news.yahoo.co.jp Z世代が残業をキャンセルして大変らしい。それでなくとも、理由も告げずに有給休暇をとる、注意や指摘をハラスメント扱いする、さらにはそれらが高じて、あろうことか、信じられないことに、給料が安いという理由で会社を退職するというのである。 まさに世も末だ。滅私奉公、24時間働けますか、会社は家族、血の小便が出るまで仕事しろ、といったかつての「美しい国」の労働倫理はどこへ行ってしまったのか。高市早苗でなくとも嘆かずにはいられないというものだ。 この手の話は、「最近の若者は合理的すぎる」とか「タイパ至上主義だ」という世代論に落ち着きがちだ。しかし、この断絶の正体は「合理的かどうか」などという生易しい話ではないように思う。少なくとも私たちが真に苛立ち、恐れさえ抱いているのはそこではない。 Z世代の逸話を聞くたびに私たちの胸がうすら寒くなるのは、自分たちが長年積み上げ、守

お笑い芸人、ヒコロヒーの連載エッセイ第48回。「今月のヒコロヒー」も要チェック! 前回の「その人らしさは、本物でなければならない。」も読む。 あなたになら話したい。仕事の合間に少し空き時間ができたため、銀座にボールペンを買いに行った。涼しい秋晴れの真昼間で、こんな時間に外を自由に出歩くなんてすごく久しぶりのことで、街をのんびりと歩けることが嬉しくて少し泣きそうにさえなっていた。 自分のことはあまり人に話したくない。生活の忙しさを語ろうとしてもそれは私が「売れている」ことを語ることと同義になりかねず、仕事のことを語ろうともそれは私が「テレビや芸能界」を語ることと同義になりかねない。それってなんだか、アレな感じがしてしまう。 交友関係のことを語りたくともそれは私が「人脈」を語ることと同義になりかねず、好きなウイスキーの銘柄を語ることさえ私の「経済事情」を語ることと同義になりかねない気がしてし

宮城県知事選、参政党にギリギリで勝つ2025年10月26日(日)に投開票のあった宮城県知事選は、ギリギリの結果となりました。現職が6期目の当選を果たしましたが(多選そのものも批判はされてはいました) 村井嘉浩 34万190票(現職・自民党が応援) 和田政宗 32万4375票(参政党が実質的に応援) 僅差といってよいでしょう。しかも、一番大きな人口を抱える、県庁所在地の仙台市では、和田候補が得票数を上回っていたのです。 あなたの街の選挙にやってくる次はあなたの街の選挙に、参政党がやってくるかもしれません。 彼らは人口の多い都市部、若者〜中年(20代〜50代)の多いエリアをターゲットにします。動画とSNSで、対立候補のデマや陰謀論を拡散させ、LINEのオープンチャットでサポーターを動かします。 新聞とテレビは、オールドメディアだとばかにされても、こういうときにこそ報道機関の意地を見せて、選挙期

高市早苗がワークライフバランスを捨てるという話、「トップがそれじゃあ下も巻き込まれて」とかの批判が多いけど、本質的にはそこじゃないと思う。オレが気になってるのは、 リーダーには睡眠を取る義務がある というのに、彼女がそれを放棄すると宣言していることだ。 ワークライフバランスを捨てて馬車馬のように働くという発言は、睡眠時間の削減を暗示してる。前に小泉進次郎のインタビューを読んだときも感じたが、自民党の政治家の皆さんには非常に安易に睡眠時間を削って活動時間を確保する文化があり、これはほぼ実行されるものだと思う。 米軍は睡眠について徹底的に研究してフィールドマニュアルに落とし込んでいるが(たとえばフィールドマニュアル7-22 https://home.army.mil/cavazos/5517/2115/1094/FM_7-22.pdf の11章。章全体が睡眠について書かれてる)、そこではこのよ

チョコレートプラネット松尾の炎上 少し前にお笑い芸人チョコレートプラネットの松尾の発言が炎上した。 ネット上の誹謗中傷を批判する文脈で、 「芸能人とかアスリートとか以外、SNSをやるなって」 「素人がなに発信してんだ」 と言ってのけたのだ。しかも、ネットの動画配信で。 これに対してかなり批判が巻き起こった。 「芸能人とかアスリート」以外を「素人」とする価値観。あるいはSNSという場についての理解のなさ。 決して、受け取り手の誤解が多かったとか、切り抜きで情報が独り歩きしたというわけでもない。おこるべくしておきた炎上だったと思う。 もちろん、反応の中には誹謗中傷にあたるような言葉を使う人もいたかもしれない。それはそうだろうが、しかし、多くの人の表明した不快感は、真っ当な不快感の範疇であったように見えた。 結果、チョコレートプラネットは謝罪動画を配信した。謝罪のなかでも「誤解」、「切り取り」と

世間ではよく、「プロダクトにオーナーシップを持て」というようなことを言われる。かんたんにいうと「このプロダクトは自分のものだ」と思って仕事しろ、という話だ。よく言われるということは、逆にいうと「そうなっていないことが多い」ということだとも思う。つまり、「ほんとうはオーナーシップを持っていてほしいんだけど、そうじゃないから、"持て"と言われる」ということだ。あいさつがあたりまえになされている場所では「あいさつをしましょう」と言われない、というような話。 では、なぜオーナーシップを持つことが難しいのだろう? ぼくは、いままでいろんな現場を見てきて、いくつかのアンチパターンがあるな、と思っている。 アンチパターンの解説から入るまえにまず、前提の話から。そもそも、ソフトウェアエンジニア自体が「オーナーシップなんか持ちたくないよ」と思っている場合、それはどうやってもオーナーシップを持たせることは不可
■「憲法季評」安藤馨・一橋大学教授(法哲学) 参議院選挙が終わって数週間が経った。投票率が久々の高水準であったことは政治参加の点で評価に値しよう。衆参両院での自公少数与党化と強力な野党の不在という結果…

横浜商科大学 田中辰雄出所明示すれば無断転載自由です 追記:2025/7/27 22:00 分布グラフをカーネル形式に差し替え、それに伴い文章を微調整 2025年の参議院選挙では参政党が躍進を見せた。本稿の目的はその支持者がどこからきたかを探ることである。手法はアンケート調査である。昨2024年の衆議院選挙の時に一度アンケート調査をした相手に再度調査を依頼し、2393人(有効回答2041人)から回答を得た。1回目の調査日は2024年10月16日で衆議院選挙の時、2回目の調査は2025年の7月20日の今回の参議院選挙の時である。同じ人に聞いているので変化の過程を見ることができる。調査会社はFreeasy、対象者は20歳~79歳までの男女である。なお、以下で投票はすべて選挙区事情の影響がない「比例区」での投票をさす 1.参政党支持者のプロファイル まず、よく言われるように参政党の支持者は若年

わたしが大学に入った頃、新入生の手続きは、正門前の本館と呼ばれる建物で行われていた。事務方にいろいろ書類を提出し、学生の自治会からも熱心な勧誘と説明を受ける(自治会は当時、共産党系の民青が牛耳っていた)。それが終わると、隣の建物で、様々なサークルが新入生勧誘を繰り広げる。その間の渡り廊下に机を置いて、新左翼の連中がにこやかな顔で「アンケートにお答えください」と呼びかけていた(革マル派だったと思う)。わたしは何となくそこに座ってしまった。 アンケート用紙の主要な部分には、「ベトナム反戦、三里塚闘争」から始まって、「部落差別、狭山事件」等々に至るまで、当時の政治的イシューが単語だけずらりと並べられていた('70年代半ばのことだ)。そして「この中で興味がある問題があったら丸を付けてください」という。 (左翼って、なんて馬鹿なんだろう)わたしは内心あきれて、相手にいった。「この中のどれかに関心があ

2024年12月3日、戒厳令の夜 「韓国、戒厳令?っていうのが出されたらしいよ」 夜11時半、「寝る前に何の変な冗談いうの」と言う私に、彼女がテレグラム(メッセージアプリ)のチャンネルからロシア語の速報を見せてくれました。頭の中が、はてな、はてな、はてなだらけになり、絶対に北からの攻撃があったと思って、韓国の家族のことを思いながら、大統領の戒厳令宣布の動画をクリックすることで始まった、12月3日の狂気。韓国大手メディアや独立系メディアが、YouTubeで緊急生中継で映すソウル市内と国会の様子を見ながら、「おかあさん、おかあさん」と焦って韓国の母に電話をしても、向こうは出ず。警察によって封鎖されている国会議事堂の正門と、その警官たちを囲んで抗議する市民たち、そして警察の目が届かない所で塀を越えて国会の中に入っていく国会議員たち。戒厳令を解除できる権限を持った国会を、その戒厳令を使って封鎖し

・参政党、東京都議選で3議席の衝撃 6月22日に投開票された都議会議員選挙で、参政党が3議席を獲得した。従前から同党の初議席獲得の予想は出ていたが、結果4人の立候補者のうち3人が当選(練馬、世田谷、大田)したのは、大番狂わせともいえる。 いったい、この党の支持者たち(支持層)はどのような人となりなのだろうか。がぜん興味が湧くというものだ。 私と参政党代表・神谷宗幣代議士との邂逅や、党としての性質については、拙稿『参政党とは何か?「オーガニック信仰」が生んだ異形の右派政党』(YAHOO!エキスパート、2022年7月)に詳しいので一読いただければわかりやすいだろう。今回は、とりわけ同党支持者の側にフォーカスして稿を進めていく。 ・参政党支持者の横顔 私はこれまで、参政党支持を表明する支持者たちに、膨大な数とは言わないまでにも接触を試みてきた。その中には私の知人も居たし、すわ偶然出会ったパターン

アーカイブの危機とメンテナンスの大事さ 2025.01.15 Updated by yomoyomo on January 15, 2025, 13:09pm JST 無駄に長くネットで文章を書いていると、自分の中にあるネットに関する常識が、時代に合わなくなっているのに気付くことがあります。 例えば、こうした技術コラムを書くのであれば、(Googleと名前を出すたびにGoogleのトップページにリンクをはるようなやり方は過剰としても)必要に応じて他のサイトのページにリンクすべきであり、参照リンクがウェブにおける説明責任を担保し、元の文章の主張を補強するのが当然のように考えてきました。 昨年末、某セキュリティベンダーの技術ブログがいつの間にかパパ活ブログに変わっていたのに驚く投稿をしたところ、意図せずバズり、結果やじうまの杜やITmedia NEWSに取り上げられました。これはいわゆる「ド

345回 林原めぐみのブログとその周辺の色々な言説 人気声優・林原めぐみ氏が6月8日にあげた『興味がない、わからない、知らない』というタイトルのブログの内容に対する批判がSNS上で多く見られるようになり、その一方で林原氏の主張が正当なものであると擁護する意見も多くあらわれ、炎上状態になるということがあった。 このブログは何度か修正が加えられているのだが、最初のバージョンには3人の韓国YouTuberの影響が語られていた。その3人のチャンネルにある動画を観にいくと、韓国のグルメや文化の紹介動画やアイドルっぽい動画、日本をやたらと持ち上げる動画と共に、わかりやすい極右系の陰謀論動画をあげているアカウントであった。 ブログ自体に対する個人的な感想を述べるとすると、韓国の文化が好きな林原氏が前述の韓国YouTuberにはまってしまい、その動画の内容を素直に受け取った彼女が善意で書いたもので、なん

米国が自国第一主義を掲げて同盟国を軽視するなかでの欧米の亀裂をどう見るか。欧米だけでなく、日本でもくすぶる「核保有」論などについて、欧州の安全保障に詳しい、軍事評論家の小泉悠・東京大先端科学技術研究センター准教授に聞きました。(聞き手=朝日新聞論説主幹・佐藤武嗣) ――第2次世界大戦が終わり、また冷戦の終結を受け、様々な国で徴兵制が消滅した。なのに再び欧州、中東、そしてアジアでも徴兵制が復活・拡大する動きが顕在化しているのは、なぜなのでしょうか。 やはり軍事的な緊張の高まり、国家間の問題解決の手段として大規模な国家間戦争をやるという現実味は、1990年代、2000年代にはなかった。私の学生時代も、そうしたことが起きる可能性は否定しないが、極めて起こりにくいという教育を受けた覚えがある。それから20年経ってみると、ロシア・ウクライナとの間で、フルスイングの国家間戦争が3年も続いている。 ロシ

「面白いんだよ、みんなが豊かになるんだ」 スクールカウンセラーをしている友人と話をしているときに、「特別扱い」の話になった。大人の社会だとピリピリし、ハラハラするテーマなのだけど、子どもの社会では少…

私は1月5日、それを今年のテーマとすることに決めた。といっても半分女性になるわけではない。以前からこれに取り組んでいたけれど、有害な性質はまだまだ私の中にある。その性質をもっとなくしていくということだ。 取り組みの契機を私にもたらしたのはコロナ禍だった。リモートワークのおかげで、職場の男性同士で顔を突き合わせる場面がほとんどなくなり、ホモソーシャルな関係に巻き込まれずに済むようになった。 異性愛男性同士で資本と権力を分配するホモソーシャルな人間関係の構造は強力だ。いったん中に巻き込まれると、正気に戻らなければ巻き込まれていることが分からなくなるくらいだ。 子どもが産まれたばかりのころ、当時の直属の男性上司から「きみのことはよく分かる。ぼくも父親になってからずいぶん大変だった。支える人が増えたのだから、今まで以上に仕事に打ち込もう」と言われた私は猛烈な仕事人間になった。 ちょうど、人生に一度
325回 東国原英夫と立花孝志〜竹内英明氏に関する虚偽の情報〜 先日亡くなった元兵庫県議県議・竹内英明氏に関する虚偽の情報が出回っていた件だが、本当に色々ひどい話だと思う。この原稿を自分が書いているのは1月21日19時前後であり、そこまでの流れについてのものである。 1月19日、斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ疑惑などに関する元県民局長告発文書に関して内容の事実関係の把握と告発文が公益通報にあたるのかを検証するために設けられた百条委員会の委員だった元兵庫県議・竹内英明氏が自宅で亡くなっていたことが報道された。 竹内氏は昨年11月の兵庫県知事選後に県議を辞職。SNS上で誹謗中傷を受けたことが原因であり、また選挙中は直接メールや罵倒する電話が押し寄せ、深夜まで続いたという。その誹謗中傷が始まるきっかけとなったのが、県知事選に自身の当選は目指さずに斉藤氏を応援するとの名目で立候補した立花孝志氏による

ひさしぶりにnoteの更新をしようと思う。今回は最近やってるゲームへの文句です。 ※一応有料記事だが、有料部分は最後180文字程度で、本編とは関係ない。 表題ロマンシングサガ2リベンジオブザセブンを楽しくプレイ中の方、あるいはこれからプレイするのを楽しみにされている方、またあるいは今回のゲームを完璧なリメイク作品と思っている制作者の方におかれては、以降の文章では本作品への文句とネタバレが多く記されているのでできれば読まないことをお勧めする。尚、筆者は3D酔いがつらくまだクリアしておらず、以下の文句もゲーム途中での文句ということをご了承いただきたい。頑張ってクリアするつもりだ。また、こんな当たり前のことを書く必要もないとは思うが、このゲームを楽しんでいるのであればそれが一番だし、そのことを揶揄する気も当然ない。ひとつの作品に対して楽しんでいる人と苦い気分になる人がいて、ただそれだけということ

以前(というかもう10年前)、ぼくが無料塾で教えている子*1が「偶数と偶数の和は偶数である」がどうしてもわからない、それをどう教えていいかわからない、ということをブログで書いた。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com その「子」が成人して、ぼくも参加している『資本論』の学習会*2に参加するようになり、なんとまあ素晴らしいことではないかと喜んでいたわけだが、『資本論』に出てくる分数・割合・%が全くわからない。『資本論』には次のような文章が頻出する。 精紡工は、一二時間で二〇重量ポンドの糸を生産するのであるから、一時間で一2/3重量ポンドの糸を生産し、八時間では一三1/3重量ポンドの糸、すなわちまる一労働日中に紡がれる綿花の総価値に相当する部分生産物を生産する。同じやり方で、次の一時間三六分の部分生産物は二2/3重量ポンドの糸であり、したがって一二労働時間中に消耗された労

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