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「コンクリート」を含む日記RSS

はてなキーワード:コンクリートとは

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2025-12-05

女子が思うリケジョ 医者薬剤師化学不細工

男子が思うリケジョ 数学女子高専女子工業高校女子

国が思うリケジョ 電気工事士施工管理測量士コンクリート技士、ガス溶接技能講習修了、フォークリフト運転技能講習修了

Permalink |記事への反応(1) | 22:32

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2025-12-01

anond:20251130173727

中性化しないコンクリートを作ればいいだろ

甘えるな

Permalink |記事への反応(1) | 08:49

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2025-11-30

anond:20251129224857

不動産屋が説明してやる!

躯体の問題

コンクリートの中性化

ヨーロッパの石積やレンガ積の建物と違って、鉄筋コンクリートRC造)は中に鉄筋が入っている。コンクリート水酸化カルシウム)はアルカリ性なのでアルカリ性雰囲気下にある鉄筋は腐食しない。

しかしながら、コンクリート水酸化カルシウム)は大気中の二酸化炭素と反応し炭酸カルシウムになる。炭酸カルシウムは強度的には問題ないが中性なので、中性の雰囲気の中で鉄筋が腐食し、腐食によって膨張、コンクリート破壊する。これを「爆裂」と言う。これによって、構造毀損していく。ちな、ローマパンテオン等の古代コンクリート建造物はとっくに中性化してるが、無筋なので問題ない。

この問題は、鉄筋の上に被ってるコンクリートの厚さであるかぶり厚」を増やす、鉄筋をステンレスにすることで鉄筋そのものを錆びにくくする、補修工事の際に再アルカリ化をするなど、技術的に解決策があるがコストが高く経済的ではない。

微細な亀裂

地震の外力や寒暖差による収縮などでコンクリートに微細な亀裂が生じていく。これにより、前述の中性化が進んだり、水の侵入による問題などが出てくる。

これらは制震工法による地震動の抑制、外断熱、微生物カプセルによる自己修復などの対策があるが、やはりコストが高く経済的ではない。

性能の陳腐

1981年6月より前に建築確認を受けた建物耐震性能が十分ではないので、まあ死んでも文句が言えない。また、1999年省エネ基準より前の建築物は断熱性が大きく劣っている。もちろんこれらを改修することは可能だが、改修にはかなりのコストがかかる。

また、古い建物では、配管の方式スラブ下配管(下階の天井裏に排水管を通す方式)だったり、階高(上下スラブの間)が狭く拡張性が無く、光ファイバや空調の増設対応できるスリーブ(躯体に開けた穴)が無いなどの問題もある。スリーブは困難ながらもまだどうにかすることはできるが、階高や配管の位置はどうしようもない。

住居系以外でも、今日OAフロアの無いオフィスビルなどは余りにビミョーだろう。

設備問題

築年数が経過すれば給水管や排水管の更新必要になるが、これはかなりコストがかかる。光ファイバを通すには配管やスペースが必要だ。8K放送対応するには共聴設備の配線を全部交換するしかない。建物電気容量には限界があり、さらに電力が必要なら幹線から変えなくてはならない。

これらはどうにかすることはできるが、上記の通り躯体が陳腐化し、何千万、何億とかかる防水工事が控えているならば、わざわざここを改修しようとは思わないだろう。有り体に言って無駄金だ。

Permalink |記事への反応(2) | 17:37

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anond:20251130024722

そういえば国会議事堂もそろそろ100年にならない?

外壁が石積みってだけで鉄筋コンクリートだった気がする。

Permalink |記事への反応(1) | 11:09

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anond:20251130080850

日本人スタバの新作美味しい❤️」→米国人全然似合ってない」「気持ち悪い」「無理」「西洋文化破壊するな」「バンクーバー不動産買い漁るな中国人!」と白人に怒られる日本人女性。

日本人洋服禁止和服着ろ。紋付袴。足袋下駄。靴は禁止

マクドナルドケンタッキー・フライド・チキンスターバックスコーヒー紅茶(一部) 禁止

パンは食うな。

コンクリートアスファルトみんなが毎日歩く道はカタカナ名称ですが、これはどこの技術100%日本発祥日本製ですか?

Permalink |記事への反応(0) | 10:04

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なぜ世界遺産は千年持つのか。コンクリート耐用年数が50〜100年なのに

人工の素材と違って石を削って建ててる天然物舐めるなよ

Permalink |記事への反応(0) | 08:43

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anond:20251129224857

しろ逆に「なぜローマ建物は長持ちするの?」という問いの方が答えやすい。

答えはこの記事にもあるけど、

古代ローマ建物はなぜ長持ちするのか、科学者が謎を解明】

https://www.cnn.co.jp/style/architecture/35200239.html

コンクリートに含まれる「ライムクラスト石灰の塊)」と呼ばれる白い塊が、時間の経過とともに生じる亀裂を修復する能力コンクリートに与えることが分かった。

というわけで、ローマ建物の素材に石灰が混ざってて、自己修復するから長持ちするらしい

「じゃあ現代もそれをやればいいじゃん!」って思うけど、固まるのが遅くてスピードが遅くなる、コストに見合わない場面が多いなどの理由採用されていない。

ただし研究は進んでいて、自己修復するコンクリートも開発されて一部実用化されてるみたい。

Permalink |記事への反応(2) | 01:41

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2025-11-15

3大「◯◯ク◯◯ト」

コンクリート

サンクコスト


あと一つは?

Permalink |記事への反応(14) | 11:54

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2025-11-14

どこにでも咲ける雑草になりたい

コンクリートだろうとなんだろうとひび割れて崩してしまうような力強い雑草になりたい

Permalink |記事への反応(2) | 16:56

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2025-11-12

買ってしまったもの

1.サイコン

ストレージテント

自転車カバーをつけても、強風の日は風で飛んでしまう。運が悪いと近所の家まで取りに行き、頭を下げることもある。「ごめんなさいね」と言いながらカバーを回収させてもらうのは日常茶飯事。でもテントさえあれば、この問題解決できそうだ。コンクリートブロックなど重しになるものホームセンターに買いに行かねば……重しがテントを守ってくれるだろう。

Permalink |記事への反応(0) | 07:15

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2025-11-10

おぢアタックの末の父子無理心中

お前らはもう忘れたかもしれないが去年の7月高齢シングルファザーが娘と無理心中したんだよ

奈良県下北山村ダム湖で22日、5歳の娘と52歳の父親遺体が見つかった事件。幼い娘を一人で育てていた父親無理心中を図ったとみられているが、直前に児童相談所に「精神にしんどいので子供を預かってほしい」などと相談し、高齢の両親にも依頼したものの断られていたことが分かった。幼くして失われた5歳の命と単身で育てていた父親の身に何があったのか―。

■5歳娘を抱えた父親精神にしんどい」自殺ほのめかす

精神にしんどい、子供を預かってほしい」

7月21日午後1時ごろ、児童虐待ホットラインに一本の電話があった。大阪市浪速区市営住宅で、5歳の長女を育てるシングルファーザー父親(54)からだった。

児童相談所によると、父親は「子育ての困りごとがある」などと相談自殺心中を考えている旨の話もしていたという。その後、職員父親電話をかけて、改めて相談にのったが、途中で「もういい」と一方的電話を切られたという。

その後、職員は何度も電話をかけて相談所に来るよう伝えたが、「レンタカーを借りて移動している」などと話すものの応じることはなく、その後、電話はつながらなくなった。

その翌日、親子は自宅から約80キロ離れた場所で、変わり果てた姿で見つかった―。

■午前0時ごろにダム湖にかかる橋から飛び降り無理心中”か

22日午前10時すぎ、奈良県下北山村池原ダムの貯水湖にかかる国道169号線の「前鬼橋」で、コンクリート製の橋脚付近女の子が、ダム湖に浮いた状態男性遺体となって発見された。

遺体の身元は、児童相談所から連絡を受けて行方不明届が出されていた父娘と判明した。警察によると、司法解剖の結果、娘の死因は首の骨を折ったことによる呼吸不全父親は全身に多数の骨折を負った上での溺死だった。

父親が橋の上から娘を転落させたうえで自身飛び降りたか、または、2人で一緒に飛び降りたかの“無理心中”とみられている。

死亡推定時刻は、22日午前0時ごろ。橋の近くの路肩にレンタカーが止められていて、車内には、娘の衣類や保険証マイナンバーカードなども入っていたという。

■80代両親に「預かってくれないか相談も断られる

その後の捜査で、児童相談所電話をした後の21日午後5時ごろ、父親は娘を連れ、自身の80代の両親が暮らす奈良県内の実家を訪れ、「子供を預かってくれないか」と相談していたことが判明した。

その際も、両親に対して自殺をほのめかしたが、過去にも「死にたい」と口癖のように言っていたといい、高齢の両親は孫を引き取ることを断ったという。

レンタカーから見つかった娘の衣類や身分証は、両親に預けるために積んでいたとみられ、実家を訪れた約7時間後、ダム湖に幼い娘を道連れに身を投げたと推定されている。

警察から息子と孫の死を聞いた両親は、「深刻には受け止めていなかった」と後悔の念を口にしているという。

■娘を出産直後に妻と離婚…職を転々とし現在無職

死亡した父親は職を転々とした末、現在無職で、生活保護を受けて市営住宅生活していたとみられている。年下の妻と結婚し、娘が生まれた時は47歳で、その直後に、妻と離婚。娘を引き取って2人で暮らしていた。

警察によると、別れた妻とは音信不通となり連絡がとれない状況で、高齢の両親とも普段から日常的に連絡をとるような関係ではなかったという。

児童相談所によると、父親から1年半ほど前に娘の発達状況について相談があったが、その後の関わりはなかったという。2人の死亡を受けて、「(父親が)自殺を口にしている中で慎重に対応していたが、相談を続けられない状況になり、結果的に2人が亡くなったことは重く受け止めている」とコメントした。

死の直前、SOSを発信する父親と、幼い5歳の娘の命を救うことはできなかったのか―。警察は、さらに詳しい経緯や裏付けを進めた上で、娘を殺害した疑いで父親容疑者死亡のまま書類送検する方針だ。

これ書く前に増田検索してみたけど、まるで批判なしw

やっぱちんこってちんこに甘いんだな

てか52歳が5歳の娘って

お前らが日頃高齢者と下方婚しろって喚いてるけど、結果はこれ

職も安定しないおぢが若嫁ゲットして子供を作った末の無理心中

教訓的だねぇ…

Permalink |記事への反応(0) | 23:46

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2025-11-09

ちんさん「母親子供殺し!!許せん!!」ニュース女児叔父女児を殺してコンクリ詰めにしてたで」ちんこ「………」

 この事件では、女児叔父無職飯森憲幸被告(41)=大阪市平野区=が傷害致死死体遺棄罪で起訴されている。

 遺体で見つかったのは岩本玲奈さん(死亡推定当時6)で、祖父の送検容疑は飯森被告らと共謀し、2006年12月~07年1月玲奈さんの遺体コンクリート詰めにし、その頃から昨年11月まで、自らが住んでいた八尾市太子堂2丁目の住宅衣装ケースに入れた遺体を遺棄したというもの

 府警によると、飯森被告は調べに「(同居していた玲奈さんが)言うことを聞かなかったので腹が立ち、脇腹をローキックした」と説明父親玲奈さんの祖父)と相談してコンクリート詰めにしたとも述べたという。一方、祖父はこれまでの調べに「息子から玲奈さんが死んでしまった』と聞いた」などと話したという。

 祖父高齢者施設に入所しており、府警は証拠隠滅や逃亡の恐れがないとして逮捕はせず、任意捜査していた。

Permalink |記事への反応(0) | 23:01

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anond:20251109160007

このように理解している。

いまこの瞬間に価値がないのは正しいかもしれないけど、それは今だけなんだろう。

Permalink |記事への反応(1) | 16:26

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2025-11-07

anond:20251106223256

言っちゃわるいがインドネシアならPOSOとかのほうがやばくね?女子高生コンクリートくらいでは太刀打ちできんだろ(ミームとしての強さ的な意味で)

Permalink |記事への反応(1) | 13:02

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2025-11-06

インドネシア人大炎上しとるわ

ハロウィン動画で、背景の装飾として女子高生コンクリート詰め殺人事件被害者写真を目に黒棒入れて蜘蛛の巣みたいなのかけてたみたいだ。ようするにおどろおどろしい演出に使ってたらしい。

炎上して最初動画も消したらしいが、意地になって謝罪もせずに再アップロードまでし始めたらしい。

インドネシア人グローバルな炎上って聞いたことないが、まぁメディア民主化していろんな国の人が使うようになったってことかね。


女子高生コンクリート詰め殺人事件って日本世界中大人気になりすぎた反動で、日本を腐すのによく使われてる話なんだけど、こういうの見るとどういう人がその話題扱ってんのかよくわかるな。

Permalink |記事への反応(10) | 22:32

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anond:20251106144054

こういう家って窓の外が隣家の壁なんよな

から騒音とか、鉄筋コンクリートマンションのほうがマシかも

Permalink |記事への反応(1) | 14:53

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2025-10-29

anond:20251029101052

極論すると、時速100kmでコンクリートの壁に突っ込んで死んだとしても、それに意味を見出すことはできる

誰にとっての意味重要だったのかは知らないが

Permalink |記事への反応(0) | 10:18

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2025-10-28

anond:20251028204209

でも女は子ども面白半分に強姦拷問しないし、殺した果てにコンクリートに埋めないよ?

Permalink |記事への反応(0) | 20:44

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東京夜景はきれい

時給千円くらいの労働者コンクリートを打って照明をつけて

今じゃ考えられないね

Permalink |記事への反応(0) | 20:01

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家建てるのって家建てる時点で詰んでるよな

木造

断熱は最強にできる。気密は気合入れてくれればなんとか

30年で大規模な修繕がなければいい方

・鉄骨

断熱はカス。気密もとれな過ぎてカス

地震もつよいし余裕で50年は持ちそう。でも断熱も気密もカスなので環境要因のストレスやばい

・鉄筋コンクリート

堅牢さ以外ほぼ全部がカス

マンションとかは快適なのになんでだろうね

Permalink |記事への反応(2) | 12:37

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2025-10-26

anond:20251025182629

多少盛るしかないのでは。コンクリートマイクとかコンタクトマイクで「騒音」を拾って、大家とか管理会社と聞けば一発解決するだろ。

「くっそー〇〇死ねやヴォケゴラァ」「あぁ~ん♡尊とすぎるぅ~ん」「ぶりんばんばんぼーん、おならぷぅー♪」「いぐっぅ」とか録音されてたら恥ずかしすぎて静かになるって。防音のそれなりにしっかりした建物だと隣とは限らないので注意。

Permalink |記事への反応(0) | 22:46

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2025-10-25

スーパーに向かう途中、いつもの場所キジバトさんがなんと二羽いた。1ヶ月ぶりの再会でめちゃくちゃうしかった。

ここのところ地味に忙しくてこの道を通れていなかったのもあるが、今日に関しては朝からずっと小雨が降っていて風も冷たく寒い寒い午後だったから全く期待をしていなかった分、余計にうれしかった。

この辺り一帯は以前まであまりに伸びて半ジャングルと化していたプリペット最近根元からばっさり刈り取られてスッキリしたんだけど、キジバトさんたちはそこの土の上に敷き詰まった焦げ茶色の木の実みたいなのをのんびりとつついていた。そういえば土の上にいるキジバトさんは初めて見るかもしれない。いつもはコンクリートのところにいるのに。

二羽ともお互い近い距離にいて、僕から遠い方の一羽は僕のカメラシャッター音に驚いたのかすぐに飛び去ってしまった。

これまで見ていたキジバトさんが毎回同じ個体じゃなくて実は入れ替わりだったのかもしれない、と新しい発見ができた良い日だった。

Permalink |記事への反応(0) | 16:20

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anond:20251025083319

その見立てはどうかなと思う。保守経済的な好みはグローバリズムから反動じゃないか地元経済を、日本人雇用を、みたいな。

原発を、軍艦を、飛行機を、レーダー網を、ミサイルを、GAFAMから国内サーバへ、みたいな。大企業グローバル大歓迎で、安いところから有利な為替で有利な調達をして高いところで売る。儲けは経済成長率の高い国市場へ再投資する(日本還流しない)

から地方公共投資をふやす(人からコンクリートへの回帰)なのでは?

Permalink |記事への反応(1) | 08:41

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2025-10-24

伊香保寺田寅彦

 二三年前の夏、未だ見たことのない伊香保榛名を見物の目的で出掛けたことがある。ところが、上野驛の改札口を這入つてから、ふとチヨツキのかくしへ手をやると、旅費の全部を入れた革財布がなくなつてゐた。改札口の混雜に紛れて何處かの「街の紳士」の手すさみに拔取られたものらしい。もう二度と出直す勇氣がなくなつてそれつきりそのまゝになつてしまつた。財布を取つた方も内容が期待を裏切つて失望したであらうから、結局此の伊香保行の企ては二人の人間失望させるだけの結果に終つた譯である

 此頃少し身體の工合が惡いので二三日保養のために何處か温泉にでも出掛けようといふ、その目的地に此の因縁つきの伊香保が選ばれることになつた。十月十四日土曜午前十一時上野發に乘つたが、今度は掏摸すりの厄介にはならなくて濟んだし、汽車の中は思ひの外に空いて居たし、それに天氣も珍らしい好晴であつたが、慾を云へば武藏野の秋を十二分に觀賞する爲には未だ少し時候が早過ぎて、稻田と桑畑との市松模樣の單調を破るやうな樹林の色彩が乏しかつた。

 途中の淋しい小驛の何處にでも、同じやうな乘合自動車アルミニウムペイントが輝いて居た。昔はかういふ驛には附きものであつたあのヨボ/\の老車夫の後姿にまつはる淡い感傷はもう今では味はゝれないものになつてしまつたのである

 或る小驛で停り合はせた荷物列車の一臺には生きた豚が滿載されて居た。車内が上下二段に仕切られたその上下に、生きてゐる肥つた白い豚がぎつしり詰まつてゐる。中には可愛い眼で此方を覗いてゐるのもある。宅の白猫の顏に少し似てゐるが、あの喇叭のやうな恰好をして、さうして禿頭のやうな色彩を帶びた鼻面はセンシユアルでシユワイニツシである。此等の豚どもはみんな殺されに行く途中なのであらう。

 進行中の汽車から三町位はなれた工場の高い煙突の煙が大體東へ靡いて居るのに、すぐ近くの工場の低い煙突の煙が南へ流れて居るのに氣がついた。汽車が突進して居る爲に其の周圍に逆行氣流が起る、その影響かと思つて見たがそれにしても少し腑に落ちない。此れから行先にまだいくらも同じやうな煙突の一對があるだらうからもう少し詳しく觀察してやらうと思つて注意してゐたが、たうとう見付からずに澁川へ着いてしまつた。いくらでも代はりのありさうなものが實は此の世の中には存外ないのである。さうして、ありさうもないものが時々あるのも此の世の中である

 澁川驛前にはバス電車伊香保行の客を待つてゐる。大多數の客はバスを選ぶやうである電車の運轉手は、しきりにベルを踏み鳴らしながら、併しわり合にのんきさうな顏をしてバスに押し込む遊山客の群を眺めて居たのである。疾とうの昔から敗者の運命に超越してしまつたのであらう。自分も同行Sも結局矢張りバスもつ近代味の誘惑に牽き付けられてバスを選んだ。存外すいて居る車に乘込んだが、すぐあとから小團體がやつて來て完全に車内の空間を充填してしまつた。酒の香がたゞよつて居た。

 道傍の崖に輕石の層が見える。淺間山麓一面を埋めて居るとよく似た豌豆大の粒の集積したものである。淺間のが此邊迄も降つたとは思はれない。何萬年も昔に榛名火山自身の噴出したものかも知れない。それとも隣りの赤城山の噴出物のお裾分けかも知れない。

 前日に伊香保通のM君に聞いたところでは宿屋はKKの別館が靜かでいゝだらうといふことであつた。でも、うつかりいきなり行つたのでは斷られはしないかと聞いたら、そんなことはないといふ話であつた。それで、バスを降りてから二人で一つづゝカバンを提げて、すぐそこの別館の戸口迄歩いて行つた。館内は森閑として玄關には人氣がない。しばらくして内から年取つた番頭らしいのが出て來たが、別に這入れとも云はず突立つたまゝで不思議さうに吾々二人を見下ろしてゐる。此れはいけないと思つたが、何處か部屋はありませうかと聞かない譯にも行かなかつた。すると、多分番頭と思はれる五十恰好のその人は、恰度例へば何處かの役所の極めて親切な門衞のやうな態度で「前からの御申込でなければとてもとても……」と云つて、突然に乘込んで來ることの迂闊さを吾々に教へて呉れるのであつた。向うの階段の下では手拭を冠つて尻端折つて箒を持つた女中が三人、姦の字の形に寄合つて吾々二人の顏を穴のあく程見据えてゐた。

 カバンをぶら下げて、悄々しをしをともとのバスの待合所へ歸つて來たら、どういふものか急に東京へそのまゝ引き返したくなつた。此の坂だらけの町を、あるかないか當てにならない宿を求めて歩き※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はるのでは第一折角保養に來た本來の目的に合はない、それよりか寧ろ東京の宅の縁側で咲殘りのカンナでも眺めて欠伸をする方が遙かに有效であらうと思つたのである。併し、歸ることは歸るとしても兎も角も其處らを少し歩いてから歸つても遲くはないだらうとSがいふので、厄介な荷物を一時バスの待合所へ預けておいてぶら/\と坂道を上つて行つた。

 宿屋が滿員の場合には入口に「滿員」の札でも出しておいたら便利であらう。又兎も角も折角其家を目指して遙々遠方から尋ねて來た客を、どうしても收容し切れない場合なら、せめて電話温泉旅館組合の中の心當りを聞いてやる位の便宜をはかつてやつてはどうか。頼りにして來た客を、假令それがどんな人體であるにしても、尋ねてくるのが始めから間違つてゐるかのやうに取扱ふのは少し可哀相であらう。さうする位ならば「旅行案内」などの廣告にちやんと其旨を明記しておく方が親切であらう。

 こんな敗者の繰言を少し貧血を起しかけた頭の中で繰返しながら狹い坂町を歩いてゐるうちに、思ひの外感じのいゝ新らしいM旅館別館の三階に、思ひもかけなかつた程に見晴らしの好い一室があいてゐるのを搜しあてゝ、それで漸く、暗くなりかゝつた機嫌を取直すことが出來たと同時に馴れぬ旅行疲れた神經と肉體とをゆつくり休めることが出來たのは仕合せであつた。

 此室の窓から眼下に見える同じ宿の本館には團體客が續々入込んでゐるやうである。其の本館から下方の山腹にはもう人家が少く、色々の樹林に蔽はれた山腹の斜面が午後の日に照らされて中々美しい。遠く裾野には稻田の黄色い斑の縞模樣が擴がり、其の遙かな向うには名を知らぬ山脈が盛上がつて、其の山腹に刻まれた褶襞の影日向が深い色調で鮮かに畫き出されて居る。反對側の、山の方へ向いた廊下へ出て見ると、此の山腹一面に築き上げ築き重ねた温泉旅館ばかりの集落は世にも不思議な標本的の光景である。昔、ローマ近くのアルバ地方遊んだ時に、「即興詩人」で名を知られたゲンツアノ湖畔を通つたことがある。其の湖の一方から見た同じ名の市街の眺めと、此處の眺めとは何處か似た所がある。併し、古い伊太利の彼の田舍町は油繪になり易いが此處のは版畫に適しさうである。數年前に此地に大火があつたさうであるが、成程火災の傳播には可也都合よく出來てゐる。餘程特別防火設備必要であらうと思はれる。

 一と休みしてから湯元を見に出かけた。此の小市街横町は水平であるが、本通りは急坂で、それが極めて不規則階段のメロデイーの二重奏を奏してゐる。宿屋お土産を賣る店の外には實に何もない町である。山腹温泉街の一つの標本として人文地理學者の研究に値ひするであらう。

 階段の上ぼりつめに伊香保神社があつて、そこを右へ曲ると溪流に臨んだ崖道に出る。此の道路にも土産物を賣る店の連鎖が延長して溪流の眺めを杜絶してゐるのである。湯の流れに湯の花がつくやうに、かういふ處の人の流れの道筋にはきまつて此のやうな賣店の行列がきたなく付くのである。一寸珍らしいと思ふのは此道の兩側の色々の樹木に木札がぶら下げてあつて、それに樹の名前が書いてあることである。併し、流石にラテン語の學名は略してある。

 崖崩れを石垣で喰ひ止める爲に、金のかゝつた工事がしてある。此れ位の細工で防がれる程度の崩れ方もあるであらうが、此の十倍百倍の大工事でも綺麗に押し流すやうな崩壞が明日にも起らないといふ保證は易者にも學者にも誰にも出來ない。さういふ未來の可能性を考へない間が現世の極樂である自然可能性に盲目な點では人間も蟻も大してちがはない。

 此邊迄來ると紅葉がもうところ斑に色付いて居る。細い溪流の橋の兩側と云つたやうな處のが特に紅葉が早いらしい。夜中にかうした澤を吹下ろす寒風の影響であらうか。寫眞師がアルバムをひろげながらうるさく撮影をすゝめる。「心中ぢやないから」と云つて斷わる。

 湯元迄行つた頃にはもう日が峯の彼方にかくれて、夕空の殘光に照らし出されて雜木林の色彩が實にこまやかに美しい諧調を見せて居た。樹木の幹の色彩がかういふ時には實に美しく見えるものであるが、どういふもの特に樹幹の色を讚美する人は少ないやうである

 此處の湯元から湧き出す湯の量は中々豐富らしい。澤山の旅館の浴槽を充たしてなほ餘りがあると見えて、惜氣もなく道端の小溝に溢れ流れ下つて溪流に注いで居る。或る他の國の或る小温泉では、僅かにつの浴槽にやつと間に合ふ位の湯が生温るくて、それを熱くする爲に一生涯骨を折つて、やつと死ぬ一年前に成功した人がある。其人が此處を見たときにどんな氣がしたか。有る處にはあり餘つて無い處にはないといふのは、智慧黄金に限らず、勝景や温泉に限らぬ自然の大法則であるらしい。生きてゐ自然界には平等存在せず、平等は即ち宇宙の死を意味する。いくら革命を起して人間の首を切つても、金持と天才との種を絶やすことは六かしい。ましてや少しでも自己觸媒作用オートカタリテイツク・アクシヨンのある所には、ものの片寄るのが寧ろ普遍現象からである。さうして方則に順應するのは榮え、反逆するものは亡びるのも亦普遍現象である

 宿へ歸つて見ると自分等の泊つてゐる新館にも二三の團體客が到着して賑やかである。○○銀行○○課の一團は物靜かでモーニングを着た官吏風の人が多い。○○百貨店○○支店の一行は和服が多く、此方は藝者を揚げて三絃の音を響かせて居るが、肝心の本職の藝者の歌謠の節※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はしが大分危なつかしく、寧ろ御客の中に一人いゝ聲を出すのが居て、それがやゝもすると外れかゝる調子を引戻して居るのは面白い。ずつと下の方の座敷には足踏み轟かして東京音頭を踊つて居るらしい一團がある。人數は少いが此組が壓倒的優勢を占めて居るやうである

 今度は自分などのやうに、うるさく騷がしい都を離れて、しばらく疲れた頭を休める爲にかういふ山中自然を索たづねて來るものゝある一方では又、東京では斷ち切れない色々の窮屈を束縛をふりちぎつて、一日だけ、はめを外づして暴れ※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はる爲にわざ/\かういふ土地を選んで來る人もあるのである。此れも人間界の現象である。此の二種類の人間相撲になれば明白に前者の敗である後者の方は、宿の中でも出來るだけ濃厚なる存在を強調する爲か、廊下を歩くにも必要以上に足音を高く轟かし、三尺はなれた仲間に話をするのでも、宿屋中に響くやうに大きな聲を出すのであるが、前者の部類の客はあてがはれた室の圍ひの中に小さくなつて、其の騷ぎを聞きつゝ眠られぬ臥床ふしどの上に輾轉するより外に途がないのである。床の間を見ると贋物の不折の軸が懸かつて居る、その五言の漢詩の結句が「枕を拂つて長夜に憐む」といふのであつたのは偶然である。やつと團體の靜まる頃には隣室へ子供づれの客が着いた。單調な東京音頭は嵐か波の音と思つて聽き流すことが出來ると假定しても、可愛い子供の片言は身につまされてどうにも耳朶の外側に走らせることの出來ぬものである。電燈の光が弱いから讀書で紛らすことも出來ない。

 やつと宿の物音があらかた靜まつた後は、門前のカフエーから蓄音機の奏する流行小唄の甘酸つぱい旋律が流れ出して居た。併し、かうした山腹の湯の町の夜の雰圍氣を通して響いて來る此の民衆音樂の調べには、何處か昔の按摩の笛や、辻占賣の聲などのもつて居た情調を想ひ出させるやうな或るものが無いとは云はれない。

 蓄音機と云へば、宿へ着いた時につい隣りの見晴らしの縁側に旅行蓄音機を据ゑて、色々な一粒選りの洋樂のレコードをかけてゐ家族連の客があつた。此れも存在の鮮明な點に於て前述の東京音頭の連中と同種類に屬する人達であらう。

 夜中に驟雨があつた。朝はもう降り止んではゐたが、空は低く曇つてゐた。兎も角も榛名湖畔迄上ぼつて見ようといふので、ケーブルカー停車場のある谷底下りて行つた。此の谷底停車場風景は一寸面白い。見ると、改札口へ登つて行く階段だか斜面だかには夥しい人の群が押しかてゐる。それがなんだか若芽についたあぶら蟲か、腫物につけた蛭の群のやうに、ぎつしり詰まつて身動きも出來さうにない。それだのにあとから/\此處を目指して町の方から坂を下りて來る人の群は段々に増すばかりである。此の有樣を見て居たら急に胃の工合が變になつて來て待合室の腰掛に一時の避難所を求めなければならなかつた。「おぢいさんが人癲癇を起こした」と云つてSが笑出したが、兎も角も榛名行は中止、その代りつい近所だと云ふ七重の瀧へ行つて見ることにした。此の道筋の林間の小徑は往來の人通りも稀れで、安價なる人癲癇は忽ち解消した。前夜の雨に洗はれた道の上には黄褐紫色樣々の厚朴の落葉などが美しくちらばつてゐた。

 七重の瀧の茶店で「燒饅頭」と貼札したものを試みに注文したら、丸いパンのやうなもの味噌※(「滔」の「さんずい」に代えて「しょくへん」、第4水準2-92-68)を塗つたものであつた。東京下町若旦那らしい一團が銘々にカメラを持つてゐて、思ひ思ひに三脚を立てゝ御誂向の瀧を撮影する。ピントを覗く爲に皆申合せたやうに羽織の裾をまくつて頭に冠ると、銘々の羽織の裏の鹽瀬の美しい模樣が茶店に休んでゐる女學生達の面前にずらりと陳列される趣向になつてゐた。

 溪を下りて行くと別莊だか茶店だかゞあつて其前の養魚池の岸にかはせみが一羽止まつて居たが、下の方から青年團の服を着た男が長い杖をふりまはして上がつて來たので其のフアシズムの前に氣の弱い小鳥は驚いて茂みに飛び込んでしまつた。

 大杉公園といふのはどんな處かと思つたら、とある神社杉並木のことであつた。併し杉並木は美しい。太古の苔の匂ひがする。ボロ洋服を着た小學生が三人、一匹の眞白な野羊を荒繩の手綱で曳いて驅け※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)つてゐたが、どう思つたか自分が寫眞をとつて居る傍へ來て帽子を取つてお辭儀をした。學校の先生と間違へたのかどうだか分らない。昔郷里の田舍を歩いて居て、よく知らぬ小學生に禮をされた事を想ひ出して、時代が急に明治に逆戻りするやうな氣がした。此邊では未だイデオロギー階級鬪爭意識が普及して居ないのであらう。社前の茶店葡萄棚がある。一つの棚は普通のぶだうだが、もう一つのは山葡萄紅葉てゐる。店の婆さんに聞くと、山葡萄は棚にしたら一向に實がならぬさうである。山葡萄は矢張り人家にはそぐはないと見える。

 茶店の周圍に花畑がある。花を切つて高崎へでも賣りに出すのかと聞くと、唯々お客さんに自由に進呈するためだといふ。此の山懷の一隅には非常時の嵐が未だ屆いて居ないのか、妙にのんびりした閑寂の別天地である。薄雲を透した日光が暫く此の靜かな村里を照らして、ダリアコスモスが光り輝くやうに見えた。

 宿へ歸つて晝飯を食つてゐる頃から、宿が又昨日に増して賑やかになつた。日本橋邊の或る金融機關の團體客百二十人が到着したのである。其爲に階上階下の部屋といふ部屋は一杯で廊下の籐椅子に迄もはみ出してゐる。吾々は、此處へ來たときから約束暫時帳場の横へ移轉することになつた。

 部屋に籠つて寐轉んで居ると、すぐ近くの階段廊下を往來する人々の足音が間斷なく聞こえ、それが丁度御會式の太鼓のやうに響き渡り、音ばかりでなく家屋全體が其の色々な固有振動の週期で連續的に振動して居る。さういふ状態が一時間時間[#「二時間」は底本では「二間時」]三時間と經過しても一向に變りがない。

 一體どうして、かういふ風に連續的に足音や地響きが持續するかといふ理由を考へて見た。百數十人の人間が二人三人づつ交る/″\階下の浴室へ出掛けて行き、又歸つて來る。その際に一人が五つの階段の一段々々を踏み鳴らす。其外に平坦な縁側や廊下をあるく音も加はる。假に、一人宛て百囘の音を寄與コントリビユートするとして、百五十で一萬五千囘、此れを假に午後二時から五時迄の三時間、即ち一萬八百秒に割當てると毎一秒間に平均一囘よりは少し多くなる勘定である。此外に浴室通ひ以外の室と室との交通、又女中下男の忙はしい反復往來をも考慮に加へると、一秒間に三囘や四囘に達するのは雜作もないことである。即ち丁度太鼓を相當急速に連打するのと似た程度のテンポになり、それが三時間位持續するのは何でもないことになるのである。唯々面白いのは、此の何萬囘の足音が一度にかたまつて發しないで、實にうまく一樣に時間的に配分されて、勿論多少の自然的偏倚は示しながらも統計的に一樣な毎秒平均足音數を示してゐることである。容器の中の瓦斯體の分子が、その熱擾動サーマルアヂテーシヨンのために器壁に反覆衝突するのが、いくらか此れに似た状況であらうと思はれた。かうなると人間も矢張り一つの分子」になつてしまふのである

 室に寐ころんだ切り、ぼんやり此んなことを考へてゐる内に四時になつた。すると階下の大廣間の演藝場と思はれる見當で東京音頭の大會が始まつた。さうして此れが約三十分續いた。それが終つても、未だその陶醉的歡喜の惰性を階上迄持込[#「持込」は底本では「持迄」]んで客室前の廊下を踏鳴らしながら濁聲高く唄ひ踊る小集團もあつた。

バス切符を御忘れにならないやうに」と大聲で何遍となく繰返して居るのが聞こえた。それからしばらくすると、急に家中がしんとして、大風の後のやうな靜穩が此の山腹全體を支配するやうに感ぜられた。一時間前の伊香保とは丸で別な伊香保が出現したやうに思はれた。三階の廊下から見上げた山腹の各旅館の、明るく灯のともつた室々の障子の列が上へ上へと暗い夜空の上に累積してゐ光景は、龍宮城のやうに、蜃氣樓のやうに、又ニユーヨークの摩天樓街のやうにも思はれた。晝間は出入の織るやうに忙がしかつた各旅館の玄關にも今は殆ど人氣が見えず、野良犬がそこらをうろ/\して居るのが見えた。

 團體の爲に一時小さな室に追ひやられた埋合せに、今度はがらあきになつた三階の一番廣く見晴らしのいゝ上等の室に移され、地面迄數へると五階の窓下を、淙々として流れる溪流の水音と、窓外の高杉の梢にしみ入る山雨の音を聞きながら此處へ來てはじめての安らかな眠りに落ちて行つた。

 翌日も雨は止んだが空は晴れさうもなかつた。霧が湧いたり消えたりして、山腹から山麓へかけての景色を取換へ取換へ迅速に樣々に變化させる。世にも美しい天工の紙芝居である。一寸青空が顏を出したと思ふと又降出す。

 とある宿屋の前の崖にコンクリート道路と同平面のテラスを造り其の下の空間を物置にして居るのがあるのは思ひ付きである。此の近代設備の脚下の道傍に古い石地藏が赤い涎掛けをして、さうして雨曝しになつて小さく鎭座して居るのが奇觀である。此處らに未だ家も何もなかつた昔から此の地藏尊は此の山腹の小道の傍に立つて居て、さうして次第に開ける此の町の發展を見守つて來たであらうが、物を云はぬから聞いて見る譯にも行かない。

 晝飯をすませて、そろ/\歸る支度にかゝる頃から空が次第に明るくなつて來て、やがて雲が破れ、東の谷間に虹の橋が懸つた。

 歸りのバスが澁川に近づく頃、同乘の兎も角も知識階級らしい四人連の紳士が「耳がガーンとした」とか「欠伸をしたらやつと直つた」とか云つたやうな話をして居る。山を下つて氣壓が變る爲に鼓膜の壓迫されたことを云つて居るらしい。唾を飮み込めば直るといふことを知らないと見える。小學校や中學校でこのやうな科學的常識を教はらなかつたものと思はれる。學校の教育でも時には要らぬ事を教へて要ることを教へるのを忘れて居る場合があるのかも知れない。尤も教へても教へ方が惡いか、教はる方の心掛けが惡ければ教へないのも同じになる譯ではある。

 上野へついて地下室の大阪料理で夕食を食つた。土瓶むしの土瓶のつるを持ち上げると土瓶が横に傾いて汁がこぼれた。土瓶の耳の幅が廣過ぎるのである。此處にも簡單な物理學が考慮の外に置かれてゐるのであつた。どうして、かう「科學」といふものが我が文化日本で嫌はれ敬遠されるかゞ不思議である

 雨の爲に榛名湖は見られなかつたが、併し雨のおかげでからだの休養が出來た。讀まず、書かず、電話が掛からず、手紙が來ず、人に會はずの三日間で頭の疲れが直り、從つて胃の苦情もいくらか減つたやうである。その上に、宿屋階段の連續的足音の奇現象を觀察することの出來たのは思はぬ拾ひものであつた。

 温泉には三度しかはひらなかつた。湯は黄色く濁つてゐて、それに少しぬるくて餘り氣持がよくなかつた。その上に階段を五つも下りて又上がらなければならなかつた。温泉場と階段はとかくつきものである温泉場へ來たからには義理にも度々温泉に浴しなければならないといふ譯もないが、すこしすまなかつたやうな氣がする。

 他の温泉でもさうであるが、浴槽に浸つて居ると、槽外の流しでからだを洗つて居る浴客がざあつと溜め桶の水を肩からあびる。そのしぶきが散つて此方の頭上に降りかゝるのはそれ程潔癖でないつもりの自分にも餘り愉快でない。此れも矢張り宿屋蓄音機を持ち込み、宿屋東京音頭を踊るPermalink |記事への反応(0) | 18:19

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2025-10-23

昭和のころは現代に相当する概念近代と言っていた?

近代麻雀という雑誌名について

雑誌が創刊された時代近代という意味です。

昭和の頃では「近代的なコンクリートビルジング」だった。

まりあ雑誌が出来たようなときには当世風ということを現代ではなく近代と言っていたのだと解釈できる

dorawiiより

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Permalink |記事への反応(1) | 12:50

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