遅い出勤の方だったのでしょう。
若い親子3人の姿を、毎日のように駅で見かけました。
がっちりとして上背があり、少々無愛想に見えるお父さん。
お父さんとお母さんに挟まれて嬉しいのか、
くるくるはしゃぎ回る2歳くらいの男の子。
男の子を嗜めたり、追いかけたり、これまたくるくる身軽に
動き回る小柄なお母さん。
古びた木造の駅舎でした。
入ってすぐの改札を抜けると、長い階段があります。
ギシギシ軋む階段だったかもしれません。
階段を下りると、低い天井の薄暗い地下通路が現れます。
地下通路の先に、ホームに上がる階段があります。
お父さんは、駅舎の前に設えてある木製のベンチに
時間ぎりぎりまで黙って座っていらっしゃいました。
数年前、大掛かりな駅の改修工事が行われました。
4年もの年月をかけて、古びた木造の駅舎は
ピカピカの駅舎に生まれ変わりました。
しばらく落ち着かない思いをしたのは、
どこもかしこもピカピカ過ぎて、
隠れる場所が見当たらなかったからかもしれません。
光が当たるばかりで、影の部分が見当たらなかったからかもしれません。
きれいな駅は大歓迎ですが、何故かときどき落ち着かない気がします。
毎朝、古びた駅舎の前にあるベンチでご両親に挟まれて
はしゃいでいた男の子も、大人になって
ピカピカの駅を利用しているかもしれません。
大袈裟な言い方ですが、駅というところは、
さまざまな人間ドラマが交錯する場所に思えます。
名もない古びた木造の駅舎だったら尚更のこと…
いろんなドラマをふっくら包み込んで、今日も電車が到着いたします。






焼けつく暑さの夏
新しい年
そして節分
ピカピカになった駅の自由通路を彩る風景です
季節ごとの細やかなお心遣い
駅員さんに感謝です。