twitterでは社会学批判が喧しいが、当然ながら社会学内部からも同様の批判はある。それをメモ代わりにまとめておく。 太郎丸博:査読文化の欠如 「社会学者からの社会学批判」として昨今のインターネットSNSで最も引用されているのは、2009年の太郎丸博氏のブログ記事「阪大を去るにあたって: 社会学の危機と希望」であろう。彼の主張を端的に表す部分を抜き書きすると下のあたりだろう。 「最後に日本の社会学に対する危惧を一つ述べておきます。日本の社会学の特徴は、アカデミズムの軽視だと思います。すなわち、学会報告や学会誌を軽視しているということです。学会発表もせず、学会誌に論文を投稿もせず、それでも社会学者づらして本を出版したり、さまざまなメディアで発言することができるのが、日本社会学の実情です。」 「アカデミズムを軽視し、本に好き勝手なことを書くことを理想とするようになります。研究そのものから降りて
ブリュノ・ラトゥールが中心となって提唱するアクターネットワーク理論は、最近のモノの実在論などにも通じる、興味深い方法論に思える。要は社会的・自然的に存在するあらゆるものをアクター(働きかけるもの)と捉え、その作用が連なって(エージェンシー)織りなす連鎖(ネットワーク)として現象を捉え返そうとする思想、ということらしいのだが、そうは言っても、個別的な作用の具体的な記述がどんなものになるのかは今ひとつ見えない。というわけで目下、そのラトゥールによる『社会的なものを組み直す: アクターネットワーク理論入門 (叢書・ウニベルシタス)』(伊藤嘉高訳、法政大学出版局、2019)を読んでいる。まだ前半に相当する第一部のみ。 アクターネットワーク(ANT)の入門と銘打っているが、それにしてはずいぶんと長大な入門書。けれども記述そのものは比較的平坦な印象で、その意味では入門を謳っているのもわからないでもない

本稿の目的は,ニクラス・ルーマンが『制度としての基本権』(1965年)において最初に提示した機能分化社会という秩序表象が立つ共時的・通時的連関の解明にある.共時的な観点からは,ルーマンの機能分化社会理論が,公共性や公的秩序といった概念を手がかりとした,ドイツ的国家概念の批判という,同時代のドイツ連邦共和国の理論家の幾人かに共通して見られる試みの一ヴァージョンであったことが示される.ルーマンの機能分化概念は,かかる国家概念を支える19世紀ドイツの社会構造と見なされていた国家と社会の二元主義へのオルタナティヴであった.通時的な観点からは,機能分化社会という秩序表象がカール・シュミットの全面国家との比較から分析される.ルーマンは,シュミットのいう社会の自己組織化を,社会全体の政治化による自由なき全面国家の成立と見なし,それを批判するために機能分化を維持するためのメカニズムを探求した.政治システム
どうもありがとうございます。やっと出た。 少なく見積もっても10年は翻訳が遅かったと思いますが、出ないよりはずっとよいですな。 それにつけても版権取得したまま長年にわたって翻訳を止め続けてた前訳者が煉獄の業火に焼かれて悶え苦しみますように。 リスクの社会学 作者: ニクラス・ルーマン,Niklas Luhmann,小松丈晃出版社/メーカー: 新泉社発売日: 2014/12/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 版元:http://www.shinsensha.com/detail_html/04shakai/1407-2.html 序文 第1章 リスクの概念 第2章 リスクとしての未来 第3章 時間拘束─内容的観点と社会的観点 第4章 観察のリスクと機能システムのコード化 第5章 ハイテクノロジーという特殊事例 第6章 決定者と被影響者 第7章 抗議運動 第8章 政

お知らせ 一覧 2018年11月15日 冬講座の申し込み受付、順次スタート! 2018年09月19日 特集「年賀状&Xmasカード」オープン 2018年08月30日 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に関連した講座を特集しました 2018年08月30日 朝日新聞創刊140周年記念「司馬遼太郎連続講座」 2018年07月10日 首都圏、大阪、九州の各本部で社員(新卒・社会人)を募集します 2018年05月21日 東博の特別展にちなみ、縄文時代に関連した講座を特集しました 2018年03月23日 特集「皇位継承」をオープンしました 2018年01月31日 受講申し込みなど一部ページをリニューアル 2018年01月19日小説講座の根本昌夫さん指導の2人に芥川賞 2017年12月25日 【新宿教室】小説実作講座の受講者が受賞
※趣旨文に書くべきことのメモ: ルーマンについては、これまで オートポイエーシスがどうの、コミュニケーションの定義がどうの、ダブルコンティンジェンシーの規定がどうの、といった 実質的な社会学的分析には ほとんど関係のない、比較的 どうでもいい論点に議論がフォーカスされてきた恨みがあります が、せっかく主著シリーズがほとんど訳され、プロジェクトの全貌が見渡せるようになってきたわけなので、なるべくはやいとこ実質的な議論ができるようになりたいものです。 なので今回の合評会では、そちらの方向で企画をたてましょう。 別言すると「政治学・政治思想の教養がふつうにある人で、かつ、これまでルーマンにほとんど関心を持ってくれなかった人たちに、どうやったら買って・読んでもらえるか」を考えましょう。 ということで、この課題に取り組む準備として、 比較的長いこと(しかしやや距離をもって)ルーマンに付き合ってきた方
過去の講義内容の概略 2014年秋 「現代の社会学:行動科学と人間のモデル」 2015年秋 「行動科学とアメリカ社会学」 2017年秋-2019年秋、2021年秋-2022年秋 「ロバート・マートンと20世紀アメリカ社会学」 2018年春 「芸術・芸術批評と言葉」 2019年春-2022年春 「データセッション実習」 2021年春-2023年春 講読講義「自己啓発のアメリカ」 来年度以降の講師依頼について 依頼状況/過去の講義記録 外部者の聴講について このページは、酒井泰斗が2014年秋から開始した非常勤講師(社会学史ほか)の お仕事について紹介するものです。 1. これまでにおこなった講義内容の概略 2014年秋講義: 現代の社会学──行動科学と人間のモデル 20世紀北米ローカルな学としての現代社会学の歴史を 行動科学との関連性にフォーカスして捉えることを目標とし、 第二次大戦後におけ

→紀伊國屋ウェブストアで購入 「「よい」コミュニケーションをイメージする功罪」 「私はコミュニケーションが嫌いだ。できれば人と会いたくない。ひとりでいたい。電話もメールもしたくない・・・・」。こんな意外な(あるいは、図星を突いた)言葉で、この本は始まります。著者の奥村隆さんは、立教大学社会学部教授。以前、私が千葉大学文学部に助手として勤めていたときに同僚(先輩)としてたいへんお世話になった方です。「あとがき」によると、この本は、立教大学での「自己と他者の社会学」および上智大学での「コミュニケーションの社会学」という講義に論文を織り込んで作られたものです。コミュニケーションが嫌いで仕方のない(でもコミュニケーション抜きには生きていけない)著者が、さまざまな社会学者や思想家などを訪ねて歩き、議論してまわるというユニークな設定が施されています。 このような設定であるため、おおよそ一章ごとに一人な

c鈴木さん と いなばさんにいただいたコメントを受けてのメモ。 スレ一覧。 http://d.hatena.ne.jp/demian/20041121 http://d.hatena.ne.jp/rna/20041122#p1 http://d.hatena.ne.jp/contractio/20041122#1101099991 http://d.hatena.ne.jp/contractio/20041122#c http://www.asvattha.net/clips/blosxom.cgi/Studies/Sociology/0411231334.htm http://d.hatena.ne.jp/contractio/20041124#1101278529 http://d.hatena.ne.jp/contractio/20041124#c http://d.hatena.n

社会システム論 Ⅰ 社会システム論の考え方 1 社会システムとは 新 し い 社 会 シ ス テ ム 論 ( social systems theory)に依拠して、社会システム、組織、ネ ットワークの関係をとらえ、その循環形式に ついて論じるのが本稿の目的である。そこに は、最新のネットワーク理論を社会事象に応 用した拙著『遠距離交際と近所づきあい』 (NTT 出版、2007 年)では扱いきれなかった 多くの論点が、盛り込まれている。 以下詳述するように、本稿では、社会シス テムを、 「共通目的のために、意識的に調整さ れた、2人以上の人間の、協働活動や諸力の 体系」と定義する。 日々、私たちは多くの社会システムと関係 している。人々は、学校、役所、企業といっ た公式組織に属し、また、家族や友人と個人 的関係を持っている。ほかにも、旅先、街頭、 イベントなど、無数の出会いがある。 こ
ジン @gine_joyboxd-laboセミナー「感情社会学から見えるもの」概要より>いま、人と人とのかかわりのなかで、「感情」について考えることが増えていないだろうか。こんな感情は人に見せてはいけないのではないか、なぜあの人はあんなふうに感情を爆発させてしまうのか、自分らしい感情とはどのようなものなのか… 2011-02-10 19:00:38 ジン @gine_joyboxd-laboセミナー 感情社会学から見えるもの 奥村隆氏「普段は立教大学でコミュニケーションの社会学を教えています。とは言え、自分自身がコミュニケーション上手とは言えず、このセミナーでは良いコミュニケーションの技法などを教える事はできません(笑」 2011-02-10 19:07:22 ジン @gine_joyboxd-laboセミナー 感情社会学から見えるもの 奥村隆氏「コミュニケーションには、お互いによく

またすごいものを読んでしまった。 50頁の大論文です。今年度最大の収穫といってよいでしょう。 高橋吉文(2011)「Hypotheses fingo(仮説を虚構する) : ルーマンの不確定性三変化 その1」、『メディア・コミュニケーション研究』 61、北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 1.荒海や 2.プラトンのイデア 3.洞窟の比喩 4.リスク社会 5.リスク/危険/破局 6.危険Gefahrの両義性 7.第二次オーダーへの回首 8.多重隠蔽の必然性 9.根拠なきを学び、広げよ 10.社会をシステムとして見る系譜 11.破局の世界―― 盲目のディオニュソス 12.ルーマンの〈システム/環境/世界〉 13.「現実の絶対主義」と、抽象衝動の反抗 14.ありそうになさの公理 15.Hypotheses fingo(仮説を虚構する)
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