■和解金と特許料で「半導体は金がかかる」 そのため、当然のこととして日本企業各社は大いに反発し、東芝や日立などは逆提訴の構えを見せたが、結局のところ250億円という巨額の和解金を払って和解が成立することとなる。 だが、これで終わらないのがテキサス・インスツルメンツである。今度は一般のIC技術と異なり「半導体基板に互いに距離的に離間して配置された複数の回路素子を導体として被着して配線した半導体回路」として定義されるキルビー275特許を使用するには本来のIC技術(これが狭義の「キルビー特許」)の実施権の取得が前提になるとの論法であった。 そして、またしても東芝、沖電気、松下電子、NECがそれぞれ毎年百数十億円から百億円前後を払わされるようになったのであるから、これら企業が「半導体は金がかかる」と思わされてしまったことになる。 ■日本のシェアを下げることが努力義務に ただし、この時、業界4番手の

JavaScriptランタイム「Deno」の開発元であるDeno Landは、米国特許商標庁にオラクルが所有する「JavaScript」の商標登録の取り消しを申請したことを明らかにしました。JavaScriptはNetscapeがWebブラウザ用に開発したプログラミング言語であることはよく知られていますが、その名称はサン・マイクロシステムズが登録商標として所有し、同社がオラクルに買収されたことで現在はオラクルが所有しています。 Node.jsの作者であり、現在はDenoの作者であるライアン・ダール氏は、これまでに2回、2022年9月と2024年9月にオラクルに対してJavaScriptの商標を手放してほしいと公開書簡で呼びかけていました。 2回目の呼びかけの時には、次のアクションとして米国特許商標庁に取消を申請することを表明しており、今回それが実行されたことになります。 今回Denoが申

社会制度のバグ? 本人確認の穴を突いたマイナンバー過信の新手口とは:小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ) いわゆる振り込め詐欺の手口は、いつの時代にも手を替え品を替え新しい手法が開発され続けてきているが、今年3月にはこれまで聞いたことがない手口の詐欺事件が発覚した。読売新聞オンラインが報じたところによると、女性のマイナンバーカードの情報を元にネットバンキング口座を無断で作り、そこに本人に現金1400万円を振り込ませたという。 これだけでは何がどうなっているのかわかりにくいが、これはマイナンバーを使った本人確認の穴を突いた犯行と見ていいだろう。今後の課題も含め、この事件から読み取れる情報を整理してみたい。 口座とは無関係なアクション 2024年1月、70歳代の女性宅に「総合通信局」の職員や警察官を名乗る人物から「口座の情報が流出している」などと電話があったという。 警察はまあわかるが、総合

ジョージア州のアトランタを拠点とするハイテク企業の元最高執行責任者(COO)が、2018 年に 2 つの病院に意図的にオンライン攻撃を仕掛け、後にその事件を引き合いに出して売り込みを行った事件の裁判で有罪を認めた。 Securolytics の元 COO、ヴィカス・シングラは先週、司法取引に署名し、その中で 2018 年 9 月に Gwinnett Medical Center の Ascom 電話システムを使用不能にしたことを認めた。Securolytics は、医療機関などにサービスを提供するネットワークセキュリティベンダーである。 Gwinnett Medical Center はジョージア州のダルースとローレンスビルで病院を運営している。Ascom 電話システムが意図的に遮断されたことで、医師と看護師をつなぐ主要な連絡回線が使えなくなった。心臓や呼吸器系などの措置が必要な緊急事態「

大阪に本社のあるジェネリック医薬品大手の「沢井製薬」は、九州の工場で製造した胃薬について、販売後に品質を確認する試験を国の承認を得ていない不正な方法で実施していたと発表しました。これまでに健康被害などは確認されていないということで、会社ではこの工場で製造した薬の自主回収を進めています。 沢井製薬の発表によりますと、福岡県飯塚市にある九州工場で製造した胃薬『テプレノンカプセル50mg「サワイ」』について、販売後に効果や安全性が保たれているか確認するための試験でカプセルから薬の成分が溶け出す割合を調べる際、国の承認を得ていない不正な方法で実施していたということです。 具体的には、試験の前にカプセルから中身を取り出し劣化していない新しいものに詰め替えていて、ことし4月にこの工場の品質管理部門の担当者が代わったことをきっかけに発覚したということです。 会社が調査委員会を立ち上げて調べた結果、不正な

暴力団への締め付けが進んだ2000年代以降、北九州や周辺では凶悪事件が相次ぎ、市民は暴力の影におびえた。戦場兵器までが使われ、「修羅の国」と揶揄(やゆ)された。福岡県警は前例がない「工藤会壊滅作戦」に乗り出し、日本唯一の特定危険指定暴力団の上層部を軒並み逮捕し、法廷では検察と弁護側が全面対決した。西日本新聞の工藤会トップ裁判取材班は、20年以上にわたる取材の内容を新著「落日の工藤会」(KADOKAWA)にまとめた。その中から、壊滅作戦の舞台裏や法廷での攻防などを報告する。 【法廷スケッチ】落ち着かない様子も…判決の言い渡しを聞く野村悟被告 「あんた、生涯、このこと後悔するよ」 法廷で耳にすること自体が疑われる言葉だった。そう言った男の目は裁判長を見据えていたのだから恫喝(どうかつ)に等しかった。 傍聴席ではざわめきが起きている。 2021年8月24日、福岡地裁101号法廷。この言葉を言い捨

筆者はこれまで数多くのモダナイゼーション案件を見てきた。その経験からエッセンスを抜き出し、実際に起こりうる問題や現場の葛藤をストーリーに仕立てて、架空の「事件簿」として紹介する。今回紹介するのは、保険会社を支えるレガシーシステムのモダナイゼーションで起こった事件だ。 華々しい脱メインフレームの裏で起こった事件 「50年間、我が社の基幹業務を支えてきたメインフレームの火を落とす日がいよいよ来たな。切り替えテストを繰り返し行ってきたので問題ないはずだが、ドキドキするよ。今後は後任の君たちによるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に期待しているよ」 今回の舞台は大手保険会社だ。2030年、新年を迎えるモダナイゼーションプロジェクトルームに、新システムの稼働を花道に定年を迎えるシステム部長の高揚した声が響いた。 半年後、新任のシステム部長はこう言って頭を抱えていた。「新システムは稼働したが

客によるITベンダーへの丸投げと、人月商売にありがちなITベンダーによる現場丸投げのなれの果てだな。調査報告書に目を通して、そんな感想を持った。何の話かというと、兵庫県尼崎市で再々委託先の技術者が泥酔してUSBメモリーを一時紛失し、そこに保存されていた全市民の個人情報を漏洩の危機にさらした例の事件の報告書である。ただもう1つ別の感想がある。「こんなひどい報告書を読んだのは初めてだ」。 この報告書は尼崎市が2022年11月28日に公表した直後に読んだ。人月商売のIT業界と客のIT部門などのアカンところを徹底的にえぐり出して、悔い改めてもらうことを仕事の本分と心得ている私だから、当然のことだ。で、読み始めたのだが、いろんな意味で「何じゃこりゃ」とあきれてしまった。BIPROGY(旧日本ユニシス)の客先、尼崎市の現場は、人月商売にありがちとはいえ、やりたい放題。尼崎市は究極の丸投げでベンダーマネ

こんにちは。 弁護士の林 孝匡です。 今回はニュースのザックリ解説です。 「東北へ転勤してね」 と転勤命令を出された女性社員が断ったところ・・・解雇された事件です。 先日、東京地裁は「転勤命令は嫌がらせでしょ」「解雇は無効だ」と判断しました。 以下、ニュースの内容と転勤命令が無効になるケースについて解説します。 ニュースの内容 転勤を断った40代の女性が解雇されました(以下「Aさん」)。 東京地裁は11月22日、「解雇は無効」と判断しました。 理由は「解雇の権利を濫用した!」というもの。 会社は「あんしん財団」(東京都新宿区)。 中小企業向けの特定保険業等をおこなう一般財団法人です。 財団がAさんを解雇するに至った経緯は以下のとおり。 財団は2000年ごろ、当時の理事長の汚職事件で経営が悪化。 2013年から経営改革の一環として、事務職を営業職に転換する策を講じました。 そこで、あんしん財

テクノロジーの発達によって、生活は便利になっている一方で、誰もがサイバー犯罪とは無縁でいられなくなった現代。株式会社網屋主催の「SecurityBLAZE2022」では、セキュリティの最前線で活躍するエキスパートが集結し、さまざまなサイバー犯罪の手口や対策方法について講演を行いました。本講演では「サプライチェーンに対するサイバー攻撃」と題し、実際にサイバー攻撃に見舞われた半田病院の事例をもとに、中小企業のための防衛策について解説しています。 軽視されている、サイバー社会の「安全安心」 森井昌克氏:神戸大学の森井です。「サプライチェーンに対するサイバー攻撃」という題で、副題は「半田病院の事案が示唆する中小企業が可能なセキュリティ対策」ということになっております。それでは講演を始めさせていただきます。 まず簡単に自己紹介です。ここでお話しておきたいことは、この黄色い枠に囲まれているように、

藤本貴之[東洋大学 教授・博士(学術)/メディア学者] *** 安倍晋三前首相殺害事件の犯人が「統一教会に家族を破壊された」ことを動機にしていたことから、急速に再注目されている「旧・統一教会と政治の問題」。80年代から霊感商法や合同結婚式、多額献金といった問題が批判の対象となってきたが、今回、久しぶりに大きな注目を集めることとなった。 旧・統一教会が想像以上に日本の政界に深く食い込んでいたというニュースは、スキャンダルとしてワイドショーや情報番組でも連日報じられたことで、それは国民的恐怖ともなった。その結果、「政治と統一教会」だけでなく、アンタッチャブルとされてきた政治と宗教の問題をも国民的関心となっていったことは、不謹慎かもしれないが、いわば「怪我の功名」なのかもしれない。 一方で、「統一教会問題」について実業家「ひろゆき」こと西村博之氏が、なぜか積極的に追求し、統一教会と関係のあった政

富士通クラウドテクノロジーズは5月16日、政府のクラウドサービス認定制度「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度」(ISMAP)に登録しているパブリッククラウド「ニフクラ」「FJcloud-V」が不正アクセスを受けたと発表した。ロードバランサー(負荷分散用の装置)の脆弱性を突かれ、一部ユーザーのデータや認証情報を盗まれた可能性があるという。 不正アクセスがあったのは7日午後3時ごろから9日午後10時30分ごろの間で、サービスのコントロールパネルやAPIへのアクセス情報、ロードバランサーを経由した情報、ロードバランサー上にあるユーザー証明データなどが盗まれた可能性がある。 攻撃者は4日に装置メーカーが公表した脆弱(ぜいじゃく)性を悪用して侵入したとみられる。富士通クラウドテクノロジーズによる防御システムの設定不備も原因になった可能性がある。同社は12日までに脆弱性の修正とアクセス防御を

リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く