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2013-02-08

"円安デメリット銘柄" 100社の円安下での実際の株価推移

「円安になると輸出企業は得をして輸入企業は損をする」

「円安が良いかどうかは、メリットを受ける企業デメリットを受ける企業の、どちらへの影響が大きいか次第」

など円安のデメリットを説く発言を、テレビ経済評論家コメントから飲み屋談義まで耳にすることが多い。

円安では、

といったことが起きるから、との説明に説得力を感じることもあるだろう。

そこで、今回の円安の契機となった解散総選挙発表前日である2012年11月15日(1ドル=81.14円、1ユーロ103.68円)から

先月末である2013年1月31日(1ドル=91.72円、1ユーロ124.54円)までの、代表的な円安デメリット銘柄100社の値動きを追ってみた。

もし、本当に円安がデメリットとなり利潤を圧迫するのであれば、その割引還元価値である株価は落ち込んでいるはずである

ticker 社名2012/11/15終値2013/01/31終値 上昇率
-TOPIX 737.51 940.25 27.49%
1379ホクト 16401716 4.63%
1946 トーエネック 427 483 13.11%
2001日本製粉337 385 14.24%
2002日清製粉グループ本社 9691113 14.86%
2003日東富士製粉 293 313 6.83%
2004昭和産業 263 29712.93%
2009鳥越製粉 627 624 -0.48%
2052協同飼料 91105 15.38%
2053中部飼料 492 524 6.50%
2108日本甜菜製糖 150175 16.67%
2109三井製糖248289 16.53%
2117日新製糖ホールディングス 1503 1880 25.08%
2212山崎製パン 9371024 9.28%
2220亀田製菓 1856 1985 6.95%
2270雪印メグミルク 1320 1577 19.47%
2281プリマハム 14217523.24%
2290米久 648 947 46.14%
2292 S FOOD 747 89720.08%
2294 柿安本店10651292 21.31%
2440ぐるなび 8941016 13.65%
2501サッポロホールディングス 215 304 41.40%
2502アサヒグループホールディングス1767 1939 9.73%
2503キリンホールディングス 9911141 15.14%
2602日清オイリオグループ 290334 15.17%
2613J−オイルミルズ207 270 30.43%
2651ローソン 5530 6630 19.89%
2670エービーシー・マート 3475 3480 0.14%
2695くらコーポレーション1107124812.74%
2698キャンドゥ108400110700 2.12%
2702日本マクドナルドホールディングス 22152347 5.96%
2712スターバックス コーヒー ジャパン 57000 6680017.19%
2805ヱスビー食品 676 707 4.59%
2819エバラ食品工業 1450 1510 4.14%
2875東洋水産 2126 2538 19.38%
2899永谷園 789 88912.67%
2910ロック・フィールド 1405 1539 9.54%
2918わらべや日洋 1571 1505 -4.20%
3107ダイワボウホールディングス 152 181 19.08%
3333あさひ11701222 4.44%
3382セブン&アイ・ホールディングス2301 278220.90%
3397トリドール10981131 3.01%
3593ホギメディカル 3980 441510.93%
3770ザッパラス 71800 99100 38.02%
3861王子ホールディングス233 296 27.04%
3864三菱製紙 71 90 26.76%
3865北越紀州製紙 408 468 14.71%
3880大王製紙 464 622 34.05%
3893日本製紙グループ本社 974129933.37%
3941レンゴー 381 465 22.05%
3946トーモク 225 267 18.67%
4217日立化成10801287 19.17%
4452花王 2165 2624 21.20%
4521科研製薬1273 150117.91%
4536参天製薬3340 376512.72%
4547キッセイ薬品工業 14511721 18.61%
4555沢井製薬 9020 9390 4.10%
4661オリエンタルランド1072012160 13.43%
4694 ビー・エム・エル2074 2229 7.47%
4839WOWOW 185900202700 9.04%
5002昭和シェル石油 485 530 9.28%
5007コスモ石油 146206 41.10%
5008東亜石油 91 99 8.79%
5012東燃ゼネラル石油 728 797 9.48%
5017OCホールディングス 297 389 30.98%
5020 JXホールディングス 410 540 31.71%
5401新日鐵住金174 253 45.40%
5949 ユニプレス 1825202110.74%
6310井関農機 190248 30.53%
6674 ジーエス・ユアサ コーポレーション 298326 9.40%
6937古河電池 353 497 40.79%
7013 IHI 169237 40.24%
7421カッパ・クリエイトホールディングス1719 2105 22.45%
7442中山福 619 678 9.53%
7482シモジマ 845 99017.16%
7516コーナン商事 9271098 18.45%
7522ワタミ 16961724 1.65%
7550ゼンショーホールディングス 9651050 8.81%
7554幸楽苑1158129411.74%
7581サイゼリヤ11381213 6.59%
8079正栄食品工業 596623 4.53%
8113ユニ・チャーム 4170 4850 16.31%
8182いなげや 9581006 5.01%
8194ライフコーポレーション12131269 4.62%
9003相鉄ホールディングス 268 306 14.18%
9202全日本空輸170179 5.29%
9501東京電力127 213 67.72%
9502中部電力10131155 14.02%
9503関西電力 679 87028.13%
9504中国電力10061202 19.48%
9505北陸電力 8331008 21.01%
9506東北電力 681 744 9.25%
9507四国電力 9251120 21.08%
9508九州電力 702 879 25.21%
9509北海道電力 712 87623.03%
9511沖縄電力2433 300023.30%
9531東京ガス 414 431 4.11%
9532大阪ガス 323 343 6.19%
9603エイチ・アイ・エス 2687 3120 16.11%
9843ニトリホールディングス 6140 6990 13.84%
9983ファーストリテイリング 1691024080 42.40%

少なくとも市場参加者の総意としては、円安によって利潤が圧迫されるとは考えていないようである

もちろんのこと、円安の恩恵を直接受ける輸出企業株価や、それら輸出企業が平均に含まれるTOPIXに比べれば

見劣りするのは仕方ないが、概ね円安はプラスに働く、少なくとも大きな障害とはならないものと見られている。

では、「円安になると原材料・燃料の輸入価格が上がってしま経営が圧迫されてしまう」という一見、

説得力のありそうな説明がなぜ成り立たないのか? これには色々な理由が考えられるが、

(1)については、たとえば新日鐵住金を例に考えると、円安で輸出企業生産活動を活発化させた場合

その原材料となる鉄製品需要も増えるため、新日鐵住金生産活動も活発化する。

その結果、原材料費の値上がりによる一単位あたりの収益の減少を補ってあまりあるほど販売数量が伸びる。

これは新日鐵住金だけでなく、素材系・シクリカ銘柄全般にもそのまま適用できるであろうし、円安によって日本人雇用が増えて

失業者が減り、消費が活性化すると考えれば小売や外食などにも適用することができる。

(2)については、つい逆のように考えてしまいがちだが、競争が厳しく限界ぎりぎりの価格付けを行っている業界ほど、

原材料費が値上がりした場合価格転嫁が進む。自社の収益を削って対応する余地が少なく、また同業他社も同様であるので、

そろって値上げという形が取られやすいためだ。業界全体で値上がりするので、買い手も受け容れざるを得ない。

反対に寡占的な業界で商品一単位あたりの利益が大きいと、原材料費をそのまま転嫁するよりは一部を自分で飲んで

販売数量の落ち込みを減らした方が利潤は増えるため、価格転嫁は小幅にとどまる。

円安デメリット銘柄に挙げられる企業価格競争が厳しい業界が多く、価格転嫁が進みやすいと思われているため、

円安による原材料価格上昇があまり経営を圧迫しないと考えられているのだろう。とりわけ、円安で輸出企業に余力が

できている時には、輸出企業向けの製品を作っている企業価格転嫁は受け容れられやすいと考えられる。

(3)は、たとえば取引先の輸出企業の株を保有しているケースなどが典型的でわかりやすい。

円安デメリット企業であっても、円安メリット企業の株を保有していれば企業価値が上昇して株価が上がり得る。

以上、「円安になると原材料・燃料の輸入価格が上がってしま経営が圧迫されてしまう」という局所的には一見正しそうなことも、

経済全体を考えてみれば、そう簡単には成り立たないというおはなしでした。

Permalink |記事への反応(7) | 19:50

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