米製薬企業レンズ・セラピューティクスは、同社が開発した老眼治療用の点眼薬「VIZZ」が米食品医薬品局(FDA)に承認されたと発表した。米国では2021年に他社製品の「VUITY」が承認されており、老眼の薬物治療に新たな選択肢が加わった。 日本には今のところ老眼用の承認薬がないが、老眼は加齢に伴ってほぼ全ての人がかかる疾患だけに、眼鏡や手術に頼らない簡便な対策として注目されそうだ。 正常な目は「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉が伸縮し、レンズの役割をする水晶体の厚みを変えることでピントを合わせる。しかし年齢を重ねると毛様体筋が衰え、水晶体の弾力性も失われる。その結果、ピントを合わせにくくなり近くがぼやける。これが老眼だ。 同社によると、VIZZの有効成分アセクリジンは毛様体筋ではなく、瞳孔(黒目)の大きさを調節する虹彩の筋肉「瞳孔括約筋(どうこうかつやくきん)」に作用し、瞳孔径を2ミ

2018年12月、富山市でデイサービスを経営する元警察官、江口実さん(84)は妻の富子さん(79)と一緒に入居者たちの朝食を準備していた。ふと見ると、4人の男が土足で入ってくる。4人は江口さんを見つけるといきなり羽交い締め。引きずるように連れ出し、外に止めてあった民間の救急車に無理やり押し込んだ。 車に5時間半も乗せられ、たどり着いたのは栃木県の報徳会宇都宮病院。何が何だか分からない。 「まるで拉致監禁。突然羽交い締めにされ、精神科病院に閉じ込められた」 江口さんに精神疾患はない。それなのに強制的に入院させられ、「刑務所以下の生活」を送ることになった。 「医療保護入院」を巡る深刻なトラブルが相次いでいる。江口さんはなぜこんな目に遭わなければならなかったのか。そして誰の仕業だったのか。探っていくと、精神科医療を巡る深い闇が見えてくる。(共同通信=鷺森葵)

「殺人事件を隠そうとした容疑で、院長たちを逮捕する」 警察担当の私がその一報を受け取ったのは、ことし2月、氷のように冷…

先週末、ロジャーズ・コミュンケーションズ〔カナダの大手通信企業〕の前CEO、ナディル・モハメド(Nadir Mohamed)が亡くなったという悲しいニュースが入った。モハメドは、カナダを代表する大物の1人だった。私自身は彼と知り合いだったわけではない。だが一度だけ、病院の待合室でたまたまモハメドと一緒になる機会があった。それは、私が機会がある度に語りたくなるような、大変愉快なエピソードであった。以下の文章は10年前、ワルラス誌(The Walrus)に掲載されたものだが、ワルラスのウェブ版はひどい出来なので、ここで再掲してもよいだろう。(念のため言っておくが、この記事のエピソードは10年以上前の話であり、モハメドの死因となった病気とは無関係である。) ナディルと私:待合室での「強制的連帯」 去年の夏、私は「カナダ的な場面」に出くわした。それはトロントの病院の待合室でのことだった。待合室は殺

(CNN) 米国のドナルド・トランプ大統領は22日、解熱鎮痛剤の有効成分アセトアミノフェンの妊娠中の使用が「自閉症リスクの大幅な増大に関係している可能性」について、米食品医薬品局(FDA)から医師に通知すると発表した。トランプ氏は、発熱などの症状があって「どうしても耐えられない」といった「医学的に必要な場合を除き、妊娠中のタイレノールの使用は控えることを強く勧告する」と述べた。タイレノールはアセトアミノフェンを成分とする解熱鎮痛剤。 専門家によると、自閉症は複数の要因によって引き起こされる。妊娠中のタイレノール使用と自閉症の関係に関する科学的な結論は出ていない。 アセトアミノフェンは、妊婦にとって唯一安全な市販の解熱鎮痛剤とみなされてきた。それ以外のイブプロフェンやアスピリンといった一般的な鎮痛剤を妊婦が服用すると、深刻な合併症のリスクが高まる可能性がある。発熱を治療しなければ、胎児と妊

“外国人だから医療費3倍”は「不合理な差別」 外国籍で健康保険に入っていないとして約675万円の医療費を請求 支払い免除求め病院を提訴 請求された医療費は無保険の日本人の3倍。「外国人差別だ」として病院を提訴です。 訴状などによりますと、大阪府内に住む女性の中国籍の母親は2019年11月に来日し、コロナ禍で帰国できずに在留資格の更新を続けていました。 2022年に母親(中国籍)に脳腫瘍が見つかり、国立循環器病研究センターに入院したところ、外国籍で健康保険に入っていないとして、無保険の日本人の3倍にあたる約675万円の医療費を請求されたということです。母親はその後、死亡しました。 女性は「国籍を理由に高額な診療費用を請求することは不合理な差別」だとして、支払い済みの医療費との差額約450万円の支払い免除を求め、9月10日、大阪地裁に提訴しました。 (大阪府内の女性)「命にかかわることやから安

「被害者が泣き寝入りするしかない」誹謗中傷被害後に直面した“壁” ――SNS上での誹謗中傷や脅迫に対して、警察から「自衛してください」と言われたそうですが、なにをどうしたらですよね。 岡秀昭(以下、岡) 「どうやって自衛するんですか」と聞いたら、「Xのアカウントを消すとか、消したくないなら匿名でやってください」と。家へ帰ってから、じわじわと腹が立ってきましたよ。われわれ医者が「もっと重い患者を診ていて忙しいから、あなたは治療しません」と言ったら大問題になるのに。 ――結局、警察は動かなかった? 岡 警察が動いてくれるのは、こちらが相手を特定した後なんです。匿名アカウントによる誹謗中傷があっても、その相手を探すための「発信者情報開示請求」は、警察はやってくれない。「ご自身で弁護士を立ててやってください」と。自分で費用をかけて相手を突き止めないと、刑事事件にすらならない。この国のシステムは、お

AI導入の副作用。医師の「がん発見能力」が低下、研究で判明2025.08.16 21:005,623 AJDellinger - Gizmodo US [原文] ( 高橋真紀 )AI(人工知能)ツールは、大腸内にできる「前がん病変(がんになる前の状態)」の発見に役立つことが示されています。しかし、一度このツールを導入したのなら、医師からそれを取り上げることは避けたほうがよさそうです。 2025年8月12日、医学誌『The Lancet』にて発表された新しい研究によると、患者の潜在的ながんリスクを見極めるためのAIツールを与えられた医師は、その後AIなしで同じ作業を行なうと、観察能力が低下してしまうことが分かりました。 がん発見率が20%低下この研究では、ポーランド国内の4つの内視鏡センターを対象に、AIツール導入前の3か月間と導入後の3か月間における大腸がん発見率を追跡しました。AI導

筑波大学などの研究グループは、「かぜに抗菌薬を処方する」といった患者にメリットが少ないとされる医療を、医療機関を外来で受診した患者の10人に1人が受けていたとする調査結果をまとめました。 筑波大学の宮脇敦士准教授らのグループは患者にメリットが少ないとされるいわゆる「低価値医療」がどのくらい行われているのか調べようと、アメリカの専門医の団体が作ったリストなどをもとに具体的な治療や検査を選びました。 選んだのはかぜに抗菌薬を処方、かぜにたんの薬を処方、骨粗しょう症に1年間で2回以上の骨密度検査を行うなど、身近な病気の治療や検査10種類です。 そして、おととし9月までの1年間に全国の診療所を外来で受診した患者、254万人余りのデータで検証した結果、こうした医療を27万6000人余りが受けていたということです。 これは患者の10人に1人が1年間に少なくとも1回受けた計算になります。 また、こうした

質問に答える新型コロナウイルス感染症対策分科会元会長の尾身茂さん=東京都千代田区で2025年6月20日、内藤絵美撮影 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で会長を務め、最も頻繁にニュースに登場した新型コロナの有識者でもある尾身茂さん(76)。民放のテレビ番組に出演した際の、コロナワクチンについての発言が波紋を呼んでいる。 「感染を防ぐ効果はあまりない」「若い人は感染しても重症化しない。本人たちが(接種を)やりたいならどうぞと、我々は何度も言っている」 尾身さんが本当にこんなことを言ったのだろうか。真意が知りたいと思い、尾身さんに取材を申し込んだところ「コロナ対策に深く関わった者として、共通理解を得られるようにするのが務めだと思っている」と応じてくれた。

「もうここを出て、自由に暮らしたいけど、出られない」。関東地方の老人ホームに住む安藤照夫さん(69)=仮名=は、そう言ってうつむいた。安藤さんは「末期がん」ということになっているが、再発してから3年以上生きている。自分で歩くことができ、元気だ。 ところが、ホームでは散歩も自由にさせてもらえないという。 このホームは末期がんや難病の人を対象にした「ホスピス型住宅」と呼ばれるタイプ。運営会社は入居者へ訪問看護と訪問介護を提供しているが、安藤さんはほとんど必要性を感じない。生活保護を受けているため、全額が税金で賄われる。 家賃を含めるとその額は年間約800万円に上るとみられる。本人が望まない生活にこれだけのお金が投じられていた。なぜこんな不可解な状況が生じるのか。(共同通信=市川亨) ▽胃がんで入院、紹介された老人ホーム 「まともに外出するのは、ほぼ3年ぶりです」。4月の昼下がり。安藤さんはそう

54万4143円。 この額、企業などで働く人が企業と折半して支払っている1年間の平均保険料です。 10年前より6万円近く増加しています。 働く人たちが加入する「健康保険組合」や「協会けんぽ」などは、加入する人たちの健康を守るため、病院にかかった際などの医療費を負担することが役割です。 それがいま、高齢者の医療費を支える大きな柱となっています。 増え続ける医療費。国民皆保険制度を維持するために何が必要なのか考えます。 (社会部記者 尾垣和幸 堀祐里奈 / 山形放送局記者 和田杏菜) 増える保険料 10年前と比べて↑6万円! 国民皆保険制度のもと、働き方や年齢などに応じて私たちは何らかの公的医療保険に加入しています。 主に大企業の従業員など1700万人余りが加入する「健康保険組合」は、企業と従業員がそれぞれ保険料を拠出し、従業員やその家族の医療費をまかなっています。 全国1372の健康保険組合

赤穂市民病院の脳神経外科手術で誤ってドリルで神経を切断されて重い後遺障害が生じた患者女性とその家族が、執刀医と赤穂市に損害賠償を求めた民事訴訟で、神戸地裁姫路支部(池上尚子裁判長)は14日、被告らに計約8888万円の支払いを命じる判決を言い渡した。 患者の女性(当時74歳)は2020年1月、脊椎管狭窄症による腰痛と診断され、同病院で手術を受けた。執刀医が骨をドリルで削った際、誤って硬膜を損傷し、露出した馬尾神経を巻き込んで切断。助手を務めた科長が修復措置を行ったが、女性には両下肢麻痺と膀胱直腸障害、神経障害性疼痛などの重い後遺障害が残った。女性と家族は21年8月、慰謝料と治療費、将来介護費用など約1億4180万円の賠償を求め、執刀医と赤穂市を訴えた。 判決で池上裁判長は、医療ミスが起きた要因について、出血などでよく見えないのに止血をこまめにせずドリルで骨を削り進めたためとし、「注意義務違反
なぜセルフ手術をする羽目になった?1961年1月、若き外科医だったロゴゾフは、旧ソ連の第6次南極観測隊に専門医として参加していました。 延べ12人で編成された観測隊の目的は、南極にソ連用の基地を建設することでした。 その新たな基地は2月半ばに完成し、任務を終えた一行は、厳しい冬を乗り切るために基地に腰を落ち着けました。 レオニード・ロゴゾフ /Credit: David Hindin, M.D – The man who tried to cut out his own appendix(youtube,2022) ところが4月末になってロゴゾフは体調を崩し、日に日に衰弱して吐き気をもよおし、右腹部に激しい痛みを覚えるようになったのです。 もちろん彼は何百という患者を診断してきた医者なので、すぐに自分が「急性虫垂炎」であると判断しました。 急性虫垂炎は、腸の入り口の先端にぶら下がってい

透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影後、着色した水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)。ヘルペスウイルスの一種で、主に子どもの頃に初めて感染すると水痘(水ぼうそう)、加齢などで免疫力が落ちると帯状疱疹を引き起こす。(MICROGRAPH BY JAMES CAVALLINI, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 帯状疱疹(たいじょうほうしん)のワクチンには、認知症の予防という利点もある可能性が新たな研究によって示されている。4月2日付けで学術誌「Nature」に発表された研究では、帯状疱疹ワクチンを接種した成人は、接種していない成人に比べ、認知症の発症率が20%低かったことがわかった。 帯状疱疹、インフルエンザ、肺炎などの感染症に対するワクチン接種と認知症リスクの低下を関連付ける研究結果が次々と発表されており、今回の研究はその新たな証拠だと、米テキサス大学ヒューストン健康科学センターの神経
病気やけがで失った臓器や組織を再生させる「夢の治療」として注目されてきた再生医療。 最近は、しわやたるみの改善など美容目的で行われるケースも増えています。 しかし…… 実は、再生医療の中で国の承認を受けたものはごくわずか。ほとんどは効果などが確認されていないため未承認のまま行われています。 それなのに、医療機関のウェブサイトには「厚生労働省が認可する再生医療」という記載も。いま何が起きているのか、取材しました。 急拡大する“再生医療” 「がん治療のため、患者から採取した免疫細胞を増やして投与」 「事故で損傷した脊髄を再生させるため、幹細胞を移植する治療」 「しわやたるみの改善など、美容を目的にした細胞の投与」 国の承認を受けずに行われている“再生医療”の治療の例です。 治療にかかる費用は、最大3割を負担する保険診療とは異なり、全額、患者が自己負担する「自由診療」となります。 “最先端の治療

自治医科大学(以下、自治医大/栃木県下野市)の元学生で医師が、同大学の「修学金制度」が違憲・違法であるとして、5日同大学と愛知県に対し、債務の不存在確認と国家賠償請求の訴えを提起した。 同大学の修学金制度とは、入学に必要な資金や授業料などの資金を学生へ提供し、卒業後に一定期間、へき地等での勤務を求める制度。 A氏は大学から2660万円を貸与されたが、指定勤務先を退職したことで、一括返済を求められていた。これに対しA氏は、そのような請求の法的根拠となる契約の条項が憲法や法令に違反すると主張している。 同日、原告のA氏とその代理人らが都内で会見。代理人の伊藤建弁護士は「医師不足を解消するための制度そのものに反対するわけではないが、手段は適法でなければならない」と述べた。 学生に修学金貸与、1.5倍の期間勤務で返還免除 自治医大は旧自治省(現総務省)が主導し、全国の都道府県によって設立されたとい

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