雪となり、被害も出ているこの冬。東京電力ではピンチが続きました。暖房需要が増加して電力不足のおそれがあったのです。緊迫の数日間をお伝えします。 (経済部記者 大川祐一郎) 1月23日夕方、東京電力では難しい検討が続いていました。前日からの記録的な大雪の影響で、翌24日のピーク時の供給余力が、最低限必要とされる3%を大きく割り込み、わずか1%にまで低下するという予測が出たからです。 これは政府が「ひっ迫警報」を発令する基準に相当します。余力が1%しかないと、仮に発電所が1か所停止するだけで、需要が供給を上回る可能性があります。そうなると最悪、発電所などでトラブルが起きて、予期せぬ大規模停電が発生しかねず、これを避けるためには、市民生活への影響が極めて大きい計画停電を迫られるのです。 一般的に東京電力のピーク需要は猛暑の夏になります。東日本大震災以降、電力の不足をきたさな

物質と出合うと、光を放って消えてしまう不思議な性質を持つ「反物質」が、雷によって大量に作られていることを、京都大や東京大などの研究チームが突き止めた。これまで、宇宙から降り注ぐ高エネルギー粒子(宇宙線)が地球の大気にぶつかって生じるケースなどが報告されていたが、身近な気象現象である雷による生成が確認されたのは初めて。英科学誌ネイチャー(電子版)に23日、論文が掲載される。 反物質は、物質と電気的な性質が逆で、宇宙誕生時には物質と同じ量あったが、その後ほとんどが消えたと考えられている。ただ、加速器を使って人工的に作ることができ、米映画「天使と悪魔」(2009年)では、物質と接触して膨大なエネルギーを放つ「兵器」として描かれた。 京都大の榎戸輝揚・特定准教授(宇宙物理学)らのチームは今年2月、新潟県柏崎市で雷雲から放出されるガンマ線を観測。その結果、反物質の一種である「陽電子」が消滅する際に出

夜の間に余った電気で水をくみ上げ、電力需要の多い昼間に山から落として電気を作る揚水発電。九州で最近、その役割が変わりつつある。太陽光発電の普及で余った電力を消化するため、昼間のくみ上げが大幅に増えた。全国の電力会社でも珍しいという。 宮崎県木城町の山間部にある九州電力・小丸川(おまるがわ)発電所。九州最大の揚水発電所で、120万キロワット(約原発1基分)の発電能力がある。8月から大がかりな修繕が始まったが、期間を通常より1カ月半短縮させた。揚水発電の重要性が増しているためだ。 このほか、九電は天山(佐賀県)、大平(熊本県)と計三つの揚水発電所を持つ。合計で発電能力は230万キロワット。全体の約12%だ。 揚水発電はこれまで、昼間の電力不足を補うために使われることがもっぱらだった。夜に水をくみ上げておき、日中に電力需要が伸びた時に水を落として水車で発電する仕組みだ。だが、2014年ごろから昼

家庭の照明が急に明るくなったり暗くなったりする「電圧フリッカ」という現象が九州で増えている。太陽光発電が多く、電気の使用量が少ない晴天の昼間に起こるとみられ、この大型連休中にも広い範囲で発生する可能性があるという。九州電力によると停電や感電の危険はないが、対策を急いでいる。 今年の元日の昼過ぎ、鹿児島・宮崎両県を中心に、「照明がちらついている」との問い合わせが九電に相次いだ。同様の問い合わせが九州全県で計295件あった。2月19日にも、九州南部を中心に168件の問い合わせがあった。 普段は一定の電圧が、繰り返し変化することで発生する。照明のちらつきが約2時間続く。パソコンやテレビなど他の家電への影響は確認されていない。 これまでは医療機器の周辺など狭い範囲で発生していたが、太陽光発電設備の普及により、広い範囲で見られるようになった。太陽光パネルと送電線の間には、故障の検知などのための装置が

「熱を発するコンピューターをそのまま水に沈め、冷ます」。 コンピューターと言えば水に弱いというのが、これまでの常識ですが、それを覆すような研究が今、進められています。ポイントになるのが防水性です。どのようにすれば水の侵入を防ぐことができるのか。研究の最前線を取材しました。 (ネット報道部 副島晋記者) 東京北区にある国内でも最大規模のデータセンター。企業から業務用のコンピューターを預かり、24時間動かしています。預かっているコンピューターは、数万台にも上ります。3年前から運用が始まったこの施設では、最新鋭の空調機器を使って、企業のコンピューターを冷やし続けています。冷却には一般家庭の3000世帯ほどの電力が必要で、電気代は年間で1億円を超えるといいます。 このデータセンターを運営するNTTコミュケーションズの瀬尾浩史主査は、「コンピューターは冷却できないと熱で止まったり、場合によっては壊れ

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