
はてなキーワード:黄海とは
結論から言えば、朝鮮半島とは「日本列島を守る盾」であり、同時に「敵に奪われれば刃となって突き刺さる場所」である。
私は予備自衛官補として有事の際に招集を受ける立場にある。だからこそ、地図を俯瞰して考えざるを得ない。
朝鮮半島とは、単なる隣国ではなく、日本の国防線そのものである。
明治の指導者たちは、西洋列強による植民地支配の現実を肌で感じていた。
19世紀末、欧米列強は「一国の独立を守るにはその周囲の緩衝地帯を確保せねばならない」という冷徹な国際法則を知っていた。
もし朝鮮半島が他国の手に落ちれば――たとえば清国、ロシア、あるいは後の時代で言えば中国やソ連――日本海は敵の軍港と化し、対馬・下関・舞鶴が前線になる。
日本列島が直接、他国の軍事圏と接するということは、すなわち「日本が防御不能になる」ということを意味する。
だからこそ明治政府は朝鮮半島の「独立」を保つために清国と戦い(日清戦争)、
ロシアの南下を防ぐために敢えて日露戦争という国運を賭けた戦争を選択した。
山縣有朋が残した言葉に「朝鮮の独立は日本の安寧と存立に関する死活問題なり」とある。
彼らにとって朝鮮半島とは「他国に奪われてはならぬ緩衝地帯」であり、
それを失えば日本の防衛線が対馬海峡から一気に本州の内陸へと後退する。
結果として日本は、列強の中で初めてアジアの一国が帝国主義の圧力に抗し、国家の独立を維持することに成功した。
その影には、朝鮮半島をめぐる絶え間ない外交と戦略の緊張があった。
では現代において、もし朝鮮半島が中国の強い影響下で統一された場合、何が起きるのか。
現在の北朝鮮はミサイル国家であり、南の韓国はアメリカと同盟を結んでいる。
この「南北の分断」は悲劇でもあるが、同時に日本にとっては一種の安全弁として機能している。
なぜなら、半島全体がどちらか一方の勢力に統一されていないことで、勢力均衡が保たれているからだ。
もし中国が北朝鮮を完全に支配し、さらに南側の韓国までも政治・経済的に取り込んで統一を果たしたとすれば、
中国人民解放軍は釜山・仁川・黄海沿岸を自由に使えるようになる。
対馬海峡を越えて日本海へのアクセスを得ることは、かつてのロシアが夢見た「不凍港の獲得」に他ならない。
自衛隊と米軍が対馬や九州北部で防衛線を築くことになるが、距離はわずか50km。
ミサイルだけでなくドローン、電子戦、情報戦が展開される最前線となる。
日本の電力・通信インフラは西日本から崩壊し、経済中枢は麻痺する。
つまり、朝鮮半島が中国の勢力圏に入るということは、日本の防衛ラインが「日本列島の内側にまで押し込まれる」ことを意味するのだ。
私は予備自衛官補として、再び国のために立つ覚悟を持っている。
明治の先人たちが朝鮮半島に注いだ関心と警戒は、決して過去の遺産ではない。
東日本大震災の際、私はご遺体を袋に包み、ご家族の元へ返す任務を担った。
その光景を二度と繰り返したくはない。
朝鮮半島有事を「他人事」と思っているうちは、日本は再び同じ悲劇を迎えるだろう。
だから私は声を上げる。
詳細
「さっぱ」は、様々な意味で使われます。魚の名前、会社の名前、または郷土玩具の名前などです。具体的にどの「さっぱ」について知りたいか教えていただけると、より詳細な情報を伝えることができます。
魚のサッパ
サッパ(拶双魚、学名:Sardinella zunasi):は、ニシン目の海水魚で、別名「ままかり(飯借)」とも呼ばれます。
コノシロに似ていますが、味がさっぱりしていることから「サッパ」と呼ばれています。
日本の沿岸、朝鮮半島、南シナ海、東シナ海、黄海などに分布しています。
サッパボイラ (Sappa Iron Works,Ltd.):は、ボイラーやごみ焼却装置などを設計・製作・据付を行っている会社です。
会社名の「サッパ」は、創業者の苗字・颯波(さっぱ)に由来します。
さっぱ舟:は、唐桑半島の先端にある御崎神社のお祭りで売られている郷土玩具です。
漁業の安全を祈願するために購入され、各家の神棚に飾られていました。
その他
「さっぱ」という言葉には、他にも色々な意味や用法があります。
この説明で、どのような「さっぱ」について知りたいか、少しは明確になりましたでしょうか?
サッパの特徴 | 釣魚図鑑(特徴・仕掛け・さばき方) |Honda釣り ...
北海道から九州南岸までの沿岸域、瀬戸内海に分布する。 最大で20cmに達する。 通年釣れるが、群れが沿岸に回遊する5~1...
サッパ ... サッパ(鯯、拶双魚、学名:Sardinella zunasi)は、ニシン目に分類される魚。 汽水域に生息...
ニシン目ニシン科サッパ属に分類される一属一種の海水魚。コノシロとよく似るが、コノシロは同じニシン科のコノシロ属に分類さ...
釣り百科
すべて表示
中国が台湾へのドローン攻撃を開始。まず通信インフラや指揮所を制圧するため、海南島や南シナ海上の通信中継基地にサイバー攻撃を仕掛ける。
同時に、中国は日本の化学品メーカーが輸出する半導体製造用フッ化水素などを狙い、長崎や鹿児島の工場にステルス型攻撃ドローンを飛ばして生産ラインを破壊。
日本からの化学品・特殊材料が途絶えたことで、台湾のTSMCやUMCなどの半導体ファウンドリーが生産を大幅に縮小。台湾本土のドローン工場はチップ・センサーを確保できず、短期間で在庫が尽きる。
台湾はアメリカに緊急支援を要請。アメリカ空軍所属の電子戦機や海軍の無人艦艇が周辺海域で偵察・掃海活動を開始。
アメリカが台湾支援を表明し、日本・オーストラリア・イギリスを含むクアッド(QUAD)各国が連携を強化。日本は自衛隊の無人機部隊を展開し、九州から台湾海峡への偵察ドローンを派遣。オーストラリアは西豪州から補給拠点を提供。
これに反発した中国は、在日米軍基地や沖縄の通信中継サイトを攻撃対象とし、電子戦を激化させる。
韓国とドイツが台湾・日本・オーストラリア側に半導体素材やIC製造装置を供給するため参戦。米日連合が中国東部の部品輸送船団を海上ドローンで攻撃すると、中国はロシアから代替チップや機械部品を輸入して生産を維持しようとする。
一方、ロシアは中国への軍事支援を表明し、シリアやベラルーシ経由で部品を送り込むため、地中海やボスポラス海峡で海洋ドローン同士の遭遇戦が多発。
アメリカ海軍の空母無人艦載機と中国海軍の無人水上艇が南シナ海で衝突。韓国とドイツからは輸送艦や補給拠点も狙われるため、中国東北部やロシア極東にも戦闘が拡大する。
北朝鮮は中立を保つが、制裁回避のため中国側に非公式に部品を供給。インドは米日連合への部品提供には慎重立場を取る。
欧州連合(EU)は米日連合側として中国製品の輸入を全面規制。これに対し、中国とロシアはBRICS諸国(インドを除く合意体)を通じた代替経済圏を形成しようとするも、資源の奪い合いで内部不協和が顕在化。
インドは最終的に「南シナ海の航行の自由」を理由に、米日連合に比肩して中国包囲網に加わる。東南アジア諸国連合(ASEAN)は分断され、ベトナム・フィリピンは米日連合支持、カンボジア・ラオスは中国寄りを維持。
各国は海上輸送ルートを守るため海洋ドローンを投入。日本・韓国連合は南シナ海から台湾海峡までを制圧しようとし、中国・ロシア連合は東シナ海・黄海で迎撃。各地で希少金属(レアアース、タングステン、ガリウム)の奪い合いが激化する。
中国国内やシベリアの工場もアメリカ主導の無人航空機による空爆で被害を受け、生産能力の維持が困難になる。
北米(アメリカ・カナダ)やヨーロッパ(ドイツ・フランス・イギリス)各地でも、中国産・ロシア産の部品を使う工場が攻撃対象に。欧州では北海に展開する海洋ドローン戦で激しいドローン衝突が発生し、港湾都市が封鎖される。
南アメリカではブラジルやアルゼンチンがどちらの連合にも属さず、中立を保とうとするが、供給網が寸断されたことで経済が混乱。
米日韓台豪独印連合と中露北朝鮮連合に加え、フランス・イギリスが中東拠点からドローンを飛ばし、ペルシャ湾周辺の石油施設を攻撃。複数戦線で同時多発的にドローン戦が展開され、事実上の「第三次世界大戦」状態となる。
どちらの陣営も工場の生産が限界に近づき、中国東部やロシア極東、韓国南部、日本の九州地方など複数の工業地帯が大打撃を受ける。
国連安全保障理事会が緊急会合を招集し、全主要国に停戦勧告を強制。最終的にアメリカ・日本・ドイツ・イギリス・オーストラリア・韓国・インド連合が、中国・ロシア・北朝鮮連合の工業地帯を占拠し、停戦協定が締結される。
各国はドローン生産に必要なサプライチェーンの国内回帰を急務とし、工業資源・サイバーセキュリティ・AI開発が安全保障の最重要項目となる。
ソース:https://www.thetimes.co.uk/article/china-kills-own-sailors-with-trap-set-for-us-and-british-vessels-75wdfkc2p
関連:
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/08/post-102482.php
https://www.dailymail.co.uk/news/article-12589429/chinese-sailors-trap-yellow-sea.html
http://www.mod.gov.cn/gfbw/wzll/dbzq/16004988.html(解放軍報。艦長薛永鵬について)
内容:
・8月21日に、中国の原子力潜水艦「093型(商級)攻撃型原子力潜水艦」(東部戦区所属。艦長・薛永鵬)が黄海で沈没。乗組員55名は全員死亡したものと考えられる
・アメリカやイギリスその他のアメリカの同盟国の潜水艦をはめることを目的とした罠に引っかかって沈没
("The submarine hit achainand anchor obstacle usedby theChinese Navy to trap USand allied submarines."(デイリー・メール))
・台湾国防部も報道を否定。「台湾国防部の報道官は、[8月]22日に台湾の報道機関が放送した定例会見の中で、台湾の軍と政府は潜水艦の事故があったという証拠を入手しておらず、一連の報道の裏を取ることはできなかったと述べた。」(newsweekjapan.jp。[]内は筆者補う)
・タイムズとデイリー・メールの報道は、イギリス政府から漏洩したとされる機密扱いの報告書に基づく
イワシは、海から湧いてくると言われています。イワシは、主に海中を漂うプランクトンという微小な生き物を餌としています。イワシの種類には、ニシン目ニシン科のマイワシとウルメイワシ、カタクチイワシ科のカタクチイワシの3種があります。
イワシは、通常、水深20~70mの上・中層を大群で回遊しています。外洋に面した沿岸域を回遊することが多いですが、潮通しがよければ内湾まで入ることもあります。
私は一介の十二国記ファンである。中高生の頃にはまり、「白銀の墟 玄の月」で再燃した。
本記事では、十二国記世界の疑問点について語り、次回の短編集の内容について、時には私の好みで脇にそれつつも、予測したい。その途中で、私自身のこの作品に対する解釈や思い入れにも立ち入るかもしれない。
各物語のあらすじについては、熱心な読者が多いと思われるので、略す。さて、この順で読み返すと、次のような傾向がみられる。すなわち、王と麒麟の視点から見た世界よりも、庶民から見た世界の比重が大きくなっているのだ。確かに、「月の影 影の海」では陽子は大変な苦労をして玉座に上り詰めるし、「風の万里黎明の空」「黄昏の岸 暁の天」では、いかに王としての責務を果たすかが語られる。一方で、同じ「風の万里黎明の空」は民衆のレジスタンスの物語であり、それがさらに大輪の花を咲かせるのが「白銀の墟 玄の月」だ。これは都市の規模ではなく、国家規模にわたる抵抗だ。
もう一つの傾向とは、読者層の拡大である。もともと少女向けレーベルで出版されたからだろうか、十代の少年少女にとって教訓となるような個所は少なくない。「風の万里黎明の空」における鈴、祥瓊の扱いを見れば顕著だ。一見同情すべき境遇にいるようでいて、それに甘んじている彼女らを待ち構えているのは叱責であり、罰である。この年齢になって読み返すと、幾分説教臭く感じなくもない。
しかし、「丕緒の鳥」からシリーズ全体の印象ががらりと変わった。組織の中で働く官吏や、避けられない災害を前にして自分のできることに必死になる民衆の姿は。年齢を重ねた読者の心も打つ。少女向けとされる小説から最も縁遠いように思える、中高年の男性もうならせるだろう。この作品は、あまりにも不条理な世界で生きる人々へのエールとなっている。
つまり、これから尚隆や陽子の視点から物語が描かれることは少なくなるのではないか。きめ細やかな民の物語を描くとき、王の存在は強すぎる。「東の海神 西の滄海」も、一歩間違えれば「俺TUEEE」っぽくなってしまう(そうならならずに尚隆が有能かつ魅力的に描ける腕前がすごい)。そう考えると「白銀の墟 玄の月」で出てきた尚隆は作者なりの大サービスだったのかもしれない。それに、神隠しにあった泰麒で始まった物語は、一応は解決しているのだ。王や麒麟のこの先に物語は、長編としては出てこないかもしれない。
前項でも述べてきたが、次に尽きるだろう。
十二国では天帝が定めた天綱が憲法としてあり、王が定める国法、地綱はそれに反することはできない。また、州の法律も王が定めた法に反することはできない。
天帝は民に土地を与え、それを耕すことで生計を立てるように命じた。逆に言うと、天の設計した社会では、民衆は生まれた里で農業だけをして過ごすことしか想定されていない。
しかし、現実はそうではない。「図南の翼」に出てきた珠晶の家族のような大商人もいるし、「白銀の墟 玄の月」に出てきた宗教関係者もいる。冬器を作る工房もある。私塾もあれば宿もあり、雁のように豊かな国では副業で馬車を出す者もいるし、事実上の奴隷だっている。
そして、最大のイレギュラーが定住民でさえない黄朱の民だ。彼らが歴史に関わってくるあたり、実際の中国の歴史にもよく似ている。
言い換えると、天は王と官吏と農民だけの世界を想定していたが、天の条理の隙間を縫う形で民は複雑な社会を形成してきた。そして、この世界の民衆はルールの穴をつき豊かに暮らしているし、謀反を起こす力もある。これは、専制君主の世界ではあるけれども、ランダムで選ばれた大統領に支配される民主国家の姿に、少し似ているのだ。私たちの世界の大統領・首相も間接的に選ばれるため、民意がどこまで反映しているか、はっきりしていないところがある。十二国世界は、実は私たちの世界の鏡像なのだ。
今後の作品の傾向としては、黄朱の民のように条理からはみ出てしまった人々にもスポットライトがあることと思う。と同時に、黄朱の民はこの世界の条理に生じた大きなほころびでもある。現に、彼らの里木はよそ者が触れれば枯れる、大きなペナルティを負っている。
それと、この世界では思いのほか宗教がしっかり根付いていた。我々が最初にこの世界の宗教を教えてくれるのが合理主義者の楽俊だったため、この世界の人々はあまり天に頼らない印象を受けたが、子供を授かるには祈るほかはないわけで、むしろ熱心な信仰がないと不自然であった。
十二国記が元々は少女向けに書かれたことをうかがわせる設定はいくつかある。例えば、王と麒麟の運命的な出会いだ。女性向けフィクションにはオメガバースをはじめとして、そうしたパターンが多い印象がある。もう一つはときとして未婚の女性をひどく不安にする妊娠・出産からの「解放」だ。女性の苦痛が大幅に減らされており、またこちらの世界とは異なるいくつかの価値観も女性に優しい。王も麒麟も官吏も(軍人を除けば)男女同数だし、子供のいる女性は再婚相手としてむしろ歓迎される。ジェンダーSF・フェミニズムSFとして十二国記を読み解くことも可能だろう。血縁意識が薄いのもその傾向を示している。とくに、楽俊はこちらの遺伝について、似たような顔をしたやつが同じ家にいるのが薄気味悪いのでは、と漏らしている。
しかし、この期待は裏切られる。ここはけっして楽園ではなかった。「白銀の墟 玄の月」のなかで李斎は、男社会の軍隊で生きる女性の苦しさを吐露する。また、明らかに性暴力を受けた女性も登場する。それに、序盤からすでに妓楼も登場している。この世界のセックスワーカーがどれほど過酷な生活を送っているかは不明だが、妓楼に行くことはあまり道徳的に褒められたものではないようである(余談だが、楼閣が緑色に塗られているのは現実の中国にもあった習慣であり、「青楼」と呼ぶそうだ)。
考えてみれば、官吏は女性も多いとされながらも、登場する官吏の多くが男性である。育児の負担がこちらよりもはるかに少ないので、昇進や待遇に差があるとも思えないのだが、これも隠されたテーマかもしれない。
それと、生理の問題がどうなっているかもはっきりしない。初期作品の傾向からすると生理から「解放」されている可能性が高かったが、女性の苦しみをテーマとするならば、生理のしんどさやそれにまつわる迷信・タブーが出てくると考えるほうが、筋が通っている。
天帝が女性、または西王母が兼任している可能性が、ふと浮かんだ。別に女性が王になれるのだから、天帝が西王母より偉い理由は別にない。
十二国記って男性しかいない場所がないこともなんだか怪しい。軍隊も三割は女性だ。逆に、女性ばっかりの場所が蓬山である。麒麟を育てるのは女仙たちだからだ。これも天帝女性説を補強しないだろうか? また、妖魔が雄だけというのも、なんだかそれに関係しそうだ。単純に作者が女性だというだけのことかもしれないが。そもそも「いない」可能性もあるが、根拠は全くない純粋な空想だ。
考察サイトが華やかなりしころ、いくつかのサイトでは天帝がラスボスなのではないか、という説がまことしやかにささやかれていた。確かに「黄昏の岸 暁の天」での天の対応はあまりにもお役所的ではある。ルールに従わなければ何もできないところが、法律に定められていなことは原則としてできない公務員によく似ている。
だが、もともと中国・道教の死生観がそういう面がある。「救急如律令」も、法令を守るように促す言葉であり、古代中国の役人が賄賂に弱かったように、今でも神々に心づけを渡す習慣がある。
そして、自分は天帝がラスボスになりえないと考えている最大の理由が、十二国記が不条理にあらがう人々の物語であるからだ。天帝を倒した後どんな世界を作るにせよ、人間が作り上げた世界である以上はやっぱり不完全なものになるだろうし、仮に完璧な世界を作ってしまったら、それは理想郷を描いた現実逃避のための小説になってしまう。「黄昏の岸 暁の天」のなかでも陽子はつぶやいている。天が実在するのならそれは無謬ではありえないのだ、と。
私が次回の短編集に出てくると予想する要素としては、今までの物語を受けて次の通りだ。
また、
そして、長編がありうるとしたら
と考えている。
少しろくでもない空想をしてみる。六百年の大王朝が滅びるとしたら、それはどうやってか。
王朝の最後にはいくつかの傾向がある。一つは陽子を暗殺しようとした巧の錯王や、慶の予王のように、王個人の劣等感に押しつぶされるパターン。もう一つは芳の王(祥瓊の父)や一つ前の才の王(黄姑の甥)のように、長所が裏目に出るパターンだ。祥瓊の父は清廉な人柄であったが、完璧主義者で罰が苛烈に過ぎた。黄姑の甥も正義感にあふれていたが、現実を検討する能力に乏しかった。
で、奏の特徴としてはのんびりとした気風がある。これが欠点となるのは、のんびりした気風で対応できないほどの速さで十二国世界に変化が起きる場合だ。つまり、利広の情報収集を絶てばいい。彼が旅先で死亡するか、家族が業を煮やして彼を王宮に拘束するかだ。ところが、「帰山」では、しばらく王宮暮らしをしろ、という趣旨の台詞がある。
これが奏の滅亡フラグかといえば穿ち過ぎな気もするが、宗王一家は全員同じ筆跡で公文書が書けて、しかも御璽を押した白紙が大量にあるので、一度分裂したら矛盾した命令が出されまくって国家の体をなさなくなり、あっと言う間に沈む危険がある。白紙委任状ほど危険なものはない。ああいう仲のいい家族が崩壊する様子を書くのって、日本人作家は上手だというイメージがあるが、数ページで滅んだ、と示されるのもまた冷たくていい。
「王気」という言葉は一見すると単純な造語である。しかし、景麒は、自分は半ば獣なのだ、と述べている。さて、「王気」にけものへん「犭」がつくとどうなるか。「狂気」になってしまうのである。失道は避けられないのかもしれない。
黄海を取り巻く四令門のある街で、雁では未門と申門の代わりに人門、恭では辰門と巳門の代わりに地門がある。では、言及されない才と巧ではどうなるか。陰陽道を考えると、才では丑門と寅門の代わりに鬼門、巧では戌門と亥門の代わりに天門、と思われる。
十二国記を初めて読んだときには、本編と「戴史乍書」の関係って、講談や旅芸人のお話と、正史みたいなものだと空想していた。三国演義が歴史書の三国志やその注釈から成立した、みたいな話だ。つまり、本文も旅芸人の語りであり、実際に起こった歴史とずれている可能性がある。
また、中国の歴史を知るにつれて、歴史書の記述はわざとそっけなくしていると考えるようになった。春秋の筆法というか、どのような事件が起こったかをどのくらいの濃度で書くかによって、歴史的な出来事に対する価値判断が含めているわけである。細かい経緯を書いた記録はたぶん別にある。
最近は、国家機密をぼかす目的もあると踏んでいる。阿選の幻術なんかの記述があっさりしているのも、たとえば妖魔が符で使役可能だとか、王と黄朱とのつながりとか、暴力を行使可能な麒麟がいるとか、かなり危険な情報だ。事情を知っている人が読むと「ああ」ってなるが、それ以外の人は読み飛ばすようにできている。
楽俊の姓名である張清は水滸伝に出てくる。しかし、水滸伝は盗賊が活躍するピカレスクロマンである。文人肌の楽俊とはだいぶ違う。
桓魋は少し近い。孔子を襲った荒くれ者と同じ名前だ。そして、面白いことに「魋」だけで「クマ」の意味がある。「熊どん」というほどの意味を持つ字なのだおるか。
祥瓊の父の字は仲達で、三国志の諸葛亮のライバル、司馬懿と同じだ。雁の白沢は瑞獣の名前。「白銀の墟 玄の月」の多くの官吏たちも、実在する中国の官僚や文人たちから名前が取られている。とはいえ、名前が同じだからと言って同じような人物像とは限らないので面白い。
「帝」という称号は始皇帝の考えだしたものだ。諸侯が王を名乗ったため、王のタイトルに重みがなくなってしまった。そこで、王の中の王を意味する称号が生まれたのである。
しかし、それを考えると十二国記世界では帝の称号が生まれないはずだ。なにせ、侵略戦争がありえないのだから、王よりも上が出てくるはずがない。そのため、王より上の称号は、山客か海客由来の語彙ということになる。
語彙だけではない。現実の中国の文化には、周辺の異民族との交流から生まれてきた要素が結構あるので、十二国世界でそれらが取り入れられたいきさつも妄想するのは楽しい。例えば、スカートやキルトではない、ズボンやパンツ状の服は騎馬民族に由来することが多い。そこまで考えるのは野暮かもしれないが、十二国世界が匈奴や西域の影響の薄い中国の文化を持っていると空想するのは、歴史ヲタにとってはきっと楽しい時間だ。
十二国記のアニメで、景麒が塙麟に角を封じられるとき、「生心気鎮風」と読める金文が刻まれるのだけれど、あれって根拠があるのか。私にはわからなかった。
つらつらと書いてしまった。
残念ながら、小野不由美の他の作品との比較・検討はしてこなかった。未読のものが多いためだ。また、作者の細かいインタビューも入手できていないので、見落としているものがあるかもしれない。
積んである本を片付けたら、ホラーは苦手だがぜひぜひ読んでみたい。
そして、次回の新刊をのんびりと待っている。小野不由美先生、本当に泰麒の物語の物語を完結させてくださり、ありがとうございました。
橙田(とうた) 橙木(とうぼく) 橙山(とおやま)
浅黄(あさぎ) 黄木(おうき) 黄地(おうち)
白川(しらかわ) 白木(しらき) 白崎(しらさき)
茶園(ちゃえん) 茶木(ちゃき) 茶谷(ちゃたに)
大空(おおぞら) 空閑(くが) 空田(そらた)
茜部(あかなべ) 茜ケ久保(あかねがくぼ) 茜谷(あかねや)
紅林(くればやし) 紅露(こうろ) 紅谷(べにや)
紫垣(しがき) 紫藤(しどう)筑紫(ちくし)
緋田(あけた) 緋本(ひもと) 緋山(ひやま)
飴田(あめだ) 飴谷(あめたに) 飴本(あめもと)
鴬地(うぐいすち) 鴬生(おうしょう) 白鴬(はくおう)
このくらいでしょうか・・・赤色・桃色・青色・水色・緑色・草色(黄緑)・橙色・黄色・黒色・白色・灰色・茶色、桜色・空色・朱色・藍色・鼠色・茜色・紅色・紫色・緋色・飴色・銀色・金色・蓬色・鴬色・紺色・土色・藤色で苗字を計153程挙げてみました。
お役に立てれば幸いです(^_^)♪
半年前の4月22日、日共の志位和夫委員長に直接質問できるという企画があったので参加した。録音しておいたものの文字起こしがやっと済んだので取り敢えずここにupしてみる。
まず状況を説明する。志位氏が演説した(http://www.youtube.com/watch?v=1MHJQph-JOQ)後に、場所を移して若い人達と語らうという企画だった。10代から20代の若者が100人余り入った会場で、手を挙げて当たった人と志位氏が一問一答するという具合に進んだ。その中盤に私が発言できた。以下が司会者(司)、私、そして志位(志)のやり取りの全文。「やっぱり、」とか「あのー、」「まぁ、」といった句は省いてある。
私:あ、いいですか?
志:こんにちは。
私:あ、こんにちは。1,2分ですよね。
司:大丈夫ですか?
私:あ、大丈夫ですよ。端的に、二つ…あー一つ、お願いします。
人間って、論破しても動かないと思うんですよ。いくら正論言っても、人間を動かすのって、論理と感情だと思うんです。で、感情の前には、論理ってすごく弱いと思うんです。いくら・・・平和が大事だっていうのは私も心からそう思います。そのためにはどっかが先陣きって軍縮を進めていかなければならない、そしてそれができるのは9条持ってる日本だ。その論理はとても筋が通ってるんです。
でも、対して、「・・・でも、こないだ実験やった北朝鮮、なんか飛ばした北朝鮮(※)怖いし、自衛隊まだ要るんじゃないかなぁ。」という感情による一言で、論理ってふっ飛んじゃうんです。例えば、もっと言うと、「もし、共産主義が、共産主義社会になったとしたら、俺やる気保てそうにないし、やっぱり資本主義社会でいいや。競争原理社会でいいや。」という意見の前に、私あんまり頭良くなくて、的確な反論がまだ出せてないんです。どうお考えですか?(私微笑む、会場からも笑い)
志:北朝鮮の問題ね。それは、さっきもちょっと話したけれども、北朝鮮の問題をどうやって解決したらいいか。解決の方法を考えた場合にですね、それは戦争できるか、っていう問題なんです。戦争できると思いますか?(聞き取れず:ダイカイシニマッテ)
実は北朝鮮の問題、実際に戦争になりかけたことがあったんです。最近で言いますと1994年なんです。そのときは核兵器問題で大変な危機だった。それで、実際に、アメリカ軍事力行使の瀬戸際まで行ったんです。そのときに、当時の韓国の大統領の金泳三さん、クリントン大統領に直接電話して、そして「絶対に戦争はしない。もしアメリカが戦争をしたとしても、韓国軍は一兵たりとも動かさない。」こう言ったんです。何故かというとね、今、朝鮮半島で実際に戦争が起きたら、これはもう、ソウルから35キロ先が国境線ですから、これはもう凄惨な地上戦になるんです、間違いなく。南北のおびただしい人命が奪われる。だからですね、1994年の核兵器の危機のときに、いわば、韓国の当時の大統領も地獄の底を見たんです。戦争やっちゃったら大変だと。で、これはやめようと。アメリカも、そのときにクリントンは色々考えたけど、やっぱこれは戦争という選択肢は無い、と。ということで、そういう方向に動いていったんです。そういう流れの中で六カ国協議という流れがずーっと出来上がってきて、ともかく北の問題は様々ある。例えば、ロケットの発射は問題です、それから核兵器の実験も問題です、私も厳しく批判する。しかしその批判のし方は、外交的な、非軍事のやり方で、北朝鮮にとって、あなた方の本当にいい道は他の道はないでしょうということを、説得してやっていく以外に無いんです。(聞き取れず:ワカイカンガエテ)そういう方法で問題解決していくのは唯一の道だし、それしか方法は無いんですよ。
ですからね、そういう心配がある方にね、じゃあ戦争できますか、って訊いて下さい。戦争できると思ってる人は――北朝鮮もできると思っていない。韓国も絶対できない。戦争は嫌だと。アメリカもやれると思ってません。中国も絶対押さえようとしている。日本だって、朝鮮半島で戦争起こったら困るでしょ。どの国だって戦争をやらないわけで、実際戦争できませんよ、朝鮮半島で。だからね、その現実をポンとぶつけて。だから北朝鮮で問題があるっつたらね、すぐ軍事で身構えて、ロケット弾だーつって、ああいう軍事で身構えることが一番悪いんです。ああいうことが起こっても、冷静に、外交的手段でどう事態を前に進めるのかっていうことを考えるのが政治の役割だっていうのを、是非言って欲しいなと思うんです。私たちの平和外交っていうのは、何か理想論言ってるんじゃなくて、現実に戦争できないですもん、朝鮮半島で。戦争できないんだったら平和でやるしかないんです。というやり方で、是非お友達に話してほしいな、と思います。
それと、共産主義ね。んー、これはちょっとね、話すと長くなるんですけれども。(会場から笑い)
私:そうです、そこなんです。詳しくはこれに書いてあるから読んでくれ、って「共産党宣言」を渡したって読まないですよね、そういう人は。(会場から笑い、そうだそうだの声)
志:そうですね、これ色んな反論の仕方あると思うんですけれども、これはやっぱり一分や二分で共産主義について分かってもらえるかっつったら、そう簡単にはいかない。ただ、逆に訊いてですね、それじゃあ君は資本主義という制度が未来永劫続くと思うかと、訊いてみて下さい。人間の社会って言うのは、かつて昔むかしは、どの社会も原始共同体っていって、原始的な共産主義社会ですね、それが奴隷制に変わっていく、封建制に変わっていく。資本主義が生まれたのはせいぜい500年位前。この資本主義になって、この資本主義っていうのは、やっぱり儲け第一主義でしょ。儲け第一の、必ず貧困や格差や失業や、様々な矛盾が避けられない、そういう社会なんですね。こっから先もう進まないんだろうか。そう思えてくる。人類にはこの悩み多い制度は最後の制度だって、そういって反論してみてください。そうすると変えられるかもしれない。
それからもう一つ、是非言ってほしいのは、ソ連のような社会は、われわれは、共産主義でもない、社会主義でもない。これはソ連が色んな、チェコスロバキアに侵略したりアフガニスタンに侵略したり、その度ごとに私たちは大論争やって、その覇権主義と闘ってきた。ソ連が崩壊したときに、まぁあなたは、まだ、歳から言ったら、
私:いや、もう30近いっすよ。(会場笑い)
志:まぁそのソ連が崩壊したときにですね、我々はもろ手を挙げて歓迎するっての声明を出しましたけれどもね、そのくらいソ連のやり方ってのは社会主義と縁がないやり方だった。あれはレーニンのときまでは色んな道を歩みながら社会主義の道を突き進んでいましたけれども、スターリン以来はそういう道から脱線してね、社会主義から無縁の専制主義の国家に変わってしまったって、私たちは把握してるんです。これは、そういうことと戦ってきた党なんです。ということを話していただきたいと思います。
それでですね、いくつか反問を投げかけてみて欲しいな、と思います。もう一つ反問という点では、私たちの理論の基礎はカール・マルクスでしょ。カールマルクスがやはりこういった科学的社会主義ってのを具合においてるんです。マルクスって思想家がですね、もう古くなったって思うか、って訊いてみて下さい。そうすると、うーんって考えると思いますよ。今、マルクス主義の講座あったら言ってきてるかもしれないけど、イギリスのBBCが今世紀、20世紀の最大の思想家は誰かっていうことを調査するとダントツで1位、カール・マルクスって名前が挙がるんです。やっぱりね、マルクスがやった資本主義の深い分析と、その分析の中から新しい未来社会が生まれるという理論に対して、今でもその力を否定することはできないですよ。
ですからそういうお友達に対してですね、一つの方法がですね、例えば北朝鮮の問題が出てきた、そのときに「戦争できると思うか?」共産主義の問題が出てきた、「資本主義が終わりだと思うか?」それから、ソ連は社会主義だった?「違うんだよ。」一言でポンと返してですね、それで、そうしますと向こうは考えますでしょ。考えたらその後、大いに勉強したことを話してもらいたい。結論から言っても、中々色んな感情を皆持ってるんだから、言葉だけでは分からない、色んな感情もたくさんあると思うんです。あなたの言うとおりだと思います。理屈で大体わかっても気持ちが動かないとダメだ、本当そのとおりだと思います。それをやるには一定の、ダイアローグが、対話が必要です。すぐに、はい分かったと、皆が分かくらいだったら苦労しないですね。(会場笑い)ですから、その対話が必要だけれども、対話のやり方が、ポンと相手に疑問を投げかけるというやり方で、大いに対話して、結論を出していく、そういう風なやり方で!
※この日の9日前、2012年4月13日午前に北朝鮮が「人工衛星の打ち上げ」と称してロケットを発射した。発射のおよそ2分後に空中で爆発し、破片は黄海上に落ちた。北朝鮮が発射計画を発表したときから、国連安保理決議1874号等に違反していると各国から中止要請が出ていた中での強行だった。(参考記事 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB%E7%99%BA%E5%B0%84%E5%AE%9F%E9%A8%93_%282012%E5%B9%B4%29)
志位氏の発言後半部分の「(聞き取れず:ダイアロードガ)」とした部分を「ダイアローグが」に訂正。はてブでご指摘いただきましたwacokさん、ありがとうございました。まだまだ私は学習が足りないようだ。
中国船、韓国艇に体当たり 黄海で違法に漁、転覆し1人死亡
【ソウル=城内康伸】韓国海洋警察庁によると、韓国西側の黄海上の同国排他的経済水域(EEZ)で18日午後、違法操業していた中国漁船(63トン級)が、取り締まりに当たっていた海洋警察の警備艇(3、000トン級)に体当たりして転覆し、漁船の乗組員1人が死亡、1人が行方不明になった。また海洋警察官4人が漁船乗組員から暴行を受け重軽傷を負った。
この海域は中国漁船による違法操業が後を絶たず、事故は9月に尖閣諸島沖で発生した中国漁船の衝突事件を想起させる。
現場は韓国中西部の於青島(オチョンド)の北西約115キロ沖。韓国の聯合ニュースによると、事故当時、約50隻の中国漁船が違法操業していたとされる。
同庁によると、海洋警察官4人が、小型ボートを使って1隻の漁船に乗り移ろうとした際、漁船乗組員が鉄パイプやこん棒、スコップで殴りかかり、4人は腕を骨折するなど負傷した。漁船はさらに警備艇に突っ込んで沈没。同庁の警備艇やヘリコプターが捜索活動をし、乗組員のうち8人は救助された。
韓国のEEZ内の済州島の沖合でも先月末、中国漁船を取り締まっていた海洋警察官6人が乗組員から棒で殴られるなどして負傷し、漁船が逃走する事件があった。
(中日新聞)
http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news.htm
2010年11月28日 ーパキスタンは温家宝に150億ドル期待ー
パキスタンの人は,個々には優秀な人が多い。昔のイスラマバードのJICA事務所でも,彼等を重く使っていた。事務所に入ると,ずらりと窓側に並んだパキスタン人スタッフが立派な髭を蓄えて悠然と座っている姿を見ると,一見,日本人スタッフが使われているような錯覚に陥る。私たちをパキスタン北部の辺境に案内してくれたパキスタン人スタッフは優秀で,かなり突っ込んだ議論が出来る。
雪の降りそうな初冬だったが,パキスタンの山奥深く分け入って,雪に霞む村落を眺めていると,人口1億を超すパキスタンの構造が見えてくる。どこまで入っても人が住んでいる。チトラルを見上げるところまで入ったが,最後は泊まるところを捜して,一軒家を見つけ,電灯のないところで長靴を履いたまま一晩,眠られぬ夜を過ごした。帰途,スワット平野のホテルが,随分立派に見えたことだった。
この間,殆ど女性の姿を見ることはなく,途中ですれ違っても,顔を見せずに隠れて去って行く,イスラマバードに帰ってきて,顔を見せて颯爽と歩いている女性を見ると,こちらが恥ずかしいような錯覚に陥る,あの平和なスワット平野は,今はアルカイダで厳しい状態が続いているという。イスラマバードのホテル、奥さんを現地で亡くした日本人観光客に会ったが,奥さんは唐天竺を求めて来られた,幸せでしょう,と慰めてあげたことだった。
それほど奥の深いパキスタンであるが,しかし一方で,政府官僚の傍若無人,無法な社会に戻ると,思わず印象は一変する。北西辺境州で州政府と中央官庁が頭から対立していて,日本のODAの訪問も,その対立の前では忘れ去られる。結局あるプロジェクトの協定書に署名が出来ず,ペシャワールからイスラマバードに引き返したが,救急車が来るたびに,おい,サインを求めて追っかけてきたぞ,と冗談を言っていた。
帰国の空港についてパキスタン航空のチェックインカウンターに行くと,チケットの再確認の欄がペンで書いてある,無効だという。何を言っているのか,と大げんかをして手続き進めたが,単独出張のOECFの方は,結局載せて貰えなかった。当時はビジネスクラスで,機内に乗り込むと,軍人らしきグループが席を占めている,席のない軍人はパイロットの横に潜り込んでいる,彼等を載せるために,我々のチケットを無効にしようとしていた。
アフガニスタンの問題が起こってから,米国を初め西側諸国はパキスタン支援を強化して行き,日本もODAでこれを支援する姿勢にあったが,JICAの緒方理事長もあるインタビューで,パキスタンは我々は入れない,と難しい治安問題を語っていた。しかしパキスタンは,無尽蔵とも言えるような中国の資金攻勢に完全に征服されかかっている。結局,ミャンマーやスリランカ,カンボジアのように,心も売り渡す状況にある。
パキスタンのザルダリ大統領は,3ヶ月に一度は必ず北京に行く,と宣言して,北京で幹部に会って貰えないときは,雲南省の昆明や上海に回って,中国企業との会談に明け暮れている。パキスタンは電力不足で,政府は国民を宥めるために大規模ダムの推進を喧伝しているが,なかなか資金が集まらない。それでも,中国の企業によるダム建設の約束が進んできている。原子力も含め,中国はそこまでパキスタンを支援出来るのか。
中国は,ミャンマーにインド洋への進出拠点を求め,スリランカに手を差し伸べて,資源ルートの開発を進めており,最近は,ラオスを経てカンボジアに至るルートも開発している。パキスタンはそれこそ中国にとって,インド洋進出への第2のルートなのである。カラコルムハイウエーは実質中国が開発したものだが,中国領の新疆ウイグル自治区jからこのルートを経て南下が可能である。
これに,南西部のグワダール海港を繋げば,立派なエネルギー回廊が完成するわけで,この意図はパキスタンの利害とも一致している。パキスタンは,イランからのガスパイプライン完成が一つの夢であるが,協力が出来そうな雰囲気であったインドへのパイプライン延長は,結局,パキスタンへのインドの警戒と米国が,イランとインドとの繋がりを警戒して反対に回り,結局インドはイランからのガスパイプライン構想から離脱した。
中国の温家宝首相が,この12月半ば,イスラマバードを訪問する。今日のパキスタン紙の記事では,パキスタン外務省が殆どの関係省庁に文書を回し,至急,中国との間で結ぶべきプロジェクトの協定書を準備せよ,と要請した。それはエネルギー問題と道路建設が主題で,電力では,タールの石炭火力,チャシュマの原子力,インダス川上流にある大規模ダムなどで,パキスタンは150億ドルに上る支援または投資を期待している。
パキスタンが特に重要視しているのは,中国の意図に沿ったエネルギー回廊の完成である。それは,中東の目の先に位置するグワダール港の整備,グワダールからケッタまでの道路整備,これをアフガニスタン方向とカラコルムハイウエー方向に連携する道路の整備,そうして究極は,イランのガスをイスラマバードを経由して中国の新疆ウイグル自治区に繋ぐことである。パキスタンも,身も心も中国に売ることになる。
パキスタンの電力事情は厳しい,長期に亘って計画停電が続いている。政府は,大ダムが出来れば問題は解決する,もうすぐだ,と国民を宥めようとしているが,大規模ダムがそう簡単に出来るわけはない。それでも今日のパキスタン紙は,電力の関する目標値を詳しく記事にしている。出所は,国家送電網公社NTDCの資料のようである,折角だから,ここで順を追って数字を拾っておきたい。
政府は2011年末の発電設備を,22,697MWとしており,これに対応するピーク需要は,21,705MWである。このピーク需要を満たすために必要な発電設備は,2,7131MWで,不足分は,4,434MWである。2012年には,ピーク需要は,2,3441MW,必要な設備は,29,301MW,不足は5,513MWに広がる。2013年には,ピークは25,306MW,設備計画では,26279MW,必要設備は31,633MW,不足は5,354MWである。
.同じように,2014年では,ピーク,27438MW,計画は,29,405MW,必要は,34,298MW,不足は,4,893MWである。2015年では,ピークは29463MW,計画は,33,630MW,必要は,36,929MW,不足は,3,199MWである。2010年時点の現状は,設備が,19,246MW,有効出力は,17,779MW,夏期の有効は,14,840MW,冬季になると激減,12,482MWである。
WAPDAの水力設備は,6,444MWであるが,夏期には,6,250MW,更には冬季には,2,300MWに落ちる。GNCOSの設備は,4,829MWで有効は,3,580MWであるが,夏期には,2,780MW,冬季には3,222MWに落ちる。IPPは,設備が,7,911MW,有効が,7,695MW,夏期には5,750MW,冬季には,6,900MWである。レンタルは,約60MWである。
明日から,黄海に於ける米韓軍事演習が始まる。中国の警戒に対しては,米国は一応公海上,として強硬の構えである。今後,南シナ海や東シナ海の制海権に対して,どの様な示唆があるのか,注目するが,中国で建造中の空母が完成すると,話は一変するのか。ベトナムにしても,マレーシアにしても,フィリッピンにしても,インドネシアにしても,目の前に中国の空母を見ながら,石油生産を行うことになるのか。
昨日も書いたが,中国に言いたいのは,北朝鮮,ミャンマーに対して,彼処までコミットしながら,北朝鮮の核,北朝鮮の砲撃,北朝鮮の拉致,ミャンマーの核開発などに対して,何も言えないのか。返って中国の弱腰を追求する必要がある。説得できないなら,中国もグルなのか,と言われても仕方がない。そんなに弱腰なら,経済的支援や目に余る投資を止めるべきだ,という世論が興るだおる。
この一触即発の東アジアの状況の中で,フィリッピンのアキノ大統領が韓国からの5万人のフィリッピン人の避難を受け入れて欲しい,と言っている。これは面白い問いかけである。まだ起こっていない状態を材料に,日本に踏み絵を迫ったような感じ。広くフィリッピンの看護士を受け入れる体制に日本はあるが,本気かどうか試されることになる。5万人を日本国内で自由にするのか,出来るのか,日本にとっては難問である。
北鮮は、六者協議参加国だけでなく、世界全体にとって、共通の害悪となりつつあり、それを討伐して無害化することに、合意は形成可能である。しかし、その無害化の形態が問題となる。
朝鮮動乱を再開させ、米軍の指揮下で南鮮軍は北進し、平壌を始めとする都市、及び、核物質関連設備を、金王朝より解放する。ただし、南鮮に北鮮全体を支える国力は無い。そこで、ロシアと中国が、金正日の長男か次男を傀儡に、南下を始める。北鮮の日本海側をロシアが、黄海側を中国が、38度線をわずかに越えて、ケソンやクムガン山周辺を南鮮が、それぞれ、新規に領有する事で、朝鮮動乱を終了させるというのが、北鮮領域だけで状況を終わらせる際の筋書きであるが、ここにおいて、
1)北方四島の返還を条件に、ロシアが北鮮の日本海側を領有する事を黙認する。
2)東シナ海の地下資源の盗掘を止め、尖閣諸島の日本所属を認める事を条件に、中国が北鮮の黄海側を領有する事を黙認する。
3)竹島の返還を条件に、南鮮が38度線を越えて北鮮側の領域を新規に領有する事を黙認する。
という、日本との領土問題を一気に解決する条件が出てくる。新規の領土獲得によって、それぞれの国内世論を沈静化させることができるので、平和的に解決できる最善の機会と言える。
つまり、これらの条件が成立しない限り、北鮮問題が解決されては困る。ただし、日本が民主党政権の間であれば、これらの条件を一切無視して勝手に始めて勝手に終わらせる事が可能であるし、北鮮がまともに爆発させられる核兵器を保有したならば、無条件でやらなければならなくなってしまうという、早期開始条件もある。
北鮮が核兵器を持たない極貧国家で直接国境を接するロシア、中国、南鮮にとって重荷以外の何物でもなく、かつ、日本とロシア、中国、南鮮との間の領土問題解決の交渉がまとまらない限りにおいては、北鮮が困った国家として存続しているというのは、日本にとっては間接的なメリットとなる。そして、一日も早い拉致問題の完全解決と、北鮮の核の完全放棄は、日朝間の共通の利益となりえるのだが、北鮮側には、そういう認識は無いだろう。
北鮮をどうするかについてまとまらないのは、六者協議参加国すべての責任である。
とりあえず、一日も早く民主党政権を潰して、まともに外交ができる政権を作らなければならないというのが、あらゆる場合を想定した時の、共通の処方箋と言えるのであった。
アメリカと中国の関係がよろしくない。先頃の人民元問題に象徴される経済戦争ではとどまらず、朝鮮半島で北朝鮮と韓国を使った代理戦争になりつつある。
今のところ、国際世論を見方に付けているのはアメリカであろう。さすが世界一の「ならず者」国家だけあって、どうやって相手を挑発しつつ世界を見方につけるかをよくご存知である。今年のノーベル平和賞のような人権問題や、南シナ海や東シナ海での海洋問題を中心に中国を表立っては平和的に攻撃している。一方の中国はというと、北朝鮮という「ならず者」を使って攻撃し返すしか手が無いようである。ひょっとしたら、韓国の潜水艦沈没だって、そういった中国の強引なやり方を世界に印象付けるためにアメリカが行った自作自演かもしれない。
そんなこんなで、アメリカは軍事演習を中国の庭先である黄海でやっちゃうことになった。ものすごい挑発である。キューバに核ミサイル持ち込もうとしたソ連とやってることはそんなに変わらない。中国はというと、そろそろ空母が出来上がりまっせ宣言を出した。もう賽はふられたのかもしれない。
日本は先の朝鮮戦争のように傍観を決め込むことは出来るのであろうか。ただひとつ、世界一の「ならずの者」に相当のマネーを吸い取られるのは想像に難くない。