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はてなキーワード:ル・クレジオとは

2025-01-02

理系池澤夏樹世界文学全集をほぼ全部読んだから五段階評価する⑤

【前】anond:20250102174224

2-07「精霊たちの家」イサベル・アジェンデ木村榮一訳★★★★

世代女性たちの年代記であり、「百年の孤独」と対比されるんだけれど、こちらのほうがずっと読みやすい。ちなみにガルシアマルケスコロンビア人で、アジェンデチリ人

しかし、女性物語としての記憶は薄れていて、覚えているのは暴君として君臨していた祖父エステバン・トゥルエバのことだ。彼が地元女性強姦して産ませた息子が、因果が回って彼の孫娘を強姦する。因果というか、悪い行いの結果って一番弱い立場の人に最悪のしわ寄せがくる。しかし、孫娘の嘆きや苦痛強姦の苦しみの割にはごく短く語られている。

同じく、よしもとばななアルゼンチンババア」かなにかで、語り手がいとこに犯されそうになったことをさらりと書いているのだが(そして、そのいとことほとんど恐れもなく顔を合わせるのだが)、性暴力について文学でどう扱えばいいのかは自分はよくわからない。女性からセクハラされた僕だって迷う。性暴力表現するときにどれくらい気をつかうかは、殺人事件よりも慎重になっている印象がある(それだけ殺人が稀になったってことかもしれない)。

書かなかったのか、書くことができなかったのか。アンソニー・ドーア「すべての見えない光」でも、ソ連兵に犯されたドイツ人女性がたくさん出てくるが、彼女たちが戦後どう生きたのかについては、わずしか触れられない。

道徳的理由表現規制されるのは、真実から目をそらすことになる気がするので好まない。一方で、当事者の声を無視しても結果的には良い物にはならない。このあたりは想像力の飛翔との兼ね合いでいつも居心地が悪くなる。「好きなように書かせろ」という書き手としての自分と、「当事者以外が勝手なことを書くんじゃないよ」と別の自分がいつも喧嘩している。

2-08「パタゴニア/老いぼれグリンゴブルースチャトウィン芹沢真理子訳/カルロスフエンテス安藤哲行訳★★★★/★★

ブルースチャトウィンパタゴニアを読むと、旅はいい、とため息が漏れる。何度だって書くが、紀行文はいい。定期的に読みたくなる。その土地しかない暮らし風土、それゆえに自分たちと異なった風習を持ち、理解しがたい態度を取る人々。航空機以前のように、数か月の旅を空想するのが好きだ。チャトゥインはオーストラリア舞台にした「ソングライン」もある。アボリジニは他の文化の持ち主には見えない道をたどり、万物名前を付けて大陸中を歩いてきたのだ。

カルロスフエンテス老いぼれグリンゴはあまり記憶していない。モデルとなったアンブローズ・ビアスの書いた「悪魔の辞典」はかなり好きなんだけどな。筒井康隆を始めいろんな翻訳があるのでオススメ

フエンテス短篇集「アウラ・純な魂」のほうがずっと面白かった。老いが迫る男、幼馴染のようにべったりした兄妹の別離、小さい頃に一緒に遊んであげた小さな女の子の末路、鏡のある真っ暗な部屋で魔術によって若さを保つ老婆、それから脱走兵が出てくる。

2-09「フライデーあるいは太平洋の冥界/黄金探索者」ミシェル・トゥルニエ榊原晃三訳/J・M・G・ル・クレジオ 中地義和訳★★/★★

ミシェル・トゥルニエフライデーあるいは太平洋の冥界」はかなり観念的な話だったと記憶している。文明自然を対比させるために(?)読者に理解やすロビンソン・クルーソーとカオティックな行動をするフライデーが出てくるのだが、舞台ロビンソンが島そのものとの性交子どもが生まれるという神話的な世界だった。これを読んだ後で、理解を深めるためにデフォー原作を読んだのだが、記憶していたような絶海の孤島ではなく、近くに南米大陸がある島だった。そういえば子どものための抄訳版にも、近隣から人食い人種が攻めてくる描写があった。

M・G・ル・クレジオ黄金探索者」は姉と弟の閉じた世界が壊れるというか、外部の世界を知るような話だったと記憶している。姉と不可分な存在となって、マダガスカルサトウキビ畑を歩いていた場面があったはずだ。小さな子供の目から見た植民地世界の、どこかに宝物が埋まっているんじゃないかと期待しながらも、閉塞した記憶だ。ラストでは故郷家族恋人黄金もすべて失い少年期が終わる。しかし、不思議と読後感が清々しいのはなぜだろう。まるで、すべてはここから本当に始まるのだ、という気分である

ル・クレジオ難解な作品とそうでない作品の差が激しい。「海から来た少年」はまだわかりやすいんだけれども、太陽を見つめて意図的盲目になる「大洪水」は二回読んだはずなんだがさっぱりわからなかった。

2-10「賜物」ウラジーミル・ナボコフ沼野充義訳★★★★

一時期ナボコフがすごく好きで、文学講義シリーズも読んだんだよね。前のエントリで書いた「ロリータ」だけじゃなくて、ソ連から亡命した冴えない教授を主役にした「プニン」だとか、架空の国ゼンブラを舞台にした架空の詩と、それに対する真実虚構かわからないような注釈が、見開きの右と左に分かれていた「青白い炎」だとか、そもそも実在する世界舞台にしているかどうかさえ疑わしい兄妹の恋物語「アーダ」だとか、みんな好きだった。で、これらは英語創作されているんだけれど、最後ロシア語で書いたのがこれ。詩人になるまでのお話

難民のように食うや食わずではなかったけれども(そしてそのせいで政治的過小評価されることもあるけれど)、ナボコフはやっぱり偉大な亡命作家の一人だ。でも、ユーモアを忘れていない。

で、本作では片想いをしている女性を思い浮かべながら、どの女性を見ても彼女のことを思い出し、彼女連想できないタイプ女性には嫌悪を覚えたという趣旨のことを書いていて、ちょっとだけ分かるんだけれどひどいことを平気で言う作家だなと苦笑いをした。

フョードルコンスタンチノヴィチに向かってうら若い牛乳瓶を持った娘がやってきたが、彼女はどことなジーナに似ていた。いや、より正確に言えば、この娘には、彼が多くの女性たちに見出しているある種の魅力――それは明確なものであると同時に、無意識的なものであった――ひとかけらが含まれていたのだ。そして、彼はその魅力の完璧ものジーナの中に認めていた。だから、そういう女性たちは皆、ジーナとある種の神秘的な親族関係にあるということになるが、その関係について知っているのは彼一人だったのであるもっとも、その関係の具体的に言い表せと言われても、彼にはまったくできなかったけれど。(ただ、この親族関係の外にある女性たちを見ると、彼は病的な嫌悪感を覚えた)。

僕は基本的に豊かな知識を持ち、普通に文章を書くだけでその該博さがこぼれてしまうために、結果的にひけらかしと受け止められてしま作家が割と好きで、一時期円城塔にもどっぷりハマっていた。一方で、「ロリータ」については、暇なときパラパラとページを開いていると、語り手の身勝手さがだんだんと鼻につくようになってきた。ハンバート・ハンバートって、でっぷりしたおばさんを見て、「ニンフェットの美しい肢体を生き埋めにした棺桶だ」って趣旨のことを平気で言うんだもん。性格悪いよね。

とにかく、前は金に困っていない人間が、道徳を踏みにじっているのを美々しい文章で糊塗しているのが(当時は悪とは何か知りたかったし、悪いことをしている狂った人間の話が読みたかったし、知性を感じる文章が好きだった。そういう意味でも「悪」を扱った遠藤周作がすごく好きだった)面白くてしょうがなかったのだが、いまとなってはそこまででもなくなっており、自分の中で「ロリータ」の魅力が少しかすんできた。それとも僕が少女に心惹かれなくなっただけなのか。

なんにせよ猛烈な魅力を感じていたのにプツンと魔力が消えてしまうことはある。以前は三島由紀夫が大好きだったのに、「豊饒の海」を読む前に魔法が消えた。たとえば「潮騒」を読もうとしたら、彼の文章リズムが心に響かず、全然読めなくなっていた。

少女と言えば、初めて「ロリータ」を読んでいた二十代の頃、一年に数回ほど発作的に年端もいかない少女に対する強烈な憧れが募っていた時期があったのだが、少女と知り合って仲良くなるプロセス現実的に細かいところまで検討すると、真っ当な手段がどこにも存在しないと気づいて、途端にこうした欲望への嫌悪の情が浮かんび、緩解していった。それに、無知相手自分利益のためだけに利用するのは邪悪定義に当てはまってしまうしね。

おそらく、当時の自分が憧れていたのは現実少女ではなく、思春期の頃に空想するような、成長の痛みや性の悩みに寄り添ってくれる同い年の少女で、その記憶を引きずっているに過ぎないのだ。つまり、幼馴染への憧れだ。そういう少女思春期の頃に出会えるはずはないし、自分問題自分解決しないといけない。そのうえ、よしんば実在したとしても、そんな少女とは「ノルウェイの森」のキズキと直子や、「海辺のカフカ」の佐伯さんと彼女恋人のように閉じた関係になってしまうだろう。結局は、成長の痛みを引き受けないことによる歪みを必ずや生み出すだろう。そういう空想上の女の子自分自身の鏡像ユングのいうアニマで、つまるところこれは自己愛である。今はむしろ年上好きである

(どうでもいいけどウィキペディアロリコン写真集記事、内容がやたらと詳しいんだがこれって倫理的にどうなのよ。誰かが興味持っちゃったらどうすんの)

2-11ヴァインランドトマス・ピンチョン佐藤良明訳★★

ピンチョンはよくわからない。陰謀論ネタにしているんだろうが、直接扱ったエーコフーコーの振り子」のほうがエンタメとして好き。陰謀論的な思考ちゃんと茶化しているしね。個人的にはエーコが作中で既存の有名どころの陰謀論をすべて統合したオリジナルの壮大な陰謀論を作り上げているあたりがヤバい。あるいは架空史の仁木稔の「ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち」か。困ったことに、これらの作品が発表されてから陰謀論ネタとして面白い物から現実の脅威となってしまっている。

エーコが楽しめてピンチョンにピンとこなかった理由を考えてみると、たぶん元ネタとなる知識をどれくらい知っていたかに尽きる気がする。自分キリスト教やオカルティズム、カバラや魔術については多少わかるのだが、六十年代アメリカポップカルチャー現代エンタメには詳しくない。だが、この作品は実際、死をもたらすツボ押しマッサージが出てきて「あと何日でお前は死ぬ」みたいな「北斗神拳」っぽいネタを扱っている。なんせこの爆弾を埋め込まれるのが日本人サラリーマンなのだ

2-12ブリキの太鼓ギュンター・グラス池内紀訳★★★

文庫本にして三冊の本を無理やり一冊に押し込んで、小さな活字二段組みなので読むのがしんどいし、「早く読み終えなきゃ」って焦ってしまった覚えがある。馬の生首のシーンが有名だよね。

三歳で成長するのをやめたダンツィヒ回廊生まれ少年主人公の癖に、義母を寝取って子どもを産ませているんだから、とんでもない話だ。純粋無垢なままでいるために三歳よりも大きくなるのをやめた話と思わせて、実は様々な女性恋愛遍歴をしている。家族が次々と殺されて行ってもね。

そういえば、さっきモテる奴の話を読んで何が面白いのかと書いたけれども、舞台現代日本でなければ別世界ファンタジーとして享受できるらしい。幼馴染のロマンスだって、別の国や時代舞台ならまだ受け入れられる。たとえばロンゴス「ダフニスクロエ」だけじゃなくてコレット青い麦」も割と好き。どっちも少年側が人妻に性の手ほどきを受けるので、これで多少性癖が歪んだ気がする。村上春樹海辺のカフカ」と合わせておねショタに目覚めてしまった。あと、青春物があまりきじゃないのに、「十三機兵防衛圏」はプレイできているの、あれが一つは君と僕みたいだけみたいな閉じた雰囲気じゃなく、感傷ダダ洩れの地の文章が無く、群像劇からってのもある気がする。

話を戻す。うじうじしているくせに、本当はモテることにすごく憧れているただ。だが、十五分の自慰行為あいだならエロ漫画主人公と同一化できるかもしれないけれど、数時間かけて読む文学では自己同一化魔法は解けてしまう。細かい設定があるのだから自分との差異がどんどん強調される。自分は到底なれそうにもない、かっこいいキャラモテても、ちっとも面白くないのであるしかしこんな話を聞かされる読者も面白くないだろうしこのあたりで切り上げる。小説ダメ人間、僕が先に好きだったのにという人間にならなんとか自己同一化できたのである(余談だが、かつての週刊誌の中づり広告のようなエロス無法地帯ウェブ広告で「カラミざかり」が出てきたとき主人公の来ている服のロゴに「cuckold」と書いてあったが、これは英語で「寝取られ男」という意味である。そういう芸の細かいところ、わかる人にはわかる小ネタは好きよ)。

少し現実的に考えてみれば、滅茶苦茶にモテ複数女性から同時に交際を求められたら、しかも好みの相手でなければ、それはそれで面倒そうなのであるが、嫉妬と羨望に狂っているさなかにはそれはわからない。同じく、浅ましいことに3Pとかも憧れるけれど、よしんばそんな機会が訪れたとして、絶対気をつかうし面倒くさい。自分が手に入れられなかったもの理想化されて頭の中で猛烈な輝きを持つが、一度頭を冷やしてみよう。

続く。

Permalink |記事への反応(1) | 21:15

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2024-07-28

フランス日本は一番感覚が対極にあるので『フランス文化感性などを全肯定する人』と『こんな国とんでもない、マジで嫌い』という人に分かれやすいらしい

https://togetter.com/li/2409177


海外作家の本読むと、国によって大抵みんな面白い国と全員つまらん国がある。

もちろん全部日本語訳でしか読んでないんだけどね。

イギリスカズオ・イシグロオーウェルを筆頭にみんなおもしろい。ドリス・レッシングとかイアン・バンクスとか。

フランスは全員コメカミがシワシワになるくらいつまらない。要領を得ないことをウダウダウダウダ…つまらなすぎてよく覚えてないがカミュル・クレジオマンディアルグトゥーサンとかなんかそんなの。

ダメあいつらは。

Permalink |記事への反応(0) | 17:09

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2017-10-05

村上春樹ノーベル文学賞またまたまたまた逃す!!!

ということでここ10年のノーベル文学賞受賞者の受賞理由をご紹介します。

ボブ・ディランなど、小説家以外は抜いてます


ドリス・レッシング 「女性経験叙事詩的に描いた。懐疑と激情、予見力をもって、分裂する現代社会〔分断された文明〕を吟味し、題材にした」

ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ 「新しい旅立ち、詩的な冒険官能的な喜びの作家であり、支配的な文明を超越した人間性の探」

ヘルタ・ミュラー 「韻文の濃密さと散文の率直さをもって疎外された人びとの風景を描き出している」

マリオ・バルガス・リョサ 「権力構造を明確に描き出し、個人の抵抗と反抗、挫折を鋭く描写した」

莫言 「幻覚を伴ったリアリズムによって、民話歴史現代を融合させた」

アリス・マンロー 「現代短編小説の名手」

パトリック・モディアノ 「とらえがたい人間運命を想起し、占領下の生活を明らかにする記憶芸術

だめだ……大学生の身辺雑記ちょっと軽妙に、ときには意味ありげに書けるに過ぎない作家が受賞できるわけがない……

Permalink |記事への反応(0) | 22:04

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2014-10-31

創作小説、また一次選考で落ちる

以前ここでさらした者です。

さらしたら、その増田http://anond.hatelabo.jp/20140620190651)がちょっとブックマークされて、小説ブクマも伸びました。どなたか知りませんが、本当に本当にありがとうございました(´;ω;`)

ちなみに小説はこれです→『月精のコニーリョ』http://ncode.syosetu.com/n8411cb/

「なろう」の相互お気に入りユーザーの方に「1話読んだだけでおなか一杯」って言われたので、まあそうなんだろうなと思いました。活動報告にだらだら書きましたが(http://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/445982/blogkey/928868/)、文体微妙ジュリアン・グラック意識したのでとにかくだるいです(いや、全然そんな完成度はないんですが)。

で、今回この小説を「なろう」との連動企画「第2回オーバーラップ文庫WEB小説大賞」に応募したんですね(タグはもうはずしました)。今日一選考通過作品が発表されたんですが(http://over-lap.co.jp/bunko/narou-award2/)、まあ、普通にぼくの名前はありませんでした。

でも一次落ちなんてよくあること。つぎは「創元ファンタジイ新人賞」を目指しています。ぼくはラノベはあまり読んでこなかったので(少女小説児童文学は好きなんですが)、こういう普通ファンタジーのほうが適性があるのではないかと思いました。

ちなみに、次回作スティーヴ・エリクソンをかなり意識してますスティーヴ・エリクソンのような大胆な構成で、日本サブカルチャーのぶっとんだ荒唐無稽さを利用して、人間おかしさ、悲しさ、愛、さらにはそれを超えた永遠性みたいなもの表現したいと思ってます。あと、大好きなル・クレジオエッセイ上橋菜穂子の某小説オマージュみたいな部分もあります

話は戻りますが、じつはこの『月精のコニーリョ』はガガガ文庫の賞でも一次落ちしたやつなんですよね(もちろんガガガ落選原稿を書き直して「なろう」に投稿したわけですが)。だから今回落ちたことにはあまりダメージはないんです。でもまあラノベはむずかしいのかなあとあらためて思ったりもします。ラノベってほんとにむずかしいよ。だからといって、自分ガチ純文学人間でもないので、めんどくさいんですが……。

ぼくは文学が大好きで、人生でそれしかやる気がないんですが、悲しいことにまったく才能がなさそうなのです。でももう引き返しません。もう人生消化試合なので。ほかにやることもない……。

ぼくの場合他人に認められるかどうかよりも、真の芸術がやりたいというか、結局自分が納得するものが書きたいのです。書けたらもう死んでもいいのです。もちろん他人評価されたほうがいいのだろうけれど、でも世の中つまらない低レベル作品ばかりが売れているので、べつに認められなくてもいいのかなとか思ったりもします。どうせぼくがすばらしい作品を生み出したところで世間は見向きもしないだろう、そういう失望感はあります。ただまあこれはワナビ堕落最終形態ですね……。それをいってしまったらおしまいってやつです。でも実際、ル・クレジオの『調書』が大好きな人間とか日本にあんまりいないですよね。そういう日本小説読者を相手にどうやって表現していったらいいのか……。わかりやすエンタメ、わかりやすエンタメ、わかりやすエンタメ……。

先日、冗談で『スタバ☆de☆マック』(http://ncode.syosetu.com/n0138ci/)というショートショートを「なろう」に投稿したのですが、ありがたいことに現在74ptついてます。書くのに全然時間かかってないのに。あ、ちなみに、わかると思いますが、書き出しはカルヴィーノオマージュです。あまり意味はないですが、ワナビなら一度はやりたくなりますよね!? こういう雑なギャグのほうが需要があるんだなあと、なんか自分で書いてて複雑な気持ちになりました。

なんだろう。真面目なファンタジーはだめなんでしょうか。もう日本ファンタジーはできないんでしょうか。でもぼくはまだファンタジーの可能性を信じたいです。というわけで、「創元ファンタジイ新人賞」に向けて頑張ります。でもまた一次選考で落ちると思うので、それを「なろう」に投稿して、また増田愚痴って、そうやっていつの間にか年を取って死んでいくんですねw

でもその辺の一般人人生なんてそんなもんかもしれません。なにかを成し遂げようと思ったはいいけれど、それを夢見ただけで終わってしまう。自分はいつも自分人生から疎外されているわけです。ため息が出ます

Permalink |記事への反応(0) | 21:28

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2012-03-02

2012東大前外国語大問IV,Vフランス語差し替え問題再現答案及び修正案

先日、東大前試験外国語問題をフランス語差し替えを使って受験してきた。

合格発表まで暇なので戯れに再現答案と修正案を作ってみた

おかしな部分があったらご指摘願いたい。

IV. 仏文和訳

出典はル・クレジオの『海を見たことがなかった少年 モンドほか子供たちの物語

語彙が平易なものに、単純過去が複合過去に置き換えられ、さらに文の一部が削られ、若干の改題が見られる。

集英社文庫の豊崎訳をベースに模範解答を新たに作ってみた

問題文

Au pied dela montagne coulaitun ruisseau. Jon n'en avait jamais vu desemblable. C'étaitun ruisseau limpide, couleur deciel, qui glissaitlentement à traversla mousse verte. Jon s'est approché doucement.Il s'est agenouilaubord du ruisseau.

L'eau bleue coulait en murmurant, très lisseet pure comme du verre.Le fond du ruisseau était recouvert de petits cailloux,et Jon a plongé son bras pour en ramasserun. L'eau était glacée,et plus profonde qu'il pensait,etil a dû avancer son bras jusqu'à l'épaule.Ses doigtsont saisiunseul caillou blancetun peutransparent, en forme de coeur.

再現答案

 山のふもとに小川が流れていた。ジョンはこの山でこのようなものを全く見たことがなかった。それは綺麗な小川で、空の色をして、緑の丘に向かってゆっくりと注いでいた。ジョンは甘美な気持ちで小川に近づいた。彼は小川の末端まで到達した。

 青い水は呟くような音を立てながら流れていて、とても綺麗でガラスのように純粋だった。小川の底は小石で覆われていて、ジョンはそこから一粒掬い上げるために自分の腕を突っ込んだ。水は冷たくて、しかも彼が思っていたよりも深かったので、彼は肩が水に潰かるまで腕を突っ込まなければならなかった。彼の指は、白くてちょっとだけ透明で心臓のような形をした小石をたった一粒だけ掴んだ。

修正案

 山のふもとに小川が流れていた。ジョンはこの山でこのようなものを全く見たことがなかった。それは小川で、空の色をして、緑のゆっくりと注いでいた。ジョンは甘美な気持ちで小川に近づいた。彼は小川の。

 青い水は呟くような音を立てながら流れていて、とてもでガラスのように純粋だった。小川の底は小石で覆われていて、ジョンはそこから一粒掬い上げるために自分の腕を突っ込んだ。水は冷たくて、しかも彼が思っていたよりも深かったので、彼は肩が水にかるまで腕を突っ込まなければならなかった。彼の指は、白くてちょっとだけ透明で心臓のような形をした小石をたった一粒だけ掴んだ。

模範解答

 山のふもとには小川が流れていた。ジョンはこんな小川を見たことがなかった。それは澄みきった小川で、空の色をしており、緑の苔地帯をゆっくりと流れていた。ジョンはそうっと近づいた。小川の岸に彼はひざまづいた。

 青い水がささやきながら流れており、まるでガラスのようにとてもすべすべと透き通っていた。小川の底は小石で埋めつくされていて、ジョンはそれを一つ拾おうと腕を突っ込んだ。水は凍るように冷たくて、思ったより深く、肩が浸かるまで腕を入れなければならなかった。彼の指は一つだけ、少し透明でハートの型をしたのをつかんだ。

V. 書き換え

再現答案
a. Ellesse disentbonsoir. (複合過去形に変えて)

→Ellesse sont ditbonsoir.

seが直接補語でbonsoirが副詞みたいなものかと解釈したため、ditを性数照応させてしまった。

01年にこれに酷似した問題が出ている。

b.On n'ouvrepas facilement cetteboîte. (Cetteboîteを主語にして、同じ内容の文に)

→Cetteboîtenepas facilement.

焦ったあまり、エリズィヨンを忘れてしまった。正しくはs'ouvreである。その他の部分に関しては多分これでいいと思う。

去年にこれと同じような問題が出たような。

c. Comme je n'aipas d'argent, jene peuxpasvoyager pendantles vacances. (Siで始まる条件節を用いて、同じ内容の文に)

Si j'avais de l'argent, je pourraisvoyager pendantles vacances.

条件法に書き換えさせる問題。Si(半過去)〜、(条件法現在)〜という形。あと否定の冠詞deを部分冠詞delaに書き換えねばならない。

これは頻出の問題だった。

d. Nousne nous sommespas vus depuis dix ans. (Il y aで始まる同じ内容の文に)

Il y a dix ans que .

Il y a A que B っていう形に書き換えさせるのを求めていたとかと勝手解釈した。que以降は単純時称でさらに否定しなければならないとのご指摘を頂いた。

過去問に類題がなかったため手こずってしまった。

e. Tout en étant riche,il vitsimplement. (Bien queで始まる同じ内容の文に)

→Bien qu'il soit riche,il vitsimplement.

ほぼ必ず毎年でるのが接続法。逆にBien que (接続法)をTout en (現在分詞)に書き換えさせる問題が過去にあった。

修正案

a. Ellesse sont ditbonsoir.

b. Cetteboîtene s'ouvrepas facilement.

c. 再現答案に同じ

d.Il y a dix ans que nousne nous voyonspas.

e. 再現答案に同じ

感想

仏文和訳がここ数年よりは若干難しかった。文意は掴みやすいけど語彙のレベルが高かったせいか

しかし模範解答と照らしあわせれば及第点はとれそうにみえる。

書き換えは去年よりは難化したものの例年とほとんど同じ難易度かと思う。

Permalink |記事への反応(0) | 23:08

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2009-01-06

[知識][哲学]クィンティリアヌスくらい読めよ

それは違う。

それらは社会的に構築された“創られた伝統”であって

ジェンダーポリティクスの批判対象になるべきものだろ

簡単に言えば、消費行動と文化的アイデンティティがエポケー

された、「異化作用」の階層的な二項対立の形而上学こそが

ジェンダーベリフィケーションなのよ。“サバルタン

語ることができない”とはこういう意味なの。

このあたりを数学的に言えば、位相線型空間内部の真性特異点

拡大の自己同型群の閉部分群と等長変換されるわけだろ。

つまりゲオルグカントール予言してゲーデル不完全性定理

見事に証明されたってワケ。

あるいはル・クレジオ的な文学におけるクイア理論的な

ナラトロジーでもいいんだけどさ。

あなたのディスコース(言説)のトリヴィアルに神経症的な

部分がエクリチュールの過程で無残にも前景化されたわけで。

そういったことが私のディコンストラクション脱構築)の

射程に入るのよ。ポストコロニアルな“政治”のレトリックだね。

クィンティリアヌスくらい読めよ。

Permalink |記事への反応(0) | 05:36

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