八ッ場ダムの建設予定地を視察する前田武志国交相(左)=群馬県長野原町で2011年10月8日、久保玲撮影 建設の是非を検証中の八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)について国土交通省関東地方整備局が「コスト面などからダム建設が最良」との結果をまとめたことを受け、河川工学や防災地形学の学者10人が近く、野田佳彦首相や前田武志国交相に検証の抜本的なやり直しを求める声明文を提出する。検証結果について「科学性・客観性が欠如したものと言わざるを得ない」として、公開の場で公正な検証を行うことを求める方針。 【クローズアップ2011】 八ッ場ダムは野田政権、試金石 国交省VS前原氏 声明を出すのは大熊孝・新潟大名誉教授(河川工学)、奥西一夫・京都大名誉教授(防災地形学)、今本博健・京都大名誉教授(河川工学)ら。 関東地整は利根川の治水対策にあたり、今後20〜30年で達成可能な毎秒1万7000立方メー
今日の毎日新聞の記事だそうである. http://mainichi.jp/kansai/news/20110904ddn001040003000c.html 見出しは 「台風12号:2棟流失、死亡・不明8人 増水でダム放流--奈良・十津川」 一般の方は何とも思わないかもしれない. しかし,このタイトルは明らかに悪意を持っている. ダム放流で流量が増えたかの様な印象を与えることが目的であることは明らかだ. もう,何回同じことを言っているか知れないが, いつもながら,2つのことを思う. 一つは,このダムに限らず,増水時にダム上流から流れ込む流量以上の流量を下流に流すことはあり得ないということである.バケツはいっぱいになるまでは下流への流量は上流より少なくなるし,いっぱいになれば,入った分しか出ていかない. 蛇口からの流量が悪いのに, それを受けているバケツから水があふれているのを, バケツのせ

政府の行政刷新会議の事業仕分けで、高額の事業費などを理由に「廃止」と判定されたスーパー堤防事業について、国土交通省の検討会(座長・宮村忠関東学院大名誉教授)は11日、規模を大幅に縮小して継続することを提言した。これを受けて同省は今後、整備の対象となる区間を絞り込み、平成24年度予算案に必要な経費を計上する。 継続するのは、東京都江東区の海抜ゼロメートル地帯など従来の計画区間約870キロのうち1~2割程度となる。その他の計画区間は、従来の河川改修事業として整備を進める。 廃止から一転して事業継続が決まった理由について、宮村座長は「東日本大震災と同じような大災害は洪水でも起こりうる」などと述べ、事業の重要性を強調した。 スーパー堤防は、堤防から市街地側に200~300メートル盛り土をし、決壊しないよう強化する措置。計画区間の5・8%に当たる約50キロで完成、または工事を実施している。事業費が高
こんにちは、こんにちは。増田です。 最初に言いたいことは、これだけの雨が降ったにもかかわらず、これまでの治水の成果が出ていると思ったの。NHKのヘリの中継で新潟の洪水の様子を目の当たりにした人も多いと思うが、アナウンサーの人と河川事務所の人の会話が咬み合っていなかったので、少し補足しておきたいんだよね。 堤防 100年に一度、200年に一度とだんだんと洪水の想定規模がおおきくなっていって、今は、3階建の建物くらいの高さがある。堤防の上の道路を走っていると2階建ての家の屋根よりも高いところを走る。 堤防の内側は、河川敷だ。堤防の内側の農地は、「何でそこに農地があるの」ってことになるのかもしれない。河川事務所の人も答えにくい質問だ。ちょっとおじさんがかわいそうだった。 堤防の上の車 低いところに駐車場をもっている人は、緊急時には、あらかじめ高いところ車を避難させるよね。よく水が上がる地域の人

「本流トヨタ方式」の土台にある哲学について、「(その1)人間性尊重」「(その2)諸行無常」「(その3)共存共栄」「(その4)現地現物」という4項目に分けて説明しています。 ここ数回は「(その4)現地現物」に関して話をしてきました。現場に行った際は、何を見て何を読み取るかが問題です。前回は韓国の釜山港付近で撮った写真を基に、日頃から現場に関心を持ち、洞察力を鍛えておくことの必要性をお話ししました。 日本ではそろそろ台風の季節です。毎年大雨による河川の氾濫が話題になります。マスコミはそれらをもっぱら「地球温暖化」「異常気象」の影響とだけ報じ、自分たちの日常の努力でいかに災害を減らすかという観点の報道が極めて少ないのを残念に思っています。 今回も、写真を基に、現場で何が読み取れるかを考えてみましょう。筆者がドイツを訪れライン川を遊覧した時に撮った写真から、ドイツと日本の違いを垣間見ようと思います

虫明功臣先生(むしあけかつみ、東京大学名誉教授)は、本体着工寸前でストップしてしまった八ツ場ダムの建設問題では、これまで群馬県議会をはじめ、衆議院の委員会に招かれて意見を述べ、さまざまなデータを示してダム建設の有意性を説明して来られました。 先生は、東京大学工学部の学生時代には高橋裕ゼミに学び、全国の河川を調査し、治水や利水のあり方について研究してこられたとのことです。その後、数多くの業績を積み重ねて来られ、現在では水文学、水資源工学の分野において我が国を代表する学者の一人としてよく知られています。 今回は、その虫明先生に、学生時代からの河川研究について語って頂くとともに、ダムや河川が抱える問題ついて、また今注目されている八ツ場ダム問題も含め、幅広くお話を頂きました。 (インタビュー・編集・文:中野、写真:廣池) 中野: まずどういうきっかけで河川研究の道に入られたのかから伺います。 川に
超党派の議員連盟「水制度改革議員連盟」(代表・中川秀直元官房長官)は31日、国土交通省や農林水産省など複数の省庁にまたがる水資源行政を一元化するための「水循環基本法」の素案をまとめた。縦割り行政による無駄をなくすため、内閣府に「水循環庁」を新設。河川の流域に位置する自治体で作る「流域連合」を設置し、国の出先機関に代わって治水、保水を担う。来年の通常国会への提出を目指すが、中央政府の権限を大幅に地方に委譲し、国の出先機関の廃止にもつながる内容のため、各省庁の反発が予想される。 日本では治水やダム開発(国土交通省)、農業用水、森林保全(農水省)、工業用水(経済産業省)、水質汚濁対策(環境省)など、水政策の所管官庁が分野ごとに分かれている。議連は、こうした縦割り行政の弊害や無駄な公共投資を問題視し、議員立法による法案提出を目指し、水の専門家を交えて法案作成を進めてきた。 法案は全38条。地表水と
国土の4分の1が海抜0メートル以下にある「低地の国」オランダで洪水対策にコンピューターゲームを活用する計画が進んでいる。地球温暖化で洪水の危険が高まる中、シミュレーションを使った訓練で「まさかの時」に備え、対応を迅速化するのが狙いだ。 コンピューター画面上に映し出されたバーチャル映像の堤防に雨が降り注ぐ。監視員の出動だ。いち早く亀裂を見つけ出し、危険を知らせるくいを立てる。手を打つのが遅れれば堤防は水しぶきをあげて決壊する--。 オランダの研究機関デルタレスとデルフト工科大学が共同開発した訓練用ゲーム「堤防監視員」の一コマだ。オランダはゲーム先進国で、ゲーム会社約100社の約65%が訓練用ゲームを手掛ける。得意の治水技術とゲーム産業を組み合わせた国家戦略だ。 オランダでは1953年、大暴風雨に伴う洪水で1800人以上の死者を出した。これを教訓に北海沿岸や河川沿いに堤防や堰(せき)が築かれ、
全国で進められているダム事業の見直しに向け、事業の検証方法を検討してきた国土交通省の有識者会議は、必ずダムなしの代替治水策と比較し、コスト最重視で判断することを柱とする手順案をまとめた。検証は対象ダムの事業主体の国や都道府県が行い、ダムなし治水策も立案する。ダム建設を巡り、ダム以外の治水策との比較を一律に求めるのは初めて。同会議が示す代替治水手法には、浸水危険地域の土地利用規制など、川の水があふれることも想定した対策も盛り込んだ。 同会議は近く手順案を決定。検証が秋にも始まり、結果は早ければ来年度予算に反映される見通しだ。 同会議は昨年12月、「できるだけダムに頼らない治水」を掲げる前原誠司国交相の肝いりで発足。国と水資源機構が事業主体の「直轄ダム」31事業(32施設)と、国の補助を受けて都道府県が建設する「補助ダム」53事業(53施設)の妥当性を検証するため▽代替治水手法▽検証の進め方▽
【県、被害防止に条例案】 ダムに頼らない「流域治水」をめざす県が、川からあふれる水を管理する「はん濫原管理者」を設け、洪水で被害が出る恐れのある区域を指定し、建築、開発規制の網をかける条例制定に動き出した。河川管理者が河川改修で「川の中」の水を治めるのに対し、新たなポストは「川の外」で対策を講じ、未然に被害を抑える役割だ。知事が担い、年度内の提案、制定をめざす。(飯竹恒一) 【洪水危険区域指定し建築・開発規制】 条例案には、県の「流域治水検討委員会」の学識者部会(委員長=多々納裕一・京大防災研究所教授)が24日に嘉田由紀子知事に提出した提言に沿った内容を盛り込む。 提言によると、河川に加え、下水道や農業用排水路も含めた水の流れのデータを集め、人命や家屋の被害の確率を示す県内地図を作製する。地点ごとの「安全度」をはじき出し、(1)家屋流出(2)家屋水没(3)床上浸水(4)床下浸水(
海抜0メートル地帯が区内の約7割を占める江戸川区が設置した治水対策委員会が最終提言をまとめ、19日公表した。国が関東や関西の主な河川に整備を目指しているスーパー堤防の建設計画が長期化する見通しのため、川沿いに0メートル地帯が多い中川を埋め立て、隣を流れる荒川の堤防にする案を示した。 提言では、中川左岸の堤防が、並行して流れる荒川右岸の堤防よりも約50センチ低く、幅も半分程度で、川沿いの0メートル地帯には住宅が密集しているため、早期の対策が必要と主張。中川の川幅(最大120メートル)の一部か全部を埋め立てて堤防としたり、中川に複数の橋をかけて、高台の避難場所代わりにしたりすることなどの検討を求めている。 区によると、区内を流れる川の堤防が決壊した場合、中川左岸沿いの地区は、最悪で水深5メートル程度になるという。同委員会は、河川工学などの専門家6人と国土交通省や都などの担当部署の5人で、200
ダムのメカニズム、さらには日本の現実の姿を広く国民に理解していただかない限り、ダムに対する誤解も解けないのだが、これが実際にはなかなか難しい。何しろ現実には起こらなかった現象を一般の人に実感として感じてもらおうというのだから、初めから無理がある。 従来から広く行われてきた方法は、ハイドログラフ上でダムがなかった場合と現実に発生した事象とを対比し、ダムがあったからダムからの放流はこれだけ少なくて済んだのですよ、と説明するやり方であるが、まずはハイドログラフの説明をしているところでソッポを向かれてしまう。一般の人には理屈を言っては駄目なのだ。直感に訴えなければ話が通じないのである。 そこで次に考え出されたのが、下流側平野部のある地点における河川の断面図を持ってきて、その上に現実に発生した洪水位とダムがなかったらここまで来ただろうという水位を比べ、ダムがあったから水位上昇がここまでで抑えられ
1月28 防災に対する考え方の変化 カテゴリ:自然現象と災害リスク評価 確定論的手法から確率論的手法への転換は、今に始まったことではありませんが、まじめな日本人の確定論を好む気質(?)に押されて、なかなか進んできませんでした。 私がこの業界に入ったころ(四半世紀以上前)、松尾稔先生の『地盤工学 信頼性設計の理念と実際』で感動して、これからは確率論だ!と思ったのですが、いまだ実務の中では皆無と言ってもいいくらいです。設計手法では、仕様規定から性能規定への大転換がいま行われていますが、そのなかも結局のところ確定論的手法です。 ある先生から以前指摘を受けたのは、確率論的な話をする場合には、理論が完全である必要がある、ということでした。土質や地盤の問題でそれを必要条件とするのであれば、永遠に無理ということになってしまいます。私はその考えは違うと思います。 確率論的な考え方がほしいのは、特に対策工に

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