「アカンくても美味しいものは心の健康には良いから、
食べすぎなきゃ食べてええんよ」
こんな世の中でも、ほんの時たま
珠玉のような瞬間、珠玉のような言葉を拾うことがあります。
あぁよかった、こんな瞬間を感じられて
あぁよかった、こんな言葉を耳にできて
生きていてよかった、そう思えた瞬間を繋ぎ合わせて、
ようやっと生きているのかもしれません。
大事に網に掬った瞬間や言葉は、口の中で飴玉のように転がされます。
忘れない限り、絶対になくなることがない飴玉。
つらい時、奥の引き出しからそっと引っ張り出して、とろとろ転がします。
幾つもの飴玉が生きる支えになります。
息子に送ったメールです。
「アンタも知っとるけど、昔からきび砂糖使っとる。
それでもあまり使わんようにしてる。
たまに市販の菓子パンとか食べたくなる。
どうしようもなく、ふわふわってモンに惹かれるんだわ。
アカンな」
「アカンくても美味しいものは心の健康には良いから、
食べすぎなきゃ食べてええんよ」
こんなに長い返事が来ることは珍しいです。
大抵の場合、
「伊勢志摩ライナー」
「ミジュマルライナー」
「しらん」
「あそう」
「ええで」
「カネオクレ」


(ヤツから送られた画像です。伊勢志摩ライナーのラッピング車両)
ここ数年、ずっと何かの試験に落ち続けていても、
(何だか知らん、ヤツは諦めず挑戦を続ける。わたしは黙って応援団長)
単語だけの返事しか寄越さず、暗号みたいなメールしかくれなくても、
口を開けば、「カネオクレ」でも、
「アカンくても美味しいものは心の健康には良いから、
食べすぎなきゃ食べてええんよ」
の言葉が嬉しくて、
どこの誰より最高の息子だわ!
ひとり秘かに胸を張る、弥生3月雨の夜でした。
「めっちゃ賢いな。賢いこと昔っから知っとったけどな」
親バカのわたしは、敬意を込めて返事をしました。