その1から続きます。 ・中国のネット小説業界で繰り広げられてきた作家の課金収入と直結する激しい競争 その1で述べたように中国のネット小説は長年お金を稼ぐ場所、ある種のチャイナドリームでのし上がる場所的なものになっていたことから、作品の競争も非常に激しいものとなっています。 そしてその中国のネット小説作品の競争で重要な武器となっているのが 「新しいネタ、テンプレ要素」と「文章量」 だそうです。 収入に直結した競争ということもありどの作家も「勝てる」手法の模索模倣に積極的だそうで、オリジナル性といった方面ではやや疑問は残るものの、どの作品も貪欲に流行りの展開やテンプレ要素を放り込んでいくそうですし、流行も非常に速いペースで入れ替わっていくそうです。 更に中国のネット小説では文章量によるアピールが非常に有効だそうで、これは課金形態の一つに作品を指定して読み放題にするというものがあり、その際に「た

好きな作品を挙げながらライトノベルの歴史を振り返ろうという試みです。ライトノベルを読み始めたのは、男性向けだと『キマイラ吼』、女性向けだと『なぎさボーイ』からなので、そこら辺から振り返っていきますね。だいたい40年ぐらいのライトノベル史をカバーしていると思います。 1982年 キマイラ吼 /夢枕獏 /ソノラマ文庫 ソノラマ文庫は1975年創刊。創刊しばらくは、『宇宙戦艦ヤマト』と『機動戦士ガンダム』のノベライズ、あとは『クラッシャージョウ』(1977年) ぐらいしかヒット作がなかったのだけど、1980年代に夢枕獏と菊地秀行を得て、ようやく安定した人気を獲得する。ただ、夢枕獏と菊地秀行に続く作家が『ARIEL』(1987年) の笹本祐一ぐらいしかいなくて、1990年以降、失速することになるのだけど。 いやまあ、1990年代のソノラマでも、庄司卓の『倒凶十将伝』(1995年) とか神野オキナの

なんとなく思い立ったときにやってみるコーナーです。本当に素人目で見たときの「いいな」なのでデザインの専門的な解説などはありません。作品内容の良し悪しとも関係ありません。 過去のやつ → 2017年版 2021年版 TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA 大きくて目立つ黄色い文字と、光り輝く熱狂感、そして主人公の不敵な笑み。まさにRTAのような勢いを感じます。一発で印象に残りますよね。 ジェノヴァの弟子 輝きならこっちだって負けてないぜ、とばかりにキラキラのビカビカ、タイトルロゴまで閃光エフェクトで飾られている。なんだかよくわからんがド派手すぎる。いやあ好きですね。 刻をかける怪獣 これはタイトルロゴが好きですね。こういうデザインって何て言えばいいんだろ。何か言い方がありそう。キャラクターはわかりやすく『怪獣8号』なんですが、この太くて無骨なタイトルロゴによって異なる印象になっている気がしま


スレイヤーズのTogetterまとめみてたらしたくなってきたー! ということでしていきます そもそもライトノベルの歴史というものを語る時に、ライトノベルというものが「オタクカルチャーの交差点である」という事実に目を向けなければなりませんライトノベルというのはとかく、他のオタクカルチャー(漫画、アニメ、ゲーム、鉄道、ミリタリー、最近だとVtuberとか)にめちゃくちゃ影響を受けやすいジャンルです これはそもそも出自が出自で、 まず前提としてライトノベルの前身として、「時をかける少女」や「ねらわれた学園」などのSF的なジュブナイル小説があり、 「なんて素敵にジャパネスク」を書いた氷室冴子や新井素子の諸作品による現代の口語体を使った文体表現を使った少女小説があり、 D&Dが日本に来て、派生のゲーム群であるドラクエやらFFが売れたりしたおかげで、TRPGが流行、それらのリプレイ集も人気になり、

『ゴブリンスレイヤー』はその名の通り、ゴブリンを殺す者の物語だ。 『ゴブリンスレイヤー』が登場するまで、ゴブリンは多くの作品でやられ役(雑魚敵)として登場することが多く、ときには主人公たちに友好的な種族として扱われることすらあった。 しかし本作では、群れをなすことで人間たちを恐怖に陥れる狡猾かつ凶悪な敵として描かれる。そして、主人公はそのゴブリン退治に人生を懸けている。RPGで例えると、魔王を倒す旅に出るわけでもなく、最初の村付近の草むらで戦闘をし続けているようなものだ。そんな地味な主人公で、物語が成立するのでろうか……?本作は当初、ネット上の掲示板にアスキーアートで描かれたWeb作品としてスタートし、2016年にライトノベルとして出版され大ヒット。既に16巻まで刊行されている。2018年にはTVアニメ、2020年にはOVAとして製作された『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CRO

仕事が欲しい──「1億総クリエイター時代」といわれる激しい競争の中で、クリエイターが直面する“何をどうアピールすれば仕事に繋がるのか”という課題。 株式会社BookLiveが運営するポートフォリオサービス「Xfolio(クロスフォリオ)」に、5月から小説カテゴリが追加され、作品の投稿が可能になった。 クリエイター向けのポートフォリオサービスというと、イラストレーターや漫画家向けと捉えられがちだ。「クロスフォリオ」の小説への対応は、「原作」「作画」を分業して行う作品の増加を見据えたコラボレーションの提案や、小説家に対する新しいマネタイズの提案、ひいては拡大を続けるクリエイターエコノミーに対する提案など、複数の文脈で読み取ることができそうだ。 そんな中、新たな異世界ものコミカライズ作品『暗殺者一族の末弟、異世界の英雄となる』が「クロスフォリオ」上で連載決定(連載開始は2024年春を予定)。また

中村うさぎ、ラノベ黎明期から様変わり「異世界転生」氾濫に喝「テンプレ小説ばかり、書いてて恥ずかしくないのかな」 あらゆる大手出版社から刊行され、巨大な市場に成長しているライトノベル。メディアミックスも好調で、その勢いはとどまるところを知らない。そんなライトノベルの黎明期はいったいどのようなものだったのか。黎明期にラノベ作家としても活躍をしていた中村うさぎに今だからこそ話せるデビューまでの経緯と、当時のライトノベル界の話をじっくりとうかがった。 売れっ子ライトノベル作家であった中村うさぎ 中村といえば自身の買い物依存症から、美容整形、ホストクラブ、そして風俗とあらゆるジャンルを網羅したエッセイストとして名高く、マツコ・デラックスを発掘して芸能界進出へ導いたことでも知られるが、1990年代には『ゴクドーくん漫遊記』を筆頭にヒットを連発していた売れっ子ライトノベル作家であった。その後の活躍が有名

漫画より金額あたりのコスパが安い! → 漫画はアプリで無料!ラノベは結局有料!「電撃ノベコミなら無料!はい論破!」 と思った君はアプリを開いてみよう。 サ終である。 ラノベ最大の強みは失われたと言って良い。 そこらのラノベより漫画の方がヘビーになってきたこの変化もかなり痛い。漫画文化の成熟によりラノベなんぞよりも中身のある漫画が増えてしまった。 レベルが同じなら絵がある方がいい。 しかも無料だ。 無料と言えばソシャゲなんかも最近はストーリーにSF要素を散りばめるのが当たり前になり考察班が各地に作られている。 物語を接種する手法として小説を選ぶ人口比率はドンドン狭くなってきていると言って良い。 ラノベはもはや「原作」でしかないじゃあなんでこんなオワコン化しているのにラノベは存続しているのか? 「原作」として存在価値があるから。 ラノベはもはや漫画やアニメの原作でしかない。 ラノベで人気を出

本コラム「『ライトノベル』とは何か?」は記事を三分割しています。 『ライトノベル』とは何か?(2)はこちら 『ライトノベル』とは何か?(3)はこちら 1 初めに 2『ライトノベル』の源流 3 ヤングアダルト・ジュブナイルの立ち位置 4 そして『ライトノベル』が生まれた 5『ライトノベル』の大流行 6 出版作品は応募だけでなくWebからも 7 膨張する『ライトノベル』 8 児童文学に進出する『ライトノベル』 9 現在の『ライトノベル』の問題点(1) 10 現在の『ライトノベル』の問題点(2) 11 現在の『ライトノベル』の問題点(3) 12 名興文庫が求める作品 1 初めに 『ライトノベル』とは何か? 辞書で意味を確認すれば「会話文が多く、イラストがあり、文体が軽めで読みやすい、若者向けの娯楽小説」と説明があります。確かにその通りだと思います。 しかし、これですべての『ライトノベル』が網羅さ

ストレートエッジの三木です。本日は自分が携わり、ちょうど一年前、2020年8月にサービスをクローズした『LINEノベル』について回顧したいと思います。 ■まえがき かなり長文ですので、小タイトルを見て興味のある部分だけを選んでお読みください。それ以外は読み飛ばし推奨です。 ■はじめに ~出版業界を取り巻く環境~ 僕は数年前から、ずっと新たな“出版のカタチ”とは何かを考えていました。 ここ20年にわたり、出版業界の全体の売り上げは減少の一途をたどっています。最盛期である1990年前半には2兆6千億円であった市場規模も、現在は1兆6千億円と四割の大幅減衰をしています。昨今は、一部コミックスの爆発的ヒットや巣篭もり需要などもあり、電子書籍売上は3900億円と伸長していますが、市場全体の減少を支えきれてはいません。 そこへ、昨年の新型コロナウィルス感染拡大と未曾有の災害が起き、出版業界はさらに窮

夏川(編集者) @samansa007 同僚の編集さんと「今、WEBからどんな作品をピックすべきか」という議論をした後、作家さんと「どんな新シリーズを開発すべきか」という似たような打ち合わせを立て続けにしたのでその全容をツイートしておくのです。(言ったことすぐ忘れちゃうからな……) 文章をまとめといて夜、投稿するぞ!🌃 2021-05-02 14:00:02 夏川(編集者) @samansa007 沢山のファボやコメントを有難うございました🙇♂️ まぁそんな大した話じゃないのでハードルをぐーっと下げて読み飛ばし下さいまし。 「それ違くね?」とか「この考えあわないわ~」っていう人はこの考えに乗らずとも良いのです。 皆、違って皆良い! 2021-05-02 19:02:45 夏川(編集者) @samansa007 「今、ライトノベル業界で新作開発&ピックアップ」に必要だと思うポイントを語

Thaver2637 @Thaver2637 日々の生活と、政治的な発言が多くなります。たまに、創作的なことや、TRPGの話題なども話します。 「準備は物凄く大切だが、結局人生の選択のほとんどは出たとこ勝負なんだ。そこで、何を成し遂げるかで決まるんだ」という某西部劇の台詞を改変した言葉が好きです。 Thaver2637 @Thaver2637 個人的な感想として。 明治大正の文豪ならともかく、ラノベ作家の文章なんて絵師さんどころか、そこらの中学生でも書けるものだと思うんだ。 実際、売れてる本を見ても文章自体は……と。 それで喜べと言われても、絵師さんが困っちゃうと思う。twitter.com/HizenHumitoshi… 2020-04-23 20:36:52

2019年下期のライトノベルを対象にした、twitter &blogを使った人気投票『好きラノ』の結果発表です。 総投票数10,650票、総参加者数5,321名と過去最大の投票数となりました。ありがとうございます。宝島社『このライトノベルがすごい! 2020』の総参加者数が4,831名なので、参加者数だけならラノベ界隈で最大の人気投票です。たぶん(^^;。 それでは、総合/新作/既刊/Blogのみ票の各結果を発表していきます。例によって、twitterの仕様によりすべての投票が反映されているわけではなく、あくまでtwitterのAPIにより取得できた範囲の集計結果になります。特に今回、投票ツイートがスパム認定されていたらしく、いつもより漏れが多い可能性が高いです。申し訳ありませんm(__)m。 すべての投票結果は、『第19回 好きラノ』のページ を参照ください。 総合 1位(383票)

今年2019年は2010年代最後ということもあり、年末恒例の下半期ベスト・年間ベストとは別に、特別企画ということでこの10年間を振り返っての10年代ベストを作ろうと思いました。今回はその第一弾としてまず「ライトノベル青春小説」を公開します。ライトノベル青春小説の2010年代は、振り返るとファミ通文庫を中心とする人気作品が完結していった後のひとつの時代の終わりと、2016年以降再び盛り上がってゆく流れがあったのかなと感じています。やはり10年分ともなるとどれを選ぶのかかなり悩みましたが、2010年以降にスタートした作品を対象に、独断と偏見で印象に残った20作品を選んでいます。自分が選ぶ2010年代ライトノベル青春小説ベスト20ということですね。 インパクトを考えると最初シリーズもの中心になってしまうかなと思いましたけど、最終的に「下読み男子と投稿女子」「ヴァンパイア・サマータイム」は入れま

先日フォロワーさんの以下の企画を見つけて、これはと思い自分もちょっと考えてみたいと思いました(何この便乗企画感…)。 とはいえ10年代のオールタイム・ベストは、まだ衝撃の作品が出てくるかもしれないですしということで年末にやろうと考えていて、選んでみたらたぶんシリーズものメインになってしまいそうな予感もあるので、今回は単巻ものの10年代オールタイム・ベストで10作品セレクトしてみました。10作品って選ぼうと意外と少ないな...と改めて感じつつ、その中で厳選した自分のゴリ押し10作品です。気になる本があったらぜひ読んでみてください。 1.ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫) -2013年 ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫) 作者: 石川博品,切符 出版社/メーカー: エンターブレイン 発売日: 2013/07/29 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (31件) を見る

複数のプレイヤーが1つの世界に参加する形で進むオンラインゲームを「MMORPG」と呼ぶ。仮想空間内のMMORPGの世界で繰り広げられる登場人物たちと、そのゲーム世界をめぐる物語を描いた作品群『ソードアート・オンライン』(以下、『SAO』)が、世界中で人気を博している。原作ライトノベルは現在までに全世界でシリーズ累計2000万部を発行、テレビアニメから発展した映画『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』は全世界で興行収入43億円を超えている。MMORPGを題材にした作品が無数にある中で、『SAO』がここまで人気を博している理由の1つは、VR・AR・AIなどの時代を先取りした「テクノロジー」を真正面から取り上げている点にある。原作者の川原 礫さんにエンターテインメントと技術の関係について詳しくお話を伺った。 ※注意:インタビューの性質上、『SAO』シリーズの物語の核心

K原(ダッシュエックス文庫編集) @honyasannohito 集英社ダッシュエックス文庫所属の編集者。『わたなれ』『きみリグ』『お隣遊び』など担当。コーヒーとシーシャとVarolant競技シーンが燃料。お蕎麦とミニカツ丼のセットを食べることが直近の目標。 K原(ダッシュエックス文庫編集) @honyasannohito 2017年の文庫ライトノベル・新文芸の売上げ一覧を確認中。 中々に面白いことになっていたので、こう…読んで纏めて、新年のスタートがてらツイートできればなーって準備しまーす('ω') 2017-12-31 19:39:14 K原(ダッシュエックス文庫編集) @honyasannohito 集計・下準備がだいたい出来たので…!(*´꒳`*) 2017年のライトノベル売上げランキングをゆるりと流していきまーす。 ・ランキングは、文庫版・四六版(新文芸)で分け、文庫版については

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