ロシアに亡命したバッシャール・アサド大統領。写真は2023年5月、アラブ連盟首脳会議に出席したときのもの (提供:Saudi Press Agency/ロイター/アフロ) 12月8日、シリアで反体制派が首都ダマスカスを制圧し、父子2代にわたって独裁支配してきたアサド政権が崩壊しました。JBpressではこれまで、アサド政権による徹底した反体制派への弾圧についても解説しています。その記事をもう一度お届けします(初出:2019年5月21日)※以下、内容は掲載当時のものです。 (黒井 文太郎:ジャーナリスト) シリアで、アサド政権とロシア軍の無差別空爆による住民の殺戮がエスカレートしている。 5月17日の国連安保理会合緊急会合では、国連人道問題調整室(OCHA)のローコック室長が「3週間に18カ所以上の医療施設が空爆などの攻撃を受けた」と報告。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」も、


シリア・アレッポでアサド大統領の肖像を引きはがす反体制派の戦闘員/Mohammed Al-Rifai/AFP/Getty Images (CNN) 「我々の指導者は永遠に」。これは現在のシリア大統領の父親であるハフェズ・アサド氏の大統領時代にシリアでよく目にしたスローガンだった。 気難しく厳格なシリアの指導者が永遠に生き続けるという見通しは、1980年代後半から90年代前半にかけてシリア・アレッポで暮らし働いていた筆者のシリアの友人の多くにとって、暗いユーモアの源泉だった。 ハフェズ氏は2000年6月に死去した。結局、ハフェズ氏は不死身ではなかった。 しかし、ハフェズ氏の政権は息子のバッシャール・アサド氏の指導の下、存続している。 バッシャール氏の政権の存続が危ぶまれた瞬間もあった。11年に「アラブの春」と呼ばれた民主化運動が中東全域に広がり、チュニジアやエジプト、リビアで独裁政権が倒れ、

「いつになれば家族に会えるのか。つらいから考えないようにしている」 札幌のマンションの1室。窓の外は氷点下で雪が降っていた。彼は遠くを見るような目で、そうつぶやいた。 彼の名はアッスィ・アルガザリ(29)。中東シリアからこの町にやってきた。彼の国では10年にわたり内戦が続いている。これまでに戦闘などで38万人を超える人たちが命を落とした。北海道でいえば、旭川市と網走市の人口を合わせた数にあたる。故郷から8000キロ以上離れた札幌で暮らす彼の身にかつて起きたことは、私たちにとって「遠い国の出来事」かもしれない。けれども、1人の人間として、シリアで何が起きているのか、知りたいと思い、私は彼を訪ね、話を聞いた。 “思い出”になった日々アッスィ・アルガザリは、シリア南西部の町ダラアに生まれた。両親と11人兄弟という大家族のなかで愛されて育った。実家の庭には、家族みんなで育てたオリーブやザクロ、梨、

【ワシントン小泉大士、カイロ篠田航一】シリア北部イドリブ県ハンシャイフンで起きた化学兵器を使用したとみられる空爆で、ロイター通信は4日、米政府当局者の話として米国は神経ガスのサリンが使われたとみていると報じた。アサド政権軍の攻撃であることは「ほぼ確実」と指摘。負傷者を治療した医師もCNNに「サリンの症状と一致する」との見方を示した。米NBCテレビは、この空爆で子供25人を含む少なくとも83人が死亡、350人以上が負傷したと報じている。 サリンの使用が確認されれば、2013年8月に首都ダマスカス郊外の反体制派支配地域で使われ、数百人が死亡して以来となる。

「戦争反対」の声すら上げられない混迷を極めるシリア情勢。その犠牲者は30万人とも言われている。昨年10月に駐シリア臨時代理大使に任命され、『世界史の逆襲』を上梓した外務省・松本太氏の緊急リポート。 想像してみてください。 わずか4年の内に日本の全人口の一パーセント以上の170万人が殺され、全人口の五分の一にあたる2500万人が国外で難民となり、4000万人近くが国内避難民となる事態を。そして、日本のほとんどの地域で近隣諸国の支援を受けた各派による戦いが継続し、東京にすら迫撃砲の砲弾が毎日のように降り注ぐ情景を。 そのような事態が突如として日常になってしまった国があります。シリアです。 シリアでの犠牲者は30万人とも言われます。国連は、シリアでの死者の統計をとることを、昨年夏にすでにやめています。近隣国に避難したシリア難民は正式に登録された者だけでも460万人(2015年12月末、UNHCR

【AFP=時事】イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」は13日、シリア領内への空爆を続けるロシアを攻撃し打倒すると誓う音声声明を発表した。 【図解】ロシアのシリア空爆、対象は全ての反体制派 専門家ら指摘 ISのアブ・モハメド・アドナニ(Abu Mohamed al-Adnani)報道官はインターネット上に投稿した音声メッセージで「ロシアは敗北する」と語った。さらに、「あらゆる場所にいるイスラム教徒に対し、ロシア人と米国人に対する聖戦を開始する」よう呼び掛けた。 ISはシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領を退陣に追い込むだけでなく、同国内で国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系のシリア武装組織「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」の優位に立ちたいという狙いもある。ロシアは同日、自国の空軍が過去24時間にシ

中東・イスラーム学の風姿花伝 池内恵(いけうち さとし)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について、日々少しずつ解説します。有用な情報源や、助けになる解説を見つけたらリンクを張って案内したり、これまでに書いてきた論文や著書の「さわり」の部分なども紹介したりしていきます。予想外に評判となってしまったFC2ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝(http://chutoislam.blog.fc2.com/)」からすべての項目を移行しました。過去の項目もここから全て読めます。経歴・所属等は本ブログのプロフィール(http://ikeuchisatoshi.com/profile/)からご覧ください。 メニューとウィジェット

ロシア軍がシリアに?内戦が続くシリアだが、ロシアはアサド政権側を支持し、非公式に大量の軍事援助を行ってきた。 だが、アサド政権側が苦境に陥る中、ロシアはシリア領内にロシア軍を展開させ始めたようだ。詳しくは後述するが、シリア領内で撮影されたロシア軍人やロシア製兵器(それもロシア軍しか保有していないもの)の写真が相次いで出回っており、ついにロシアがシリア情勢に直接介入し始めた可能性がある。 問題は、その介入の程度である。 これまでも紹介して来たように、ロシアはシリアに対して大量の軍事援助を実施するとともに、現地ではロシアの情報機関が活発な活動を実施している(特にロシア軍参謀本部情報総局は南西部ダルアー県にシリアの情報機関と合同で電子偵察拠点「ツェントル-S」まで保有していたが、2014年に自由シリア軍に奪取された)。 プーチン大統領は、ロシアがアサド政権に対して武器や訓練の提供を行っていること
シリア国営通信は24日、過激派組織「イスラム国」(IS)が、制圧した同国中部パルミラで、少なくとも住民400人を殺害したと報じた。子ども、女性、高齢者が含まれているとしている。 アサド政権の支持者が狙われているといい、政府職員やISに従わない住民らが殺害された。地元関係者の話によると、まだ数千人の住民が街に残されているが、ISに包囲されて脱出できなくなっている。私有財産も没収されている。 ISは政権軍との激しい戦闘の後、21日にパルミラを支配下に置いたとの声明を発表した。シリア文化省は23日、パルミラの博物館にある収蔵品がISに壊されたと発表した。世界遺産に登録された古代ローマ期の遺跡にISの黒い旗を掲げる映像がインターネット上に公開されており、遺跡も破壊される恐れがある。(カイロ=翁長忠雄)

【カイロ時事】在英のシリア人権監視団は21日の声明で、シリア北部の村リトヤンで、アサド政権側の治安部隊が子供10人を含む少なくとも48人を「処刑した」と述べた。 リトヤンは、トルコ国境と、シリア反体制派が一部を占拠する北部の最大都市アレッポの間に位置する。アサド政権は17日、トルコから反体制派への物流ルートを遮断するため、リトヤンに部隊を投入。その際、反体制派戦闘員の家族ら多数を殺害したという。
(2013年9月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 場当たり的な即興の雲が、国際社会の対シリア政策に暗い影を落としている。アサド政権の化学兵器を国際監視下に置き、いずれ監視団が武器を廃棄するというロシアの提案も、影の払拭にほとんど役に立たなかった。 そんなことは、できるはずもなかった。何しろ現状では、ロシアの提案は、いささか突飛なジョン・ケリー米国務長官の即興の発言に乗じて作成され、次に、国連安全保障理事会でシリアを外交の盾で守るロシアのセルゲイ・ラブロフ外相によって、めったに姿を見せないシリアのワリード・ムアレム外相に打診、調整されたと見られるからだ。 説得力を欠く素人っぽい言動 ケリー長官の派手な言葉――アサド家は保有する化学兵器を放棄することで、ダマスカス東部での先月のガス攻撃を罰するための米国のミサイル攻撃から身を守れるという内容――が、過去にさかのぼる形で捻じ曲げられ、先週
【カイロ=田中靖人】シリアの化学兵器使用疑惑を受け米国主導の軍事攻撃の可能性が高まる中、ロイター通信は8月30日、シリアの反体制派側の話として、アサド政権が反政府運動に関わった市民や政権への忠誠が疑わしい兵士らを「人間の盾」として軍などの施設に抑留していると伝えた。 人権団体や脱走兵の話によると、複数の軍や情報機関の施設が民間人の「監獄」として使用されている。また、階級の低い兵士が反体制派と同じイスラム教スンニ派であることを理由にアラウィ派中心の軍上層部への忠誠を疑われ、基地からの退避を認められない事例もあるという。 反体制派や住民の話によると、首都ダマスカスで治安部隊の要員や民兵数千人が学校や一般人の住宅に逃げ込んでいるという。 トルコのイスタンブールに拠点を置く反体制派の統一組織「シリア国民連合」の報道官は「アサド政権はこの3日間で、多数の囚人を軍施設に、兵士を病院や学校に、それぞれ移
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