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はてなキーワード:金融支援とは

2025-11-12

anond:20251112220241

今までの質疑では「財政」というキーワードが多く出てきました

高市政権財政」というテーマについて語り合いましょう

まずはバブル崩壊後の日本財政金融政策史をまとめてください

またそれぞれの時代ごとにどのような言説が人気を集めましたか

いいテーマです。まずは「バブル崩壊後〜現在」までの日本財政金融政策の要約年表を、主要な転機ごとにサクッと整理します(一次情報中心に引用)。

1990年代バブル崩壊後〜金融危機

バブル崩壊資産価格が長期下落、企業バランスシート調整を優先し需要が冷え込みました。

政府景気対策補正予算を繰り返し、公共投資や減税で下支えする一方、1997年には消費税を3%→5%へ引き上げ、需要の腰折れも経験します。

金融面では不良債権問題が深刻化し、破綻公的資本注入・預金保護の枠組み整備が進展。

日本ビッグバン制度改革が進むも、デフレ圧力が定着。

日本銀行は金利を急速に引き下げ、1999年ゼロ金利政策を導入(2000年に一時解除)。

結果として、財政赤字と政府債務構造的に拡大し、物価は下方硬直、成長率は低迷という「需要不足+金融システム調整」の時代となりました。

流行った言説

景気対策公共事業派:「需要不足が本丸財政で埋めるべき」「不良債権処理と同時に需要の下支えを」

デフレ懸念ゼロ金利:「デフレが成長を蝕む」「金融は下限に張り付き、財政併用が不可避」

構造改革派(序章):「護送船団・規制撤廃金融ビッグバン必要」「過剰債務ゾンビ企業の整理を」

緊縮志向の反発も:「財政赤字が危ない、ムダな公共事業」—97年の消費税引き上げをめぐる賛否が分極化

円高デフレ観:「円高産業空洞化を招く」→為替を巡る政策論が過熱

2000年代(量的緩和試行世界金融危機

2001年日銀世界に先駆けて量的緩和当座預金残高目標国債買入れ拡大)を導入し、デフレ脱却と期待の転換を狙いました。

小泉政権下では歳出改革郵政民営化などの構造改革を進めつつ、景気悪化局面では補正を併用。

2006年デフレ改善を受け量的緩和をいったん終了し正常化へ動くも、2008年リーマン・ショック外需が急減、景気は再び悪化

政府雇用中小企業需要喚起のための追加歳出を重ね、日銀基金創設等で信用緩和を強化しました。

ただし期待インフレは上がりきらず、名目成長は弱含み。

金融政策ゼロ下限の制約に繰り返し直面し、財政景気循環危機対応拡張と引き締めを往復する不安定10年でした。

流行った言説

構造改革ブーム小泉竹中路線):「規制撤廃民営化競争促進」「痛みなくして成長なし」「郵政民営化改革本丸

量的緩和と期待の議論:「デフレ脱却にはマネリー拡大」「期待インフレを動かせ」

プライマリーバランス重視論:「財政規律回復を」「増税を含む中長期の再建計画

アジアの成長取り込み:「外需主導・輸出立国」「中国需要を逃すな」

リーマン後の反転:一転して「需要下支え」「雇用維持」「危機時は大胆な財政・信用補完」が支持を集める

2010年代アベノミクス、QQE、マイナス金利とYCC、消費税10%)

2013年アベノミクスの下で日銀は2%インフレ目標明確化し、量的・質的緩和(QQE)を実施

長期国債の大量買入れと平均残存の延伸で期待に働きかけ、円安・株高・雇用改善が進行。

一方、2014年消費税を5%→8%へ引き上げ、需要山谷や実質所得の目減りが課題化。

2016年にはマイナス金利(-0.1%)と同年のイールドカーブコントロール(長短金利操作)を導入し、10年金利を概ね0%に誘導

超緩和を持続可能にする枠組みが整う一方、物価目標に持続的到達せず、期待形成の難しさが露呈。

2019年には消費税10%(軽減税率併用)へ。

財政景気対策社会保障費の増勢のはざまで、持続性と成長投資の両立が焦点となりました。

流行った言説

リフレリフレーション派の台頭:「2%目標を明確に」「量・質で国債買入れ(黒田バズーカ)」「円安を通じた期待・投資喚起

三本の矢”言説:①大胆金融緩和 ②機動的財政成長戦略—「第3の矢(構造改革)こそ本丸」という合言葉

消費税論争の定番化:「社会保障財源 vs需要腰折れ」「景気回復まで増税先送りを」

デフレ・均衡から離脱:「賃上げ物価目標・期待形成」を巡る企業春闘連動の議論が注目に

副作用論:「長期緩和の金融仲介市場機能への影響」「格差資産価格バブル懸念」も同時に存在

2020年代コロナ危機物価高、超緩和からの“出口”へ)

2020〜21年はコロナ危機に対し、定額給付金雇用維持・資金繰り支援など未曽有規模の財政出動を実施

日銀企業金融支援資産買入れで超緩和を維持。

22年以降はエネルギー高・円安が重なり物価が2〜4%台へ上昇、政府電気・ガス・燃料への時限補助で家計負担平準化為替の急変時には円買い介入でボラ抑制を図りました。

2024年にはマイナス金利とYCCを事実上終了し、短期金利誘導回帰する「極めて緩やかな正常化」へ移行。

2025年補助金の段階的見直しと成長投資規制改革の両にらみが続く一方、債務水準の高止まりと金利上昇局面での利払い負担が中期の課題

物価賃上げ生産性財政規律をどう同時に達成するかが、政策デザインの核心になっています

流行った言説

危機時の大規模財政コンセンサス:「現金給付雇用維持・資金繰り支援必要悪ではなく必要条件」

MMT・反緊縮の再燃(議論として):「自国通貨建て債務は制約が違う」「完全雇用まで財政で下支え」—賛否が激しく対立

コストプッシュ・為替の再評価:「円安×資源高=輸入インフレ」「為替パススルー状態依存で強まる」

ターゲット支援の支持:「面の補助より、脆弱層・エネルギー多消費層へピンポイント

“新しい資本主義”や供給側強化:「賃上げ促進・人への投資半導体等の戦略産業支援」「GX/DXで潜在成長率を底上げ

出口・正常化言説:「マイナス金利・YCCの終了」「利上げのタイミング副作用」「利払い増と財政の持続可能性」—“どこまで・どの速さで”が焦点

価格介入・介入論:「電気・ガス・燃料の時限補助」「過度な為替変動には介入」—ただし“恒常化の副作用”も論戦に

Permalink |記事への反応(1) | 22:56

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2025-05-24

JA解体されたり民営化された場合日本農業社会にどのような影響があるか

JA農業協同組合)の解体民営化については長年議論されてきました。以下では、JA解体民営化された場合に想定される日本農業および社会への影響について、複数の側面から詳しく説明します。

1.農業生産者への影響

プラスの側面(民営化解体によるポジティブ効果

競争原理の導入により効率化が進む可能

民間企業が参入すれば、より効率的なサービスや低コストな資材供給が実現される可能性があります

JA依存せず、自由流通販売ルート開拓できる農家が増えるかもしれません。

農業資材・販売手数料コスト低下

JA農協資材を販売していますが、価格が割高との批判があります自由化されれば、競争により価格が下がる可能性があります

マイナスの側面(民営化解体リスク

中小規模農家経営が困難に

JA農業資材の共同購入販売融資保険などを一括で提供しており、特に高齢者や小規模農家にとっては不可欠な存在です。これが解体されれば、自力でこうしたサービスを手配しなければならなくなり、結果として離農が進む可能性があります

農業金融の空白化

現在JAバンクは農家に対する貸し出しや農業関連の金融支援を担っています民間銀行農業リスクが高いと見なす傾向があり、JAがなくなると農業への金融支援が減少し、資金繰りが困難になる恐れがあります

地域差による格差拡大

都市近郊の農業企業参入で競争力を増すかもしれませんが、過疎地中山間地域では民間事業者が採算が合わず撤退し、サービス空白地帯が増える可能性があります

2.地域社会への影響

JA地域的な役割

JAは単なる農業団体ではなく、地域の「金融機関」「共済保険)」「購買・販売所」「福祉介護」「生活支援」の機能を担っています

農業者でない住民JA共済JAバンク、JA直売所イベントを利用しており、JA存在農村インフラとして不可欠です。

解体による影響

地域コミュニティ崩壊

JA地元での祭り行事介護サービス、買い物支援なども担っており、JA撤退は「地域の支え合いシステム」の消失意味します。

高齢者交通弱者への影響

地方ではJA移動販売車や生活支援サービス依存している高齢者も多く、これがなくなると生活が困難になるケースも。

3.農産物流通品質への影響

JAは出荷物品質管理や検査統一ブランド化を担っており、「産地ブランドの維持」に重要役割果たしてます

解体後に農家個別流通を担えば、品質のばらつきや信頼性低下が起こる可能性があり、結果として日本農産物ブランド価値が低下するリスクがあります

4. 国の食料安全保障への影響

農家の減少や産地の崩壊は、日本食料自給率さらに低下させる可能性があります

輸入依存が強まると、海外情勢に左右されやすくなるリスク価格高騰、輸出制限戦争パンデミック時の供給不安)も高まります

5.民営化モデルの参考:郵政民営化比較して

郵便局民営化では、都市部のサービス多様化しましたが、地方では採算が合わず郵便局の統廃合が進み「地域住民の不便」が増しました。

JAも同様に、民営化すれば利益優先になり、採算の合わない地方が切り捨てられる可能性が高いです。

結論JA解体民営化の是非は「目的設計次第」

JA改革には課題も多いものの、以下のような視点バランスの取れた改革が求められます

・完全な解体ではなく、「機能ごとの再編」「地域による柔軟な対応」が望ましい。

民営化するにしても、「地域支援機能」や「農業金融」は公的補助や別の公共制度保護すべき。

地域農業を維持しながら、若手農業者の自由度や競争力を高める仕組み作りが重要です。

Permalink |記事への反応(21) | 08:17

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2025-05-09

anond:20250509021330

>また、景気後退期に消費税を上げることは需要を冷やし、結果として税収が伸び悩むことが過去証明されている(例:2014年2019年増税後の消費の落ち込み)。

2014年~2019年は税収は延び赤字は減っており最近過去最高の税収となってるのでこれは事実に反する

【2】オーバーツーリズム外国人の税負担

観光業からの税収(法人税所得税消費税)はインフラ維持に貢献している。

免税廃止はその消費税ももっと負担させようという話で反論になってない

オーバーツーリズム問題観光客数の総量ではなく、「受け入れ体制脆弱さ」や「管理の不備」が根本対策分散化や観光マネジメントによって可能であり、「観光を減らす」ことが唯一の選択肢ではない。

今の観光地見て総量の問題でないと言えるなら現実見なさすぎ

常時多いなら分散化は対策にならない

中小企業地域経済雇用の根幹を支えており、単純な生産性だけで淘汰すべき存在ではない。むしろ大企業下請け構造によって価格転嫁が難しくされている現実や、金融支援労働環境整備によって改善可能余地がある。また、「生産性労働者責任」とするのは誤りで、経営戦略投資環境問題である賃金を上げるには企業だけでなく、政府最低賃金政策や再分配政策も不可欠。

中小企業の非効率性の批判労働者と言うより経営者批判

>確かに所得控除高所得者に有利に働きやすいため、税額控除給付付き税額控除(EITC型)の方が低所得層支援には適している。しかし、制度改正を進める中で「個人情報管理が不十分だからできない」という主張は順序が逆である。再配分を強化するためにこそ、所得捕捉の正確性を高め、社会的合意のもとに政策設計する必要がある。

情報取得の必要性は一部認めるが、個人情報の集中管理が常に「公正」や「効果的」につながるわけではない。プライバシー保護と透明性の担保がなければ、不信感と政治的不安定を招く。北欧型の「信頼を基盤とした制度設計」とセットで語られるべき問題であり、単純な情報管理正当化危険

口座とマイナンバー紐づけなかったら総合課税できないけどわかってる?

個人情報管理が不十分だからするな」と言ってるのはそっちでは?

供給制約がある場合、確かに需要抑制すべき局面もあるが、構造的な供給力不足(労働力資源)を放置し、需要を削ることで物価を抑えるのは短期対処に過ぎない。特にインフレコストプッシュ型である現状では、消費冷却は景気全体の悪化を招くだけで根本解決にならない。

日本女性高齢者労働参加率はすでに高くなっており労働力不足解消より需要を削ることで抑えるのが現実

>その通りではあるが、負担をどう分配するかが重要。再エネ・電動化・省エネ支援などに先行投資することで、経済環境トレードオフを最小化できる。「コストがあるからやらない」は将来的にもっと大きな気候リスク経済損失を招く。また、脱炭素技術の開発は産業競争力の源泉にもなるため、単なる「負担」ではない。

これもこっちへの反論ではなく炭素税導入反対への反論になってる

炭素税財源に再エネ省エネ支援するだけの話

関税によって消費者選択肢が狭まり、全体としての生活コストが上昇する懸念がある。また、地産地消を選ぶ自由市場保証するものであり、政策によって一律に方向づけることには限界がある。

安全性への懸念は検疫・表示制度トレーサビリティ強化によって対応すべきであり、関税あくま経済政策手段にとどめるべき。

これもこっちへの反論になってない

寿命は延びても、健康寿命や働ける環境がすべての人に等しく整っているわけではない。特に低所得層や重労働従事者は健康リスクも高く、年金受給前に死亡する例もある。一律に開始年齢を引き上げるのではなく、柔軟な選択肢と最低保障年金の強化が必要

55開始でも65開始でも受給前に死ぬ人も働けない人もいる

>適正な最低賃金の引き上げは購買力を高め、経済成長に貢献する。OECD諸国では最低賃金引き上げと経済成長・雇用の増加が並行した事例も多数ある。価格転嫁が起きても所得増で吸収可能なケースも多く、全体のマクロバランスで見るべき。また、「失業する」との懸念政策支援補助金研修)で和らげられる。

今の日本最低賃金付近で働く人の比率が諸外国より高くこれ以上の引き上げが適正といは言えない

物価高の中での積極財政は、対象を選別して行えば効果的。特に低所得層への給付エネルギー価格抑制設備投資補助などは需給ギャップ改善もつながる。

>「積極財政=悪」とするのは短絡的で、政策の質と目的が問われるべき。

エネルギー価格抑制は脱炭素に逆行

安直現金ばらまきや非効率中小企業支援は質が高い支出とは言い難い

Permalink |記事への反応(0) | 07:27

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anond:20250509010441

【1】消費税について

> 「消費税10%なので極端には増加しない。食品は8から10なのでもっと増加幅は小さい。」

反論

たとえ2%の増税でも、実質可処分所得が少ない低所得層にとっては影響が大きい。消費税は逆進的な税であり、所得に対して消費支出比率が高い層ほど負担感が強くなる。特に生活必需品食品など)への課税は、生活困窮層に直接打撃を与える。

また、景気後退期に消費税を上げることは需要を冷やし、結果として税収が伸び悩むことが過去証明されている(例:2014年2019年増税後の消費の落ち込み)。

---

【2】オーバーツーリズム外国人の税負担

> 「外国人が税負担しない分のインフラ維持費は日本人負担することに」

反論

観光業からの税収(法人税所得税・消費税)はインフラ維持に貢献している。また、入国時の観光税(国際観光旅客税)は明確にその用途に充てられている。外国人観光客の支出地方経済活性化もつながり、むしろ財政的にプラス効果をもたらしている。

オーバーツーリズム問題観光客数の総量ではなく、「受け入れ体制脆弱さ」や「管理の不備」が根本対策分散化や観光マネジメントによって可能であり、「観光を減らす」ことが唯一の選択肢ではない。

---

【3】中小企業の低生産性と淘汰

> 「淘汰しないから低生産性が維持され低賃金へとつながる」

反論

中小企業地域経済雇用の根幹を支えており、単純な生産性だけで淘汰すべき存在ではない。むしろ大企業下請け構造によって価格転嫁が難しくされている現実や、金融支援労働環境整備によって改善可能余地がある。

また、「生産性労働者責任」とするのは誤りで、経営戦略投資環境問題である賃金を上げるには企業だけでなく、政府最低賃金政策や再分配政策も不可欠。

---

【4】控除の恩恵高所得者中心という点

> 「再配分の意思がないとみなすほかない」

反論

かに所得控除は高所得者に有利に働きやすいため、税額控除給付付き税額控除(EITC型)の方が低所得層支援には適している。しかし、制度改正を進める中で「個人情報管理が不十分だからできない」という主張は順序が逆である

再配分を強化するためにこそ、所得捕捉の正確性を高め、社会的合意のもとに政策設計する必要がある。

---

【5】供給不足だから消費マインドの冷え込みはむしろ良い?

反論

供給制約がある場合、確かに需要抑制すべき局面もあるが、構造的な供給力不足(労働力資源)を放置し、需要を削ることで物価を抑えるのは短期対処に過ぎない。特にインフレコストプッシュ型である現状では、消費冷却は景気全体の悪化を招くだけで根本解決にならない。

しろ供給側の投資賃金増や設備更新)を促すような積極財政・選別的支出必要

---

【6】政府個人情報取得と再配分

> 「政府情報を得ないと公正な再配分は不可能

反論

情報取得の必要性は一部認めるが、個人情報の集中管理が常に「公正」や「効果的」につながるわけではない。プライバシー保護と透明性の担保がなければ、不信感と政治的不安定を招く。北欧型の「信頼を基盤とした制度設計」とセットで語られるべき問題であり、単純な情報管理正当化危険

---

【7】脱炭素へのコスト無視批判

> 「何の負担もせず脱炭素幻想

反論

その通りではあるが、負担をどう分配するかが重要。再エネ・電動化・省エネ支援などに先行投資することで、経済環境トレードオフを最小化できる。「コストがあるからやらない」は将来的にもっと大きな気候リスク経済損失を招く。

また、脱炭素技術の開発は産業競争力の源泉にもなるため、単なる「負担」ではない。

---

【8】関税地産地消の是非

反論

関税によって消費者選択肢が狭まり、全体としての生活コストが上昇する懸念がある。また、地産地消を選ぶ自由市場保証するものであり、政策によって一律に方向づけることには限界がある。

安全性への懸念は検疫・表示制度トレーサビリティ強化によって対応すべきであり、関税あくま経済政策手段にとどめるべき。

---

【9】年金受給年齢引き上げ

> 「平均寿命を踏まえれば引き上げは妥当

反論

寿命は延びても、健康寿命や働ける環境がすべての人に等しく整っているわけではない。特に低所得層や重労働従事者は健康リスクも高く、年金受給前に死亡する例もある。

一律に開始年齢を引き上げるのではなく、柔軟な選択肢と最低保障年金の強化が必要

---

10最低賃金の引き上げと失業

> 「物価上昇・失業リスクがある」

反論

適正な最低賃金の引き上げは購買力を高め、経済成長に貢献する。OECD諸国では最低賃金引き上げと経済成長・雇用の増加が並行した事例も多数ある。価格転嫁が起きても所得増で吸収可能なケースも多く、全体のマクロバランスで見るべき。

また、「失業する」との懸念政策支援補助金研修)で和らげられる。

---

11物価高での積極財政社会破壊

反論

物価高の中での積極財政は、対象を選別して行えば効果的。特に低所得層への給付エネルギー価格抑制設備投資補助などは需給ギャップ改善もつながる。

積極財政=悪」とするのは短絡的で、政策の質と目的が問われるべき。

Permalink |記事への反応(1) | 02:13

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2023-10-28

anond:20231028151222

守られなかった約束

「疑似銀行」になりつつある航空会社の奇妙な進化は、さまざまな点で規制緩和いかに悪手だったかを浮き彫りにしている。規制は、航空会社営業できる条件を慎重に定めていた。各社が安定したビジネスと信頼できる輸送手段を維持できるよう策定されていた。これが緩和されたことで、航空会社金融分野への参入を含め、あらゆる方法利益を追求できるようになった。

規制緩和の推進派はいくつか大きな約束をした。「航空会社自由価格競争できるようになれば、航空運賃は下がる」、「何百もの新しいプレーヤー市場に参入することで業界の独占性は薄れ、政府利益率を保証しなくても業界は安定する」、「小さな都市でもサービスが失われることはない」

規制緩和派の頭のなかでは、航空会社も他のビジネスと同種だった。航空会社自由競争できるようになれば、市場魔法がすべてを良くしてくれる。航空会社収益資するものは、消費者にとっても望ましい、という考えだ。

それは間違っていた。近刊予定の私の著書でも説明しているが、こうした予測ほとんどは的中しなかった。航空業は普通ビジネスではないからだ。

空港の滑走路や搭乗口の数には限りがあり、参入するには障壁がある(さらに言えば、マイレージプログラムには、決まった航空会社を利用する顧客が競合他社に乗り換えないようにする狙いがある)。ネットワーク効果規模の経済存在する。資本コストは高くつくし航空機材は安くない)、誰でも航空会社をうまく立ち上げて既存大企業競争で勝てるという考えは、まったく理にかなっていなかった。

激しい競争比較短期間繰り広げられた後、時代統合コスト削減へと急転し、何十社もの航空会社倒産したり買収されたりした。サービス悪化の一途をたどっている。というのも、航空会社間の競争が少なくなったため、各社は窮屈な座席欠航手荷物料金や軽食代の値上げで利用者の反感を買うことを恐れなくて良いからだ。

さらに悪いことに、就航が義務化されなくなったため、全米各地の都市地域民間の航空サービスを失い、経済に深刻な影響が及んでいる。しかも、航空会社利益を緊急対策資金ではなく自社株買いに振り向ける傾向が強く、米同時多発テロ新型コロナウイルスパンデミックといった危機に見舞われると、連邦政府からの多額の金融支援が必要になる。

規制緩和は、ときにその恩恵とされる「価格の引き下げ」さえも実現できなかった。1978年に航空規制緩和法が成立して以降、航空運賃は確かに安くなった。しかし、運賃は成立前からすでに下がっており、成立後も同じペースで下がり続けた。

航空規制の古いシステム完璧ではなかった。価格で直接競争することを禁じられた航空会社は、備品設備といったアメニティーの拡充競争へと突入した。機内にピアノバーを設けて不興を買ったのはその一例だ。しかし、規制緩和病気よりたちの悪い治療法だった。航空業界は、問題を抱えた規制下の寡占から規制のない寡占へと移行し、現況はさらなる悪化を続けている。

航空会社は、鉄道や送配電網、通信網と同様、極めて重要公共ニーズに応えている。それと同時に、政府から与えられた特権システムなかに存在している。連邦政府安全運航のための大規模なインフラを構築するにあたっては、公的資金が投じられてきた。歴史的に見て、これらはすべて、業界規制する一般的理由だ。

現代に即したルールが整備されれば、航空会社が「金融機関化」したECプラットフォームになる流れを食い止められる。そして場合によっては、より快適な空の旅の運航に集中してもらえるかもしれない。

Ganesh Sitaraman

Permalink |記事への反応(0) | 15:12

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2023-04-04

anond:20230404171406

正論で行くと、潰すしかない。ただ、もちろんそんな事はできない。


じゃあどうするかというと、5年とかそれぐらいのスパンで大幅に最低賃金を引き上げると宣言する。


それに対応するための構造改革を強力に支援するしかないだろう。例えばロボットなどをほぼタダで導入できるぐらいの金を、事業継続審査とかせず、シンプルにジャブジャブ流し込む。
5年後までの間は設備投資費用などを強力に支援する。最低賃金が上がって数年間は、最低賃金上昇分だけ、特別に減税や金融支援などを裏打ちする。これで激変緩和をする。


最終的に、それについて来れない所は、市場から退場してもらうしかない。


なぜそれが必要かというと、もちろん、憲法保障するはずの「健康文化的生活」を保障すると言う話もあるが、それ以上に、それをやらないと、社会水準の維持が難しいからだ。


本来修正資本主義の考え方でいくならば、最低賃金経済成長率(≒インフレ目標)に連動して継続的に上がっていなければいけなくて、仮に日本が他の先進諸国並みの経済成長をしていたら場合最低賃金の全国平均は1500円以上にはなっていなければいけないはず。

ところが、それが政策的に低く抑えられてきた。その結果、人件費物価が不自然に低い「安い日本」ができた。
特に二次安倍政権では、賃金の減少と、労働力の減少伴う国民総動員令を
国民活躍社会
という美辞麗句を用って言い換えた。
これは、企業生産性を高めることを求めるのではなく、主婦層や高齢者を安い労働力として動員することで、問題を先送りすると言う政策だ。
これにより、中国景気に乗じて日本を安売りして好景気演出したわけだ。


失われた30年で繰り返されてきたこと、本来構造手段によって収益性を上げるなどの対応必要だったはずの所に、低賃金で働く奴隷階級をつくり、それによって延命を図る。それをさらに強化したと言える。


しかし、それは時間切れになってご覧の有様である国民活躍ワーキングプアを生み出しているだけであるし、それに頼ってしまった企業構造改革をしないままに奴隷中毒になってしまった。


それはアメリカ歴史である黒人奴隷に頼っていた結果工業化が遅れた南部と、黒人奴隷解放をすすめ、工業化を進めた北部との対立による戦争南北戦争
今の日本中小企業は、どれに頼って工業化が遅れた南部のようではないか


勝ち抜いていくには、産業低賃金依存改善しなければならない。

Permalink |記事への反応(0) | 18:32

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2021-09-24

ジョニーデップ主演『MINAMATA-ミナマタ-』を観てきた

テーマは深刻なんだけど、ジョニーデップの持ち味の出た、面白い映画だった。


どうでもいいことだけど、昔からなぜか、

ジョニー・デップのことをしょっちゅうジョニーディップと言い間違えてきた。

これは、バングラデシュのことを、バングラディッシュと言い間違えるより恥ずかしいことだと思っている。

そのジョニーデップが写真家ユージン・スミスを演じる?というのが、

パイレーツオブカリビアンイメージがこびり付いた身には全く想像がつかない。

興味本位で観に行ったら、本人としか思えないユージン・スミスぶりに、おお、と感動してしまった(あったことはないけど)。

ユージン・スミスのことは、というと

この映画を見るまでほとんど何も知らなかったので、どういう背景があって、あの写真が生まれたのか、垣間見られてちょっと感銘を受けたりもした。

映画で描かれているユージン・スミスは、アル中で薬中。過去のいろいろで、メンタルをやられて写真家としてのモチベーションどん底にあった頃のユージン・スミスだ。

一方、フォトジャーナリズムを標ぼうしたものの、売上が上がらず、次第に、魂を売るかのような大衆迎合的な記事広告を載せ始めた、落ち目写真「ライフ」が背景として描かれている。

ピューリッツァ賞を夢見て起死回生を図るべく、次の目標に選んだテーマが、当時、世界のあちこち問題化し始めた公害だった。

当時、すでにMINAMATAの名は世界でも、

日本辺境の地で奇病だの猫踊り病だのと言われ、長い間、対応がなされず蓋をされ続けてきた公害として知られていた。

この映画は、写真家として再起を図るユージン・スミスと逆転ホームランを狙う写真誌が、水俣病に目を付けるところから始まる。

いやー、こういう不純な動機、構図。なかなか良いと思う。

水俣の記録ドキュメンタリは、これまでも土本典昭NHK、いくつかみたことがあったけれども、この目線はいままでなかった。

外国人制作するとこうなのか。

この映画の見どころはなんといっても、ユージン・スミス写真家として、親としての葛藤を描くジョニーデップの演技。

日本にきたものの、途中でやる気をなくして投げ出してしまい、大切なはずのカメラまで現地の少年にあげてしまうシーンとか。

ジョニーデップは、本当にクズっぽいシーンがよく似合う。

ただ、残念でならないのは、ロケ地

違和感があったのでググったら、なんと日本ではない。観終わったあとに読んだ町山智浩コメントによると、セルビア・モンテネグロなのだという。

どうりで、海のシーンが逆光でぼんやりしているものが多かったわけだ。

漁民も、漁民たちが扱う魚も、明らかに違和感ありまくりで、端的に貧相だった。違うだろ。。もっと豊かな海を描いてほしかった。

あと、土本作品へのリスペクト、というのもひそかに注目していたのだけど、

まあ特にないのかな、という印象だった。

映画のなかで、アコーディオン少年が出てきた。

過去記録映画を観ていれば、モデルが誰なのか、すぐにピンとくる。

ここはやはり、あれだろう、船頭小唄だろう、と思ったのだけど

アコーディオン少年交流するシーンはなかった。

そのかわり、ユージン・スミスなついて、カメラに興味を示し、撮って遊ぶ天真爛漫な少年が描かれている。

しかし、考えてみれば、船頭小唄なんぞ奏でようものなら、そのメッセージ性が強烈すぎて、

物語邪魔してしまうだろうから日本の観客向けにはむしろないほうがいい、ということかもしれない。






映画クライマックスは、水俣病歴史で欠かすことのできない、大きな事件であるチッソ株主総会

そこからの流れはとてもテンポがよく、裁判によりチッソ補償を決定するまでの激動の動きが、

ユージン・スミスもっとも有名な写真である、「入浴する智子と母」の撮影シーンを織り込んで進んでゆく。

國村隼演じるチッソ社長人間味があって、いい味を出していた。土本作品など過去のドキュメンタリ映画ではなかなか見ることのできなかった加害者視点被害者と向き合い補償決断するチッソ社長の描かれ方は映画ならではであり、圧巻と言わざるを得ない。

見事な演出だと思う。

NHKアーカイブスでも視聴できる有名なチッソ株主総会は、1970年

スミス乱闘に巻き込まれて負傷した事件は翌年の東京本社での事件なので史実とはちょっと違うが、

そのようなリミックスにさして大きな違和感はなかった。


映画は、1973年チッソ補償決断し、川本輝夫映画では真田広之演じるミツオ)が裁判での勝訴をかみしめるところで終わる。

その後の水俣病の動きはわずかにエンドロールで触れられているに過ぎない。


この映画は、ベースの設定が雑誌ライフの復活とユージン・スミスの再起というテーマを背負っていたため、

チッソ責任を認め、補償に応じる、という、ここで終わりになるのは、それはそれでエンタメ的な収まりどころ、なのかもしれない。


しかし、現実水俣病歴史は、ある意味、まさにこの裁判勝訴と、それに続くチッソ補償協定とを契機に、

チッソVS被害者団体という構図から経済優先で被害を黙認する行政VS被害者という構図に大きく変化してゆく。

この映画が第2幕の終わりだとすれば、第3幕はスーパーヒーロー不在の、果てしなき国との闘いだ。

チッソ社長が除去された水をコップで飲んで見せたことで有名な、有機水銀除去サーキュレーター

効果がないのを知りつつ黙認してきた通産省を筆頭に、高度経済成長を錦の御旗に被害に蓋をし続けてきた行政悪業が明らかにされてゆく。

最終的に国の規制権限行使しなかった責任最高裁で認められたのは、それから四半世紀後の2004年


さらに一方で、1973年被害者の勝訴判決は、チッソ患者への補償の契機となったものの、その補償協定のものが、地域社会の新たな分断の出発点ともなった。

補償をするためには、患者が症状によって定義される必要があるのは自明の理だが、補償協定の1600万円を受け取るに値する症状という形で定義・整理されてしまったのだ。

当然、要件を満たない被害者足切りが始まるわけだ。

そして、さらに、さらに、さら問題は複雑化する。

そこに絡んでくるのが厚生省と当時の環境庁だ。国の定める、公健法上の患者認定基準が、チッソ患者団体との補償協定要件に連動してしまったのだ。

どういうことかというと、国は広範囲患者認定を推進するため、公害健康被害補償法により水俣病被害者認定制度を創設したが、

そこで認定された被害者は、73年に本来は一部の患者団体と締結した補償協定適用を受けることが認められ、1600万円を受け取ることができるようになる、という仕組みだった。

しかし、1600万という高額の補償が、結果的に、チッソ補償能力を超え、被害者認定の足かせとなってしまう。取りこぼされた多くの被害者今日に至るまで苦しんでいる、というのが、

映画のその後の世界なのだ2004年最高裁被害者要件を国の認定基準より緩く認定した、にもかかわらず、だ。

そして国の重要産業である化学工業、そしてチッソ賠償破産を食い止めるため国や県が金融支援をし続ける、という構図がこの映画の後に待ち構えている世界だ。

国は当然、実態調査疫学調査消極的で、というか一度もなされたことがない。

その意味では、映画エンディングシーンである勝訴判決は、実は新たな闘いの出発点ともいえるのが水俣病歴史だ。


そのことを思い返しながら、映画の話に戻ると、この映画の残念なところは、以下の点。

風景日本でない、不知火海が見えない、漁民がいまひとつリアリティがない

写真家出版社、一部の被害者闘争リーダーという限られた構図で、実態解明に尽力した熊大や問題放置した行政が出てこない

・だから、なぜ原因企業が折れて補償に応じたのに問題解決しないかみえてこない→多分世界中の公害類似のことが起きているだろう。

エンドロールで見せている世界公害リアリティを与えるためにはやはり行政視点をどこかに織り込まなければならなかったのでは。

ただ、だからといってつまらない映画では決してなかったし、満足感は高かった。みようによっては、セルビア・モンテネグロにしちゃあ頑張って日本漁村を描いた、ともいえる。

ジョニーデップのクズっぽいキャラは最高に楽しめたし、撮影に至るまでの信頼関係の醸成など背景がみえたのは、この映画の見どころだ。

(追記

https://anond.hatelabo.jp/20210929124437

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2021-08-09

anond:20210809231208

ごめんこんな記事みたばかりだから影響されたらしいw

中国、急激な人口減少、史上最大規模のバブル崩壊兆候世界インフレ到来の悪夢

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藤 和彦

コンサルティングフェロー

中国2020年実施した国勢調査の結果に世界の注目が集まっている。今年4月に主要データ公表される予定だったが、その公表時期がずれ込んでいるかである国勢調査人口動態を把握するために10年に1度のペースで実施され、財政社会保障など国の根幹にかかわる重要統計である中国国家統計局4月末に「20年の人口は増加した」とだけ述べたが、比較対象が19年なのか、10年なのか明らかではない。「人口数をかさ上げするための統計処置を行っているのではないか」という疑惑も浮上している。

中国人口減少社会が迫っていることも注目を集める大きな要因である。英フィナンシャル・タイムズ4月27日、状況に詳しい複数関係者の話として「中国人口が50年ぶりに減少した」と報じた。国連予測によれば、中国人口は27年にピークを迎えるとされてきたが、これが7年前倒しになるかたちである人口数に基づいて教育治安などの予算が決まる財政の仕組みにより、中国人口数は実際よりも過大になっているとの指摘がかねてからなされてきた。

国家統計局は「19年に14億人を突破した」としているが、米ウィスコンシン大学人口問題専門家は、「18年に中国人口は減少に転じ、20年の人口12億6000万人にすぎない。あらゆる政策が誤ったデータをもとに策定され、今後の人口政策不利益をもたらす」と警鐘を鳴らしている(5月3日日本経済新聞)。

中国の15歳から64歳までの生産年齢人口は13年にピークをつけたが、7年後に総人口ピークを迎えたとすれば、日本場合よりもペースが格段に速い(日本生産年齢人口1992年に、総人口は08年にそれぞれピークを迎えた)。

中国は出生数の増加に向け、いわゆる「一人っ子政策」を16年に廃止したが、その後も出生数は大幅に減少しており、中国人民銀行4月下旬人口構造の転換を分析した報告書の中で「産児制限を完全に廃止すべきだ」とする異例の主張を行った。その理由として「高齢化危機技術進歩教育水準の向上で補うことは困難であることは日本の事例が証明している」ことを挙げている。人民銀行産児制限撤廃に加えて、出産奨励といった抜本策も主張しており、「若者都市部住宅を構えられるよう、住宅価格抑制すべきである」と強調する。

不動産バブル少子化

中国では20年以上にわたって続いた不動産バブルのせいで、都市部住宅価格普通の人々の手が届かないほどの高値になってしまった。中国場合独身者賃貸アパートに住むことは許されても、結婚して賃貸アパートに住み続けることは社会的通念ではほとんどありえないとされている(2月16日付「現代ビジネス」)。このため、新婚夫婦マンションを購入するために多額の住宅ローンを組まざるを得ないが、月収に占める住宅ローンの返済額は5割に達しているという。昨年11月実施された調査によれば、3分の1が「高い住宅費が2人目の子供を持つことを拒む原因になっている」と回答している。

目先の経済成長のみを重視してきた長年のツケが「少子化」という深刻な現象をもたらしていることに危機感を持った中国政府は、「住宅コスト」の抑制という重い課題に取り組み始めている。

中国金融監督当局は昨年12月末、「今年1月から銀行住宅ローンや不動産企業への融資に総量規制を設ける」と発表した。中国でもコロナ禍に苦しむ中小企業支援するための金融支援を拡大したが、その副作用投機マネー不動産市場に流れ込み、大都市を中心にマンション価格が高騰したかである

しかし、当局の引き締め策は功を奏していないようだ。中国共産党中央政治局は4月30日、住宅市場について「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない。様々な不動産市場での投機防止を行う」と改めて警告を発した。最近中国では投機筋が銀行融資不正手段で獲得し、これを元手に不動産を購入する動きが活発化しており、大都市不動産市場さら過熱する様相を呈している(4月16日付ロイター)。

中国も「失われた30年」

出生数の激減がもたらす少子高齢化の急激な進行は、30年にわたって続いてきた中国の高度成長を終焉させ、世界覇権国となる夢を奪ってしまうことになりかねない。習近平指導部は金融分野での統制権限をようやく手中に収めたとされている(4月28日付日本経済新聞)が、毛沢東が50年前に遭遇した国難人口減少)に立ち向かうため、長年の懸案であった「バブル潰し」を断行するのではないだろうか。

現在中国マクロ経済状況は30年前の日本酷似しており、史上最大規模のバブル崩壊すれば、中国も「失われた30年」を経験することになるだろう。しかし、中国人口減少による悪影響は中国経済だけにとどまらいかもしれない。

誕生間もないバイデン政権は、供給サイド重視の経済政策レーガノミクスから需要重視の経済政策に大きく舵を切っていることから投資家の間では「新型コロナウイルスパンデミック」に代わって、「高水準の資産価格、いわゆるバブル崩壊」が最大の懸念材料になってきている(4月30日付ブルームバーグ)。

冷戦後世界経済は、中国をはじめとする共産圏安価労働力のおかげで長年インフレという悪夢に苦しめられることはなかったが、中国人口減少は「低インフレ時代」が終わることを意味する。そうなれば、中央銀行は今後引き締めモード余儀なくされ、世界規模のバブル崩壊してしまうのではないだろうか。

Permalink |記事への反応(0) | 23:19

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2021-05-09

コロナウイルス社会的契約の弱さを白日の元に晒し

(2020/04/04FT)

Covid-19のパンデミックに明るい兆しがあるとすれば、それは偏った社会に一体感をもたらしたことです。しかし、ウイルスやその対策としての経済封鎖は、既存の不平等に光を当て、さらには新たな不平等を生み出すことにもなります病気を克服するだけでなく、すべての国が間もなく直面する大きな試練は、現在共通目的意識危機後の社会形成するかどうかです。西洋指導者たちが大恐慌第二次世界大戦後に学んだように、集団犠牲を求めるためには、すべての人に利益をもたらす社会契約を提供しなければなりません。

今日危機は、多くの豊かな社会がこの理想にどれほど及ばないかを明らかにしていますパンデミックを食い止めるための闘いが、医療システムの準備不足を露呈したのと同様に、政府が大量の破産を食い止め、大量の失業対処しようと必死になっている中で、多くの国の経済のもろさが露呈しています政府は、大量の倒産や大量の失業回避するために奔走しています国民総動員の呼びかけにもかかわらず、私たちは実際には全員一緒にいるわけではありません。

経済の締め付けは、すでに最悪の状況にある人々に最大の犠牲を強いるものです。一夜にして、ホスピタリティレジャー、およびその関連部門で何百万もの雇用生活が失われた一方で、高給取りの知識労働者は、しばしば自宅で仕事をするという迷惑な状況に置かれていますさらに悪いことに、まだ働ける低賃金仕事に就いている人たちは、介護士医療サポートワーカーだけでなく、倉庫作業員配達員、清掃員など、命がけで働いていることが多いのです。

政府による経済への並外れた予算支援は、必要ではあるものの、ある意味では問題悪化させることになります。不規則不安定労働市場の出現を許してきた国では、そのような不安定雇用形態の労働者金融支援提供することが特に難しくなっています。一方、中央銀行による大幅な金融緩和は、資産家を助けます。その背後では、資金不足の公共サービスが、危機管理政策適用という負担の下で軋んでいます

ウイルスとの戦いでは、一部の人利益を得て、他の人が犠牲になっているのです。Covid-19の犠牲者は、圧倒的に高齢者です。しかし、ロックダウンの最大の被害者は、若くて活動的な人々であり、彼らは教育を中断し、貴重な収入放棄することを求められています犠牲はやむを得ないが、国家努力の中で最も重い負担を負っている人々に、どのようにして返還するかを、すべての社会が示さなければなりません。

過去40年間の一般的政策方向性を覆すような、抜本的な改革検討する必要があります政府は、経済においてより積極的役割を果たさなければなりません。政府は、公共サービス負債ではなく投資とみなし、労働市場不安定さを軽減する方法模索しなければいけません。再分配が再び議題となり、高齢者富裕層特権問題となるでしょう。ベーシックインカム富裕層向けの税金など、これまでは風変わりだと思われていた政策検討されなければなりません。

ロックダウン中のビジネス収入を維持するために政府がとっている前例のない措置は、正しく、欧米諸国が70年間経験したことのないような戦時中経済比較されます。この例えは、さら推し進められていきます

戦争に勝った指導者たちは、勝利を待たずにその後の計画を立てました。フランクリン・D・ルーズベルトウィンストン・チャーチルは、1941年に「大西洋憲章」を発表し、国際連合方向性を示しました。イギリスは、1942年普遍的福祉国家を目指す「ベヴァリッジ報告」を発表しました。1944年のブレトウッズ会議では、戦後金融システムが構築されました。これと同じような先見性が今も求められています。真の指導者たちは、公衆衛生上の戦争を超えて、平和を勝ち取るために今すぐ動員するでしょう。

引用元

https://twitter.com/HelenCSullivan/status/1246600170738868225

Permalink |記事への反応(0) | 02:16

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2020-08-30

楽しいイルベ用語

イルベ

韓国大手匿名掲示板、日刊ベストストアの略称

元はDCインサイドという別の大手掲示板から削除された過激/有害書き込みを集めたまとめサイト発祥だが今は独立した掲示板となっている。

キムチ女

韓国女性愛称

必ずしも批判的な蔑称というわけではなく、外国人も各地域の有名料理名前を付けて使用する。

寿司女、カレー女ウォッカ女、フィッシュ&チップス女等。

中絶

日本で言うガルチャンのような女性中心のコミュニティを指す。

イルベ女性蔑視のかなり強い男性中心のコミュニティなので女性から批判の声も多いが、中絶情報を共有してるようなお前らが俺らの道徳性批判してんじゃねえという意味が込められている。

レディーカカ

カカとは嘲笑を表した擬音。朴槿恵前大統領を指している。

キリクキリク

イルベユーザーは全員障害者扱いされているのでキリクキリク(車椅子義足などを使うときに生じる擬音)を合言葉のように使う。

収容所

アニメ掲示板のことを指す。

アニメオタクに対し気持ちいから一生隔離場所に閉じこもってろという意味が込められている。

はい次丸

はい、次回は丸焼きでお越しください。」の略語

全羅道(イルベでよくイジられている地域)を理由もなく批判するために使用

ちなみに丸焼きとは死傷者340人となった大邱地下鉄放火事件が元になっている。

丸焼き/こんがり

↑に関連。特定地域住民への蔑称。大変不謹慎

剥全

「剥いてみると全羅道」の略語

全羅道住民批判されることを恐れて別地方出身/在住を騙ることに由来。

慶尚道民です」と書き込んだ後に逮捕された青年全羅道住民として報道された逸話は多くのイルベ民の爆笑を誘った。

ノア

盧武鉉元大統領コアラを合成したコラ画像のことを指す。

MCムヒョ

盧武鉉元大統領演説動画音楽を合わせて使ったMAD動画などを指す。

ノミネム

盧武鉉エミネム。↑に関連。

ムヒョRT

盧武鉉元大統領無限RT造語Twitterなどで行われる工作RTなどを指す。

盧(漢字のまま)

盧武鉉元大統領漢字姓。韓国語で「ノー」の音になる部分で無意味に使われる。

重力

5月23日を指す。盧武鉉元大統領投身自殺した命日。

イルベでは1年の中で重力が最も強くなる日と伝えられている。

イルベ民が5月23日SNSメッセンジャーアプリプロフィール画像上下反転させる習慣を流行させ物議を醸した。

モムケム

全裸自慰行為をすることを指す。

ネカマ男性オナニー動画言葉巧みに入手しそれを材料金銭を脅し取るモムケム詐欺流行した。

穴(ボ)ヘラジカ

ヘラジカ女性器の暗喩を合わせた造語

急発進や前方確認不足でまともなドライバーを驚かす女性ドライバーヘラジカに例えている。

穴男

フェミニストに都合の良い言葉だけ並べて本心セックスしたいという下心しかない男のことを指す。

意図的にこれを装い多くの反論を集めるレス乞食問題になっている。

テク

女性女性という立場(女性器)を使って都合よく金銭的に得をするテクニックを指す。

女性というだけで男性に奢られることやホワイトデーの数倍返し要求女性器を使い金銭的に余裕のある男性結婚扶養に入るなど。

ボヒョム

女性器+嫌悪造語ミソジニーと近い意味

ガンベチュン

イルベに居着いている女性ユーザーを指す。

ガンとは雌のことを指し、また存在が癌的であることも指している。

日肉盾

イルベ+肉盾の造語

誤報誹謗中傷問題などの責任がよくイルベ住民押し付けられることに由来。

イルミン

イルベカミングアウト造語

イルベユーザーであることをカミングアウトすることを指す。大抵の場合ドン引きされる。

ボミン

穴(ボ)+カミングアウト造語

女性だと自らカミングアウトすることに加え、「俺も男だが~」から始まる女臭さを隠せてない女性擁護書き込みなどのことも指す。

コミュニティ崩壊を招きかねないので大変な禁忌とされている。

全羅道人民共和国

とある地域特定政党支持率が90%を超えたことを受けどこかの国のようだと思ったイルベ民が作った造語

中二病

日本発祥言葉意味日本と同じ。

ソング

整形モンスターを指す造語。主に人造人間のような顔と胸を持つ女性を指す。

ペンギン

金大中元大統領北朝鮮への金融支援実質的に核開発に貢献したことからつけられた蔑称

ペンギンとはバットマンの敵キャラであるペンギンと顔が似ていることからついた。

ガンギエイ

全羅道住民を指す蔑称。5.18民主化運動犠牲者遺骨から発酵したエイ臭いがしたという話に由来する。

Permalink |記事への反応(11) | 08:14

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2020-08-24

anond:20200824190812

十分かどうかは別として、給付金10万円他の金融支援

←さんざんせっつかれた挙句に、牛肉券を配るだの、一部の人間のみ対象に30万円配るだの言って迷走し、それも批判されてようやく一律10万円と決めた。

緊急事態宣言

および、緊急事態宣言の解除は行っている。

国賓招待やら五輪やらを優先しようとして入国規制を遅らせている間に被害が拡大し、緊急事態宣言を出せ出せと言われても躊躇しまくった挙句にようやく実施他国成功例失敗例はすでにたくさんあったのに、拙速な解除をして被害が再拡大。

Permalink |記事への反応(0) | 19:15

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anond:20200824181336

なにひとつではない。

十分かどうかは別として、給付金10万円他の金融支援

緊急事態宣言

および、緊急事態宣言の解除は行っている。

また、いくつかの法案国会を通過している。コロナに関して。

Permalink |記事への反応(2) | 19:08

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2020-04-06

anond:20200406010139

あーすまんすまん、勢いで書いたから頭が混乱してたわ。財務省財政出動を拒んでいるわけではないと思う。(消費税を下げたくないって話と混同してたわー

内閣としても国民に直接バラまくってのは効果ないって考えてるだけな気がする。法人フリーランスに対しての金融支援とか休業補償とかで乗り切ろうとしてるんじゃないかな。ムカツクけど政策としてはその方が正しいと思うよ、たぶん。

Permalink |記事への反応(0) | 05:35

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2019-08-02

非常な外交経済状況に対応するため、緊急に閣議招集しました。

今日の午前、日本政府は、韓国を白色国から排除する決定を下しました。

問題解決するための外交努力拒否して、事態さら悪化させる非常に無謀な決定では、深い遺憾を表します。

外交解決策を提示し、行き止まりの道を行くと言うことを警告し、問題解決のために頭を突き合わせ者たちの政府提案日本政府は、素晴らしい受け入れていない。

一定の期限を定めて、現在の状況をこれ以上悪化させずに、交渉する時間を持っていること促す米国提案にも応じていない。

韓国政府国際社会外交解決努力無視して、状況を悪化させてきた責任日本政府にあることが明らかになった以上、これから繰り広げられる事態責任全面的日本政府にあるという点を明確に警告します。

どのような理由言い訳しても、日本政府の今回の措置は、私たち最高裁判所強制徴用判決に対する明白な貿易報復です。

また、「強制労働の禁止」と「三権分立に基づい民主主義」という人類普遍的価値国際法大原則に違反する行為です。

日本G20会議で強調した自由貿易秩序を自ら否定する行為です。

個人請求権消滅していないと、日本政府自身が明らかにしてきた過去立場とも矛盾します。

私たちは、より深刻に受け入れることは、日本政府措置が、私たち経済攻撃し、私たち経済の将来の成長を妨げて打撃をするという明確な意図を持っているという事実である

私たちの最も近い隣人であり、友好国に思って来た日本が、そのような措置を取ったことが全く失望っぽく残念です。

日本措置は、両国間の長年の経済協力と友好協力関係毀損するもので、両国関係重要課題です。

また、グローバルなサプライチェーンを崩し、世界経済に大きな被害を及ぼす利己的な迷惑行為に、国際社会の指弾を免れないでしょう。

日本措置により、私たち経済は厳しい状況で困難が加わりました。

しかし、我々は再び日本に負けないでしょう。

私たちは、多くの逆境を乗り越え、今日に至りました。

少なからぬ困難が予想されるが、私たち企業国民にはその困難を克服する能力があります

過去にもそうきたように、私たち逆境をむしろ飛躍する機会として作ることになります

政府も素材・部品の交換輸入先と在庫物量確保、源泉技術の導入、国産化のための技術開発と工場の新・増設金融支援など、企業被害を最小限に抑えるためすることができるサポートを行います

さらに素材・部品産業競争力を高め、再び技術覇権に振り回されないことはもちろん、製造業強国の地位さらに高める契機にいたします。

政府企業大企業中小企業、炉社、そして国民が一緒に力を集めたならば十分にこなすことができることです。

政府韓国企業能力を信じて、自信を持って一緒に団結してくださることを国民に訴えます

一方で、決して望まなかったことだが、私たち政府は、日本の不当な経済報復措置について相応する措置を断固として取っていきます

たとえ日本経済大国だが、私たち経済被害意図挙げるなら、私たちも対抗することができる方法を持っています

加害者である日本居直りではなく、大声打つ状況を決して座視しません。

日本政府措置状況に応じて、私たちも、段階的に対応措置を強化していきます

すでに警告したように、私たち経済意図的に打撃すれば、日本でも大きな被害を甘受しなければならなります

韓国政府は、今も対応と対抗の悪循環を望まない。

停止できる道はただ一つ、日本政府一方的で不当な措置を一日も早く撤回し、ダイアログの道出てくるものです。

韓国日本両国間の不幸な過去歴史に起因する深い傷があります

しかし、両国は長い間、その傷を縫い、薬を塗って包帯を巻き取り傷を癒すしようと努力してきました。

ところが、今になって加害者である日本が、むしろ傷をヘッドつまむなら、国際社会フォームが決して容認しないことを、日本は直面してください。

国民の皆さんにも申し上げます

私たちは、今年の特別3・1独立運動臨時政府樹立100周年を記念して、新しい未来100年を約束しました。

力で相手制圧していた秩序は過去遺物に過ぎません。

今日大韓民国は、過去大韓民国がありません。

国民民主力量は世界高水準であり、経済も比類なく成長しました。

いかなる困難も十分克服する底力を持っています

すぐには困難があるでしょう。

しかし、挑戦に屈した場合歴史は再び繰り返されます

今の課題をむしろチャンスと思って新たな経済跳躍の契機とするならば、私たちは十分に日本を勝ち抜くことができます

私たち経済日本経済を超えることができます

歴史近道はあっても省略はないということです。

いつかは越えなければならない山です。

今この場で止まって立つと、永遠に山に登ることができません。

国民の偉大な力を信じ、政府が率先しております

挑戦を存続勝利歴史国民と一緒にもう一回作ります

私たちはすることができます

政府の各省庁も、企業の難しさと一緒にするという非常な覚悟で臨んで周期ください。

Permalink |記事への反応(1) | 15:41

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2015-05-11

今更だが公認会計士シャープの99%減資をざっくりと解説する。

当方公認会計士

シャープ99%減資のニュースへの反応は、初期の誤った流れを正すきちんとした解説記事ホッテントリに上がっているので今更感はあるのだが、何故か気が乗っているので私も書くことにする。

ただしざっくりだ(それでもえらく長文になったが)。正確を期して例外留保をつけていくと誰も読まない文章ができあがるので一々そういうものは書かない。

まず資本金とは何か。

倒産する、しないに資本金がいくらかは関係ない。関係あるのは純資産の金額である企業資産から負債を引いたもの純資産マイナスになったら債務超過

資本金というのは純資産の金額の中で「この金額だけは配当しない」と設定・宣言した金額のことだ。資本金というのは債権者のための制度だ。企業純資産をどんどん配当株主に払い戻すと純資産が減って倒産リスクが高まり債権者銀行や取引先)は困る。仮に純資産が2000億円で資本金が1200億円だとするとこの会社は2000億円のうち1200億円は配当できない枠の中に入れたことになるので債権者にとっては安心なわけだ。資本金の大小が会社の信用とはそういうことだ。

一方で純資産が減って1200億円を割ったらこ会社配当ができない。純資産資本金の金額に満たない場合資本の欠損というのだが、利益の積み上げで短期的に欠損を回復を期待できない場合どうするか。「配当しない」と宣言した枠=資本金の金額、を減らせばよい。これが減資だ。資本金が1200億円、純資産1000億円とすると資本の欠損がマイナス200億円、このままではこの200億円が利益で埋められない限り配当できない。ここで資本金の金額を700億円に減資しまーすとすれば、資本金を超過する純資産300億円が配当可能になる。

たとえばシャープの去年(2014.3)の単体決算を見ると、純資産が1934億円、そのうち資本金が1218億円に設定されている。ほかに資本準備金という資本金の弟分が843億円設定されていて、両者合計で2061億円と配当できない金額枠が純資産を上回っているので、資本の欠損の状態にある。資本準備金というのは、資本金同様に、配当しない金額として設定・宣言されるものだ。実は減資の手続きというのは相当面倒だ。株主総会での決議、公告、異議を述べた債権者に弁済など色々しなければいけない。対して資本準備金を減らす手続きのほうは、もう少し簡単である。弟分というのはそういう意味だ。配当しない金額の厳格さを段階的に設けているわけだ。

シャープの2015.3の決算赤字見込みと聞く。欠損は、利益回復するどころか逆に大きく広がり、短期的に回復する見通しがないのだろう。だから減資である(前段階として資本準備金ゼロまで減少するのが通常である。おそらくそうするのだろう)。ただし本来資本金を1億円にまで減らす必要はない。1億円にまで減らしたのは後述する税務メリットのためと思われる。

ところである会社資本金の金額というのはどのように決まっているのか。大まかには、会社拠出された資金の金額の半分が資本金、残り半分が資本準備金として設定されるとおもってくれればいい。たとえば自己資金2億円で創業したら、1億円が資本金、もう1億円が資本準備金だ。純資産2億円に対して、資本金1億円、資本準備金1億円なので配当できない。出資された資産配当してしまっては意味不明な状況になるので、出資された金額は資本金資本準備金として配当不能になるようにされている。一方で事業による利益で増えた分の純資産利益剰余金と呼ぶ。これは配当可能だ。

代表例として以下のとき資本金の金額が増えていく。

事業拡大のためにベンチャーキャピタルや取引先から出資を受けた。

上場して株式の売出しを行い、一般投資家から出資を受けた。

・更なる投資のために公募増資投資家から更にお金を払い込んでもらうこと)をした。

会社の信用(対債権者)をあげるために利益剰余金の一部を配当できない資本金に振り替えた。

こうして今まで積み重なってきた資本金が、シャープ場合1218億円なわけだ。

混乱しやすものに「100%減資」というものがある。財政難企業公的資金などで救済するとき既存株主責任を取らせる(要するに既存株主の持分を紙くずにする)ヤツだ。これは上述した減資とは全く種類が違う。シャープ場合は99.99%減資らしいが、仮に99.9999999999であっても100でないものは今まで述べてきた減資、100%減資だけは全く種類が違うものと思ってもらっていい。上述のとおり減資は純資産のうち「配当しない枠」に入れる金額を減らす話なので、減資をしても減資自体では株主の持分価値純資産株式数)に変動はない。

100%減資というのはいったん資本金の金額をゼロにするからそういう名前なのだが、重要なのはその後、既存株主の株を強制的会社が無価値で取得するという仕組みのほうだ。当然、既に価値がなくなっている会社しかできない。資本金の金額を減少させることではなく、強制的に株を取り上げることを主眼とする制度だ。その際に資本金ゼロが伴うから100%減資という名前を付けて呼んでいるだけだ。

シャープの減資は通常の減資なので株主持分の価値は何ら変わらない。だが一般的に減資する会社は苦しい会社なので減資とともに新たな出資がセットになっている場合が多い。シャープ場合銀行債務株式化(デット・エクイティスワップというヤツ)をするらしいので、株式数が増えて一株あたりの利益金額は減少する。株式数が増えると希薄化で株価は下がるのが一般的だが、債務株式化の場合債務が減って信用不安が減少するので株価にはプラス材料でもある(今回の債務株式化のとき株価がどう反応したのかは知らない)。なお金機関にとっては、万が一の倒産時に株主より先に弁済を受けられる「債権から、その後の残りの財産しか分配されない(通常はゼロだ)「株式」に変えることは(もちろん経営状況が回復し売却益が出ることも大いにありうるのだが)通常は損な交換とされており、だから金融支援と言われる。

さて減資の目的についてだが、上述のとおり資本の欠損の填補が通常の目的であり、今回もそれが直接の目的であろう。ただし1億円まで極端に減らしたのは、そうすることで税務上のメリットがついてくるからである。税務上は大企業中小企業かを資本金の金額で判断する制度になっている。そのボーダーが1億円以下かどうか。税制はもちろん中小企業のほうが優遇されている。といっても中小企業向けの優遇の金額は本来大企業である企業にとってはたかがしれている。外形標準税という、赤字でも企業規模に応じて払う税金が、中小企業には適用されない仕組みもあるのだが、その分利益にかかる法人税の料率が上がるので、大きな利益が出る大企業ではむしろ不利になる可能性もある。だから今までは大企業が税務上中小企業になるインセンティブは大きくなかった。今までは。

最近繰越欠損金の控除に大企業向けの制限ができた。繰越欠損金の控除というのは、当期出た赤字を将来の黒字とオフセットできて、たとえば当期赤字200億円、来期黒字200億円なら、来期は繰り越した赤字を黒字に通算して、税金の支払いをなくせる制度だ。こうしないと黒字のときだけ税金が取られてしまい業績が赤黒をまたいで変動する会社が著しく不利になるからだ。ただし、リーマンショックで出た巨額損失を将来の利益に充て続けてきたために、最近まで納税がなかった大企業特に公的支援を受けた金融機関)が社会的問題視されたこともあり、黒字の100%オフセットして税金ゼロにすることができなくなった。今年までは生じる利益の80%まで、来年からは50%までがオフセットの上限だ。つまり、上の例で言えば、当期赤字200億円は来期の黒字200億円との相殺に、黒字の50%である100億円までしか使えない。黒字の残りの100億円には税金がかかる。使い残った赤字100億円は、2年後の利益相殺することになる。長い目で見れば変わらないような気もするが、欠損金は使用期限もあるし(今までは9年、来年から10年)、1年後に使える100億円と数年先に使える100億円は財務価値が違う(もう疲れたから詳述しないけど、割引率というやつだ)。要するに大企業には不利になった。中小企業ならこの制限を受けないのだ。シャープのように巨額の赤字を出した会社10年以内に利益とすべて相殺できるかわからないので、また業績回復を見せるべき今後数年間において税金ゼロになるかならないかが変わるので、それなりにインパクトのある話だ。ほかの大企業追随が続くようだと(世間イメージ銀行の反対などで、そうそう簡単にできるものではないが)、税法が改正されて中小企業の判定条件が見直されるかもしれないが。

以上です。疲れた。長文だ。張り切りすぎた。

ところで、以前に匿名ダイアリーで以下の文章を書き、僭越にも800ブクマ以上頂いた。

「何故、余っていたはずの会計士が足りないのか」

http://anond.hatelabo.jp/20150203104909

最近産経新聞が以下のような記事を書いている。

「余っていたはずの公認会計士がなぜ不足? 受験離れの背景に金融庁失策も…」

http://www.sankei.com/premium/news/150502/prm1505020011-n1.html

タイトルや筋立て的に、私の書いたはてな匿名ダイアリーを参考にされた可能性があると思われる。

仮にそうでも特に問題なく光栄であるが、ブログとしてやっていたら連絡をもらってもう少し掘り下げて話せたのになあ、と思わなくもない。

はてなユーザーレベルネット上の集団の中では高いほうだと思うし勉強になることが多々あるけど、金融経済企業財務は苦手なのか、理解不足に基づく流れでブコメ形成されていることがある。最近では企業内部留保批判や、トヨタが近年税金を払っていなかった?という記事など。

3ヶ月に1回更新でもいいのでトピックに上がってきた企業財務問題解説ブログでもやろうかしら。

Permalink |記事への反応(2) | 08:41

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