名鉄小牧駅前に移転新築することが決まった小牧市図書館。一九七八(昭和五十三)年に同市小牧の現在地に開館した建物はポストモダン建築として注目を集め、建築を学ぶ大学生らが今でも視察に訪れている。山田久館長(52)は「図書館として使われている期間は残り三年ほど。大勢の市民に建物の価値も知ってほしい」と話している。住宅街から入って図書館の正面を見ると、ギザギザとした三角柱の外観が目に入る。フロアには設計で「光路」と呼ばれたスペースがあり、窓からは柔らかな日が差し込む。その先の正面は、市のシンボル・小牧山が望める。設計は機能性よりも装飾性を重視する。 毎月一回、市図書館で映画上映会を開いているボランティアグループ「小牧市AV技術者の会」の穂積孝朗さん(68)は「ちょっと変わった設計になっていて、いい雰囲気を出している」と建物を評価する。山田館長も「造形に重点を置いた斬新な発想が織り込まれ、ユニーク

今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔9月3日号掲載〕 鎌倉を世界文化遺産に登録しないように──ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)がそう勧告したことを受け、松尾崇・鎌倉市長と黒岩祐治・神奈川県知事は会見で無念さをにじませた。 鎌倉市当局は中世の都市としての「物的証拠が不十分」と指摘されたことを認め、私にこう説明した。人類の遺産として保護する価値があると世界に認めてほしいのは、鎌倉を取り囲む山々とその麓に点在する寺院や遺跡だ。そこに日本独自のサムライ文化があると自分たちは考えているが、イコモスにはその意図が十分伝わらず、「武家の古都」とする根拠が不十分だと判断された、と。 黒岩知事は今回の勧告に「目の前が真っ暗になるような衝撃を受けた」と語った。こんな妥当な判断に衝撃を受けているようでは、知事の体が心配になる。そもそも県の誇る珠玉・鎌倉がじわじわ破壊さ
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