
はてなキーワード:川上村とは
最近語られる外国人労働者問題は大抵「今」か「未来」、過去に言及しても比較的最近の問題みたいな顔してるけどわりと昔からあるよね
自分が知っている中だと1980年代には人手不足が盛んに言われていて、1990年には大規模な受け入れがあったわけでしょう
1993年には不法残留者(不法滞在者)が約30万人(現在は約8万人)という有様で、1990年の入管法改正では日系人の受け入れや外国人研修制度の本格化が行われていた
1993年には研修制度に技能実習制度が追加されて…在留カードの創設など色々要因があったから不法在留の減少と合法的な受け入れの増加に関連があると言うには短絡的かもしれないが…
何にせよそこから数えても35年近く続けてるんだから、既に社会が外国人労働者に依存しきってると見るべきでは?
その間目に見えていなかったのなら見ていなかっただけだと思うんだよな
リーマンショックの時には日系人が多い地域は大変な社会問題になったわけで、都民とかには実感がないかもしれんけども
日系ブラジル人の多い浜松出身の静岡県知事が共生がどうの言い出したのは逆にこの時があまりにも大変だったせいで逆にそっちの結論になったみたいなとこあるレベルで色々あったよね…
そこで90年代を顧みると、当時散々問題になって今でもたまに外国人研修生・技能実習生の話で出てくる時給300円っていうのは栃木の縫製業の話なんだが、
その縫製業は今どうなっていると思う?
1990年には50%近くあった衣料品の国内製造比率は2022年には1.5%(輸入浸透率98.5%)にまで落ち込んでいて、頑張っている方々には悪いがもはや壊滅的と言っていい
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/pdf/240516.pdf
もちろん外国人を奴隷みたいにこき使えなくなったからここまで落ち込んだんだというような単純な話ではないだろうし、
ここまで極端な例を他の産業にそのまま当てはめるのも違うだろうし、何なら自給300円が許されるとは全く思わない
しかしまあ現実ブラックがなくなって産業の生産性が高まってという前に似たようなことが起こる産業はありそうだ
その際に問題となるのは食料自給率だの食の安全保障だの別の話が絡む第一次産業あたりなのかなあ
米の高騰でこんな騒ぎになっているのと、効率化にしても大規模農業ができるアメリカですら不法移民を使ってるというんだから厳しさを感じざるをえない
トランプ政権の関税政策を見ていると一層食料自給率の確保は必要そうに見えるが、食料安全保障なんて保守派からも以前よりは聞かなくなった気さえする
朝日新聞で食料自給率と言いながら外国人労働者頼りなのを嘆いた記事を見かけたのももはや10年以上も前(ネットで話題になった産経の川上村記事の1年前なので)だった記憶がある
昔は夏休みの学生が来て早朝からの収穫の短期アルバイトをやってくれたのに、今や割高で募集しても全然集まらないみたいな話まで載ってたね
こうなると諦めの境地というか、もうとんでもない技術革新が起きて全部解決してくれるとでも思っておくしかないというか
逆に今までの話とは全く逆で人件費が高騰しまくってるのに全然人が足りなくて国策で外国人を呼んでる建築業なんてものもありますが
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk2_000117.html
公共インフラを考えると人手不足で回らなくなるのはぞっとしないがどうすりゃいいんだ?
よく男女の給与差で女性はきつい仕事をせず事務職を選択するからって話をはてなでも見るけど、ブルーワーカーを避ける傾向にあるのはもはやに女性限らんわけで…
まあもうどうにもならんという話ではあるが
こちら統計ではありませんが、長野県が公開している農業経営指標です。
農業改良普及センター(現農業農村支援センター)が篤農家と呼ばれる地域を代表する農家の経営状況を調査したものであり、
金融機関の審査の際に参考にされ、借入の際にここからかけ離れると理由を求められたりするという、
農業経営の基準となる資料ですので、一定の信憑性はあるかと思います。
ちなみに同業者の間では、売上は過大評価(高すぎ)だが、経費はまぁまぁ正確であるという評価です。
https://www.pref.nagano.lg.jp/nogi/keiei/documents/r4keieishihyoulist.pdf
①10aあたり売上580,000
②10aあたり売上471,252
となっています。
最新のものは公開されていませんが、平成21年度のものであれば明細もっています。
全て10aあたりの金額で、括弧内は売上に対する経費の割合です。
粗収益 544000
種苗費 9502(1.7%)
肥料費 42530(7.8%)
農具費 1500(0.3%)
農薬衛生費 27195(5.0%)
諸材料費 28448(5.2%)
雇人費 8424(1.5%)
想像より減価償却費が高いぐらいで、かなり想定に近い数字でした。
減価償却は農機具の場合7年ですが、きちんとメンテナンスしながら使っていけばトラクターは耐用年数30年近くになります。
どこで部品調達してるのかわかりませんがもう販売されていないフォードとか現役で活躍していますし、
シンプルな作りのものは長持ちするんですよね。なので減価償却費と実際の出費は乖離していると思います。
平均に意味があるかはわかりませんが、
農家1戸あたりの面積が4haちょいなので、平均所得は420万円程度になると思います。
農家1戸あたりの所得は400-500万円と考えてよいかと思います。
https://www.machimura.maff.go.jp/machi/contents/20/304/index.html
諸材料費に含まれるマルチ(畑を覆うビニールです)は白黒ダブル135cm幅200m巻(表は白、裏は黒で夏レタス栽培で最も使うやつ)で6000円ほどするので、30%近く値上がりしていると思います。
青果を販売する普通の農業で2500万円の年収を得るなんて絶対無理。
結論を先に書いておくと、正しくは一人当たりの年収は260万円弱となりました。
紹介文によると
「農家607軒の高原野菜の販売額は2007年に約155億円と、平均収入は2500万円を超えました。」
2500万円は農家1戸あたりの売上です。
確かに平均がこの値というのはすごいことですが、決して達成不可能な数字ではないです。
3-4人程度の人手が必要な金額なので、じいちゃんばあちゃんと息子夫婦であったり、兄弟であったりと
農業の場合、品目と面積がわかれば、その人の年収を概ね推定することができます。
農協出荷だと運賃・市場手数料・農協手数料・全農手数料・施設使用料・予冷費・部会費・ダンボールなど様々な金額が控除されます。
品目により大きく変わるが、トマトのような冷蔵不要で軽量・高単価のもので売上の20%ほど、
ハクサイのようなかさばる重量野菜で売上の40%ほどだと思います。
それとは別に、種苗費、肥料費、農薬、マルチ(畑に張るビニール)など諸材料費がかかります。概ね売上の20%ほどです。
農機への投資があるので、減価償却があります。こちらは通常は長期借入の返済に当てられます。
健全経営だと減価償却が売上の5-10%程度とされます。レタスは労働集約的なので、5%と考えます。
ここまでで、売上の65%が製造原価となったので、2500万円の売上のうち、1625万円が消えました。
残りは825万円です。
サラリーマンの収入と違うのは、ここから消費税納税があることです。
サラリーマンの税引前所得と同等の条件で比較するため、消費税分だけ引きましょう。
現在、野菜は8%の軽減税率ですが、肥料などの購入は10%です。
売上の消費税が200万円、仕入れの消費税が150万円なので、50万円が消費税納税額となります。
今はレタスは作っていませんが、作って農協出荷したことはあります。
経験から想像するに2500万円の売上を上げるには3人必要ではないかと思います。
機械類は補助金あったりしますが一時的なものだし、審査も厳しく全てが通るということはまずありません。
川上は水田転作でもないので水田フル活用の補助金もないと思うし、中山間地域直接支払いの対象になるような圃場ではないです。
なので年収を大幅に上げることはできません。
ブラック川上と呼ばれるのは、実際にそういう事例もあったのである程度は仕方ないし風評とは言えません。
でも、外国人奴隷使って2500万の「年収」を得ているというのは完全に誤りです。
ここまで数字だせるのは自分が農家だからだけど、普通に考えて無理っぽい数字なことぐらいわかるでしょう?
そして、全然自慢できる数字じゃないよね。わざわざ本に書くような内容でもないです。