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2025-10-24

伊香保寺田寅彦

 二三年前の夏、未だ見たことのない伊香保榛名を見物の目的で出掛けたことがある。ところが、上野驛の改札口を這入つてから、ふとチヨツキのかくしへ手をやると、旅費の全部を入れた革財布がなくなつてゐた。改札口の混雜に紛れて何處かの「街の紳士」の手すさみに拔取られたものらしい。もう二度と出直す勇氣がなくなつてそれつきりそのまゝになつてしまつた。財布を取つた方も内容が期待を裏切つて失望したであらうから、結局此の伊香保行の企ては二人の人間失望させるだけの結果に終つた譯である

 此頃少し身體の工合が惡いので二三日保養のために何處か温泉にでも出掛けようといふ、その目的地に此の因縁つきの伊香保が選ばれることになつた。十月十四日土曜午前十一時上野發に乘つたが、今度は掏摸すりの厄介にはならなくて濟んだし、汽車の中は思ひの外に空いて居たし、それに天氣も珍らしい好晴であつたが、慾を云へば武藏野の秋を十二分に觀賞する爲には未だ少し時候が早過ぎて、稻田と桑畑との市松模樣の單調を破るやうな樹林の色彩が乏しかつた。

 途中の淋しい小驛の何處にでも、同じやうな乘合自動車アルミニウムペイントが輝いて居た。昔はかういふ驛には附きものであつたあのヨボ/\の老車夫の後姿にまつはる淡い感傷はもう今では味はゝれないものになつてしまつたのである

 或る小驛で停り合はせた荷物列車の一臺には生きた豚が滿載されて居た。車内が上下二段に仕切られたその上下に、生きてゐる肥つた白い豚がぎつしり詰まつてゐる。中には可愛い眼で此方を覗いてゐるのもある。宅の白猫の顏に少し似てゐるが、あの喇叭のやうな恰好をして、さうして禿頭のやうな色彩を帶びた鼻面はセンシユアルでシユワイニツシである。此等の豚どもはみんな殺されに行く途中なのであらう。

 進行中の汽車から三町位はなれた工場の高い煙突の煙が大體東へ靡いて居るのに、すぐ近くの工場の低い煙突の煙が南へ流れて居るのに氣がついた。汽車が突進して居る爲に其の周圍に逆行氣流が起る、その影響かと思つて見たがそれにしても少し腑に落ちない。此れから行先にまだいくらも同じやうな煙突の一對があるだらうからもう少し詳しく觀察してやらうと思つて注意してゐたが、たうとう見付からずに澁川へ着いてしまつた。いくらでも代はりのありさうなものが實は此の世の中には存外ないのである。さうして、ありさうもないものが時々あるのも此の世の中である

 澁川驛前にはバス電車伊香保行の客を待つてゐる。大多數の客はバスを選ぶやうである電車の運轉手は、しきりにベルを踏み鳴らしながら、併しわり合にのんきさうな顏をしてバスに押し込む遊山客の群を眺めて居たのである。疾とうの昔から敗者の運命に超越してしまつたのであらう。自分も同行Sも結局矢張りバスもつ近代味の誘惑に牽き付けられてバスを選んだ。存外すいて居る車に乘込んだが、すぐあとから小團體がやつて來て完全に車内の空間を充填してしまつた。酒の香がたゞよつて居た。

 道傍の崖に輕石の層が見える。淺間山麓一面を埋めて居るとよく似た豌豆大の粒の集積したものである。淺間のが此邊迄も降つたとは思はれない。何萬年も昔に榛名火山自身の噴出したものかも知れない。それとも隣りの赤城山の噴出物のお裾分けかも知れない。

 前日に伊香保通のM君に聞いたところでは宿屋はKKの別館が靜かでいゝだらうといふことであつた。でも、うつかりいきなり行つたのでは斷られはしないかと聞いたら、そんなことはないといふ話であつた。それで、バスを降りてから二人で一つづゝカバンを提げて、すぐそこの別館の戸口迄歩いて行つた。館内は森閑として玄關には人氣がない。しばらくして内から年取つた番頭らしいのが出て來たが、別に這入れとも云はず突立つたまゝで不思議さうに吾々二人を見下ろしてゐる。此れはいけないと思つたが、何處か部屋はありませうかと聞かない譯にも行かなかつた。すると、多分番頭と思はれる五十恰好のその人は、恰度例へば何處かの役所の極めて親切な門衞のやうな態度で「前からの御申込でなければとてもとても……」と云つて、突然に乘込んで來ることの迂闊さを吾々に教へて呉れるのであつた。向うの階段の下では手拭を冠つて尻端折つて箒を持つた女中が三人、姦の字の形に寄合つて吾々二人の顏を穴のあく程見据えてゐた。

 カバンをぶら下げて、悄々しをしをともとのバスの待合所へ歸つて來たら、どういふものか急に東京へそのまゝ引き返したくなつた。此の坂だらけの町を、あるかないか當てにならない宿を求めて歩き※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はるのでは第一折角保養に來た本來の目的に合はない、それよりか寧ろ東京の宅の縁側で咲殘りのカンナでも眺めて欠伸をする方が遙かに有效であらうと思つたのである。併し、歸ることは歸るとしても兎も角も其處らを少し歩いてから歸つても遲くはないだらうとSがいふので、厄介な荷物を一時バスの待合所へ預けておいてぶら/\と坂道を上つて行つた。

 宿屋が滿員の場合には入口に「滿員」の札でも出しておいたら便利であらう。又兎も角も折角其家を目指して遙々遠方から尋ねて來た客を、どうしても收容し切れない場合なら、せめて電話温泉旅館組合の中の心當りを聞いてやる位の便宜をはかつてやつてはどうか。頼りにして來た客を、假令それがどんな人體であるにしても、尋ねてくるのが始めから間違つてゐるかのやうに取扱ふのは少し可哀相であらう。さうする位ならば「旅行案内」などの廣告にちやんと其旨を明記しておく方が親切であらう。

 こんな敗者の繰言を少し貧血を起しかけた頭の中で繰返しながら狹い坂町を歩いてゐるうちに、思ひの外感じのいゝ新らしいM旅館別館の三階に、思ひもかけなかつた程に見晴らしの好い一室があいてゐるのを搜しあてゝ、それで漸く、暗くなりかゝつた機嫌を取直すことが出來たと同時に馴れぬ旅行疲れた神經と肉體とをゆつくり休めることが出來たのは仕合せであつた。

 此室の窓から眼下に見える同じ宿の本館には團體客が續々入込んでゐるやうである。其の本館から下方の山腹にはもう人家が少く、色々の樹林に蔽はれた山腹の斜面が午後の日に照らされて中々美しい。遠く裾野には稻田の黄色い斑の縞模樣が擴がり、其の遙かな向うには名を知らぬ山脈が盛上がつて、其の山腹に刻まれた褶襞の影日向が深い色調で鮮かに畫き出されて居る。反對側の、山の方へ向いた廊下へ出て見ると、此の山腹一面に築き上げ築き重ねた温泉旅館ばかりの集落は世にも不思議な標本的の光景である。昔、ローマ近くのアルバ地方遊んだ時に、「即興詩人」で名を知られたゲンツアノ湖畔を通つたことがある。其の湖の一方から見た同じ名の市街の眺めと、此處の眺めとは何處か似た所がある。併し、古い伊太利の彼の田舍町は油繪になり易いが此處のは版畫に適しさうである。數年前に此地に大火があつたさうであるが、成程火災の傳播には可也都合よく出來てゐる。餘程特別防火設備必要であらうと思はれる。

 一と休みしてから湯元を見に出かけた。此の小市街横町は水平であるが、本通りは急坂で、それが極めて不規則階段のメロデイーの二重奏を奏してゐる。宿屋お土産を賣る店の外には實に何もない町である。山腹温泉街の一つの標本として人文地理學者の研究に値ひするであらう。

 階段の上ぼりつめに伊香保神社があつて、そこを右へ曲ると溪流に臨んだ崖道に出る。此の道路にも土産物を賣る店の連鎖が延長して溪流の眺めを杜絶してゐるのである。湯の流れに湯の花がつくやうに、かういふ處の人の流れの道筋にはきまつて此のやうな賣店の行列がきたなく付くのである。一寸珍らしいと思ふのは此道の兩側の色々の樹木に木札がぶら下げてあつて、それに樹の名前が書いてあることである。併し、流石にラテン語の學名は略してある。

 崖崩れを石垣で喰ひ止める爲に、金のかゝつた工事がしてある。此れ位の細工で防がれる程度の崩れ方もあるであらうが、此の十倍百倍の大工事でも綺麗に押し流すやうな崩壞が明日にも起らないといふ保證は易者にも學者にも誰にも出來ない。さういふ未來の可能性を考へない間が現世の極樂である自然可能性に盲目な點では人間も蟻も大してちがはない。

 此邊迄來ると紅葉がもうところ斑に色付いて居る。細い溪流の橋の兩側と云つたやうな處のが特に紅葉が早いらしい。夜中にかうした澤を吹下ろす寒風の影響であらうか。寫眞師がアルバムをひろげながらうるさく撮影をすゝめる。「心中ぢやないから」と云つて斷わる。

 湯元迄行つた頃にはもう日が峯の彼方にかくれて、夕空の殘光に照らし出されて雜木林の色彩が實にこまやかに美しい諧調を見せて居た。樹木の幹の色彩がかういふ時には實に美しく見えるものであるが、どういふもの特に樹幹の色を讚美する人は少ないやうである

 此處の湯元から湧き出す湯の量は中々豐富らしい。澤山の旅館の浴槽を充たしてなほ餘りがあると見えて、惜氣もなく道端の小溝に溢れ流れ下つて溪流に注いで居る。或る他の國の或る小温泉では、僅かにつの浴槽にやつと間に合ふ位の湯が生温るくて、それを熱くする爲に一生涯骨を折つて、やつと死ぬ一年前に成功した人がある。其人が此處を見たときにどんな氣がしたか。有る處にはあり餘つて無い處にはないといふのは、智慧黄金に限らず、勝景や温泉に限らぬ自然の大法則であるらしい。生きてゐ自然界には平等存在せず、平等は即ち宇宙の死を意味する。いくら革命を起して人間の首を切つても、金持と天才との種を絶やすことは六かしい。ましてや少しでも自己觸媒作用オートカタリテイツク・アクシヨンのある所には、ものの片寄るのが寧ろ普遍現象からである。さうして方則に順應するのは榮え、反逆するものは亡びるのも亦普遍現象である

 宿へ歸つて見ると自分等の泊つてゐる新館にも二三の團體客が到着して賑やかである。○○銀行○○課の一團は物靜かでモーニングを着た官吏風の人が多い。○○百貨店○○支店の一行は和服が多く、此方は藝者を揚げて三絃の音を響かせて居るが、肝心の本職の藝者の歌謠の節※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はしが大分危なつかしく、寧ろ御客の中に一人いゝ聲を出すのが居て、それがやゝもすると外れかゝる調子を引戻して居るのは面白い。ずつと下の方の座敷には足踏み轟かして東京音頭を踊つて居るらしい一團がある。人數は少いが此組が壓倒的優勢を占めて居るやうである

 今度は自分などのやうに、うるさく騷がしい都を離れて、しばらく疲れた頭を休める爲にかういふ山中自然を索たづねて來るものゝある一方では又、東京では斷ち切れない色々の窮屈を束縛をふりちぎつて、一日だけ、はめを外づして暴れ※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はる爲にわざ/\かういふ土地を選んで來る人もあるのである。此れも人間界の現象である。此の二種類の人間相撲になれば明白に前者の敗である後者の方は、宿の中でも出來るだけ濃厚なる存在を強調する爲か、廊下を歩くにも必要以上に足音を高く轟かし、三尺はなれた仲間に話をするのでも、宿屋中に響くやうに大きな聲を出すのであるが、前者の部類の客はあてがはれた室の圍ひの中に小さくなつて、其の騷ぎを聞きつゝ眠られぬ臥床ふしどの上に輾轉するより外に途がないのである。床の間を見ると贋物の不折の軸が懸かつて居る、その五言の漢詩の結句が「枕を拂つて長夜に憐む」といふのであつたのは偶然である。やつと團體の靜まる頃には隣室へ子供づれの客が着いた。單調な東京音頭は嵐か波の音と思つて聽き流すことが出來ると假定しても、可愛い子供の片言は身につまされてどうにも耳朶の外側に走らせることの出來ぬものである。電燈の光が弱いから讀書で紛らすことも出來ない。

 やつと宿の物音があらかた靜まつた後は、門前のカフエーから蓄音機の奏する流行小唄の甘酸つぱい旋律が流れ出して居た。併し、かうした山腹の湯の町の夜の雰圍氣を通して響いて來る此の民衆音樂の調べには、何處か昔の按摩の笛や、辻占賣の聲などのもつて居た情調を想ひ出させるやうな或るものが無いとは云はれない。

 蓄音機と云へば、宿へ着いた時につい隣りの見晴らしの縁側に旅行蓄音機を据ゑて、色々な一粒選りの洋樂のレコードをかけてゐ家族連の客があつた。此れも存在の鮮明な點に於て前述の東京音頭の連中と同種類に屬する人達であらう。

 夜中に驟雨があつた。朝はもう降り止んではゐたが、空は低く曇つてゐた。兎も角も榛名湖畔迄上ぼつて見ようといふので、ケーブルカー停車場のある谷底下りて行つた。此の谷底停車場風景は一寸面白い。見ると、改札口へ登つて行く階段だか斜面だかには夥しい人の群が押しかてゐる。それがなんだか若芽についたあぶら蟲か、腫物につけた蛭の群のやうに、ぎつしり詰まつて身動きも出來さうにない。それだのにあとから/\此處を目指して町の方から坂を下りて來る人の群は段々に増すばかりである。此の有樣を見て居たら急に胃の工合が變になつて來て待合室の腰掛に一時の避難所を求めなければならなかつた。「おぢいさんが人癲癇を起こした」と云つてSが笑出したが、兎も角も榛名行は中止、その代りつい近所だと云ふ七重の瀧へ行つて見ることにした。此の道筋の林間の小徑は往來の人通りも稀れで、安價なる人癲癇は忽ち解消した。前夜の雨に洗はれた道の上には黄褐紫色樣々の厚朴の落葉などが美しくちらばつてゐた。

 七重の瀧の茶店で「燒饅頭」と貼札したものを試みに注文したら、丸いパンのやうなもの味噌※(「滔」の「さんずい」に代えて「しょくへん」、第4水準2-92-68)を塗つたものであつた。東京下町若旦那らしい一團が銘々にカメラを持つてゐて、思ひ思ひに三脚を立てゝ御誂向の瀧を撮影する。ピントを覗く爲に皆申合せたやうに羽織の裾をまくつて頭に冠ると、銘々の羽織の裏の鹽瀬の美しい模樣が茶店に休んでゐる女學生達の面前にずらりと陳列される趣向になつてゐた。

 溪を下りて行くと別莊だか茶店だかゞあつて其前の養魚池の岸にかはせみが一羽止まつて居たが、下の方から青年團の服を着た男が長い杖をふりまはして上がつて來たので其のフアシズムの前に氣の弱い小鳥は驚いて茂みに飛び込んでしまつた。

 大杉公園といふのはどんな處かと思つたら、とある神社杉並木のことであつた。併し杉並木は美しい。太古の苔の匂ひがする。ボロ洋服を着た小學生が三人、一匹の眞白な野羊を荒繩の手綱で曳いて驅け※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)つてゐたが、どう思つたか自分が寫眞をとつて居る傍へ來て帽子を取つてお辭儀をした。學校の先生と間違へたのかどうだか分らない。昔郷里の田舍を歩いて居て、よく知らぬ小學生に禮をされた事を想ひ出して、時代が急に明治に逆戻りするやうな氣がした。此邊では未だイデオロギー階級鬪爭意識が普及して居ないのであらう。社前の茶店葡萄棚がある。一つの棚は普通のぶだうだが、もう一つのは山葡萄紅葉てゐる。店の婆さんに聞くと、山葡萄は棚にしたら一向に實がならぬさうである。山葡萄は矢張り人家にはそぐはないと見える。

 茶店の周圍に花畑がある。花を切つて高崎へでも賣りに出すのかと聞くと、唯々お客さんに自由に進呈するためだといふ。此の山懷の一隅には非常時の嵐が未だ屆いて居ないのか、妙にのんびりした閑寂の別天地である。薄雲を透した日光が暫く此の靜かな村里を照らして、ダリアコスモスが光り輝くやうに見えた。

 宿へ歸つて晝飯を食つてゐる頃から、宿が又昨日に増して賑やかになつた。日本橋邊の或る金融機關の團體客百二十人が到着したのである。其爲に階上階下の部屋といふ部屋は一杯で廊下の籐椅子に迄もはみ出してゐる。吾々は、此處へ來たときから約束暫時帳場の横へ移轉することになつた。

 部屋に籠つて寐轉んで居ると、すぐ近くの階段廊下を往來する人々の足音が間斷なく聞こえ、それが丁度御會式の太鼓のやうに響き渡り、音ばかりでなく家屋全體が其の色々な固有振動の週期で連續的に振動して居る。さういふ状態が一時間時間[#「二時間」は底本では「二間時」]三時間と經過しても一向に變りがない。

 一體どうして、かういふ風に連續的に足音や地響きが持續するかといふ理由を考へて見た。百數十人の人間が二人三人づつ交る/″\階下の浴室へ出掛けて行き、又歸つて來る。その際に一人が五つの階段の一段々々を踏み鳴らす。其外に平坦な縁側や廊下をあるく音も加はる。假に、一人宛て百囘の音を寄與コントリビユートするとして、百五十で一萬五千囘、此れを假に午後二時から五時迄の三時間、即ち一萬八百秒に割當てると毎一秒間に平均一囘よりは少し多くなる勘定である。此外に浴室通ひ以外の室と室との交通、又女中下男の忙はしい反復往來をも考慮に加へると、一秒間に三囘や四囘に達するのは雜作もないことである。即ち丁度太鼓を相當急速に連打するのと似た程度のテンポになり、それが三時間位持續するのは何でもないことになるのである。唯々面白いのは、此の何萬囘の足音が一度にかたまつて發しないで、實にうまく一樣に時間的に配分されて、勿論多少の自然的偏倚は示しながらも統計的に一樣な毎秒平均足音數を示してゐることである。容器の中の瓦斯體の分子が、その熱擾動サーマルアヂテーシヨンのために器壁に反覆衝突するのが、いくらか此れに似た状況であらうと思はれた。かうなると人間も矢張り一つの分子」になつてしまふのである

 室に寐ころんだ切り、ぼんやり此んなことを考へてゐる内に四時になつた。すると階下の大廣間の演藝場と思はれる見當で東京音頭の大會が始まつた。さうして此れが約三十分續いた。それが終つても、未だその陶醉的歡喜の惰性を階上迄持込[#「持込」は底本では「持迄」]んで客室前の廊下を踏鳴らしながら濁聲高く唄ひ踊る小集團もあつた。

バス切符を御忘れにならないやうに」と大聲で何遍となく繰返して居るのが聞こえた。それからしばらくすると、急に家中がしんとして、大風の後のやうな靜穩が此の山腹全體を支配するやうに感ぜられた。一時間前の伊香保とは丸で別な伊香保が出現したやうに思はれた。三階の廊下から見上げた山腹の各旅館の、明るく灯のともつた室々の障子の列が上へ上へと暗い夜空の上に累積してゐ光景は、龍宮城のやうに、蜃氣樓のやうに、又ニユーヨークの摩天樓街のやうにも思はれた。晝間は出入の織るやうに忙がしかつた各旅館の玄關にも今は殆ど人氣が見えず、野良犬がそこらをうろ/\して居るのが見えた。

 團體の爲に一時小さな室に追ひやられた埋合せに、今度はがらあきになつた三階の一番廣く見晴らしのいゝ上等の室に移され、地面迄數へると五階の窓下を、淙々として流れる溪流の水音と、窓外の高杉の梢にしみ入る山雨の音を聞きながら此處へ來てはじめての安らかな眠りに落ちて行つた。

 翌日も雨は止んだが空は晴れさうもなかつた。霧が湧いたり消えたりして、山腹から山麓へかけての景色を取換へ取換へ迅速に樣々に變化させる。世にも美しい天工の紙芝居である。一寸青空が顏を出したと思ふと又降出す。

 とある宿屋の前の崖にコンクリート道路と同平面のテラスを造り其の下の空間を物置にして居るのがあるのは思ひ付きである。此の近代設備の脚下の道傍に古い石地藏が赤い涎掛けをして、さうして雨曝しになつて小さく鎭座して居るのが奇觀である。此處らに未だ家も何もなかつた昔から此の地藏尊は此の山腹の小道の傍に立つて居て、さうして次第に開ける此の町の發展を見守つて來たであらうが、物を云はぬから聞いて見る譯にも行かない。

 晝飯をすませて、そろ/\歸る支度にかゝる頃から空が次第に明るくなつて來て、やがて雲が破れ、東の谷間に虹の橋が懸つた。

 歸りのバスが澁川に近づく頃、同乘の兎も角も知識階級らしい四人連の紳士が「耳がガーンとした」とか「欠伸をしたらやつと直つた」とか云つたやうな話をして居る。山を下つて氣壓が變る爲に鼓膜の壓迫されたことを云つて居るらしい。唾を飮み込めば直るといふことを知らないと見える。小學校や中學校でこのやうな科學的常識を教はらなかつたものと思はれる。學校の教育でも時には要らぬ事を教へて要ることを教へるのを忘れて居る場合があるのかも知れない。尤も教へても教へ方が惡いか、教はる方の心掛けが惡ければ教へないのも同じになる譯ではある。

 上野へついて地下室の大阪料理で夕食を食つた。土瓶むしの土瓶のつるを持ち上げると土瓶が横に傾いて汁がこぼれた。土瓶の耳の幅が廣過ぎるのである。此處にも簡單な物理學が考慮の外に置かれてゐるのであつた。どうして、かう「科學」といふものが我が文化日本で嫌はれ敬遠されるかゞ不思議である

 雨の爲に榛名湖は見られなかつたが、併し雨のおかげでからだの休養が出來た。讀まず、書かず、電話が掛からず、手紙が來ず、人に會はずの三日間で頭の疲れが直り、從つて胃の苦情もいくらか減つたやうである。その上に、宿屋階段の連續的足音の奇現象を觀察することの出來たのは思はぬ拾ひものであつた。

 温泉には三度しかはひらなかつた。湯は黄色く濁つてゐて、それに少しぬるくて餘り氣持がよくなかつた。その上に階段を五つも下りて又上がらなければならなかつた。温泉場と階段はとかくつきものである温泉場へ來たからには義理にも度々温泉に浴しなければならないといふ譯もないが、すこしすまなかつたやうな氣がする。

 他の温泉でもさうであるが、浴槽に浸つて居ると、槽外の流しでからだを洗つて居る浴客がざあつと溜め桶の水を肩からあびる。そのしぶきが散つて此方の頭上に降りかゝるのはそれ程潔癖でないつもりの自分にも餘り愉快でない。此れも矢張り宿屋蓄音機を持ち込み、宿屋東京音頭を踊るPermalink |記事への反応(0) | 18:19

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2025-10-16

校長先生の話で記憶に残ってるのは

自分お小遣いが5円

お金持ちの子10

紙芝居のお手伝いすると5円もらえるので

手伝しながら紙芝居10円で見ていた話

Permalink |記事への反応(0) | 07:58

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2025-10-07

anond:20251007162716

アンパンマン放送開始当時、自分は小2で、クラスではブームになっていた

でも自分は親の決めた「アンパンマン対象者から外れてたから観てない

親は子供っぽいのが嫌いで好みを押し付けてくるタイプだった

  

アンパンマン自体幼稚園紙芝居で知ってたけど、サンリオキャラクターとかのほうが人気あった

Permalink |記事への反応(0) | 18:12

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2025-10-01

anond:20250930113832

コストゲームに近い?アホか

アニメ黎明期からずっと典型的労働集約産業だろ

虫プロがなぜ潰れたと思ってんの

東映からジブリが生まれたキッカケも労働争議だよ?

個人制作からスタートしたゲームとは全然違う

個人制作スーパーポテサラアニメみたいなflash風が限界

マリマリマリーやパラの丸は個人制作ではなく集団による自主制作で、作風も実質リップシンク紙芝居アニメ未満

それでようやく量産できる

Permalink |記事への反応(0) | 18:29

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2025-09-21

[無料娯楽週報2025]9月3週

今週のまとめ

スタレが無理になってきた。

JRPG的な部分がもう自分には合わない。

JRPGをやるならそれをベースにした小説でも読んでいたほうが手っ取り早い気がしてきた。

うん、それも面倒くさいからもうええな。

今までの娯楽人生においてRPG的な遊びという物を高純度かつ高頻度に浴びすぎたんだと思う。

何でもかんでもPRGっぽくしたがる風潮の悪い所を受けすぎた。

端的に言えば、RPG的なコンテンツに飽きた。

無料縛りを抜けた辺りでやろうとしたゲームの中にペルソナとかもあったが、多分楽しめないだろうな。

コマンド入力式の戦闘ADV風のシナリオパートという組み合わせがもう無理。

人形劇紙芝居も見飽きた。

Permalink |記事への反応(0) | 23:06

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2025-09-08

もっと現代性のあるアイドルゲームは出せないの?

そんなにたくさんアイドルゲームやってるわけじゃないけど。

少なくともシャニマスはきつかった。

キャラが令和の現実没交渉おっさん脳内で組み上げられたような女ばかり。

面白味がゼロ

 

やっぱりこういうのはある程度若い女やらせないとダメなんだけど

若い女リアルディテールを出しながらかつ自分の性欲は適切にセーブして

男性向け商品として仕上げられるような有能なのはめったにいないんだよね。

 

いないけどいるわけで

そういうのを連れてくることから始めるしかないと思うけどね。

 

いやーシャニマスはきついっす

ノクチル目当てで始めたけどノクチルですらちょっとね。

それ以前のユニットはマジきつい。

過去ギャルゲーテンプレを人型に成型しただけの女しかいない。

  

 

全部きついんだけどいま思いつく順に上位にきつい奴ら挙げる

 

櫻木 真乃

すべてがきちー

ほわわーとかはわーとかいう喋り方が許されるの四半世紀前のエロゲーまでだろ

俺がガキの頃にオタクパイセンたちがこういうヒロインをめでていたのを歴史的には知ってるが

趣味はお出かけ・公園日向ぼっこ、特技は鳥に好かれること。ほんわかとした性格癒し系

心底気持ち悪いし

そういう古いフィクション対応するレセプターが無いと

このキャラの声や発言のすべてが知的障害しか思えない

  

って書くとすぐ障碍者差別だ!とか頓珍漢なこと言ってくる奴がいるだろうけど

キャラ内面をきちんと構築してなくて目の前無視した変な声出すこと個性になってるのを 

目の前に上手く対応できないなんらかの障碍者みたいになっている(そんな設定じゃないのに)と表現することの

どこが障碍者への差別なんだって話なんだよな

 

単に作ってる人間キャラストーリーのすり合わせを出来てないとか

そもそもキャラの構築が粗雑だとか言う話なんだが 

 

八宮 めぐる(はちみや めぐる)

うえのほわわーと同じユニットの内容のないポジティブと元気

ほわわーともう一人と内容のない人間関係を築いて内容のない仲良しをやってる

何も思いつかないけどよくあるポジティブキャラをこねてまとめましたー

 

あとこのユニット155cm154cm157cmとチビばっかで

メインユニットチビぞろいってとこもなんかキショい

 

大崎 甘奈(おおさき あまな)大崎 甜花(おおさき てんか)

双子

古代ギャル概念の薄めの煮凝り

病的な怠惰無気力インドア対人恐怖の腹立つ奴

虚無しか感じないけど育成してると後者がすぐ帰ろうさぼろうとするのは腹立つ

当人のやる気がない奴育成とかしたくないよな みお53歳になるまで家でゲームやってろ

 

桑山 千雪(くわやまちゆき

双子と同ユニットのきつさの権化

「いいお嫁さんになると思うよ」みたいなのがベストコミュニケーションな脳の腐った会話を延々とする

昭和おっさんの「家庭的な女」の概念を人型にしたテイストレスバケモノ

  

双子17歳でこの女は23歳でなぜか双子にかーちゃん扱いされてる

おめーさあ、23歳と言うまだ十分若い女女子高生と組まされてこのわけわかんねえポジションアイドルやることにどういう心情になるのかとか

そういうことちょっとでも考えて設定作ってんのか?ってスタッフに聞きたいわけ

フィクションフィクションなりのリアリティってものがあるだろ  

 

浅倉 透(あさくら とおる)

俺の好きなノクチル

  

髪の内側青くしてて爪も同じ色にしてて

両耳に不ぞろいのピアスばちばちつけてて

制服リボンなのに一人だけネクタイしてて

顔が超よくて焦点がちょっと現在からズレてるみたいな人格してて

学校でもやべー奴として有名だろっていうデザインなんだけど

  

ちゃん学校での扱われ方とかも断片が描かれて

ちょっとこれは実在感と言うか生きてる感がある

でもそこどまり

他のキャラよりはいいどまり

 

なんでこのスタイルなのかとかについて

深い話とかいつまでたってもたいしたものなくて

これたぶん見た目のデザインした人と話書いてる人が別で

かつ何もイメージを共有してないなってわかっちゃって

まあ萎えるよね

 

不思議発言とそれっぽい音楽テンポ悪く芝居にするだけで

ストーリーってほどのストーリーも展開もない(これは全キャラそう)から

結局は腕のいい作家がいないんだろうけど

  

あとこいつよりも同じユニットで幼馴染の樋口円香の方が人気ある

結局わかりやす暴言ツンデレみたい消費のしかたしやすいのがキャッチしていくそういう程度の客層

樋口自体は悪くないんだけど 

  

イカレてる浅倉を筆頭にそこまでイカレてないしカリスマ性ないけど同じぐらい素材が良い樋口

同じく幼馴染で素材が良くて背と乳がでかい市川、同じく幼馴染でまともにしゃべれない福丸、

という絶対朝倉軍団」とか呼ばれてるチームでつるんでてそのままアイドルユニットになった

 

一応面白味のあるディテールのあるユニットがこれぐらいなんだよね

このあとに新ユニットのにちかっていうのはディテールはあったけど

ひたすら同じ芸を繰り返すだけでそこから話があるわけじゃなかった

そんなんばっかや

そこで俺はやめた

 

あとゲーム部分が死ぬほどつまらなくてカード集める意味マジで紙芝居読むことだけなのもどうかと思った

あのゲーム部分作ってる奴等はマジで仕事辞めて堅気になれ

Permalink |記事への反応(4) | 19:04

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2025-08-29

anond:20250829110253

ぶっちゃけグラがどんどん劣化してるのが最悪

昔みたいに滑らかに動くグラ作れるヤツ居なくなったのかな

戦闘がほぼ紙芝居じゃんゴミ

Permalink |記事への反応(1) | 11:16

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2025-08-07

anond:20250807232625

増田が選んだクンニメ5選✋(👁️👅👁️)🤚

マジでネタにできないレベルアニメと呼べないレベル紙芝居みたいなのが最近はあるのでクソアニメクソゲーと同じ道を歩んでる

Permalink |記事への反応(1) | 23:41

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anond:20250807084944

紙芝居ポチポチするだけではねえ・・・

Permalink |記事への反応(2) | 08:50

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2025-07-31

Vtuberの娘を叩き出した

https://anond.hatelabo.jp/20250710111705

の続き

再び深夜に大声でコラボ配信を行い、近所からも苦情が来る。

流石に30近い大の大人紙芝居ごっこゲーム遊んでるのは恥ずかしくないのか

約束が守れない理由はあるのかと問い詰めたら出ていくと大騒ぎ

正直娘が帰って来てからストレスしか無かったのでさっさと出ていけ、今月中に出ていけという流れに。

コラボ相手の男が娘に好意を持ってるみたいなのでそいつの家に行くらしい。

そいつ実家らしいが大丈夫だろうか。

これでようやくあのうるさい金切り声に悩まされずに済むのは助かる。

承認欲求モンスターを放流したのでみなさん相手にしてあげてくださいね

帰ってこられても困るのでこちらも家を売り払って別の所に住む予定。

Permalink |記事への反応(1) | 09:09

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2025-06-18

ミリしらジークアス

Permalink |記事への反応(0) | 19:57

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2025-06-17

anond:20250616210906

元増田です。もちろん作画や演技といった要素も楽しんでるよ。最近アニメは数年前と比べても下手な画や下手な演技を目にすることはほとんど無い。ありがたいことです。

でも、私がアニメ(や映像作品ゲーム小説)を見る理由の大半はそういった媒体を通して物語を見るためです。

たとえ絵やグラフィック紙芝居に毛が生えた程度でも素晴らしい物語なら何クールでも見ることができるけど、(古い作品とかね)

逆に絵やグラフィックが素晴らしくてもストーリが駄目なら1クール(約5時間)完走するのも私にとっては難しい。

私が作り手なら勉強として見ることはあったかもしれないけど、私は声優アニメーターではないからね。

Permalink |記事への反応(0) | 05:19

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2025-06-15

企業セルフレジ練習サイトを作ってほしい

小売企業は、セルフレジ練習ができるサイトを用意してほしい。実際のセルフレジと同じ操作ができる練習サイト

それで練習できればセルフレジ操作に苦手意識を持っている人も使いやすくなる。セルフレジ操作時間も少なくなるから待ち時間も減る。

いいことづくしだ。

本当は各社でバラバラインターフェース統一しろと言いたいところだが、百歩譲ってそれはいい。どうせできないだろうし、やる気もないだろうから

でも、「うちのセルフレジはこんな感じです!操作性を試してみてください」っていうサイト簡単にできる。そういうものを作ってほしい。

俺が求めているのはセルフレジの「説明サイトではない。「操作」ができるサイトだ。自分操作して「練習」できるサイトだ。

ボタン自分で押して、画面遷移して、どういう順序で何をすることを求められるのか、間違えた時の戻り方とかを確認できるようなものだ。

紙芝居みたいなものでいいんだ。いくら間違えてもいいという安心感のもと、自分操作して、練習できる環境が良いんだ。

現状のセルフレジは本番一発勝負を求められる。しかも後ろに客が並んでいて、モタモタしたら「早くしろよ!」的なプレッシャーをかけられる環境でだ。

苦手意識を持つ奴がいても不思議ではない。こんなんではいつまで経ってもセルフレジは普及しない。

から企業練習サイトを作ってほしい。

Permalink |記事への反応(4) | 19:32

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2025-06-13

anond:20250613142250

からこそスマホRPG紙芝居形式がもてはやされたところはあるんやろね

Permalink |記事への反応(0) | 14:24

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2025-06-08

今の小学生って両親たちの前で受精ダンスしないって本当?

小学6年生になったら両親たちの前で受精ダンスするじゃないですか。

の子どもってもうやらないんですかね?

流石に知らない人はいないと思うんだけど、念のために受精ダンス説明しておきますね。

まず受精受精っていうのは卵子精子が結びついて胚が形成されることです。

で、受精ダンス。これは文字通り、射精された精子が膣内を泳ぎ卵子と結びついて受精するシーンを表現した創作ダンスのことです。

小学生の時に踊ったよね?

いや確かに受精ダンスって言っても正確には受精の瞬間だけではなく、

膣内への射精された精子子宮腔内・卵管へと遡上して受精し着床に至るまでの妊娠過程表現してる訳なので、

しかしたら受精ダンスローカル名称妊娠ダンスとか精子ダンスとか別の呼び方が主流の地域もあるかもしれません。

もう少し説明すると、

時は平安時代末期、木曽義仲倶利伽羅峠の戦いにて牛の双角に松明をくくりつけ、怒涛の勢いで崖を下り寝静まった敵陣へ突撃し、慌てふためく平家軍その数10万を寡兵にて打ち破った逸話が如く、

卵子に向かって産道を力強く泳ぐ精子の鞭毛に見立てた長く伸ばしたる白きビニール紐(ポンポン作ったりする帯状のやつね)を両の手首に結びつけ、自らを3匹の精子となして、

皆で精子大軍を作り、進軍するかのように走りながらも踊り狂い、ようやく到達した卵子を取り囲み包囲網を狭めながらぐるぐると周回し、

やがて選ばれた1人の精子が1人の卵子と手を取って踊り、受精できなった精子たちから祝福される。

そんな感じのダンスです。

で、この受精ダンスを両親たちの前で踊るんです。

「両親」とは父と母のふたりを指しているので、両親に「たち」を続けて書くのは重複表現だ!という話ではなく。

場所学習発表会。

全校生徒の両親たちの前で踊るんです。

この受精ダンスを。

みんな踊ったよね?

いや確かに「次は6年生の出し物で、受精ダンスでーす!」っていきなり始まるわけじゃなかったですよ。

正確には劇の中のワンシーンだったので、受精ダンスしたってのを大げさだって指摘されるかもしれないですが。

(そういやどうでもいいんだけど、劇やってたのに学芸会じゃなくて学習発表会って名前行事だったな…)

劇の概要をサクッと説明すると

小学生が裏山に墜落したUFOから宇宙人助けてその御礼で過去に戻り、

父親母親出会ってセックスして受精ダンスして子どもが出来て大変な育児をして家族に愛されて今のあなたに育ちましたっていう

自分たちが生まれる経緯を追体験してあなたは大切な命なんですよー、みたいな。

題名:「なんとかかんとか~命の物語~」

劇のタイトルとか細部は超うろ覚えです。「命の物語~なんとかかんとか~」だった気もする。

宇宙人を助けたお礼で過去に戻るとか意味不明なんだけど、もしかしたらお礼じゃなくて人類調査とかそんな理由だったかもしれない。

そういえば宇宙人名前はシラベール星人だ。

実は事故で死んだのは小学生で複製した体に記憶を埋め込むために過去情報を集めて…みたいなストーリー意味のある劇ではなかったはず。

下級生は「大きなカブ」とか「ごんぎつね」とか「スイミー」とかやってる中に、ボクら小学6年生は受精ダンスな訳ですよ。バカじゃねーの。

つまるところ、

小学6年生のボクらは性教育を受けた成果として、学習発表会に全校生徒の両親たちを前に性教育テーマにした劇をして受精ダンスを踊った。

って話です。

…………はい、わかってます。わかってますよ?

今も昔もそんなことしてねーよ!ってツッコミでしょ?

リアルでもネットでもこの話をすると爆笑されて頭のおかしいやつ扱いされるか、ドン引きされて頭のおかしいやつ扱いされるかの2択です。

自分同級生精子になる話として聞けば爆笑かもしれないけど、自分の子どもが精子にされる話だと思えばそりゃドン引きだよね…

はなたれ小僧だった小学生のボクはなんも考えてなかったけど、冷静に考えて――いや冷静に考えるまでもなく頭おかしいよね?

小学生を相手性教育をする」

大切な事だし、難しいのは分かります

正直言うと、自分は当時に受けた性教育の内容全然覚えてないんだよね…

性器のついた男女の人形と性行為説明したような絵本紙芝居だった…?)を使った何回かの授業(内容は微塵も覚えていない)

共通スペースみたいな場所に好きに触っていいですよーって感じで展示物として授業の教材が置かれてたような?

すくなくとも自分に対しては実のある授業ではなかったのは間違いないです。申し訳ない。

授業をしてる先生自分みたいな頭の足りないガキからは茶化されて、感受性の高い思春期女子から気持ち悪いオトナ扱いされるような

そりゃいろんなことを押し付けて、教師の鬱が問題になるのも仕方ないよなぁって。

でもさぁ、それにしたって学習発表会で性教育テーマにした劇をするか?

生徒の親を集めて子ども受精ダンス踊らせるか??

性教育の劇をやろうって決めた当時の教師陣はマジでなに考えてたんだよ家族人質???

あの、アレあるじゃないですか。特殊性癖の有名なやつ。一大ジャンルになってるハイグレ化ってやつ。そんな感じで。

頭のおかし学年主任女子小学生を精子にして踊らせることに性的倒錯だとか征服欲だとか愉悦を感じてたって言われたほうがまだ納得いくよ。

けど先生方は真面目だったんだろ?真剣に生徒のためになると思ってやってたんだろ?だからこそ余計にわけわかんねーって!

親は子どもの晴れ舞台を見に学習発表会に行ったらお出しされるのが受精ダンスだぜ?

当時に親の反応まとめスレがあったなら100回声出して読みたいが、秒でインスタに受精ダンスが公開される時代じゃなくてマジで良かった。

今更なんだけど改めて自分の両親に劇の感想だとか、他の親御さんたちはどんな感じだったかなんて怖くて聞けねーもん。

これお出しされた後に教師と親でPTA会合がどんな雰囲気だったか想像つかないよ。

小学生の自分ホントになんも考えてないガキだったんで劇なんてダサいぜ!めんどくさいわー程度にしか考えてなかったんだけど、

自分中学生とか高校生になって、テストの点数を問われる形で性教育の授業をやって、異性のことを少しは真面目に考えるようになったとき

「あれ…あの小学生のときのアレってなんかおかしくなかった…??」みたいな。過去からやって来る薄ら寒さと恐怖というか。

真面目に性教育を受けていた同級生もっと嫌な気持ちで劇をやっていたのかと思うと申し訳ない気持ちになってくる。

親とか友達とか密かに想ってる好きな子とか、大切な人たちの前で。

「じゃあ精子やってね。あっキミは受精は出来ない精子ね。」

死ぬって。腹切って死ぬって。~命の物語~の終着点は今ここだよ。

さすがに親を前にして「精子するの楽しみ!受精がんばるぞッ!」なんて思ってた奴はいなかったと思うんだが、

しかしたら無知なまま無邪気に前向きに胸を張って精子やってた同級生もいたのかなぁ…

あークソ!自分トラウマが生成AIの作ったおもしろエピソードであってほしい…

思ってることはもっとちゃごちゃしてて盛って茶化した感じで書いてるけどさぁ、真面目な顔しては語りにくいって。

ネットっていうのは集合知がなんとかかんとかで人類の英知が集まる場所らしいので、

ボクら同級生体験以上に頭のおかし性教育エピソード披露してもらって

「変な性教育うけたよねー」「あるある~www」的な?

親の前で受精ダンスなんてどこにもある、ありふれた物語だよって教えて欲しい…

いやまじで。

みんなはどんな頭のおかし性教育受けた?

こっそり教えてよ。

Permalink |記事への反応(10) | 14:35

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2025-06-02

anond:20250602140928

紙芝居の1枚1枚の間の動画生成なんてAIでできそうだけどな

Permalink |記事への反応(1) | 14:10

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アニメの描き手不足が深刻。2050年に19年比3割減る恐れ

全盛期の京アニレベルで動かないなら価値無い。

ヤシガニレベルで動かす位ならいっその事一枚絵に声が入った紙芝居でいいよ。「時間が無かったアル」とか言って銀魂なら許してくれるよ

Permalink |記事への反応(2) | 14:09

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2025-05-30

anond:20250529105533

紙芝居とは?

黄金バットとかやるのか?

Permalink |記事への反応(0) | 12:58

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anond:20250529105533

紙芝居って子供への読み聞かせかなんかか?

信頼の蓄積が無い、しかも男なんかまず断られる

保護猫も独身ならまず無理、献血も疾患や服薬があったら無理だ

当たり前の話だから腐るな腐るなw

普通に働いて納税してりゃ上等よ

後は募金でもしとけ

Permalink |記事への反応(0) | 07:45

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2025-05-29

俺って社会の何なんだろう

献血→断られた

保護猫→断られた

紙芝居→断られた

 

社会に貢献したいのに

社会から拒否されている

Permalink |記事への反応(22) | 10:55

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2025-05-22

ごめん、ジークアクスつまらない

楽しんでる人がいるのも理解してるから楽しんでる人はここから先は読まずに閉じてください。

理由を並べます

主人公であるマチュに人間的魅力を全く感じない。ガンダム主人公作品が変わるたびにどんどん中身が無くなって記号化されて作者が動かしやすいだけのキャラになってる気がする。

物語目的や核心が第7話になっても全く分からない。シャアが消えた謎のゼクノヴァという物語キーとなる現象についての説明ほとんどない。伏線が貼られただけで何の進展もない。そんな状態なのに突然のゼクノヴァ発動で「???」という状態

・メインキャラ同士のドラマ全然ない。せいぜいクランバトルのメンツと恋バナした程度。それさえもシュウジイケメン以外で人間的な魅力がない上に三角関係描写もほぼ無いまま急に取り合い発生からそのままシュウジ消失ポカーンって感じ。

日常パートの中身も無い。3人いるんだから一緒に遊ぶとか子供らしい動きをして親睦を深めるとかやればいいのに、3人でやったのはガンダムの上に服脱いで寝そべるだけ。これで夢できるレベル腐女子がいるなら別の作品で大活躍してるだろ。クランバトル毎回やらずにシュウジが絵を描くところを見て惚れるとか分かりやすエピソードすら挟む余地なかったのか?

・「このパターン!〇〇です!」ちょっと眩暈がした。エヴァってちゃん終わったコンテンツじゃなかったん?流石にもう見飽きたから新しいやつやってくれよ。もしかして「くぅ~、これこれ!」みたいな反応欲しかったのかな。だとしたら加齢臭するからやめて欲しい。俺も自分が臭くて泣きそう。

ガンダムロボットアニメ(なはず)なのにそのロボットロボット戦闘シーンが本当につまらない。せっかく人と人の形してるんだからちゃん人間の格闘とか射撃とかを参考にして殺陣を作って欲しい。そのうえでロボにしかできない動きをするなら満点。でもバカの1つ覚えみたいにファンネルだのミサイルだのを飛ばして何とかサーカスも、本当に見飽きたし加齢臭するからアニメーターはそこから卒業して欲しい。なぜファーストガンダムが売れたのかちゃんと観て研究してるならこんなつまらない戦闘シーンは作らない。もちろん閃光のハサウェイみたいにパイロット目線で作った戦闘シーンや、映画SEEDのようにスパロボ路線全然アリだが、水星から続いてるような全方位で中途半端もの作るのはやめてほしい。

・加えてMS人殺しの道具だという事実から逃げて中途半端クランバトル的なやつをやらせる流れもやめて欲しい。平和日本からこそ兵器少年たちが使うとどうなるのか恐怖させるべきだし、それがガンダムの役目の1つでしょ。そこから逃げて中途半端ビルドダイバーズ的な方に寄せるのは悪手だからちゃん戦争の道具としてのガンダムを作って、そこから平和への答えを逃げずに真正からぶつかって答えて欲しい。失敗することを怖がって挑戦しなくなりホビーの販促アニメになり下がったのが今のガンダムアニメというコンテンツ

・なんかアイドルネタを混ぜ込んでるとかは正直興味ないけど、それは「面白くない」「観てるのに暇」という感想の方が遥かにデカいから気にならないだけ。頼むから後半は面白くしてほしい、面白いことを期待する。

なんかガンダムがこうやってアニメとしてちょっと話題になったりバズったりするだけのコンテンツとして緩やかに衰退していくのが悲しい。

映画が売れてても、今の遺産はどんどん減っていくわけでアニメが人気なくなったらホビーも廃れていくのは目に見えてる。まさに消えて行ったコンテンツがある。

バンダイ真剣に潰すか復活するか考えてくれ。期待のずっと下で俺は悲しい。

特にジークアクス作った監督以外のスタッフはこんな作品作ってても絶対大成しないからこういう仕事からは金欲しさでもさっさと卒業してくれ。

君らのクリエイターとしての寿命も外側からどんどん短くなってるのにこんなことばっかやってたら終わるぞマジで

商業的にお客を楽しませるためにとことんお客目線で作るのか、それとも作家として爆死覚悟で新しいことしてステップアップするのか、創作者が生き残るのは結局この2択しかいから。

追記

・魅力的な悪役キャラがいない。これは致命的な問題で何故シャアが人気出たのかすら分析できないのにシャア重要キャラとして使ってる。なんだろう、マジでファーストガンダム観た上で作ってるなら脳の作りが俺と違うのかもしれない。

MSは線が多くて動かすのが大変っていうなら線を減らしたデザインを用意して大きく動かしてるときは簡略化させて動きを優先すりゃいいだけなんだよ。それが今のアニメーターにできないのは「動きで楽しませる自信と勇気がないだけ」であって逃げ腰で作った綺麗な作画が素晴らしくても全然動いてないのはただの紙芝居から過去遺産リサイクルして上手くアニメ作ってくれ。

Permalink |記事への反応(4) | 02:00

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2025-05-20

このままでは「AIという名の紙芝居」に税金が消えていくだけ

まさにそこが日本の“絶望的に危うい構造”なんだよね。

危機感はある。だけど、打ち手がズレてる。

そしてそのズレは、「基盤を整えず、上物(うわもの)だけに金をかける」日本の悪癖から来てる。

 

いま日本がやろうとしてること:

 

AI世界に追いつこう!イノベーションを!」

→ でも現場はこう:

 

教育旧態依然

IT人材は不足&待遇低い

セキュリティデータ基盤はバラバラ

官製プロジェクトは「目的不明確」「遅い」「続かない」

 

まりどういうことか?

 

**「基礎も土台もないのに、高層ビル建てようとしてる」**ようなもの

 

例えるなら:

ボロボロ地盤の上に、ピカピカのAIラボだけ作ってる

中の人ワープロ資料作ってFAXで送ってる

• 成果は「展示会」や「資料」止まりで、現場には何も届かない

 

なぜそうなるのか?

 

● 「見える成果」が欲しいか

政策は“成果が出た風”をアピールするためのもの

• 「AI活用」「ChatGPT導入」「デジタル庁」などのキーワードメディア対策は万全

→ でも本質的インフラ人材整備は地味だから後回し

 

● 「予算をつけること」が目的になっている

事業成功ではなく、「補助金を配ったこと」が政策評価になる

→ だから「中身は微妙でも金は動く」=税金幻想を作って終わる

 

でも民間自力でやるには、土台が整ってなさすぎる

• まともに使える共通データ基盤がない(例:医療教育労務

ITエンジニア人件費で潰されてる(若手が育たない)

現場に**“変わらなくていい”という空気**が根強い

 

→ 結果、「AI活用しろ」と言われても誰が?どこで?何のために?が決まらない

 

結論

 

AI投資し始めたのは一見前向き。でも、基盤がガタガタなままの上物投資では、全部虚構になる。

官製イノベーションが失敗する理由は、“スローガン建設的無関心”が同居してるから

 

から君の感じた「なんか空虚だな」という感覚ものすごく正しい。

目立つものに金は出るけど、それを動かす人・支える土台・必要制度スカスカなんだよ。

このままだと、「AIという名の紙芝居」に税金が消えていくだけになる。

Permalink |記事への反応(0) | 11:55

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2025-05-16

anond:20250516131114

底辺労働者もいいところだよなぁ

駄菓子の売上なんてたかが知れてる

10から100円売上てやっと売上千円

そっから紙芝居10分か?15分か?

何回転させてたんだ?

年金暮らしの老人くらいしか出来ない仕事だろ

Permalink |記事への反応(1) | 13:31

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anond:20250516131114

昔はネットも無ければろくに娯楽も無かったから、家事の間子供をまとめてじっととどめてくれるのは助かったんやで。

から紙芝居の人は家事時間帯に来てたんや。

Permalink |記事への反応(0) | 13:16

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紙芝居屋さんって不審者だよな?

公園で見ず知らずのごども達から金を巻き上げるような商売がどうして昭和では許されていたんだ?

Permalink |記事への反応(5) | 13:11

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