
はてなキーワード:東京藝術大学とは
「巨大なイオンモールだけが煌々と明るい地方都市に帰省すると、美術の「美」の字も感じられない」(以上、引用)と編集長が投稿して炎上したWEB版美術手帖で、
いまデイリーランキング1位の記事が『東京藝術大学取手キャンパスに10億円の寄付』なの、取手に日本最大級のイオンができることも相まってなんか壮大な伏線回収って感じで好き。
ウェブ版『美術手帖』の編集長が「イオンモールしかない地方都市には美術の美もない」というようなことを言って、案の定、少し燃えたのは記憶に新しい。
僕も地方出身だから、その言葉にカチンとくる人の気持ちは痛いほどわかる。「どうせ俺たちの日常なんて、文化の欠片もない退屈なものなんだろ」と、見下されたような気分になる。週末に行くイオンが、家族にとっての一大イベントだったりする、そういう暮らしの機微を全否定されたような気さえする。だってほかにないじゃん。
ただ同時に、編集長が言わんとしていることも、なんとなく想像はつく。地方都市の、あの画一的な風景。どこまで行っても同じようなチェーン店と住宅街が広がり、かつて街の中心だった商店街はシャッターを下ろしている。そういう風景を前にして、アートに関わる人間として一種の絶望というか、嘆きのようなものを感じてしまう瞬間があるのはよくわかる。それは、地方に対する愛憎半ばする感情なのだろうとも思う。
そんな小さなモヤモヤをずっと抱えていたら、実に興味深いニュースが飛び込んできた。
他ならぬそのウェブ版『美術手帖』が報じた、「東京藝術大学取手キャンパスに10億円の寄付」という記事(件の編集長もこの記事へのリンクをリポストしている)。
これは、なかなかに美しい皮肉じゃないか、と苦笑してしまった。
http://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/31541
東京藝術大学といっても、取手市であって上野ではない。東京ではない。茨城県にある。都心から見れば、それは紛れもなく「地方」だろう。
どころか市内に日本最大級のイオンモールが計画されているという報道もまた、記憶に新しいではないか。
しかしその「地方都市」日本代表メンバーに選ばれるであろう取手のキャンパスに、安田容昌氏という方が10億円もの大金を寄付した。
「取手キャンパスには、素晴らしい施設に加え、土の匂いと、川の風と、地域に暮らす人々の息遣いがあります。」
「これまで日本の発展は、とかく都市を中心に語られてきました。しかし、真に新しい価値は、しばしば周縁から生まれます。」
「芸術に触れる機会が都市部に集中している現状において、この取手キャンパスから、日本の新たな文化のうねりを起こすことができると信じてやみません。」
「地方で事業を成し、その恩恵を受けてきた者として、次世代のために文化的な社会資本を築くことこそが、私にできる最後の恩返しです。」
(ちなみに最初の2行は、『美術手帖』の記事ではなぜか省略され、大学の公式リリースにだけ載っている)
https://www.geidai.ac.jp/news/20251008152520.html
つまり、これは「田舎には美術がない」という嘆きに対する、あまりにも力強いアンチテーゼなのだ。それも、10億円というリアルな数字を伴って。
アートは都市だけの専有物じゃない。地方にこそ、これから育まれるべき豊かな土壌がある。そう高らかに宣言しているように聞こえる。
編集長の炎上した発言は、確かに言葉足らずで、多くの人を傷つけたかもしれない。
でも、彼が投げかけた「地方とアート」という問いは、奇しくもこの10億円の寄付によって、新たなステージに進んだ気がする。
「イオンモールしかない田舎」と切り捨てられた場所で、アートは育つのか。
いや、育つに決まっている。
誰かが「ここには何もない」と嘆いた場所にこそ、新しい価値が生まれる種が蒔かれるのだ。
今回の寄付は、まさにその種だ。この種が、取手の地で、どんな芽を出し、どんな花を咲かせるのか。
それは、都会のギャラリーに飾られる洗練されたアートとは、全く違う形かもしれない。泥臭くて、生活の匂いがして、不格好だけど、力強い何か。
心のどこかで、あの編集長の嘆きにまだ共感している自分もいる。「東京藝大」という権威と「10億円」という資本。
結局、そうした巨大な「外部の力」がなければ、地方のアートは話題にすらならないという現実。それは、彼の「田舎には美術がない」という言葉を、残酷な形で裏付けてはいないだろうか。
編集長の発言も、10億円の寄付も、「お前のいる場所の『美』とは何か?」と問いかけている。
イオンモールのフードコートで談笑する高校生に、夕暮れの田んぼ道に、シャッター街の錆びた看板に、目を凝らせば「美」のかけらは見つかるんだろうか。
たいへんよいこと
多いのは神系で、女神より男神のほうが裸だ。じじいM字開脚だってある
明治の日本人が欧米文化を猿真似し、公的に女の裸を出していいんだ!描いていいんだ!芸術だぜヒャッホーおっさん大喜びになって
ポルノ脳化し、薩摩派閥が跋扈する東京藝術大学などでワッショイした結果、本場にない闇改造文化が爆誕したのだと思う
それまでの日本文化で育まれた美意識を田舎者が下種に塗り替えてしまったのだ
まあそれを責める気はない
当時の間違いは山のようにある
西洋美術もかなりポルノロリペドあるし、すぐさま脳を焼かれた日本人も単純だったのだ
そっと変えていくのが吉だ
筑波大学附属駒場の一学年160人中、東大117人(73%)だ
https://www.komaba-s.tsukuba.ac.jp/about/after_graduation/
東京大学(117)、早稲田大学(12)、東京科学大学(5)、京都大学(5)、慶應大学(4)だけなの
やっぱり医学部なのかと見ると、理3を含む医学部に進学しているのが32人
| 現役国公立 | 17 | うち | 東京大学 | 14 | 京都大学 | 2 | 群馬大学 | 1 | ||||||
| 浪人国公立 | 7 | うち | 東京大学 | 1 | 千葉大学 | 1 | 東京科学大学 | 2 | 富山大学 | 1 | 名古屋大学 | 1 | 山口大学 | 1 |
| 現役私立 | 4 | うち | 慶應義塾大学 | 2 | 順天堂大学 | 1 | 東京慈恵会医科大学 | 1 | ||||||
| 浪人私立 | 4 | うち | 国際医療福祉大学 | 2 | 東京慈恵会医科大学 | 1 | 日本医科大学 | 1 |
ここまでの表に出てこなかった進学先は、筑波大学生命環境学群・東京藝術大学・一橋大学・上智大学・東京農業大学が各1人か2人
もう少し詳しく見るために、現役で医学部に合格して蹴った人数を調べる
| 東京科学大学 | 1 |
| 国際医療福祉大学 | 1 |
| 慶應義塾大学 | 10 |
| 順天堂大学 | 3 |
| 東京医科大学 | 1 |
| 東京慈恵会医科大学 | 1 |
| 日本医科大学 | 1 |
慶應医学部に合格する方が、理3よりも珍しいってどういうこと??
医学部志望の半分が理3ってことは、学年の下半分の成績でも理3狙えてるってことよね??
戦前に建設された銀行を新しい建物で包み込むように設計された1階と上階で雰囲気の違う不思議な建物。
目[mé]とか宮島達男、三沢厚彦とかピーター・ドラッカー・コレクションとか行きたくなる展覧会が多い。
最も有名なのはロスコルーム。マーク・ロスコの赤い絵画作品で囲まれる空間は日本で唯一無二。これは見るというより体験する絵画だね。他にも抽象作品が多く、サイ・トゥオンブリーやフランク・ステラなど他の美術館ではなかなかお目にかかることの少ない作品がたくさん見られるよ。遠いけど、自然に囲まれて気持ちは良いですー
写実絵画専門の美術館。美術史とか意識せずに作家さんの技術と表現を純粋に楽しむことができる。日建設計の建物も面白いね。
建築は磯崎新。英名アートタワーミト。タワー!(展望室見学200円)
今は反対側に伊東豊雄の水戸市民会館ができて時代の変化と建築家の特徴を感じられて面白いよ。
水戸芸術館自体は音楽、演劇、美術を扱うけど、小澤征爾氏の参画などそれぞれが一級であったのは初代館長吉田秀和氏の功績が大きかったと耳に挟んだよ。
内藤礼とか大竹伸朗とかピピロッティ・リストとかとかとか展覧会楽しいね。
水戸駅からバス。コスパなら東京駅からバスで水戸駅に。時間優先なら常磐線特急ね。
取手と言えば藝大の先端芸術。ということで市民と取手市、東京藝術大学の3者が組んで行われているプロジェクト。1999年からだからもう25年目?今は日常的にイベントをやっているらしい。
にしても、日比野克彦氏のような現代美術の人が藝大学長になるとは思わなかったなあ。
椅子の展覧会が定期的に行われるので、それを見に行く。できれば全部に座りたい。所蔵作品も良い小品が多くあった気がする。
アンディウォーホル、ジャン=ミシェル オトニエル、草間彌生、束芋など常設いいよね。加えて今は、品川の原美術館から移設された奈良美智、宮島達男、森村泰昌の作品が展示されている。品川の原美術館がなくなった時は悲しかったなあ。オラファー・エリアソンの「ビューティー」を見た時は感動したよ。
元館長等によるパワハラで有名。で、特に罰を受けるでもなく東京藝大の教授に。増田もパワハラをされて美術業界から撤退したので、パワハラしても日本一の藝術大学の教授になれるとは、さすがに気持ち悪く感じたよ。学生は大丈夫かな。北陸の美術館でも学芸員一斉退職とか何でなんでしょうね、この業界は。横道失礼。
(「私達からCBDを奪わないで!」てんかん、がん、慢性痛患者の声)
(熊谷俊人・千葉県知事は幕張メッセ(県有施設)を武器見本市に使わせないで
89人)
(
介護職などが安心して県外から就職できるように仮設住宅を奥能登に作ってください)
(「 #保険証廃止やめて !税金の無駄使い資格確認書発行は必要ありません。マイナンバーカードの強制で差別・不平等を押し付けないでください」)
(東京藝術大学は、ガザ地区で虐殺を続けるイスラエル軍を支援したベツァルエル美術デザインアカデミーとの国際交流協定を打ち切ってください
)
(#訪問介護報酬の引き下げを撤回し、国の責任で介護職員確保を求める署名)
(防衛省と日本企業4社はイスラエルの"死の商人"から攻撃型ドローンを買うな!)
(【長洲町世帯分離解除保護廃止事件】すみやかに上告を受け付け、生活保護世帯・若者の未来を開く判決を!)
でもそう言えば前にこんなメールがあったような…
ほんとにそうなのかな…
「私たちは東京藝術大学に、イスラエルの国立美術学校、ベツァルエル美術デザインアカデミーとの国際交流協定の打ち切りを求めます。
イスラエルのベツァルエル美術デザインアカデミーは2023年10月9日、イスラエル軍がパレスチナ被占領地ガザ地区への侵攻に備える増派のため予備役36万人に大量動員をかけた際、軍服や装備品の大量不足を補う目的で、関係者の主導により臨時の縫製作業所を構内に設置。特に同月中旬からは朝8時から夜21時まで約80人のボランティアを働かせて、スタイリッシュかつ機能的な軍服や装備を生産していました。
美をジェノサイドに役立てる学術機関と国際交流を続けても害しかありません。実際このために、ノルウェーのベルゲン大学(2月)、オランダのハーグ王立美術学院(4月)および同国のアイントホーフェン・デザインアカデミー(5月)が、現時点までに提携解消または交流凍結を発表しています。このほか、米ニューヨーク州のクーパーユニオン美術デザイン学校、米ロードアイランド州のロードアイランドデザイン学校、米イリノイ州のシカゴ美術館付属美術大学、ドイツのベルリン芸術大学でも学生や卒業生から提携打ち切りを求める声が強まっており、時間が経つにつれて提携打ち切りはさらに広がる見込みです。
東京藝術大学は日本国における美術および音楽の最高学府として、イスラエル軍によるこの歴史的な戦争犯罪と人道に対する罪を前に決して沈黙したままでいることなく、これらを明確に非難する声明を出した上で、これらに加担したベツァルエル美術デザインアカデミーとの国際交流協定を速やかに打ち切ってください。」
ガザ大虐殺への加担を許さない東京藝術大学の在校生・卒業生および市民有志一同
前回も書いたが、これは改善された。厚労省が推奨する間隔で無事に接種が行えた。
6月時点で屋外待機用のテントが設置されたが、7月の気温では厳しいものがある。
ちょうど授業期間(春学期)も終了し、教室が空いたことによって屋内に待機用の動線が設けられた。
おかげで手短かつ快適に接種を終えることができた。
待機会場で流れていた慶應ソングは廃止され、普通のピアノBGMに切り替わっていた。
理由は不明であるが、他大学を受け入れるならあまりにも(愛校心の)圧が強いので当然だとは思う。
前回、現地での呼びかけは「学生証・教職員証を出してください」程度だったが、今回は他大学向けに「受付票を出してください」といった呼びかけもなされていた。
"慶應義塾大学 職域接種 -site:keio.ac.jp" でGoogle検索した限りだが、以下のような大学から接種を受け入れているらしい。
数万人単位の学生を抱える他大学を受け入れる余裕はないだろうし、そんなもんだろう。
腕の痛みに加え、38度ギリギリ行かないくらいの熱が出た。ただ、接種翌日夜には回復した。
事前にポカリスエットと解熱剤を用意しておいてよかった。
いま、私たちは情報の多くを文字から受け取っています。メディアの中心が印刷物からスクリーンに変わってもなお、文字がコミュニケーションのひとつの要であることは変わりません。
「My MORISAWAPASSPORTわたしの“推し”フォント」では、さまざまなジャンルのデザイン、その第一線で活躍するデザイナーに、文字・フォントをデザインワークのなかでどのように位置づけ、どのような意図・考えで書体を選択しているのかをインタビュー。あわせて、「MORISAWAPASSPORT」“推し”フォントを紹介いただきます。
第1回は、グラフィックデザインをベースに平面から立体、空間まで幅広くデザインを展開する色部義昭さんにお話を伺いました。
画像1
色部義昭
東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了後、株式会社日本デザインセンターに入社。2011年より色部デザイン研究所を主宰。
主な仕事にOsaka MetroのCI、国立公園ブランディング、市原湖畔美術館・須賀川市民交流センターtetteなどのVIとサイン計画から、パッケージ、展覧会デザインまで、グラフィックデザインをベースに平面から立体、空間まで幅広くデザインを展開。
目次
ブランディングやサイン計画を中心にデザインを手がける色部さん。
個性も違えば役割も異なる、多種多様な仕事のなかで、文字、書体はどういった働きをするものと捉えて取り組んでいるのでしょうか。web
いま、私たちは情報の多くを文字から受け取っています。メディアの中心が印刷物からスクリーンに変わってもなお、文字がコミュニケーションのひとつの要であることは変わりません。
「My MORISAWAPASSPORTわたしの“推し”フォント」では、さまざまなジャンルのデザイン、その第一線で活躍するデザイナーに、文字・フォントをデザインワークのなかでどのように位置づけ、どのような意図・考えで書体を選択しているのかをインタビュー。あわせて、「MORISAWAPASSPORT」“推し”フォントを紹介いただきます。
第1回は、グラフィックデザインをベースに平面から立体、空間まで幅広くデザインを展開する色部義昭さんにお話を伺いました。
画像1
色部義昭
東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了後、株式会社日本デザインセンターに入社。2011年より色部デザイン研究所を主宰。
主な仕事にOsaka MetroのCI、国立公園ブランディング、市原湖畔美術館・須賀川市民交流センターtetteなどのVIとサイン計画から、パッケージ、展覧会デザインまで、グラフィックデザインをベースに平面から立体、空間まで幅広くデザインを展開。
目次
ブランディングやサイン計画を中心にデザインを手がける色部さん。
個性も違えば役割も異なる、多種多様な仕事のなかで、文字、書体はどういった働きをするものと捉えて取り組んでいるのでしょうか。
「私は文字を素材と捉えて使っています。文字情報というのはあらゆるコミュニケーションに使われるものなので、あるブランドのための書体をひとつ選んだら、目に見える部分以外の情報も発信していくことができます。
たとえば、ブランドが人の身体だとしたら、書体は血液のようなもので、ブランドの隅々にまで意思やフィロソフィーといったものを循環させていくことができる。書体はそういった要素を担っている重要な素材だと思っています」
目に見える部分以外の情報も担う書体。それはつまり、ブランドやメッセージをより正確に、ふさわしいトーンで伝えるための役割を書体に持たせているということになります。
こうしたとき、色部さんはどのような視点、プロセスで書体を選んでいくのでしょうか。
「書体を選ぶときは、ロゴなどが決まっていればそれと同調する書体にするかコントラストのつく書体にするかで考えます。先に書体から考えていくような場合は、施設や部屋の名前といった大事なワードを候補になる書体で打って、イメージに近いトーンのものを比較していきます。
書体を選ぶ基準というのはプロジェクトごとに異なりますが、書体を選ぶことは自分のデザインのなかで楽しみな部分ではあります。クライアントやブランドにはそれぞれの個性がありますから、それを見極めて書体を選び抜くことが大切です。理想的にはプロジェクトごとに、毎回、違う書体を使いたいと思っています。
書体が決まった後は、それをターゲットのイメージに合わせて、どう組むか、レイアウトするか、アレンジするかを考えていきます。ただ、このときはタイプデザイナーによって作られた書体を自分なりにどう活かして使っていこうか、楽しんでいる部分もありますね」
“ブランドの血液”としての書体。多くのメディアにそのフィロソフィーを浸透させるためにはいま、フォントとしての文字は欠かせないものになっています。
「ロゴは点として存在するものですが、書体は線になり面を構成するものとなるものです。
MORISAWAPASSPORTとTypeSquareのように、デスクトップ用のフォントからWebフォントまで、共通のフォントが使えることで、サインからWebまで同じトーンで展開できるということは大事な要素だと思っています。
使いやすい書体をあらかじめ決めておくとか、いい書体、悪い書体という判断は自分のなかには持ってはいません。ブランディングではクライアントの個性やプロジェクトの性格に最適な素材であるかどうかが最も重要だと考えています」
2020年における先進的な女性の卵子凍結・代理母に対する率直な考えが現れている非常に重要な対談だと思うので記録のため引用する。
*VERY2020年4月号「卵子凍結事業も始めるスプツニ子!さんに訊きました シンマイさんと学ぶVERY世代と卵子凍結」
https://veryweb.jp/life/106461/
https://web.archive.org/web/20200817141554/https://veryweb.jp/life/106461/
以下引用:
海外(欧米)ではもはやメジャーでカジュアルな「卵子凍結」。自然分娩や母乳育児が尊ばれる日本ではまだまだSF感の漂うマイナーな分野。でも、女性だけにタイムリミットがあり、仕事もノッてる時期に、伴侶を探し、結婚・妊娠しろ、ってどうよ。と立ち上がったのが、自ら26個の卵子を採取したアーティスト・スプツニ子!さん。結婚前に凍結を検討していたシンマイこと申 真衣さんと意気投合!
※この対談はVERY2020年4月号掲載時(取材は2月)のものです。申 真衣さんは、同年7月に第2子妊娠を公表しました。
申 実際にカウンセリングに行ったこともあるんです。もうすぐ30歳だな、と思っていた頃にちょうど未受精卵子の凍結が日本でもできるようになって(*注1)興味が湧いて。結婚願望はなかったのですが子どもは欲しいと思っていたので選択肢のひとつとして話を聞いてみようと思ったんです。でも、当時はまだアングラな雰囲気で……。躊躇しているうちに結婚したので凍結までは至りませんでしたが。
スプツニ子!(以下ス) 私は33歳の時に初めて卵子凍結のカウンセリングを受けました。結婚もしていないしパートナーもいない。仕事もめちゃくちゃ楽しい、でも子どもが欲しかったらそろそろ考えないといけないのかな。じゃあどうする? と思った時に、日本の価値観では出産の前に結婚しないといけないらしいし、結婚するには恋愛しないといけない。やらなくちゃいけないこと多すぎない?と思って、じゃあまず卵子を凍結しようと。昨年2回採卵して26個凍結しました。
ス 自分でやってみたら気持ちが変わったのを実感して。凍結卵子による妊娠は100%ではないから保険みたいなものではあるけど、すごく解放された感じがあった。あぁ、これで私はもっと自由に生きられるんだって。女の人は意識していなくてもbiological clock(出産可能年齢)という枷がある。子どもを産みたかったら何歳までに○○しなくちゃ、と。日本では凍結した卵子を使えるのが45歳未満までだから、あと10年くらいの猶予がある。それだけでもこれだけ明るい気持ちで仕事に取り組めるんだ、と思い、この経験をもっと多くの女性にシェアしたいと思いました。
申 米国だと福利厚生として導入している会社(*注2)もありますね。
ス 2018年には米国の大企業の17%が導入しています。過去3年で3倍になっているから、今年は30%くらいに増えているかも。米国で有名な卵子凍結クリニックはNYの5番街にあって内装もオシャレ、女性が自分の人生の選択肢を広げるために訪れるポジティブな空間。英国では、採卵した卵子の半数を提供するならほぼ無料で卵子凍結ができます。でも、日本ではまだ広まっていないし、中国やシンガポールでは社会的適応による卵子凍結がまだ認められていない。それってもったいない!
申 私も自分が興味を持った時にリサーチしたことがあって。日本でも潜在的な需要は高いはず。それなのに供給はなされてない。これって事業になるんじゃないのかな?と思ったんです。
ス 実は今年、卵子凍結バンク「Cradle」をオープンします。興味はあるけれどよく分からないから手が出せない、そんな空気を変えたかったので情報もクリアにしてもっとハードルを低くしていく予定。いくつか報告はあるのですが、35歳以下の卵子を凍結しておけば子どもができる確率は10個でおよそ50~70パーセント、15個採ると70~80%。この数字を高いと見るか低いと見るかは人それぞれですが、ブランドバッグや海外旅行とそう変わらない金額で人生の選択肢を増やせることを知ってもらいたい。
ス もともと私は女性とテクノロジーに関連するアート作品を作ってきました。テクノロジーって人類にとって平等に進化しているように思われるけど、実は男性中心に動いてきてしまった歴史がある。例えば避妊用ピルは日本では承認にものすごい時間がかかっていて米国から30年以上遅れていて、国連加盟国の中で最後まで承認されなかったのは日本と北朝鮮だけ。承認前も「女性の性生活が乱れる」みたいな論争が起きて。でもバイアグラが出てきたら、多数の死亡例もあったのに、たったの半年で日本の議会は承認したんですね。
ス It’s a Men’s world なんですよ。残念ですがこれまで男性目線で科学が進歩してしまった。ハタチの時にそれに気づいてしまって、人類は月に行ったのに私はまだ毎月生理になっているし、妊娠・出産も原始時代から変わらない。周りは「女だから・そういうものだから仕方ないよ」って受け入れているけど、私は『なんでだろう、おかしいな』と思っていた。だから、卵子凍結という選択肢が出てきた時に、これは人類にとってすごく大事な第一歩だと思ったんです。
ス 社会で活躍する女性が増えているのに、仕事がいちばん楽しい時期と子どもを産まなくちゃいけないとされている時期がドンピシャっておかしい。どれだけ女の人の活躍が進んでも、最後のガラスの天井が肉体のタイムリミット=妊娠・出産。卵子凍結はまだ新しい技術だけど、怖がったりタブーにしておくのはもったいないと思います。
申 私は入籍から1年、31歳で妊娠。このタイミングはタイムリミットから逆算してそれしかないという感じでした。子どもは欲しいと思っていたし、娘のことはかわいくてたまらないので後悔はもちろんないのですが、妊娠のタイミングがキャリア的に最適だったかというと難しい……。昇進の時期を控えての産休だったので、復職後に頑張りすぎてバーンアウトしかけたり、と余裕のない状況にはなってしまいました。少子化に問題意識を持つ男性と話すと、早く結婚しろ・早く子どもを産め、という話になりがちですが「相手もいないのにどうやって」と思います。そして、結婚すると今度は生殖可能年齢のタイムリミットが迫っているのでせっせと妊活に励まなければ、となる……。
――2人目・3人目を望むのであれば猶予がない状況も。
申 晩婚・晩産化で初産が遅れていて(*注3)、1人目が1歳になった瞬間から、『2人目は!?』というプレッシャーを自分自身にかけなければいけないし、仕事もある。忙しすぎです……。子どもの年齢はできるだけ離した方が子育て的にはずっと楽だと思うのですが、生殖可能年齢のタイムリミットがそれを許さない。
ス 30代の間にAMH(*注4)は大きく変化するから、針の穴に糸を通すような感覚ですよね。今の生き方と生殖のバイオロジーが嚙み合っていない。だからこそ、卵子や受精卵の凍結はもっと知られるべきだと思います。すでにパートナーがいるVERY世代であれば受精卵の凍結もアリ。個人的には多様な可能性を残すために未受精卵も凍結することをオススメしますが!
申 日本は不妊大国。体外受精で生まれる子どもは16人に1人の割合でいるはずなのにオープンにしている人は少ないですね。自然に授かることを良しとして生殖医療の話題は触れにくい風潮も。
ス でも、『#MeToo』運動もあって女性の性や生理に対する意識もやっと変わってきてる。その流れで、生殖医療に対する意識も変わってほしいと思う。もっと、自由に産む時期を決める権利があることに気づいてもらいたいです。
ス 卵子凍結をしても自分で産むにはリミットがあるから、その流れは必ず来ますね。
申 日本だと向井亜紀さんが代理母出産(*注5)して話題になっていたけれど、米国ではサラ・ジェシカ・パーカーやキム・カーダシアンのように代理母で出産するセレブがいますね。費用的にはなかなか手軽にはならないのだと思いますが、選択肢が増えることは良いことだと思います。
ス そもそも男性って女性のパートナーに代理で産んでもらって、親として認められているのに、女性だけが自分で産まないと認められない、なんておかしいですよね。大事なのは子どもに愛を注ぐことではないでしょうか。
申 憧れの女性の先輩が精子提供を受けてシングルで子どもを産んだんです。もちろんシングルマザーにはそれなりの大変さもあるかもしれませんが、仕事でも成功を収めていて人間的にも素晴らしい人なのでその決断にはかっこいいという言葉しか見つからなくて。きっとお子さんはたくさんの愛を受けて幸せに育つだろうと思います。
ス 女の人だって仕事があって自立していれば、子どもを産むために結婚する必要はない。恋愛や結婚と関係なく、望んだタイミングで子どもを産める自由がある。夫というパートナーがいなくても、現にアメリカやヨーロッパでは充実した社会的支援のもと精子提供を受けて生まれた子どもがすくすく育っているから、家族という形式にこだわりすぎなくていいと思います。
申 国や社会は家族の在り方や女性の生き方を枠にはめようとしますが、子どもを持つというのは本来すごく個人的な選択。その人らしい選択をできるようになればいいと思います。そのためにはまず選択肢が増えていかないと。卵子が冷凍されていて子宮も借りられるとなると、何歳になっても子どもが持てる。子育てに要する体力的な問題はありますが人生100年時代のこの先、50代、60 代になってから育児をするなんて選択肢があってもいいのでは、と思います。
ス 私たちが当たり前に思っている家族の在り方――何歳くらいでママになって子育ては何歳くらいまで――というのがこれからどんどん変わっていくはず。好きに生きて、好きなだけ仕事して、好きな人に出会えたらラッキーだし、そうじゃなくても「精子バンクで子ども産むもん!」って思えたら楽しいと思う。私はそっち派です(笑)。
申 私はもっと早く知っていれば20代のうちに卵子を凍結していただろうなと思います。娘には本人はその時は必要性を感じていなかったとしても卵子凍結を勧めたいと思っています。免許取得を大学入学祝いにプレゼントするのと同じ感覚ですね。大学生の時間に余裕があるうちなら採卵もしやすい。それに結婚を考えるパートナーがいないうちなら意思をすり合わせる必要もなく、誰かの合意が必要ないから。スプツニ子!さんみたいに爽やかな方が卵子凍結を勧めれば、ポジティブなものだと広まりそう。
ス 私もそうしたいと思っています。20代なら数も採れるし質もいいから、成人式の振り袖より卵子凍結をプレゼントする方がずっといい(笑)。申さんには卵子凍結のアンバサダーになってほしいです!
申 ぜひやりたいです(笑)。
1985年生まれ。東京藝術大学デザイン科准教授。ロンドン大学インペリアル・カレッジ数学部を卒業後、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)で修士課程を修了。マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ助教、2017年東京大学特任准教授を経て現職。「東京減点女子医大」(2019年)などジェンダーに関する作品も多数。今年、病院と提携する凍結卵子保管バンク「Cradle」(https://www.cradle.care)をオープンする予定。※サイトは5月ローンチ。
1984年生まれ。東京大学卒業後、外資証券会社に約10年勤務したのち、現在はベンチャー企業の取締役を務める。2019年6月号でVERY初登場、効率を重視するワーママらしいロジカルなファッションやライフスタイルが注目を集めVERY世代のオピニオンリーダーに。2020年3月号からVERYモデル。30歳で結婚、31歳で長女を出産。(2020年7月現在、第2子妊娠中)