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cGAS-STING経路が老化を進める(2017年)PNAS
「この論文は、細胞質DNAセンサーである**cGAS**が、細胞老化において極めて重要な役割を果たすことを明らかにしています。
研究の結果、cGASが欠損すると、マウス胚性線維芽細胞の**自然な不死化が加速**することが判明しました。また、放射線やエトポシドなどのDNA損傷剤によって誘導される**SASP(Senescence-Associated Secretory Phenotype)**も、cGASがなければ抑制されることが示されました。
興味深いことに、cGASは非分裂細胞では細胞質に存在しますが、増殖中の細胞では有糸分裂中に核内に入り、染色質DNAと結合していることが分かりました。DNA損傷が生じると、損傷したDNAはcGASを含む細胞質内の斑点に蓄積します。
さらに、ヒト肺腺癌患者では、**cGASの発現が低いほど生存率が低い**という相関関係も示されました。
これらの結果から、cGASが細胞老化を媒介し、細胞の不死化を遅らせるという重要な役割を担っていることが示唆されます。これは、cGASが抗腫瘍免疫を活性化するという役割とは異なる、補完的な機能であると言えるでしょう。
この発見は、細胞老化の分子メカニズムを解明する上で大きな進歩であり、cGASの活性を調節することが、癌、神経変性疾患、心血管疾患、そして老化といった、細胞老化に関連する疾患の新たな治療戦略となる可能性を秘めている、というわけです。」