70歳を過ぎた頃、原因不明の湿疹が脚に広がる病気にかかり、歩くと激痛が走るようになった。体力勝負の仕事は難しく、勤務を続けるのは諦めた。治療を続ける中で症状は徐々に治まっていったが、復帰できるまでには体力は回復しなかった。 生活はごくわずかな年金と70万円ほどの蓄えでしのいだが、それも半年ほどで底を突いた。趣味で集めた切手や母の形見の宝石を売ってなんとか食いつなぐも、やがて1DKの部屋の電気やガスが止まり、食べるものにも困るようになっていった。 ▽「金が欲しい」空腹を抱え向かった場所 2023年11月末のことだった。最後の食事は1週間ほど前に食パンをかじったきり。空腹は限界に達していた。「このまま飢え死にするのか…」。もうろうとする意識の中で、ふと自宅から400メートルほど離れた小さなたばこ店のことを思い出した。 昭和から続くその店は、90歳近い店主の男性が一人で営んでいた。「あそこなら脅

今回は、株式会社として有償サービスを提供する「ねこから目線。」とは別に、私が取り組んでいる「人もねこも一緒に支援プロジェクト」というNPOの現場でのお話を紹介します。 発端はこんな電話でした。「ちょっと猫が増えて困ってんねん。何匹か引き取ってもらえへんやろか?」 「室内で繁殖してるんですよね? 数匹引き取っても解決にならないので、全頭不妊手術ならお手伝いできます。一度お伺いさせてください」と伝えると、「家は汚いから、中には入れられへんで」。いえいえ、猫さんのためですから汚くても大丈夫です。一緒にどうしていくか考えさせてください、とお伝えして訪問が決まりました。 玄関に入ると、たくさんのかわいい猫さんたちが出迎えてくれました。ただ、室内にはゴミや物が散乱し、その上に猫さんの糞尿(ふんにょう)が堆積。比喩ではなく〝足の踏み場がない〟状況でした。4室ある広い家でしたが、3室はモノで埋まり、飼い主

外国籍であることなどを理由に千葉市が生活保護申請を却下したのは違法だとして、同市に住むガーナ国籍のシアウ・ジョンソン・クワクさん(33)が却下決定の取り消しなどを求めた訴訟で、千葉地裁(岡山忠広裁判長)は16日、「外国人に生活保護法に基づく受給権はない」などとして、ジョンソンさんの請求を棄却した。一定の外国人も事実上の保護の対象とする行政措置の適用についての請求は却下した。 最高裁は2014年7月に「外国人は生活保護法の対象外」と判断している。ただ人道的な観点から、各自治体は旧厚生省の1954年の通知に基づき、外国人に同法を準用した保護を実施してきた。しかし、90年からは定住者や永住者などに限って運用。この運用によると、ジョンソンさんは保護の対象から外れる。今回の訴訟は行政措置としての保護について司法判断を問う初のケースだった。

外国籍を理由に千葉市が生活保護の申請を却下したのは違法だとして、市内に住むガーナ国籍のシアウ・ジョンソン・クワクさん(33)が市に却下決定の取り消しを求めた訴訟で、千葉地裁(岡山忠広裁判長)は16日…

31歳姉の遺体遺棄した妹弟 頼りの親族相次ぎ失い、生活保護も絶たれ… 誰からも気付かれなかった同居生活 姉=当時(31)=の遺体を隠したとして、死体遺棄罪に問われた妹(31)と弟(29)の判決公判が1日、神戸地裁姫路支部であり、裁判所は2人に懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。わずか20平方メートル足らずのワンルームマンションの一室で、姉の生活保護を頼りに暮らしていた3人。蒸し暑い日が続いた今年9月、妹弟は12日間、この狭い部屋で遺体と生活していた。社会から切り離されたかのように、誰にも気付かれることのなかった同居生活。公判で明らかにされた関係者の話と周囲への取材から事件をたどった。 ■ワンルームで3人同居 妹は中学卒業後、飲食店などでアルバイトを続けていたが、3カ月程度で退職。弟も高校を中退した後、運送会社などで働いていたが長続きはしなかった。2人とも無職の期間が長かった。そし

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