研究チームは中国の大学院生が書いた50万件以上の修士・博士論文を、盗作検出ソフトにかけて分析した。中国では学位取得に論文提出が必須であり、その論文は公開データベースに収録される。このデータを使えば、卒業前の不正行為とその後のキャリアを結び付けて追跡できる。 まず、どれくらい論文の盗作があったのか。結果、平均盗作率は7.68%であった。次に公務員になる人と論文盗作の関係も調べた。結果、公務員の19%が学位論文で深刻な盗用をしていた。これは民間企業に就職した人より高い割合になる。さらに、盗用をした公務員は、していない公務員より10~15%速く昇進していた。 では、こうした人々が権力を持つとどうなるのか。研究チームは裁判官に注目した。中国では訴訟がどの裁判官に割り当てられるかはほぼランダムに決まる。この仕組みを利用して、盗作歴のある裁判官とない裁判官で判決に違いが出るかを1億4千万件以上の裁判記

「汝、盗むなかれ」という教えは多くの宗教に共通して存在しますが、宗教を信じる人の中にも音楽やソフトウェアの海賊版を利用する人がいます。ソフトウェアの海賊版が企業に与える損害は年間460億ドル(約7兆1100億円)に上るとの試算もあり、これは深刻な経済的・倫理的問題といえます。この問題に対し、ピッツバーグ州立大学、カンザス州立大学、オクラホマ州立大学の研究者チームが、「宗教が海賊版行為を減らすどころか、特定の条件下ではむしろ言い訳として利用される可能性」を論文で指摘しました。 "Software Piracy: Effects of Neutralization and Religiosity" by David Sikolia, Gabriel Bahr et al. https://aisel.aisnet.org/jsais/vol12/iss2/1/ Some Pirates Use

少し前のbooks&appsで、桃野泰徳さんが「娯楽も遊びも休息も、仕事の一部」という記事を書いてらしたのを覚えているだろうか。 私はよく覚えている。なぜなら働いていくうえでとても重要な考えだと思うからだ。 機械にメンテナンスが必要なのと同じく、人間には娯楽や遊びや休息が、つまり桃野さんの記事でいう「戦力回復」のフェーズが必要になる。それを怠っていれば仕事能力は次第に低下し、ときには健康を損ねてしまうかもしれない。 だからマトモな組織や指揮官は「戦力回復」に十分な注意を払い、メンバーの福利厚生に努める。2004~2006年の陸上自衛隊イラク派遣に際し、厚生センターが現地に設営されたのもそのためだと桃野さんは書いてらっしゃる。 牟田口廉也のインパール作戦 ところが戦史を振り返ると、その「戦力回復」に注意を払っていないリーダーや指揮官が案外いたりする。太平洋戦争における旧日本軍は全体的にそうだ

鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑) この記事の写真をすべて見る 正社員として務めていた会社がコロナ禍で倒産し、現在はパートとして働いているはやてさん(45)。同世代の友人と比較して「普通」の幸せに遠くおよばない自分自身を「必要のない人間」だと語ります。そんなはやてさんに鴻上尚史が伝えたいこととは──。 * * * 【相談273】 500 社から不採用。社会的に「必要のない人間」である私。(45歳 男性 はやて) 私は現在45歳、パートで働いています。30歳の時にリーマン・ショックで会社が倒産、第二次就職氷河期に突入し、正社員枠が全くなく、37歳の時になんとか入った会社は40歳になった年にコロナで倒産。40歳ということもあり、都道府県・職種を選ばず500 社受け、どこにも受からず、今パートで細々と働いています。 周りの友人は管理職になっていたり、結婚して子どももいたりと「普通」の

障害者5人のうち4人は働けない? 「法定雇用率」の仕組みはあるが…ほとんどの当事者が“枠外”に弾き出される現実 日本で「共生社会」の実現が掲げられて久しい。だが、障害のある人々が実際にどのように社会に参画しているのか。たとえば障害者に関する雇用・就労のあり方について、具体的に知る人は多くない。 障害者事業所に関する報道も「倒産や廃業の増加」「行き場をなくした障害者の苦境」「障害者虐待」「補助金等の不正請求」など、暗い内容が目立つ。明るい内容は、成功事例や啓発イベント程度だ。本記事では、自身も障害を持ちながらフリーランスのライターとして働き、博士号を取得した研究者でもあるみわよしこ氏が、自身の経験をもとに、障害者事業所の仕組みと課題、そして「障害者の就労」の現状を考察する。(本文:みわよしこ) 障害者である私の就労は、誰かに必要とされているのだろうか? 中年になってからの中途障害で車椅子を

群馬県大泉町では多くの外国人が働いているが、そのコストは年々高くなっていく。それでも彼らを雇う理由は何なのか。経営者の語る実情は切実だった。 「結局、いつの間にか増えてしまったんですよね」 同町で、自動車座席シートの裁断・縫製などを行う「湯沢AI」の湯澤知章社長(49)はそう振り返る。 外国人政策の見直しが選挙や政策で取り上げられている。住民の2割を外国人が占める群馬県大泉町を舞台に、日本の産業を支える外国人労働者の今に迫った。(全3回の第2回)<技能実習生 「安い労働力」から変化>からつづく 父の会社で働いていたが2013年に独立した。 当初は日本人の社員が圧倒的に多く、外国人は数人程度だった。 しかし、「3K」と言われる製造業に若い日本人は魅力を感じなくなっているのか、いつしか求人を出しても反応はなくなっていった。 欠員が出るたびに外国人の採用を続けたところ、約50人の従業員のうち、外

www.nikkei.com news.yahoo.co.jp クマ害に悩む秋田県で、とうとう自衛隊要請が出た。 上の記事によれば、自衛隊による駆除自体は法的権限からみてできないと認識したうえで、自衛隊にしかできない仕事を要請するという。下の記事によれば、防衛省は派遣の方向で考えていると。 地方都市に住んでいる私にとって、秋田県の報道は他人事ではないから動向は気になっていた。ただし、今年の秋田県の報道を眺めているとスケール感が違うというか、東北地方のクマの出没頻度と被害が桁違い過ぎて驚くしかない。 獣害列島 増えすぎた日本の野生動物たち (イースト新書) 作者:田中淳夫イースト・プレスAmazon ところが、田中淳夫『獣害列島 増えすぎた日本の野生動物たち』によれば、本来、江戸期から日本列島では獣害があるのが当たり前で、19~20世紀にかけて獣害が少なかったほうが特別なのだという。 ……時

「移民は嫌だ」という国民感情は、困窮や搾取のイメージがあるからだろう。しかし、実態は異なり、「国際雇用民」である。従って、福祉を受けるよりも保険料を負担してニッポンの社会保障を支えている。昨年の出生数は3.8万人も減り、公的年金の将来を揺るがしているが、外国人常用労働者は、前年より23万人増の182万人で、9割が厚生年金に加入している。もはや、年金財政の持続性に欠かせない存在だ。 ……… 10/24公表の人口動態速報・出生では、過去1年間の前年比が-3.5%だった。婚姻は既に+1.4%と下げ止まっているものの、出生に波及するには、1年はかかりそうで、今年の出生は2.4万人減で70万人を割りそうな状況にある。9年前の2016年には100万人を超えていたから、恐るべき減り方だ。もし、合計特殊出生率が1.44人から1.12人に激減していなければ、20万人くらい多かったことになる。 他方、8/29

【読売新聞】 新居浜太鼓祭り最終日の18日、愛媛県新居浜市港町の大江浜ふれあい広場では、川西地区の13台の太鼓台が集まり、かきくらべが行われた。かき夫が太鼓台を頭上に担ぎ上げる勇壮な「差し上げ」を披露するなどし、観客から歓声が上がっ

(2025年10月5日更新:カザフスタン、バングラデシュ、ウズベキスタン、シンガポールを追加) 万博。開幕まではほとんど興味ありませんでした。 でもよく考えてみると、これは世界中の人たちと直接会って話せる絶好の(というか、たぶん最初で最後の)チャンス。 なので、この国の人にはこれを聞いてみたい・・・と前から思っていたことをたずねてみました。 質問日:2025年4月21日、5月13, 27日、9月25日 ※ここに書かれているすべての「回答」は、応えてくださった方個人の意見であり一般化できないものであることをお断りしておきます。 目次 目次 カザフスタン - 中央アジア最大かつ最も裕福な国のもつ「兄弟」意識 バングラデシュ - パキスタンと分離して正解だったと思うか ウズベキスタン - サマルカンドの国で「ザナルカンドにて」は知られているのか シンガポール - 建国の父リー・クアンユーは今も尊

こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。この夏は、読んでみようと思っていながらも、なんとなく後回しにしてた本を何冊か読みました。 そのうちの一冊が『鈴木邦男の愛国問答』(集英社新書)。鈴木邦男さんはもっともリベラルな右翼として私は一目置いていたのですが、世間的には知る人ぞ知る、くらいの認知度だったので、2023年に亡くなったときもテレビニュースでは報じられなかったと思います。だから1年近く、亡くなったことを知りませんでした。 私は2022年に刊行した『思考の憑きもの』の「世にも奇妙な「反日」の巻」で鈴木さんの著書からいくつか引用しています。歴史の教科書を反日教科書と激しく攻撃していた右派に異を唱えてたのが、右翼の鈴木さんだったのが意外でした。初めから終わりまで日本を否定してる反日教科書なんてものはない。解釈がわかれる歴史的事件に関しては両論併記してこどもたちに考えさせればいい、とリベラル
1. 概要 「アメリカ人はなぜDIYをするのか」という問いに対し、日本における一般的な説明はほぼ定型化している。すなわち、アメリカでは「まず自分でやってみる」ことが当たり前であり、巨大なホームセンターやプロ仕様の設備が整っているため、DIYが文化として根付いているというものだ。また、「家は資産であり、修繕は価値維持の手段である」といった経済合理性の説明も頻繁に用いられる。そして最終的には、「できるかどうかではなく、まず挑戦する」という精神主義的結論に帰着することが多い。 しかしながら、これらの説明はいずれも「なぜDIYをやらなければならないのか」という根源的な問いを回避している。この欠落こそ、アメリカ社会におけるDIY文化の実像を理解するうえでの重要な手がかりとなる。筆者はアメリカで生活した経験から、DIYが必ずしも「嗜好」や「文化的価値」として広く内面化されているわけではないことを実感し

「殺人事件を隠そうとした容疑で、院長たちを逮捕する」 警察担当の私がその一報を受け取ったのは、ことし2月、氷のように冷…

1. 概要よく日本人駐在員の話を聞くと、「アメリカでは欲しい物がなかなか手に入らないので、一時帰国の際に日本で大量に買い込み、それをスーツケースに詰めて戻る」というエピソードに出会う。アメリカといえば「物が溢れる国」「資本主義の象徴」というイメージが先行する。しかし、実際に生活してみると、「物は多いのに欲しいものがない」という逆説的な現象が現れるのだ。 もちろん、これは単なるイデオロギーの対立を語るものではなく、一消費者として資本主義の先鋭化がどのようなデメリットをもたらすかという、あまり語られてこなかった現象の一端である。日本にいると、SNSやメディアから「アメリカ=巨大市場で品揃え豊富」という表層的な情報だけを受け取りがちだが、実際に暮らしてみなければ体感できない部分が確かにある。 ニューヨークやカリフォルニアのような大都市圏では、日系・韓国系スーパーも進出しており、Whole Foo

バセコ地区にたたずむクララさん(14)。この地区に住む多くの少女たちが若いうちに母になると話す/Tom Booth/CNN マニラ・フィリピン(CNN) 本記事に登場する未成年者の名前は、本人の希望により、身元を保護するために仮名を使用している。 フィリピンの首都マニラの中心に位置するマニラ湾に面したバセコ地区には6万4000人を超える人々が暮らしている。人々の住居はコンクリートブロックや廃材で造られ、トタン屋根には防水シートをのせてあるだけなので、洪水に対して脆弱(ぜいじゃく)だ。 この地区に住むクララさん(14)は現在妊娠6カ月で、男の子が生まれることを願っている。 クララさんの学校では、性教育は行われなかったという。クララさんは、自分にリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に関するより詳しい知識があったら、この若さで妊娠することはなかったと考えている。 フィリピンでは、クラ

先週末、ロジャーズ・コミュンケーションズ〔カナダの大手通信企業〕の前CEO、ナディル・モハメド(Nadir Mohamed)が亡くなったという悲しいニュースが入った。モハメドは、カナダを代表する大物の1人だった。私自身は彼と知り合いだったわけではない。だが一度だけ、病院の待合室でたまたまモハメドと一緒になる機会があった。それは、私が機会がある度に語りたくなるような、大変愉快なエピソードであった。以下の文章は10年前、ワルラス誌(The Walrus)に掲載されたものだが、ワルラスのウェブ版はひどい出来なので、ここで再掲してもよいだろう。(念のため言っておくが、この記事のエピソードは10年以上前の話であり、モハメドの死因となった病気とは無関係である。) ナディルと私:待合室での「強制的連帯」 去年の夏、私は「カナダ的な場面」に出くわした。それはトロントの病院の待合室でのことだった。待合室は殺

「50代以上男性の一人飲みお断り」 孤独な韓国50代中年男性【コラム】 街中では50代お断りの店が急増 雇用率は16カ月連続でマイナス 五十肩のように襲いかかる門前払い ▲ソウル市内のあるミュージックバー入り口の張り紙/チョン・サンヒョク記者 店にペットは入れるが50代男性は絶対に立ち入り禁止らしい。ソウル市内の地下鉄忠武路駅近くにあるミュージックバーの入り口に「50代以上男性の一人飲みお断り」と書かれた張り紙があった。すぐ横の壁に掛けられた「Oldies ButGoodies(古くても良い曲)」のレコードジャケットとは妙に対照的だった。店内にも「警告、声の大きい客はお断り、50代以上の男性は全員追い出す」「隣の若いお客さまに声を掛けるな」など冷たい言葉の警告が張られてあった。ちなみにこの店のオーナーも同じ年代の男性だ。どうやらそれなりの事情がありそうだ。 【写真】刑務所跡を活用した異色

不動産大手などが加盟する「不動産協会」は、マンション価格の高騰の背景にあると指摘される投機目的の短期の転売について、「決して好ましいことではない」とした上で、関連する国の調査も踏まえて早期に対策を示したいという見解を明らかにしました。 都心部などでのマンション価格の高騰の背景には投機目的の短期の転売があると指摘されていて、千代田区がことし7月、「不動産協会」に対し公共性の高い事業で建設されたマンションを対象に引き渡しから原則5年間は転売できないという特約をつけるよう求めるといった動きも出ています。 こうした中、不動産協会は19日、業界としての見解を発表し、価格上昇は地価や建築費の高騰に加えて需要の強さが大きな要因だとして、投機的な取引の影響はごく限定的だとしました。 また、転売を禁止する特約については「私的財産の処分に関する権利に制限をかけることは慎重に考えなくてはいけない」としたほか、事

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