皆さんこんにちは。今回は、2022年4月30発売の『良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門』を読み終わったので、書評という形で感想と紹介を述べたいと思います。筆者はもともと技術書を読まず「ネットでいいやん」派だったのですが、このたびTypeScript入門書を出版したこともあり、それを過去の話として葬り去るべく技術書を読んでいくことにしました。せっかくなので、読んだ技術書の感想等を紹介します。 おことわり: この記事では、「筆者」とはこの書評を書いた人を指し、『良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門』を書いた人のことは「著者」と呼びます。また、この記事の内容はすべて筆者の個人的な見解であり、本の内容や本を読んで得られる知識について何らかの保証をするものではありません。 筆者について筆者はフロントエンドエンジニアで、TypeScriptとReactを専門としています。業務では何だかんだで設計の番

『数学の想像力 正しさの深層に何があるのか』筑摩書房 加藤文元/著本書の大きな問いは、「数学における<正しさ>とは何か?」というものだ。この問いの意味が分からないという人もいるだろう。しかし、その点に触れるのは後回しにすることとして、まず、数学における「証明」について書いていこう。本書によれば、数学における「証明」というのは、古代ギリシャで生まれた。そして、ここが重要なポイントなのだが、古代ギリシャで“しか”生まれなかった。数学というのは、中国・インド・アラビア・日本など様々な地域で、様々な時代に発展したが、そのほとんどが「いかに計算するか」を追い求めた。ただ唯一古代ギリシャのみが、「証明」という手法を生み出したのだ。 では、何故古代ギリシャだけが「証明」という手法を生み出し得たのか。そこには、「無理数」と「無限」に対する“恐怖”があった。 「無理数」については有名な話だから、知ってい

共著者として参加していた書籍『React,Angular,Vue.js,React Nativeを使って学ぶ はじめてのフロントエンド開発』が、2018/5/9に技術評論社さまより発売となりました。React、Angular、Vue.js、React Nativeを使って学ぶ はじめてのフロントエンド開発 作者: 原一浩,taisa,小松大輔,永井孝,池内孝啓,新井正貴,橋本安司,日野洋一郎出版社/メーカー:技術評論社発売日: 2018/05/09メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る どんな本かReact、Angular、Vue.js、React Nativeそれぞれが、同じサーバのAPIを参照し、同様の機能を持ったアプリケーションとして作成します。React Nativeは、ネイティブアプリを開発するためのフレームワークなため、SPA(Single-page

※キャンペーンは終了しました。たくさんのご応募、ありがとうございました。 ゴールデンウィークはみなさんどのように過ごされているでしょう? まとまった時間がせっかく取れることだし、とことん好きなことに没頭したい! という方も多いかもしれません。好きなことを時間を惜しまずに突き詰めると、やがて立派な実を結ぶこともあるでしょう。それを体現しているかのような4人のブロガーさんの著作が、この春立て続けに刊行されました。 週刊はてなブログではゴールデンウィーク特別企画として、それぞれの著作を紹介するとともに、計11名様に著書が当たるプレゼントを実施します。ぜひお好きな本をリクエストしてください。詳細は記事末の応募要項を参照。 あなたの「虫スイッチ」も押される? メレ山メレ子『ときめき昆虫学』 ブログ「メレンゲが腐るほど恋したい」のメレ子 (id:mereco) さんが、2冊目の単著『ときめき昆虫学』を

SF作家・山本弘のblogです。小説・アニメ・特撮・マンガから時事問題にいたるまで、いろんな話題を取り上げていきます。 HPはこちら。 山本弘のSF秘密基地 http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/ すみません。先月出た本なんですが、うっかりPRするの忘れてました。 ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会) 『謎解き 超科学』 彩図社 1470円+税 執筆陣はいつものメンバーに加え、菊池聡さん(信州大学人文学部准教授)、黒川ゆきさん(ホメオパシー・ウォッチャー)、小波秀雄さん(京都女子大学部教授)、道良寧子さん(管理栄養士)にお願いしました。 ―目次― はじめに――かつての自分に贈りたい本(本城達也) 【第1章】日常に潜む超科学の真相 電磁波は健康被害を引き起こす!? 【浴び続けるとガンになる恐怖の波長】(蒲田典弘) サブリミナル効果は存在するか
よく学ぶための7冊/学習技術のシルバーリングス読書猿Classic: between / beyond readers から4冊エントリー。 『図書館に訊け! 』と『本を読む本』は他にも何度か登場している。元ネタになったり前提になっている記事は他にもあるほどの常連(繰り返しプッシュしてきた甲斐があった)。 『本を読む本』は能動的読者に、『図書館に訊け! 』は能動的図書館ユーザーになるためのMUSTアイテム。 今「よく読むためのn冊」というのを書いているけれど(書き上がるのはだいぶ先だと思う)、〈もう少し先のこと〉を書く予定なので、この2冊は出てこない。 あと「図書館に訊け」というタイトルで思うだしたのは、実はこの写真。 (クリックで拡大) このブログで時々「図書館となら、できること」というお話を書いている。書きながらいつも思っていることだけど、レファレンスワークとかレファレンスサービスと

昨日、@irofさんと飲みながら自分を思い返すと「ちゃんとソフトウェア開発を勉強しはじめてから3年間たった」つまり「@bleisさんを知ってからこの5月でまる3年間たった」 それまでの僕はデザインパターンもオブジェクト指向がなんたるかも、バージョン管理もなにも知らなかった。 毎日言われたことをこなす仕事をして、変えたいけど誰も教えてくれないし、学び方すら教えてくれなかった。 それなりに努力してたけど、よくはわかっていなかった。 そんな状態から抜け出したのが3年前。このブログの先頭でも書いた。当時僕は21歳かな。(ちなみに就職したのは19歳のとき) →【このブログをはじめるきっかけ - うさぎ組】 この3年間でやったことをふりかえってみようと思いました。 ちょっとわかりにくいだろうけど、2009年5月からの12ヶ月周期で書いてみます。 こうやって振り返るのはあくまで僕のためであって、何かを誇

2012年04月06日16:15 カテゴリ書評/画評/品評SciTech 人類最大の課題 -書評 - 探求 探求(上下巻) Daniel Yergin / 伏見威蕃訳 [原著:The Quest] 出版社より献本御礼。 循環器の理解なくして人体の理解がありえないように、エネルギーの理解なくして人類の理解はありえない。そして循環器系統の疾患の克服が医療にとっての最大の課題の一つであるように、エネルギー問題の克服が人類にとって最大の課題の一つ--個人的には「一つ」は不要だと考えている--であることは間違いない。 この話題を包括的に扱うにあたって、「石油の世紀」の著者以上の適任者がいるだろうか?本書「探求」の副題は、原題"The Quest: Energy,Security, and the Remaking of the Modern World"にあるように、「(新)エネルギー、安全保

書評は当ブログのメインのコンテンツとなっています。毎日ブログを更新する(平日のみ)と決めている私にとって、書評は計算できるコンテンツです。一冊読めれば、確実に一記事を更新できるからです。書評にはコツがあります。私が書く書評が面白いかの判断は皆さんに任せるとして、もし当ブログのような書評を書きたい方は、これからご紹介するポイントを抑えておけば、誰でも書評が書けるはずです。 Tagged! / laszlo-photo 1.「自分が主役」を強く意識する本のあらすじを順番に書いて、その都度「私もそう思いました」「共感しました」のような平凡なコメントを付けていく書評が多いです。このパターンの書評は「本」の内容が主役になってしまい、凡庸な文章になりがちです。絶対にこういう書評は書かないことです。 個性というのは、ある種の「無理」や「歪み」だと思います。無理や歪みが一切ない整然たるものというのは、

2010年06月05日18:00 カテゴリ書評/画評/品評Value 2.0 景気の波より人口の波 -書評 - デフレの正体 角川書店岸山様より献本御礼。 デフレの正体 - 経済は「人口の波」で動く 藻谷浩介 さらにブロガー向けセミナーにもご招待いただいたので、参加させていただいた。 弾言する。著者ほど日本の現状をしっかり把握している人はいないと。数多の経済学者たちがスルーしてきた日本の本当の実情が本書にはある。 我が意を得たりとは、このことだ。本書「デフレの正体 経済は「人口の波」で動く」は、平成合併前の約3200市町村の99.9%、海外59ヶ国を概ね私費で訪問して来た著者による、「日本の傾向と対策」。 目次 第1講 思い込みの殻にヒビを入れよう 景気判断を健康診断と比べてみると/ある町の駅前に表れた日本のいま 第2講 国際経済競争の勝者・日本 世界同時不況なのに減らない日本人の金融

2011年01月12日18:30 カテゴリ書評/画評/品評Taxpayer 「彼ら」の言い分 -書評 - リアル公務員 英治出版杉崎様より献本御礼。 リアル公務員 町田智弥文/ かたぎりもとこ画 君たちの言い分はわかった。 でも、これじゃ駄目だろ?本書「リアル公務員」は、タイトルどおりリアルに公務員な著者による公務員の実情に、かたぎりもとこが絵を付けたエッセイ。 はじめに 「いや、私だってね…」 「そうは言うけどさ…」 話し始めるときに、必ず否定から入る人。 その人が公務員である確率はとても高いでしょう。 何か言われると、つい否定してしまう。 何も言われなくても、「いや、でもね」と否定形から話してしまう。 オビより なんで、ちっとも伝わらないんだろう? それを伝えるという点において、本書は今までで最も上手に伝えた一冊であると思う。公務員と何らかの接点がある人は、それだけで本書は買いであ

2011年01月07日11:30 カテゴリ書評/画評/品評Value 2.0 職がなければ遊べばいいのに -書評 - コンピュータが仕事を奪う コンピュータが仕事を奪う 新井紀子 この話題に正面から取り組んだ本は意外と少ない。はじめから日本語で書かれたものともなると、なおのこと。その意味において本書は仕事を必要とする人全てが読んでおくべき一冊である。 しかしこの問題は「正面から取り組む」という姿勢そのものが間違いだという思いを年々強くしている。本entryはよって、本書に何が書かれているかより何が書かれていないかを主に書くことになる。本書「コンピュータが仕事を奪う」は、コンピューターと知的労働の関係を、教育者らしく真面目に、数学者らしく必要十分に考察した一冊。だからこそ、この問題に関する「正解」を提示するのに失敗している。 オビより 人間の仕事を楽にするはずのコンピュータは、爆発的な処

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