MITの物理学者チームが、量子力学の根幹を揺るがし続けた98年来の歴史的論争に、ついに最終的な決着をつけた。ノーベル賞物理学者Wolfgang Ketterle(ヴォルフガング・ケターレ)教授が率いる研究チームは、1万個以上の原子を絶対零度近くまで冷却し、それを「スリット」として利用するという、史上最も理想化された「二重スリット実験」を敢行。光が粒子と波の二つの顔を同時に見せることは不可能であると、前例のない精度で証明した。この結果は、Niels Bohr(ニールス・ボーア)の主張を裏付け、Albert Einstein(アルベルト・アインシュタイン)がこの特定の量子シナリオについては誤っていたことを示している。 量子力学の心臓部に横たわる世紀の謎:「二重スリット実験」 物理学の世界で最も有名かつ不可解な実験は何かと問われれば、多くの科学者は「二重スリット実験」と答えるだろう。1801年に

何十年もの間、物理的解釈における科学者が「タイムミラー」または「時間反射」と呼ぶ時間の逆転は理論物理学の周辺領域にとどまっていた。まるでSF映画の一場面のようなコンセプトだ。波が時間をさかのぼって進み、周波数がリアルタイムで反転し、反射の法則が奇妙な方向にねじ曲げられる。 だがニューヨーク市の研究チームが、この仮説を「測定可能な現実」として発表した。 「鏡を見て、自分の顔ではなく後頭部が映っているようなもの」CUNY大学院先端科学研究センター(ASRC)のフセイン・ムーサ博士率いるグループは時間反射が実際に可能であり、現代の技術でも実現できることを示す画期的な実験を行った。 基本的に、タイムミラーは通常の鏡のように光や音を「空間的に反射」するわけではない。波を「時間的に」逆方向へ進ませるのだ。この現象は長らく理論上のものとされてきたが、ここまで明確に観測されたのは初めてだ。 研究者らは「鏡

早稲田大学 Waseda University @waseda_univ 🗣️#人間科学学術院 岡本悠子客員次席研究員、大須理英子教授らの研究グループは、自閉スペクトラム症(ASD)者と非ASD者が互いにコミュニケーションをどのように解釈するか、日本と英国で比較研究を行い、異なる結果が出ることを確認しました🇯🇵🇬🇧 詳しくは👉 waseda.jp/inst/research/… #早稲田大学 #研究の早稲田 2025-05-15 11:05:30 リンク 早稲田大学 研究活動 日本と英国のASDにおけるコミュニケーション解釈の文化差 日本と英国のASDにおけるコミュニケーション解釈の文化差 欧米の研究成果は日本にも適用できるのか? 発表のポイント 日本と英国の自閉スペクトラム症(ASD)者および非自閉スペクトラム症(非ASD)の人々が、互いにコミュニケーションをどのように解釈す

赤いリンゴや赤い信号、赤い夕焼け──私たちは日常的に「赤」と呼ばれる色を当たり前のように見分け、言葉を交わしています。 でも、「私が見ている赤」と「あなたが見ている赤」は本当に同じなのでしょうか? この素朴な疑問は、実は意識研究の世界では長年にわたって議論されてきた大問題です。 なぜなら、外からは同じに見える刺激でも、人の頭の中で起こっている主観的な色体験が同一だと証明するのは極めて難しかったからです。 ところがこのたび、東京大学や英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)、豪モナシュ大学などの国際研究チームが、色の「類似度」をもとに人々の主観的な“色の構造”を比較する大胆な手法を開発し、大規模なオンライン実験で「私の赤」と「あなたの赤」の違いを初めて定量的に示すことに成功しました。 私たちはどこまで同じ“赤”を共有できるのでしょうか? 研究内容の詳細は『iScience』にて発表されま

映画やドラマなど動画コンテンツを、視聴速度を速めて見る「倍速視聴」する人が増えている。植野緒深さん(神奈川・平塚江南高校3年)は、倍速視聴をすると「内容に対する理解度は下がるか」について研究を進め、「令和6年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会」で発表した。(写真・野村麻里子) 倍速視聴「1.75倍まで」は理解度変わらず ―研究テーマについて教えてください。 2年生の夏ごろから「倍速視聴における理解度への影響とその効率的な利用方法について」というテーマで、動画の倍速再生がどのように理解度に影響するかを研究しました。きっかけは映画や映像教材などを倍速で視聴する生徒が増えていると感じたこと。この研究をすることで、ビデオ教材などを使用する生徒にとってより効率的な勉強方法を確立できると考えています。 ―研究の内容を教えてください。 実験では被験者に倍速ごとに同じ動画を見てもらい、視聴後に

人は、目の前のことに集中していると、視野に入っているはずのものを見落としてしまうことがある。これを示す有名な実験に「見えないゴリラ(InvisibleGorilla)」がある。これは、ある映像を見て「白いシャツを着た人たちがバスケットボールをパスした回数」を数えていると、その後ろを横切る黒いゴリラに気づかない人が約半数もいる、という実験である。 この「非注意性盲目」と呼ばれる現象は「注意を向けていないものは見えていない。つまり意識的な知覚には注意が必要だ」という考えを支持する重要な証拠として、長年扱われてきた。数多くの研究者が「注意が向けられていない対象は、完全に知覚されていない」と考えていた。 ▲非注意性盲目に関する3つの代表的な実験 しかし、今回の研究チームは、新しい研究を通して、この定説を覆す可能性のある発見をした。 研究チームは2万5000人以上の参加者を対象に、5つの実験を行っ

「光が光の影」を落とす影を知ることは光を知ることでもある矢印で示した部分が「光の影」となっています /Credit:Raphael A. Abrahao et al . Optica (2024)人類の影に対する理解は、常に光に対する理解と並行して進化してきました。 影の研究と利用は芸術と科学の歴史にも深く刻まれています。 たとえば演劇の分野では、影は影絵として世界中のさまざまな文化で数千年にわたり存在してきました。 両手を交差させた「カニ」や片手の小指を動かす「イヌ」の影絵は、誰もが一度は見たり試したりしたことがあるでしょう。 また美術の分野では、ルネサンス時代の影の研究が西洋絵画における写実主義の発展に大いに貢献しました。 原始的な芸術として知られる洞窟壁画や古代エジプトの壁画が影をあまり意識しない一方で、ルネサンス期以降の絵画ではあえて「影を描く」ことで物体を写真のように描くことに

遊園地は入らなければ出れない量子の世界は常識が通じない遊園地の敷地に入った時間は、出る時間よりも必ず前になります。 この常識はお客だけでなく、遊園地のスタッフや上空を通過する鳥、銃弾のような無生物にも適用されます。 生物も無生物も一定の領域を「通過」するならば、入るのが先で出るのは後、逆はできません。 それは子供でもわかることです。 しかし量子の世界においては日常の常識が通じないことが知られています。 量子の世界では1つのものが2つの通路を同時に通ったり、何もない空間から粒子が現れては消えていくことが確認されています。 また量子の世界の曖昧さは、物体の場所だけでなく、時間にも及ぶことが示されており、実験室レベルでは過去と未来を干渉させることにも成功しています。 二重スリット実験を物理的スリットではなく「時間の切れ目」で再現成功! さらに物体の持つ電荷のような「性質」を、物体の「質量」から切

中国のインターネット検閲(グレートファイアウォール)が市民の情報取得や意識にどのような影響を与えているかを明らかにするため、北京の大学生約1800人を対象とした大規模なフィールド実験を行った。研究者らは、参加者の一部に検閲されていないインターネットへのアクセスを18カ月間提供し、その影響を追跡した。 実験の結果、単に検閲されていないインターネットへのアクセスを提供するだけでは、学生たちの政治的に機密性の高い情報の取得にほとんど影響を与えないことが明らかになった。アクセス権を持った学生の約半数はツールを全く使用せず、使用した学生もほとんどが外国のニュースサイトを閲覧しなかった。この結果は、中国の若者が政治的に機密性の高い情報に対して低い需要を持っていることを示唆している。 しかし、外国の特定のニュースサイトにいかないと正解が分からないクイズに金銭がもらえるインセンティブを与えると状況は大きく

研究は続いていたようです。中国の北京工科大学で行われた研究によって、センザンコウから得られたコロナウイルス株「GX P2V」をマウスに感染させたところ、非常に強い毒性を発揮し、感染後8日の段階で致死率100%に達したと報告されました。 研究に使われたマウスたちは死ぬ2日前(6日目)に脳への感染が劇的に増化し、死ぬ1日前(7日目)には目が白くなるという奇妙な共通点がみられました。 コロナ関連ウイルスを使ったマウス実験において、致死率が100%に達したのは今回の研究がはじめてです。 ただ実験に使われたマウスはウイルス感染が起こる部位「ACE2」を「ヒト化」させており、人間に対する潜在的な影響が懸念されています。 研究内容の詳細は2024年1月4日にプレプリントサーバーである『bioRxiv』にて公開されました。

そもそも「量子もつれ」や「量子テレポーテーション」とは何か?そもそも「量子もつれ」や「量子テレポーテーション」とは何か? /Credit:Canva . ナゾロジー編集部通信における長距離の情報伝達は、セキュリティが非常に重要です。 従来の通信方法では、情報を2種類の信号(1と0)で表現し、これを電線や光ファイバーを通じて目的地に送信しています。 しかし、量子力学の原理を通信に導入することで、量子ビットを増やすごとに、使用可能な信号パターンを2種類から増やし、より多くの情報をより高速かつ安全に送ることが可能になります。 その代表的な方法が「量子もつれ」を使用した「量子テレポーテーション」です。 量子テレポーテーションでは、量子もつれの状態にある粒子を用いて、一方の粒子に何らかの操作を行うと、もう一方の粒子に即座に影響が現れるという量子力学の特性を利用します。 ただ、多くの人にとっては言葉

昔の化学者のエピソードを見ると「合成した物質を舐めた」みたいな話がたまに出てくる アスパルテームはそのなかでも有名なエピソードかもしれない アスパルテーム -Wikipedia 1965年、アメリカの製薬会社G.D.サール社の化学者ジェームズ・M・シュラッターが、ガストリンの合成に取り組んでいたときに偶然発見した[113]。シュラッターは、抗潰瘍薬の研究をして、ホルモンであるガストリンのテトラペプチドを生成する中間段階としてアスパルテームを合成した[113]。シュラッターは、薬包紙を持ち上げようとして、アスパルテームがついた指をなめて、その甘味を発見した[8][114][115]。トルン・アテラス・ガリンは、アスパルテームの開発を監督した[116]。 いわゆる化学者によるセルフ人体実験、すなわち自己実験 うん年前は私も大学で学生実験をやっていたわけだが、生成物を舐めるなんて発想はとてもじ

初めて体験するはずなのに、なぜか過去に同じ体験をしたような錯覚に陥ることを「デジャヴ」といいます。このデジャヴとは逆に、何度も見たはずの光景なのに非現実的で初めてのことのように感じられる体験は「ジャメヴ」と呼ばれます。このジャメヴの研究で2023年度イグノーベル文学賞を受賞した心理学者のアキラ・オコーナー氏とクリストファー・ムーラン氏が、ジャメヴを解説しています。 Jamais vu: the science behind eerie opposite of déjà vu https://theconversation.com/jamais-vu-the-science-behind-eerie-opposite-of-deja-vu-2135962023年度イグノーベル賞については、以下の記事でまとめられています。オコーナー氏とムーラン氏は「一つの単語を何度も何度も何度も何度も何度も

舞汁 @mai_ntg 4年経ったUVレジンの黄変比較置いときます。新しいレジン液がバンバン出てるので、UVカットの効果を見る程度にしか役に立ちませんが😆 保存できるように詳細は画像に記入しました〜。 pic.twitter.com/u37F3HThlx2023-10-07 08:53:17 舞汁 @mai_ntg 一時期 100均のレジンを作品に使う人が多くて、歴の長い人が「やめた方がいい」と言っていた理由がこちら。 今現在は黄変対策がなされているかもしれないので、最近の比較をしてる人の情報を探してみてください。 pic.twitter.com/IzFsccWN7d2023-10-07 12:40:44

動画を投稿したのはYouTubeチャンネル「SmarterEveryDay(@smartereveryday)」。スミソニアン博物館に記録が残されている、南北戦争時代に起きたという「2つの銃弾が空中で衝突」した珍事の再現に挑みました。 2つの銃弾が衝突するよう緻密に計算された実験には、安全性の確認など多くの専門家の協力を得て行われ、実験に臨むまでの議論を交わす様子も記録されています。本番を迎えた実験は一瞬。記録映像をスロー再生すると、そこには撃ち出された銃弾が空中で正面衝突する様子がしっかりと映し出されていました。 銃弾はぶつかった瞬間に前へ進む勢いが消え、衝突の衝撃で粉々に砕けて、銃弾の破片は全方位に広がっていきます。

OBJECTIVE. 立教大学(東京都豊島区、総長:西原廉太)理学部の村田次郎教授と同学部4年次生(当時)の塩田将基氏は、「重い人ほど滑り台を速く滑るのはなぜか」という一見もっともらしくも物理学的に考えると実は不思議に思える謎を、卒業研究のテーマとして探究しその性質を解明しました。 ピサの斜塔の実験で知られるように、重いものも軽いものも、空気抵抗がなければ同じ加速度で落下します。自由落下の一様性と呼ばれるこの性質は、高校の物理で学習した通りなら滑り台など摩擦力がはたらく状況でも変わらないと予想されます。ところが公園で親子が滑り台で遊ぶと、多くの場合に大人は子どもよりずっと速く滑ってしまいます。学生時代に物理をしっかり勉強した多くの大人を悩ませるこの謎に、大学生が挑戦しました。 塩田氏と指導を担当した村田教授は、質量が異なるが大きさは同じ物体を実際の滑り台で滑らせて詳しく観測しました。観測に

ニュートリノ? 陽子? 宇宙の謎??? 「どれも難しそうだけど、ハイパーカミオカンデの ことがちょっと気になる」 そんなあなたのために、いろんな角度から ミテ・ヨンデ楽しめる記事をご用意しました。 この巨大実験装置、かなりおもしろいんです ガイド 早戸 良成 准教授 Yoshinari Hayato 武長 祐美子 Yumiko Takenaga (東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設)
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