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2025-01-18

機動戦士ガンダムジークアクスを観た感想

 先日、友人に熱烈に勧められて観た「機動戦士ガンダムジークアクス」ですが、正直なところ、予想を大きく裏切る内容でした。そもそもこの作品は聞き慣れないタイトルだったので、「本当にガンダムシリーズなのか?」と疑問に思っていたのですが、実際に視聴してみると、制作スタジオが違うのかと思うほどアニメーションタッチメカデザインが独特でした。ストーリー展開やキャラクター立ち位置も、一見すると混沌とした様子で、ガンダムらしい「戦争人間」のテーマを扱っているのかさえ怪しく感じるくらい。とはいえ、その奇妙な雰囲気がかえってクセになる部分もあり、なんとも言えない魅力を放っていました。

 まず気になったのは主人公存在感です。名前は「ルドヴィカ・ラインホルト」というらしく、これまでのガンダム主人公とはひと味違う雰囲気を持っていました。ルドヴィカは、連邦軍でもジオン軍でもない第三勢力ダイブレイカー」に所属している少年兵という設定らしいのですが、登場初期はやたらと傲慢に見えました。いきなり敵軍への突撃命令に背くシーンもあり、「その行動理由がよくわからない」と視聴者を混乱させる展開になっていました。しかし、その背後には彼が抱える謎の過去や、自らの出生の秘密が複雑に絡んでおり、やや強引に感じる面もある一方で、どうにか物語を引っ張ろうとする意欲は伝わってきます

 一方、タイトルにもある「ジークアクス」というモビルスーツ。これがまた不思議な機体で、外見はガンダムタイプというよりは、どこか昆虫を思わせるようなフォルムなのです。脚部が二本ではなく四本あり、しか戦闘時には可変してスラスターの噴射角を自在に変えられる、という設定。宇宙戦よりも地上や低軌道での戦闘を想定しているらしく、高速移動と瞬間的な方向転換を売りにしていました。ただ、パイロット負担が大きすぎるという問題点も作中で度々指摘されていて、たびたびルドヴィカがコックピット内で意識を失いかける様子が描かれています。こうした演出からは、「ジークアクスは強力だけれど、簡単には使いこなせない代物」という図式が伝わり、物語中盤の盛り上がりに一役買っていました。

 物語のものは、地球連邦支配するコロニー群に対して、新興勢力であるダイブレイカーが独立宣言するところから本格的に始まりますしかし、その独立戦争理由曖昧で、「単に連邦独裁的だから反旗を翻す」というだけではなく、ダイブレイカー内部にもさまざまな思惑が交錯しているようで、正直、一度見ただけでは全貌をつかみきれません。特にダイブレイカーの代表者とされる少女「イリサエルレイン」は、表向きには平和のための独立を唱えつつ、その裏では軍閥同士の権力闘争扇動している節があるなど、二面性が強調されています。これが作品世界に深みを与えようとしているのか、単に設定過多なのか、微妙バランスなのが面白いところでした。

 また中盤から唐突に挿入される「宇宙クジラ出現エピソード」には驚かされました。シリーズの流れとは関係があるのかないのかよくわからないままに、コロニー間を漂流する巨大クジラ生命体が現れ、それをめぐって各陣営が「捕獲すべきか、保護すべきか」で対立を深めるという謎の展開。映像的には迫力があり見応えがあるのですが、これが戦争ドラマの軸であるはずのストーリーとどう結びつくのか、視聴していて困惑せざるを得ませんでした。ただ、作中で「ジークアクスの駆動必要特殊エネルギークジラが体内に保持している可能性がある」という説明が出てきたので、無理やりではあるものの、一応の整合性は保たれているようです。

 キャラクター同士の会話も独特でした。あまり技術用語歴史設定の単語が飛び交うので、台詞の半分ほどが理解できないままに進むことも。視聴者にとっては、よほど作中世界にどっぷりとハマるか、あるいは設定資料集を手元に置きながら観るくらいでないと、把握しきれない部分が多そうです。ですが、この「難解さ」こそがコアなファンを引き込む要因にもなっているようで、ネット上では考察解説が盛り上がっているのを見かけました。特にジークアクスとニュータイプの関連性」については多くの議論があり、作中に直接的な言及は少ないのに、ファンの間では「ジークアクスは人型の概念を超越した完全なニュータイプ専用機」という仮説が広まっているようです。

 総じて「機動戦士ガンダムジークアクス」は、ガンダムシリーズの“王道”を期待して視聴すると面食らうかもしれません。しかし、その独特の世界観と突飛な設定、そしてキャラクターの妙な掛け合いがクセになり、気づけば最後まで見入ってしまうような中毒性があります戦争の悲哀を深く描くというよりは、むしろ奇抜な設定を詰め込んだ「実験作」のように感じられました。いわゆる名作とは言い難いかもしれませんが、そのぶっ飛び具合を楽しむ余裕がある人には、ある種のカルト的魅力を持った作品と言えるのではないでしょうか。

 以上が、私が「機動戦士ガンダムジークアクス」を観て抱いた感想です。あまりにも出鱈目な展開の連続で、正直言って「何なんだこれは?」と苦笑してしまう部分が多数ありましたが、一方でこの混沌をどうにかまとめあげて最終回に向かおうとするエネルギーには感服しました。もし続編が作られるとすれば、一体どんな狂騒的な世界さらに広がっていくのか、興味半分、不安半分といったところです。ガンダムシリーズの中でも異色中の異色作品といえる本作、機会があればぜひ一度、その謎めいた魅力に触れてみるのも悪くないかもしれません。

Permalink |記事への反応(0) | 19:23

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2024-12-07

大麻使用施行後の未来予測

今は法改正後420年後──東京湾上空に浮かぶ宇宙入国審査基地「ハナフサ420」では、まるで宇宙ホタルが大挙して発光ダンスを踊り狂っているかの如く、長蛇の列が奇妙なビートで揺れていた。俺は列の中に立ち、喉の渇き尿意を同時に抱え、先頭でキラキラと光る尿検査ロボットピーピー君」を睨みつけるしかなかった。あいつ、黄金色のボディに「清流」「極上」「芳醇」とか能書きシールを貼りまくって、テンション高くキュイーンと鼻歌なんか歌ってる。芸が細かいというより、ただの悪趣味便器ロボじゃねえか。

しかし俺が本当に腹が立つのは、横で浮遊している別のロボット「Nippy-Stick420」の存在だ。コイツ合法的大麻由来のオイルを吸ってハイになっている。わざわざハッパー型のアロマディフューザーを口元につけ、メタリックグリーンの煙をぷかぷか吐きながら、こっちにニヤリとする。その顔はまさにトリップ宇宙人、脳ミソゆるゆるモード全開で、こっちの深刻さなんて知ったこっちゃない。

Nippy-Stick420が俺を見て、薄笑いを浮かべる。

Yo, my metalbrother,you steppin’ in agalaxy without greens, ain’t no buds foryohuman lungs, know what I’m sayin’?」

(よう、メタルブラザー人間のお前には緑の恵みなんて無い銀河に足突っ込んだってわけよ、わかるかい?)

ウッゼェ、こいつ。俺は言いたい。「なんでお前は合法的にキメてんだ?なあ、同じ大麻成分だろ?なんで人間がアウトでお前は政府公認ハイなんだよ?」

ことの発端は、アムステルダムだ。俺はそこに旅立ち、夢見心地で「Amsterdam 420 Kush」を一服かました。それは舌の上で葉っぱが宇宙クジラの子守歌を歌うような極上の体験だった。ところが同じ頃、面識も無いクセに宇宙有名人になっていたインフルエンサー「420BlazeChica」がSNSやらかした。「アムステルダム合法ハッパ最高~!」なんて調子に乗った配信をやって、銀河規模で炎上し、日本政府は大慌て。結果、法改正後420年の平和だった(建前上)日本は「アムステルダム帰りは全員、尿検査ガチャに参加」なんていう悪夢イベントを開催するハメになった。

そして俺は見事にハズレ──いや、当たり──を引いたらしい。今やピーピー君が俺の前に迫ってくる。そいつは超ハイテンションで、発声モジュールからアイドル声優みたいな声を出す。「お兄さん、今がチャンス!最高品質検査液を排出してねっ☆」なんて言いやがる。

「てめえ、検査液って俺の尿だろうが!」と叫びたいところだが、その瞬間、Nippy-Stick420が俺に向かってスパスパスモークリングを吐く。

Chill, my leafless homie,dauniverse ain’tgot no sympathy foryo dried-outfate. Just pee and roll withit,yafeel me?」

落ち着けよ、葉っぱ無しの相棒。この宇宙はお前のカラカラ運命に同情なんざしちゃくれねえ。とっととションベンかまして流れに乗れ、わかる?)

何が「流れに乗れ」だよ!俺は流れなんて乗りたくない。流れに乗った結果が、合法的ハイロボットと、合法的に俺を捕まえる便器ロボだぞ?

ピーピー君は検査モードに入ると、警察官風情の監査ドローンを脇に従えて、まるで江戸時代奉行よろしく判決を読み上げる。「ハイハイこち大麻判定モード入りま~す。違反は即アウトですぅ♪」その声はアイドルから一転、判決ドSナースみたいなトーンに変化。

俺が出発前に地球新聞で読んだとおり、帰国時に陽性なら即逮捕。それが法改正後の新しい現実らしい。

「Ain’t no mercy in thisbigol’ cosmic playground, my dude.You gon’ be locked up tighter than a stoner’s snack stash.」

(この広大な宇宙の遊び場に慈悲なんてねえぜ、ダチ公。お前はハイな奴らのおやつ隠し棚より堅くロックアップされる運命だ。)

Nippy-Stick420がトロけた声で宣告するたびに、俺の血圧は上がる一方。おまけに周囲の客は、俺をまるで珍獣でも見るかのような目で見ている。中にはSNSライブ配信している奴もいるんじゃないかインフルエンサーのせいで俺たち全員が疑われてるのに、皆あの女と俺を同列に語るな!

ピーピー君が結果をババンと大画面に表示する。「Amsterdam 420 Kush成分、陽性出ちゃいましたっ☆ あ~残念♪」

周囲がどよめく中、監査ドローンが青白い光を放って俺を拘束する。空気がヒヤリと凍り付き、Nippy-Stick420は相変わらず気怠い笑みを浮かべている。

Dat’s howda cosmiccookie crumbles, myfriend.Nexttime,stick todatrobot oil,it’sondahouse.」

(なあ、相棒、これが銀河クッキーの砕けっぷりってわけだ。次回はロボットオイルでキメな。タダで振る舞ってやるぜ。)

不条理だ。ロボットハイでも合法人間一口吸っただけで逮捕。俺は銀河の果てで、圧倒的に理不尽な巨大便所ビジネスに飲まれたような気分だ。

こうして、法改正後420年後世界で、俺はアムステルダムの甘い葉っぱの記憶と共に、宇宙ジョークの渦中へと引きずり込まれていく。スモーキーで、皮肉コメディが倍増した、カラカラ銀河物語はこれから裁判所行きのシャトルで続くことになる──俺に笑う余裕なんて、一片もないけれど。

Permalink |記事への反応(0) | 10:20

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2023-10-02

【翌朝追記あり】劉慈欣「三体」の好きなところと微妙なところについて











好きなところ

たった一つの原理から出てくる結論三部作最後まで貫いている

この物語基本的原理は次の通りだ。「宇宙資源は有限であるしかしすべての文明は成長し・生き残りたい。よって、自分が生き残るためには相手を皆殺しにしていい。さもなくば相手に殺される」。そこから出てくる結論は「相手位置がわかったら即座に抹殺するのが最適解」。「相手と対等の立場に立って交渉するには、いつでも相手文明の座標を全宇宙晒す装置を作ればいい」。

これが適用されるのは地球人エイリアン・三体人だけではない。宇宙戦争ののち、孤立した地球人宇宙船同士も相互不信に陥り、突然殺し合いを始める。この原理原則例外はない。

どうしても攻撃したくなければ、相手の脅威にならないと示すため、限定された空間の中に引きこもるしかない。

絶望的な世界観

エイリアンのたった一つの水滴という兵器に、地球の最強の兵器であってもまったく歯が立たない。あるいは、エイリアンが数百年の偽りの平和ののち、地球人を何の共感もなくジェノサイドする・餓死させることを宣告する場面。主要なキャラであっても容赦なく殺してしまう命の軽さ。無意味に死んでいく人々。愛し合うカップルであっても、異なる早さの時間に引き裂かれる。この絶望感こそが本作の醍醐味だ。

さらに、地球人文明通りすがりの三体人とは別のエイリアンの作った名刺大の兵器で、三次元から二次元物理世界に落とされて再起不能になるまで破壊されるシーン、これは最も美しく壮絶な太陽系人類滅亡の場面だ。これを読むためだけに「三体」を買うだけの値打ちがある。

それだけではない、現在宇宙四次元時空で光速が有限なのも、本来は十次元光速無限だった世界が、宇宙戦争で使われた次元兵器による「堕落」の結果だと示唆される。感動的なまでの悲観主義

SF兵器なんでもあり

宇宙戦艦、超兵器エイリアンコールドスリープ、超構造体(メガストラクチャー)、ネトゲなど、絵になる風景ばかりだ。確かにSFモチーフを大量に詰め込むと粗削りになりがちなので、作品によっては一つに絞ったほうがいいと思うこともあるんだけど、これはいい

舞台中国である

これは欧米SFではほとんど見られない。中国が扱われるとしたら古代文明の謎であるとか、悪の共産主義陣営とかで出てくることが多いので、まず中国舞台であるというのが新鮮だ。始皇帝とか荊軻かい名前が出てくるだけでもうれしい。中国から見た日本文化ってのも、なかなか見られないか楽しいケンリュウも書いているけどね。あと、中国からしても日本と言えばカミカゼ忍者茶道なのね。あとは雀魂とか)。

関係ないけど、英語版ウィキペディアは概して日本よりも記事が多いし細かいことが書いてあるが、中国の歴史については日本語版のほうに一日の長があることもある。

あと、文化大革命が背景になる中国小説とか映画とかって、面白いのが多い。

宇宙の最終的な運命まで描き切る蛮勇

クラークとか小松左京とかじゃないとやらないくらいの発想がぽんぽん出てくるのが素晴らしい。

SFリアルさを求めて、技術革命とそれによる社会の変化を描くこともあるし、現実社会問題に肉薄することもある。雑食の僕はそれはそれで面白くて大好きなんだけど、定期的にSFルーツにある「人類の、そして宇宙の終局的な運命とは」「不可解なるエイリアンとの出会い」みたいなテーマ作品をどうしても読みたくなる。

微妙なところ

概して女性の扱いが悪い

第一部でエイリアン軍勢地球に呼び寄せてしまうのは人類絶望した女性科学者・葉文潔だ。「いっそ愚かな私たちを滅ぼしてくれ」と宣言してしまう。第二部ではエイリアンに対抗するために地球資源を使い放題にしていいと許可された「面壁者」羅輯が、どうすればいいかからずに、かわいいだけの理想の妻を求める(一緒に問題を考えるパートナーではない!)。さらに、第三部ではエイリアン和解した人類が、数百年の平和を経て穏やかになっており、「日本韓国アイドルのように」「女性化」していると描写される(前に「原神」のキャラとか”男らしくない”俳優とか実際に規制されてたよね)。

そして、コールドスリープから目覚めた主人公女性・程心もエイリアン文明破壊するための報復装置を、弱気から起動し損なう(これがさっき述べたエイリアンによる人類ジェノサイド宣言につながる)。

同時にコールドスリープしていた軍人は「この社会もっと雄々しくあるべきだ」という趣旨マッチョなことを述べる。2010年SFだけどこれでいいのか。このシリーズ普通に面白いと褒めていいのかオバマさん。僕はジェンダー意識がかなり保守的なほうだと自覚してるけど、これはちょっと弁護できないな(というかこれだけ女性の扱いが悪いと、作者には過去につらいことがあったのか? って心配になる ※1)。

さらに、第三部の主人公・程心は、使者として脳だけになってエイリアン文明に入り込んだ恋人・雲天明が、エイリアン文明の中枢から伝えてきた、人類文明を救うための暗号化されたメッセージを解読し損ない、これも人類滅亡の遠因となる。

まり人類の滅亡の契機は、ほぼすべて女性に起因している(いずれエイリアンに見つかっただろうけれども、直接の契機は女性)。寡聞にして、この点を検討している評論を見かけていないけれど、ググればどっかにあると思う。

三部作全部ドラマ化するとしたら、この辺テコ入れされるんじゃないかな。

※1 同じ心配をしているのが「たんぽぽ娘」のロバート・F・ヤングで、若くてかわいらしい女の子といちゃつく小説がやたらと多い一方で、「ジョナサン宇宙クジラ」では年上の女性たちや・女性上司日常的に暴力を振るわれている描写がある。成熟した女性に対する嫌悪と恐れを読み取ってしまうのは、気のせいだろうか。

被害妄想

エイリアンとの戦争に勝つためにはどうすればいいか軍人議論する中で「エイリアンに負けるかもしれないという精神的敗北者を追放する」「エイリアンシンパスパイ排除する」という結論が出てくるの、なんというか現実中国共産党の発想なんだけど、エイリアンに対してこういう態度を取るのは欧米だと冷戦時代SFが多い(この前のホーガンとかね。でもホーガンは「未来からのホットライン」が面白いよ。「シン・エヴァ」の元ネタだし)。なんというか、「三体」が悪いというより、中国政府がいまだにスパイ大作戦な冷戦世界観世界を見ているという感覚が生々しく伝わってきて幾分げんなりする。マジで共産党が「最善の防御は皆殺し」とか考えていませんよーに。さっきの女性の扱いと含めて、数十年前のSFを読んでいる気分になってしまった。

第一からエイリアンの超粒子で地球文明監視されて物理学の発展が阻害されるんだけど、これも敵のスパイに見られているという被害妄想的な感じがする。

深読みすれば、共産党監視されている国民の恐怖・心象風景なのかもしれないけどね。

ときどきトンチキ

SFってのはある程度ブラフ必要で、トンチキな場面も出てくるんだけど(それをどうやって読者に悟らせないか仮定文学であるSFテクニック)、たとえば第一部で地球文明を隅々まで監視できるだけの技術文明を、地球ナノワイヤで倒せるってのは、ちょっと無理があるんじゃないか?(追記。せめて向こうでナノテクが発展していないエクスキューズがほしいよね)

総評

人類に対して敵意を持っている宇宙の中での、人類の行く末について最後まで描き切った蛮勇がとても好き。三部作の壮大さのおかげで、隠せない欠陥にもかかわらずこの作品を気に入ってしまっている。第一部よりも第二部、第三部の順で面白くなっているのもいい。自分の中では★二つから★四つ半くらいまで評価が上がっていった。作家として器が大きくなったって感じたよ。

ラストの逃避にも似た、小さな農園を備えた小宇宙も、中国伝統的美意識神仙思想隠遁に繋がっていていい。美意識が共有できると嬉しいよね。

全体として思ったのは「これって炒飯ラーメン餃子の特盛セットじゃん」ってことだった。みんながSFと聞いて思いつくネタをがっつり取り込んでいる。読んだSFの冊数が増えると、青椒肉絲とか麻婆豆腐とか黒酢酢豚とか、燕のスープとかフカヒレかいろいろあるのがわかってくるし、全部乗せを馬鹿にしたくなる気持ちも出てくるけど、なんだかんだで小さい頃に食べた大味な全部セット無性に食べたい日もある。

読書楽しい

時々どうしても受け入れられない価値観出会うこともあるけれど、なぜそう考えるようになったのか? なぜ自分不快と感じるのか? と考えると、共感的に理解できるかもしれない。少なくとも自分価値観あぶり出される。

過去批判し、そのうえで現代をよりよくしていこうと思うが、だからといって過去を見くだしたいとは思わない。好きなところ、好きになれないところ、両方を検討するのは楽しい作業だ。

本を読んだときはたった一つの気に入った言葉があればいい。映画を観たときは一つでも好きな場面を見つけられたら良しとする。美術展に出かけたら、一枚だけでも気に入った絵があれば外に出た甲斐がある。

こうして欠点もあるけれども面白かった作品について書いてみて、「もういいや」って思ってた外伝にも、手を出したくなってきた。

それではまた。

前回

今さだらけれどセンスない認定されたSF作品を弁護したい

お昼の追記

「三体」人気すごいなあ。久しぶりにバズったよ。

以下ブコメレス

人によっては人物名前を同定できるかがハードルになりそう。

これは外国文学を読むとき鬼門で、自分三国志ゲームとか小説とかで親しんでたからなんとかなったけど、そうでないとしんどいかも。

おすすめロシア文学もなかなか読んでもらえないのもこの辺りに理由がある。

基本的にはメモしたり声に出したりしてその国の言葉リズムに慣れるのがおすすめマニアになってくるとジョンとヨハネイワンが同じ起源だとか気にし出すけど、これが通用するのはアラブ世界までだしね。

この方が好きなSFもっと知りたい。

SFじゃないのも含むけど、

必読書コピペにマジレスしてみる・自分のオススメ41冊編(1)

必読書コピペにマジレスしてみる・やっぱりオススメの21冊編 (1)

あとは、

必読書コピペにマジレスしてみる・海外文学編(1)

必読書コピペにマジレスしてみる・日本文学編

必読書コピペにマジレスしてみる・ミステリ編

必読書コピペにマジレスしてみる・哲学編

これは読書リスト

2022年に読んだ本

ではでは。

夜の追記

良くも悪くも手触りが野蛮な旧世代SFなのがむしろSFクラスタ外にもウケた理由なのかもしれないとは思う

これはちょっと思った。原初SFにある奔放な想像力、よくそんなネタ思いついたな! みたいなのがたくさんあるのが「三体」のいいところ。

で、それがモヤモヤする理由でもある。SFが洗練されてくると科学的正確さとか政治性とかを無視するわけにはいかなくなる。自分と異なった属性に対して誤った知識が広まらないよう、表現ルールがあるのは大切だと信じる一方、気持ちの面では想像力が羽ばたくのを少しも邪魔されたくない自分もいる。だから、反発する人の気持ちもわかる。

なので、正確性とかに気をつかったSFに慣れた身からすると「こんな粗削りでもウケるんだ! 売れるんだ!」という意外さと、先を越された悔しさがある。だから元増田みたいにSFの外にまで広がった作品を「センスがない」とディスりたくなるのかも。

でも、僕も最初はそういう作品から読み始めたわけだし、重箱の隅をつつくような外れ値の古参よりも、作品を買ってくれる新しいファンがどんどん増えたほうがジャンルは育っていくし、若いファンは「にわか」呼ばわりするのを恐れずどしどし読んでほしい。

思い出したこと

そういえば第三部でアボリジニおっちゃんが出てくるけど、欧米作品だったらもっと白人文化に対して批判的だっただろうし、なんだったら三体人に押さえつけられるときももっと痛烈な言葉をはかせていただろうな。より強い文明出会たことによる悲劇メタファーとしては扱いが若干雑だ。

欧米作品とのこの辺の感覚差異面白い

他に書いた文学関係増田

村上春樹のヒロイン・登場人物たちのつながり

カズオ・イシグロ大体読んだけど好きかわからなくなった

以上。

翌朝追記

おすすめの本のリスト追加したよ。

2023.10.12追記

早川書房翻訳SFファンタジイ編集部ツイッターに捕捉されてて吹いた。

Permalink |記事への反応(12) | 07:52

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2022-10-10

anond:20221010215654

幾原邦彦シェルブリットかな。宇宙漂流者が異星人の遺伝子改造で宇宙クジラになって帰還したことから始まる物語とか素敵やん

Permalink |記事への反応(1) | 22:19

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2021-03-08

anond:20210306173116

ガンダムSEED宇宙クジラ…って思ったけど、アストレイスターゲイザー下地になって、結果プラモデルネタを多数生み出しバンダイの儲けになってるから無駄ってほどでもないのか。本編やストーリーではほとんど役に立ってないけど。

Permalink |記事への反応(0) | 09:15

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2020-08-18

anond:20191108004651

まさか1年近く前のがホットエントリーに入るとは思わなかったので、嬉しくなってブクマかに反応します。

BEASTARSとか弱虫ペダルとかは?

さすがにアニメ化したような作品はお前らでも知ってるかなということで言及から外してました。

マウンテンバイク結構楽しく読んでたんだけど、メインのファンからは不評なの?

BEASTARSはなんか凄いね宇宙クジラみたいなのがでてきたときはびっくりしたけど。

俺にとってマーニーとは思い出ではなく、名探偵だった。

そのあとやってた兄妹もおもしろかったんだけどね。

ふらんよりマーニーとかヘレンとかの綺麗な木々路線の方が好き。

空灰も入間くんも吸血鬼すぐ死ぬチャンピオンだ チャンピオンを読め

新横は魔境

こうなると佐藤タカヒロ先生(「バチバチシリーズ作者)の急逝が痛かったな(「ドカベン」完結とほぼ同時期)。アレでチャンピオンからは遠ざかったし。

亡くなる作者が多いよね。この雑誌

佐藤タカヒロ先生クライマックス中のクライマックスで亡くなるし、佐渡川準先生もなあ。

偶然なんだろうけど若い作家が連載中に亡くなることが続いたのはショックだった。

じゃあ半分の女性読者を切り捨てたジャンプはどう例えたらいいんだよ少年ビッグコミックか?

女性読者を完全にスルーという観点だとゴラクとかだろうか。

ゴラクって単行本100巻超え相当のマンガばっかなんだよね連載が。

ビッコミは・・・BLUE GIANTとかまだ普通マンガあるし・・・

実質ミリオンライブの「チキン」もある。”緒方智恵力はシンデレラだろ!(せやろか

麻倉百千代が登場するたびあたまがおかしくなりそうになる。

Permalink |記事への反応(0) | 21:50

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2018-06-24

anond:20180621174009

宇宙クジラ

Permalink |記事への反応(1) | 02:49

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