徒歩1分にある小さなスーパーでは、週に3日ほど、
先着100名に6枚綴りの30円割引シールが配られます。
その日1日限りですが、
100円以上どの商品に貼って使っても構いません。
6枚のシールが使えるのは、その日限りなので、
使い切ってしまわないと損をするような気がして、
追い立てられるように、いま現在、
とくに必要でもない商品をあれこれ選ぶのが常でした。
割引シールに釣られ、余計なものまで買う自分に気づいて
ある時からシール配布の列に並ぶことをキッパリやめました。
先日、3点ほど買い物をした時のことです。
支払いを済ませ、店を出るとき、何気なくレシートに
目をやりましたら、
3点全てが30円引きになっています。

(黙っていれば分からない。このまま帰るんだ)
そう囁く自分を抑え、
先ほどのレジに戻り、馴染みの店員さんに
『あの…シール貼ってないけど』
(ちっ!言いたくねーな)
店員さんは、悪戯っぽく片目を瞑り
『いいの、いいの。大丈夫』
(確信犯だったのか!)
どこでもセルフレジが導入されるようになり、
便利になったのか不便になったのか分かりませんが、
これも世の流れ、大きな流れには逆らえないと
淡々とした気持ちで眺めていたのですが、
血の通った人間技を機械が習得する日は
来ないだろうな、
そんなことを思いながら帰りました。
間違いもオマケも人間だから。