ジャガイモの起源が明らかになりました。 国際的な研究チームによって行われた研究によって、約800万〜900万年前に南米で野生のトマト属植物とジャガイモに似ていてもイモ(塊茎)を作らない植物(Etuberosum〈エツベロスム〉属)が自然交配し、現在のジャガイモの祖先が生まれたことが示されました。 異なる植物同士の交雑(種間交雑)によって、両親からそれぞれ異なる遺伝子が染色体レベルでモザイク状に混ざり合い、地下に栄養を蓄える塊茎という新たな「倉庫」を備えたジャガイモが誕生したわけです。 研究チームは、今回の解析によってジャガイモ属がトマト属とEtuberosum属の古代交雑から生まれたことが明確になったとまとめています。 研究内容の詳細は2025年7月31日に『Cell』にて発表されました。

「怒り」は脅威やフラストレーションに反応して引き起こされる激しい感情であり、心拍数の増加や緊張といった生理的な覚醒を伴います。制御できない怒りは対人関係の悪化やストレスにつながるため、怒りは良くないものと考える人も多いかもしれませんが、新たな研究では「怒りがクリエイティブなパフォーマンスの向上と関連している」ことが判明しました。 The relationship between anger andcreative performance: a three-level meta-analysis: Cognition andEmotion: Vol 0, No 0 - Get Access https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02699931.2024.2392614 Anger might enhancecreative perf

思考能力を問うテストを人間に解かせて脳波を測定する実験で、テスト中にChatGPTを使ったグループは他のグループより脳活動が低くなることがわかりました。マサチューセッツ工科大学(MIT)が査読前論文を公開しています。 [2506.08872] Your Brain onChatGPT: Accumulation of Cognitive Debt when Using anAI Assistant for Essay Writing Task https://arxiv.org/abs/2506.08872ChatGPT's Impact On Our Brains According to an MIT Study | TIME https://time.com/7295195/ai-chatgpt-google-learning-school/ MITのナタリア・コスミーナ氏らは

日常的に高い精神的負担や認知的作業が要求される仕事に就いている人の中には、「単純作業の仕事がうらやましい」と感じている人もいるかもしれません。ところが、ノルウェーで行われた新たな研究では、より認知的に複雑な仕事をしている人ほど、加齢に伴う軽度認知障害や認知症のリスクが低いことがわかりました。 Trajectories of Occupational Cognitive Demands and Risk of Mild Cognitive Impairment and Dementia in Later Life | Neurology https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000209353 Routine jobs raise the risk of cognitive decline by 66% and dementia b

科学誌のNatureが「日本の研究はもはやワールドクラスではない」と言及し、なぜ日本の研究の質が低下しているのかを、データを交えて解説しています。Japanese research is no longer world class — here’s why https://www.nature.com/articles/d41586-023-03290-12023年10月25日に日本の文部科学省が公開した報告書によると、日本は世界最大級の研究コミュニティを有しているにもかかわらず、ワールドクラスの研究に対する日本の貢献度は低下し続けているそうです。 文部科学省に置かれている研究機関のひとつである科学技術・学術政策研究所の科学技術予測・政策基盤調査研究センター長である伊神正貫氏は、「現在の日本の研究環境は理想とはほど遠く、持続不可能です。研究環境を整えなければいけません」と述べ、日本が世

通常の歩行とは異なり後ろ向きに進む「後ろ歩き」は、子どもの頃には面白がってやった経験があるとしても、大人になるとめったにやることはありません。ところが、そんな後ろ歩きには驚くほど多くの健康効果があると、イースト・ロンドン大学の臨床運動生理学講師のJack McNamara氏が語っています。 Walking backwards has a surprising number of health benefits https://theconversation.com/walking-backwards-has-a-surprising-number-of-health-benefits-195246 散歩は器具やジムの会員権を必要としない最も手軽な運動の1つですが、歩くことは周囲の環境を把握する視覚・揺れや傾きを察知する平衡感覚・空間のどこに体が位置しているのかを認識する固有受容感覚の調整が

播磨灘でマダコの漁獲量が激減していることから、兵庫県明石市と淡路島西岸の11漁協は16日、明石市内で会合を開き、明石海峡西側の好漁場「鹿ノ瀬」で連携して資源保護に取り組むことを確認した。各漁協に所属する釣り船業者に協力してもらい、一般釣り客らの監視強化などに取り組む。明石市のタコ(一部イイダコなどを含む)の漁獲量は2016年以降低迷している。昨年は143トンと前年の約2割に落ち込んだ。淡路島でも、最も水揚げが多い富島漁協でマダコの漁獲が前年の3分の1の40トンに激減。今年も昨年並みの不漁だったとみられる。 原因は不明だが、海の栄養低下や、タコ釣り人気の高まりが考えられる。漁師らしか操業できない漁業権設定海域でも、遊漁船やプレジャーボートでタコを釣る人が絶えないという。明石市漁協連合会では20年から、漁協所属の釣り船業者が明石沿岸での操業を午前中に制限。監視も強めて一般釣り船の減少につな

日本の漁業補助金には、目的も形骸化し「延命治療」となり果てているものも少なくない。北海道の現場を歩くと、補助金をつぎ込んでも衰退が止まらない、漁村の現状があった。 『Wedge』2022年10月号に掲載されているWEDGEREPORT「世界からも疑問の声 補助金漬けの漁業はもうやめよう」では、そこに欠かせない視点を提言しております。記事内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。 今年6月17日、世界貿易機関(WTO)閣僚会議は「閣僚宣言」を6年半ぶりに採択し閉幕した。同宣言の目玉の一つとなったのが、「漁業補助金協定」の合意だ。 そもそも政府による補助金投入は市場による自由な競争を歪めるというマイナスの側面を持つ。漁業についても、補助金がつくならばと皆が競って漁船を大型化するなどして漁獲能力を上げてしまえば、魚を獲

仏パリの博物館に展示されたネアンデルタール人の頭部の模型(2018年3月26日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / STEPHANE DE SAKUTIN 【7月20日 AFP】旧人類ネアンデルタール(Neanderthal)人は石を打ち合わせて火花を飛ばし、火を起こす方法を知っていたとする研究論文が19日、発表された。フランスの遺跡で発見された5万年前の道具の分析に基づく研究結果だという。 ネアンデルタール人が火を使用していたことはすでに知られていた。その火をめぐっては落雷や火山噴火などの自然の原因で生じたとの見方が大半だが、彼らが火を起こす方法を実際に知っていたのではと推測する見方もある。 英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(ScientificReports)」に論文を発表した研究チームが主張しているのは、この後者の方だ。

【AFP=時事】進行性の乳がんを患い、化学療法が効かずにがん細胞が他の臓器に広がっていた女性患者に対し、免疫系に働きかける実験的治療を施したところ、がんが完治したとの研究結果を、米国の研究チームが4日発表した。 【写真】小さなしこりも触知、目の不自由な女性が行う乳がん検診 女性は2年間にわたりがんのない状態を維持しており、研究チームはこの結果を末期乳がんに苦しむ患者の治療における「新たな免疫療法アプローチ」と説明。研究に関わっていない専門家からは、「胸躍る」結果だとの声も上がっている。 免疫療法はこれまで、肺がんや子宮頸がん、白血病、メラノーマ(悪性黒色腫)、膀胱がん患者の一部で効果があることが示されていたが、腸がんや乳がん、卵巣がんでは突破口を開けていなかった。 医学誌ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)に掲載された論文によると、当時49歳だった患者の女性は、従来型の

鉄道総合技術研究所が、「鹿の鳴き声と犬の鳴き声を組み合わせた忌避音」を利用した、鉄道車両と鹿の接触事故防止手法を開発しました。 鹿の目撃回数が約45%減少JRグループの公益財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は2017年11月14日(火)、「忌避音」を利用した、鉄道車両と鹿の接触事故を防止する手法を開発したと発表しました。 鉄道総研が考案した「忌避音」は、鹿が仲間に危険を知らせる時に発する「警戒声」と、犬の鳴き声(咆哮音)を組み合わせたもの。警戒声によって鹿の警戒心を喚起し、犬の咆哮音によって鹿を遠ざける手法です。「忌避音」は走行する車両から鳴らすため、鹿の侵入を防止する柵など、従来の対策を実施できない箇所に有効といいます。 「忌避音」を利用した鹿の車両接触事故防止手法のイメージ(画像:鉄道総研)。 鉄道総研は、接触事故が多い冬場の夕方から深夜にかけ、約3秒間の鹿の警戒声と、約20秒間

遺伝子の異常で体じゅうに水ぶくれができる病気によって、体の皮膚のおよそ80%を失った子どもに、正常な遺伝子を入れた細胞を培養して作った皮膚を移植する治療に成功したとドイツなどの研究グループが発表し、遺伝子の異常で起きるほかの病気の治療にもつながるとして注目されています。 治療を受けたのは「表皮水ほう症」という10万人から20万人に1人の割合で起きるとされる難病にかかった当時7歳の男の子です。 この病気は遺伝子の異常で体じゅうに水ぶくれができて、皮膚のがんにも至る難病で、研究グループは、男の子から水ぶくれになっていない部分の皮膚の細胞を採取し、正常な遺伝子を入れて培養しました。 男の子は、背中や足など体のおよそ8割の皮膚の表面部分を水ぶくれでなくしており、細胞から培養した皮膚をおととしから3回に分けて移植したところ皮膚は定着しておよそ2年たった今も拒絶反応も水ぶくれも出ず、元気になってサッカ

ウズベキスタンで出土したゾロアスター教関連の板絵。最上段に女神、下段にハープに似た弦楽器や琵琶とみられる楽器を奏でる楽隊が浮き彫りされている(帝塚山大提供) 8世紀初頭に焼けたウズベキスタンにあるシルクロード都市の遺跡「カフィル・カラ城」で、正倉院宝物に似た楽器が描かれたゾロアスター教関連の板絵が出土したと、帝塚山大(奈良市)などのチームが2日、発表した。 炭化しているが、祭礼の場面とみられ、同様の板絵が完全な状態で発掘されたのは世界初。シルクロード交易を担ったソグド人や、キリスト教などに影響を与えたゾロアスター教の研究に役立つ成果としている。 木製で、縦1.3メートル、横1.4メートルの4段構成。最上段に獅子に腰掛ける女神ナナー、下段に楽器を奏でる楽隊、火や供物をささげる人が浮き彫りされている。

東北大学大学院医学系研究科の赤池孝章(あかいけ たかあき)教授らのグループは、ヒトを含む哺乳類が硫黄代謝物を利用した新規なエネルギー産生系(硫黄呼吸と命名)を持つことを、世界で初めて明らかにしました。本研究は、哺乳類が酸素の代わりに硫黄代謝物を使用してエネルギー産生していることを明らかにした科学史に残る画期的な発見です。今回の新しい「硫黄呼吸」メカニズムの発見は、老化防止・長寿対策、肺気腫や心不全などの慢性難治性呼吸器・心疾患、がんの診断・予防・治療薬の開発に繋がることが期待されます。本研究成果は、2017年10月27日10時(英国時間、日本時間10月27日18時)に、英国科学誌「Nature Communications」に掲載されました。 ポイント ヒトを含む哺乳類は酸素呼吸によってエネルギーのほとんどを産生しており、生命活動を維持するためには酸素が必須であると考えられていた。 この
産業技術総合研究所と東北大学は、地震を生じる断層周辺の岩石の亀裂内で石英が析出する時間を算出する新しい計算モデルを開発。このモデルにより算出した石英脈形成時間が、地震の繰り返し周期と一致することを発見した。地震発生周期の予測などに役立つと期待される。 今回研究グループは、過去に巨大地震が発生したとされる宮崎県の延岡衝上断層の周辺に分布する石英脈に注目。石英脈は地殻中の水に溶けたシリカが岩石亀裂内に石英として析出したもので、この現象により地下の水の溜まる場所、流れる方向、流体圧などが変わる可能性がある。そこで、石英脈の形成時間を算出できる計算モデルを開発した。 延岡衝上断層に相当する深さ10 km、温度250 ℃の条件での計算を行った。その結果、石英脈(当該断層の平均サイズ)の形成にかかる時間は6年から60年程度、また、比較的大きな亀裂でもほとんどが300年以下で石英脈になることがわかった。

1988年から2010年の22年間に、対象者のうち約1万4000人が亡くなり、うち約3000人は心臓や血管の病気、約5400人はがん。 交代制夜勤のある人は、全く夜勤の無い人よりも死亡率が11%高く、中でも夜勤を6~14年続けている女性は、心臓や血管の病気による死亡率が19%、15年以上続けている人は23%も高い。 肺がんによる死亡率が25%高かったものの、がんと交代制夜勤との関連は確認されず、先のWHOの見解に追従する結果にはならなかった。 などなど……、国内外を含め多くの研究で長時間労働および深夜勤務と、脳血管疾患若しくは心臓疾患とは強く関連していることが明確に認められています(Liu Y, Tanaka H, The Fukuoka Heart Study Group (2002) Overtime Work, Insufficient Sleep, and Risk of Non

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