学問の自由を守る意義のある判決だ――。日本学術会議の推薦会員候補任命拒否問題を巡り、国による行政文書の不開示を違法とした東京地裁判決。学術会議の関係者らからは、文書が開示されることで不透明なままの判断過程が明らかになることを期待する声が上がった。 開示が命じられたのは、内閣府にある学術会議の事務局が2018年9~10月に内閣法制局に相談した際に作られた文書。その後、首相が学術会議の推薦通りに任命する義務があるとまでは言えないと結論づけられた。歴代首相が学術会議による推薦を受け入れて任命を続けてきた中で、菅義偉元首相は20年、新会員候補6人を任命しなかった。 14年から16年まで学術会議の第1部(人文・社会科学)で部長を務めた小森田秋夫・東京大名誉教授(法学)は、「なぜそういう理屈になるのか、任命できない例外があるのか、突っ込んで説明しているであろう部分が黒塗りになっていた。開示は任命拒否の

菅義偉首相(当時)が2020年10月1日、日本学術会議会員候補6人の任命を拒否し、国民的な批判をうけた問題に関連し、任命拒否に先立つ同年6月、学術会議が105人の会員候補を選考していた最中に、官邸側が学術会議事務局に6人を選考対象から外すよう求めていたことを示す文書の内容が29日までに明らかになりました。 この問題は、日本共産党の小池晃書記局長が3月6日の参院予算委員会で事実を指摘し政府を追及。政府はこの文書の存在を認めていました。 法律家1162人が21年4月に行った任命拒否情報の公開請求で、国は黒塗り文書(画像①)を開示し、「任命権者側から日本学術会議事務局に、令和2年改選に向けた会員候補者の推薦に係る事項として伝達された内容を記録した文書であり…(中略)…会員候補者の氏名及び肩書きが記載されている」と説明しました。 同文書の黒塗り部分は何だったのか。任命拒否された6人がそれぞれ個人情

内閣法制局の「法律案審議録」に収められた「日本学術会議関係想定問答」。首相は「日本学術会議の職務に対し指揮監督権をもっていないと考える」と記されている(国立公文書館所蔵) 政府が1983年に、首相による日本学術会議への指揮監督権を否定する文書を作成していたことが4日分かった。首相の「一定の監督権行使」を認め、会員候補の任命拒否を可能とする見解をまとめた18年の内閣府見解と齟齬を来しており、過去の国会答弁と同様、矛盾しているとの批判が強まりそうだ。 菅義偉首相は今年9月、学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人の任命を拒否。政府は83年、首相の任命は「形式的にすぎない」と国会で答弁。野党から国会への説明もなく法解釈を変更したと批判されている。今回の文書により、監督権を巡っても、ひそかに解釈を変更していた可能性がある。

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