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はてなキーワード:ぼくの妹とは

2024-10-02

九  与次郎が勧めるので、三四郎はとうとう精養軒の会へ出た。その時三四郎は黒い紬の羽織を着た。この羽織は、三輪田のお光さんのおっかさんが織ってくれたのを、紋付に染めて、お光さんが縫い上げたものだと、母の手紙に長い説明がある。小包みが届いた時、いちおう着てみて、おもしろくないから、戸棚へ入れておいた。それを与次郎が、もったいないからぜひ着ろ着ろと言う。三四郎が着なければ、自分が持っていって着そうな勢いであたから、つい着る気になった。着てみると悪くはないようだ。  三四郎はこのいでたちで、与次郎と二人で精養軒の玄関に立っていた。与次郎の説によると、お客はこうして迎えべきものだそうだ。三四郎はそんなこととは知らなかった。第一自分がお客のつもりでいた。こうなると、紬の羽織ではなんだか安っぽい受け付けの気がする。制服を着てくればよかったと思った。そのうち会員がだんだん来る。与次郎は来る人をつらまえてきっとなんとか話をする。ことごとく旧知のようにあしらっている。お客が帽子外套給仕に渡して、広い梯子段の横を、暗い廊下の方へ折れると、三四郎に向かって、今のは誰某だと教えてくれる。三四郎はおかげで知名な人の顔をだいぶ覚えた。  そのうちお客はほぼ集まった。約三十人足らずである広田先生もいる。野々宮さんもいる。――これは理学者だけれども、絵や文学が好きだからというので、原口さんが、むりに引っ張り出したのだそうだ。原口さんはむろんいる。いちばんさきへ来て、世話を焼いたり、愛嬌を振りまいたり、フランス式の髯をつまんでみたり、万事忙しそうである。  やがて着席となった。めいめいかってな所へすわる。譲る者もなければ、争う者もない。そのうちでも広田先生のろいにも似合わずいちばんに腰をおろししまった。ただ与次郎三四郎けがいっしょになって、入口に近く座を占めた。その他はことごとく偶然の向かい合わせ、隣同志であった。  野々宮さんと広田先生あいだに縞の羽織を着た批評家がすわった。向こうには庄司という博士が座に着いた。これは与次郎のいわゆる文科で有力な教授であるフロックを着た品格のある男であった。髪を普通の倍以上長くしている。それが電燈の光で、黒く渦をまいて見える。広田先生坊主頭と比べるとだいぶ相違がある。原口さんはだいぶ離れて席を取った。あちらの角だから、遠く三四郎と真向かいになる。折襟に、幅の広い黒襦子を結んださきがぱっと開いて胸いっぱいになっている。与次郎が、フランスの画工は、みんなああいう襟飾りを着けるものだと教えてくれた。三四郎肉汁を吸いながら、まるで兵児帯の結び目のようだと考えた。そのうち談話だんだん始まった。与次郎ビールを飲む。いつものように口をきかない。さすがの男もきょうは少々謹んでいるとみえる。三四郎が、小さな声で、 「ちと、ダーターファブラをやらないか」と言うと、「きょうはいけない」と答えたが、すぐ横を向いて、隣の男と話を始めた。あなたの、あの論文を拝見して、大いに利益を得ましたとかなんとか礼を述べている。ところがその論文は、彼が自分の前で、さかんに罵倒したものから三四郎にはすこぶる不思議の思いがある。与次郎はまたこっちを向いた。 「その羽織はなかなかりっぱだ。よく似合う」と白い紋をことさら注意してながめている。その時向こうの端から原口さんが、野々宮に話しかけた。元来が大きな声の人だから、遠くで応対するにはつごうがいい。今まで向かい合わせに言葉をかわしていた広田先生庄司という教授は、二人の応答を途中でさえぎることを恐れて、談話をやめた。その他の人もみんな黙った。会の中心点がはじめてできあがった。 「野々宮さん光線の圧力試験はもう済みましたか」 「いや、まだなかなかだ」 「ずいぶん手数がかかるもんだね。我々の職業も根気仕事だが、君のほうはもっと激しいようだ」 「絵はインスピレーションですぐかけるからいいが、物理実験はそううまくはいかない」 「インスピレーションには辟易する。この夏ある所を通ったらばあさんが二人で問答をしていた。聞いてみると梅雨はもう明けたんだろうか、どうだろうかという研究なんだが、一人のばあさんが、昔は雷さえ鳴れば梅雨は明けるにきまっていたが、近ごろじゃそうはいかないとこぼしている。すると一人がどうしてどうして、雷ぐらいで明けることじゃありゃしないと憤慨していた。――絵もそのとおり、今の絵はインスピレーションぐらいでかけることじゃありゃしない。ねえ田村さん、小説だって、そうだろう」  隣に田村という小説家がすわっていた。この男は自分インスピレーション原稿の催促以外になんにもないと答えたので、大笑いになった。田村は、それから改まって、野々宮さんに、光線に圧力があるものか、あれば、どうして試験するかと聞きだした。野々宮さんの答はおもしろかった。――  雲母か何かで、十六武蔵ぐらいの大きさの薄い円盤を作って、水晶の糸で釣るして、真空のうちに置いて、この円盤の面へ弧光燈の光を直角にあてると、この円盤が光に圧されて動く。と言うのである。  一座は耳を傾けて聞いていた。なかに三四郎は腹のなかで、あの福神漬の缶のなかに、そんな装置がしてあるのだろうと、上京のさい、望遠鏡で驚かされた昔を思い出した。 「君、水晶の糸があるのか」と小さい声で与次郎に聞いてみた。与次郎は頭を振っている。 「野々宮さん、水晶の糸がありますか」 「ええ、水晶の粉をね。酸水素吹管の炎で溶かしておいて、両方の手で、左右へ引っ張ると細い糸ができるのです」  三四郎は「そうですか」と言ったぎり、引っ込んだ。今度は野々宮さんの隣にいる縞の羽織批評家が口を出した。 「我々はそういう方面へかけると、全然無学なんですが、はじめはどうして気がついたものでしょうな」 「理論上はマクスウェル以来予想されていたのですが、それをレベデフという人がはじめて実験証明したのです。近ごろあの彗星の尾が、太陽の方へ引きつけられべきはずであるのに、出るたびにいつでも反対の方角になびくのは光の圧力で吹き飛ばされるんじゃなかろうかと思いついた人もあるくらいです」  批評家はだいぶ感心したらしい。 「思いつきもおもしろいが、第一大きくていいですね」と言った。 「大きいばかりじゃない、罪がなくって愉快だ」と広田先生が言った。 「それでその思いつきがはずれたら、なお罪がなくっていい」と原口さんが笑っている。 「いや、どうもあたっているらしい。光線の圧力は半径の二乗に比例するが、引力のほうは半径の三乗に比例するんだから、物が小さくなればなるほど引力のほうが負けて、光線の圧力が強くなる。もし彗星の尾が非常に細かい小片からできているとすれば、どうしても太陽とは反対の方へ吹き飛ばされるわけだ」  野々宮は、ついまじめになった。すると原口が例の調子で、 「罪がない代りに、たいへん計算がめんどうになってきた。やっぱり一利一害だ」と言った。この一言で、人々はもとのとおりビールの気分に復した。広田先生が、こんな事を言う。 「どうも物理学者は自然派じゃだめのようだね」  物理学者と自然派の二字は少なからず満場の興味を刺激した。 「それはどういう意味ですか」と本人の野々宮さんが聞き出した。広田先生説明しなければならなくなった。 「だって、光線の圧力試験するために、目だけあけて、自然を観察していたって、だめだからさ。自然献立のうちに、光線の圧力という事実印刷されていないようじゃないか。だから人工的に、水晶の糸だの、真空だの、雲母だのという装置をして、その圧力物理学者の目に見えるように仕掛けるのだろう。だから自然派じゃないよ」 「しか浪漫派でもないだろう」と原口さんがまぜ返した。 「いや浪漫派だ」と広田先生がもったいらしく弁解した。「光線と、光線を受けるものとを、普通自然界においては見出せないような位置関係に置くところがまったく浪漫派じゃないか」 「しかし、いったんそういう位置関係に置いた以上は、光線固有の圧力を観察するだけだからそれからあとは自然派でしょう」と野々宮さんが言った。 「すると、物理学者は浪漫自然派ですね。文学のほうでいうと、イブセンのようなものじゃないか」と筋向こうの博士比較を持ち出した。 「さよう、イブセンの劇は野々宮君と同じくらいな装置があるが、その装置の下に働く人物は、光線のように自然法則に従っているか疑わしい」これは縞の羽織批評家言葉であった。 「そうかもしれないが、こういうことは人間研究上記憶しておくべき事だと思う。――すなわち、ある状況のもとに置かれた人間は、反対の方向に働きうる能力権力とを有している。ということなんだが、――ところが妙な習慣で、人間も光線も同じように器械的の法則に従って活動すると思うものから、時々とんだ間違いができる。おこらせようと思って装置をすると、笑ったり、笑わせようともくろんでかかると、おこったり、まるで反対だ。しかしどちらにしても人間に違いない」と広田先生がまた問題を大きくしてしまった。 「じゃ、ある状況のもとに、ある人間が、どんな所作をしてもしぜんだということになりますね」と向こうの小説家が質問した。広田先生は、すぐ、 「ええ、ええ。どんな人間を、どう描いても世界に一人くらいはいるようじゃないですか」と答えた。「じっさい人間たる我々は、人間しからざる行為動作を、どうしたって想像できるものじゃない。ただへたに書くから人間と思われないのじゃないですか」  小説家はそれで黙った。今度は博士がまた口をきいた。 「物理学者でも、ガリレオ寺院釣りランプの一振動時間が、振動の大小にかかわらず同じであることに気がついたり、ニュートン林檎が引力で落ちるのを発見したりするのは、はじめから自然派ですね」 「そういう自然派なら、文学のほうでも結構でしょう。原口さん、絵のほうでも自然派がありますか」と野々宮さんが聞いた。 「あるとも。恐るべきクールベエというやつがいる。v※(アキュートアクセント付きE小文字)rit※(アキュートアクセント付きE小文字) vraie. なんでも事実でなければ承知しない。しかしそう猖獗を極めているものじゃない。ただ一派として存在を認められるだけさ。またそうでなくっちゃ困るからね。小説だって同じことだろう、ねえ君。やっぱりモローや、シャバンヌのようなのもいるはずだろうじゃないか」 「いるはずだ」と隣の小説家が答えた。  食後には卓上演説も何もなかった。ただ原口さんが、しきりに九段の上の銅像悪口を言っていた。あん銅像をむやみに立てられては、東京市民が迷惑する。それより、美しい芸者銅像でもこしらえるほうが気が利いているという説であった。与次郎三四郎九段銅像原口さんと仲の悪い人が作ったんだと教えた。  会が済んで、外へ出るといい月であった。今夜の広田先生庄司博士によい印象を与えたろうかと与次郎が聞いた。三四郎は与えたろうと答えた。与次郎は共同水道栓のそばに立って、この夏、夜散歩に来て、あまり暑いからここで水を浴びていたら、巡査に見つかって、擂鉢山へ駆け上がったと話した。二人は擂鉢山の上で月を見て帰った。  帰り道に与次郎三四郎に向かって、突然借金言い訳をしだした。月のさえた比較寒いである三四郎ほとんど金の事などは考えていなかった。言い訳を聞くのでさえ本気ではない。どうせ返すことはあるまいと思っている。与次郎もけっして返すとは言わない。ただ返せない事情をいろいろに話す。その話し方のほうが三四郎にはよほどおもしろい。――自分の知ってるさる男が、失恋の結果、世の中がいやになって、とうとう自殺をしようと決心したが、海もいや川もいや、噴火口はなおいや、首をくくるのはもっともいやというわけで、やむをえず短銃を買ってきた。買ってきて、まだ目的遂行しないうちに、友だちが金を借りにきた。金はないと断ったが、ぜひどうかしてくれと訴えるので、しかたなしに、大事の短銃を貸してやった。友だちはそれを質に入れて一時をしのいだ。つごうがついて、質を受け出して返しにきた時は、肝心の短銃の主はもう死ぬ気がなくなっていた。だからこの男の命は金を借りにこられたために助かったと同じ事である。 「そういう事もあるからなあ」と与次郎が言った。三四郎にはただおかしいだけである。そのほかにはなんらの意味もない。高い月を仰いで大きな声を出して笑った。金を返されないでも愉快である与次郎は、 「笑っちゃいかん」と注意した。三四郎はなおおかしくなった。 「笑わないで、よく考えてみろ。おれが金を返さなければこそ、君が美禰子さんから金を借りることができたんだろう」  三四郎は笑うのをやめた。 「それで?」 「それだけでたくさんじゃないか。――君、あの女を愛しているんだろう」  与次郎はよく知っている。三四郎はふんと言って、また高い月を見た。月のそばに白い雲が出た。 「君、あの女には、もう返したのか」 「いいや」 「いつまでも借りておいてやれ」  のん気な事を言う。三四郎はなんとも答えなかった。しかいつまでも借りておく気はむろんなかった。じつは必要な二十円を下宿へ払って、残りの十円をそのあくる日すぐ里見の家へ届けようと思ったが、今返してはかえって、好意にそむいて、よくないと考え直して、せっかく門内に、はいられる機会を犠牲にしてまでも引き返した。その時何かの拍子で、気がゆるんで、その十円をくずしてしまった。じつは今夜の会費もそのうちから出ている。自分ばかりではない。与次郎のもそのうちから出ている。あとには、ようやく二、三円残っている。三四郎はそれで冬シャツを買おうと思った。  じつは与次郎がとうてい返しそうもないから、三四郎は思いきって、このあいだ国元へ三十円の不足を請求した。十分な学資を月々もらっていながら、ただ不足だからといって請求するわけにはゆかない。三四郎はあまり嘘をついたことのない男だから請求理由にいたって困却した。しかたがないからただ友だちが金をなくして弱っていたから、つい気の毒になって貸してやった。その結果として、今度はこっちが弱るようになった。どうか送ってくれと書いた。  すぐ返事を出してくれれば、もう届く時分であるのにまだ来ない。今夜あたりはことによると来ているかもしれぬくらいに考えて、下宿へ帰ってみると、はたして、母の手蹟で書いた封筒ちゃんと机の上に乗っている。不思議なことに、いつも必ず書留で来るのが、きょうは三銭切手一枚で済ましてある。開いてみると、中はいつになく短かい。母としては不親切なくらい、用事だけで申し納めてしまった。依頼の金は野々宮さんの方へ送ったから、野々宮さんから受け取れというさしずにすぎない。三四郎は床を取ってねた。  翌日もその翌日も三四郎は野々宮さんの所へ行かなかった。野々宮さんのほうでもなんともいってこなかった。そうしているうちに一週間ほどたった。しまいに野々宮さんから下宿下女を使いに手紙をよこした。おっかさんからまれものがあるからちょっと来てくれろとある三四郎講義の隙をみて、また理科大学の穴倉へ降りていった。そこで立談のあいだに事を済ませようと思ったところが、そううまくはいかなかった。この夏は野々宮さんだけで専領していた部屋に髭のはえた人が二、三人いる。制服を着た学生も二、三人いる。それが、みんな熱心に、静粛に、頭の上の日のあたる世界をよそにして、研究をやっている。そのうちで野々宮さんはもっと多忙に見えた。部屋の入口に顔を出した三四郎ちょっと見て、無言のまま近寄ってきた。 「国から、金が届いたから、取りに来てくれたまえ。今ここに持っていないから。それからまだほかに話す事もある」  三四郎ははあと答えた。今夜でもいいかと尋ねた。野々宮はすこしく考えていたが、しまいに思いきってよろしいと言った。三四郎はそれで穴倉を出た。出ながら、さすがに理学者は根気のいいものだと感心した。この夏見た福神漬の缶と、望遠鏡が依然としてもとのとおりの位置に備えつけてあった。  次の講義時間与次郎に会ってこれこれだと話すと、与次郎はばかだと言わないばかりに三四郎をながめて、 「だからいつまでも借りておいてやれと言ったのに。よけいな事をして年寄りには心配をかける。宗八さんにはお談義をされる。これくらい愚な事はない」とまるで自分から事が起こったとは認めていない申し分である三四郎もこの問題に関しては、もう与次郎責任を忘れてしまった。したがって与次郎の頭にかかってこない返事をした。 「いつまでも借りておくのは、いやだから、家へそう言ってやったんだ」 「君はいやでも、向こうでは喜ぶよ」 「なぜ」  このなぜが三四郎自身はいくぶんか虚偽の響らしく聞こえた。しか相手にはなんらの影響も与えなかったらしい。 「あたりまえじゃないか。ぼくを人にしたって、同じことだ。ぼくに金が余っているとするぜ。そうすれば、その金を君から返してもらうよりも、君に貸しておくほうがいい心持ちだ。人間はね、自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいものだ」  三四郎は返事をしないで、講義を筆記しはじめた。二、三行書きだすと、与次郎がまた、耳のそばへ口を持ってきた。 「おれだって、金のある時はたびたび人に貸したことがある。しかしだれもけっして返したものがない。それだからおれはこのとおり愉快だ」  三四郎まさか、そうかとも言えなかった。薄笑いをしただけで、またペンを走らしはじめた。与次郎それからはおちついて、時間の終るまで口をきかなかった。  ベルが鳴って、二人肩を並べて教場を出る時、与次郎が、突然聞いた。

anond:20241001234545

「あの女は君にほれているのか」

 二人のあとから続々聴講生が出てくる。三四郎はやむをえず無言のまま梯子段を降りて横手玄関から図書館わきの空地へ出て、はじめて与次郎を顧みた。

「よくわからない」

 与次郎はしばらく三四郎を見ていた。

「そういうこともある。しかしよくわかったとして、君、あの女の夫になれるか」

 三四郎はいまだかつてこの問題を考えたことがなかった。美禰子に愛せられるという事実のものが、彼女の夫たる唯一の資格のような気がしていた。言われてみると、なるほど疑問である三四郎は首を傾けた。

「野々宮さんならなれる」と与次郎が言った。

「野々宮さんと、あの人とは何か今までに関係があるのか」

 三四郎の顔は彫りつけたようにまじめであった。与次郎一口

「知らん」と言った。三四郎は黙っている。

「また野々宮さんの所へ行って、お談義を聞いてこい」と言いすてて、相手は池の方へ行きかけた。三四郎は愚劣の看板のごとく突っ立った。与次郎は五、六歩行ったが、また笑いながら帰ってきた。

「君、いっそ、よし子さんをもらわないか」と言いながら、三四郎を引っ張って、池の方へ連れて行った。歩きながら、あれならいい、あれならいいと、二度ほど繰り返した。そのうちまたベルが鳴った。

 三四郎はその夕方野々宮さんの所へ出かけたが、時間がまだすこし早すぎるので、散歩かたがた四丁目まで来て、シャツを買いに大きな唐物屋へはいった。小僧が奥からいろいろ持ってきたのをなでてみたり、広げてみたりして、容易に買わない。わけもなく鷹揚にかまえていると、偶然美禰子とよし子が連れ立って香水を買いに来た。あらと言って挨拶をしたあとで、美禰子が、

「せんだってありがとう」と礼を述べた。三四郎にはこのお礼の意味が明らかにわかった。美禰子から金を借りたあくる日もう一ぺん訪問して余分をすぐに返すべきところを、ひとまず見合わせた代りに、二日ばかり待って、三四郎は丁寧な礼状を美禰子に送った。

 手紙文句は、書いた人の、書いた当時の気分をすなおに表わしたものではあるが、むろん書きすぎている。三四郎はできるだけの言葉を層々と排列して感謝の意を熱烈にいたした。普通の者から見ればほとんど借金の礼状とは思われないくらいに、湯気の立ったものであるしか感謝以外には、なんにも書いてない。それだから自然の勢い、感謝感謝以上になったのでもある。三四郎はこの手紙ポストに入れる時、時を移さぬ美禰子の返事を予期していた。ところがせっかくの封書はただ行ったままであるそれから美禰子に会う機会はきょうまでなかった。三四郎はこの微弱なる「このあいだはありがとう」という反響に対して、はっきりした返事をする勇気も出なかった。大きなシャツを両手で目のさきへ広げてながめながら、よし子がいるからああ冷淡なんだろうかと考えた。それからこのシャツもこの女の金で買うんだなと考えた。小僧はどれになさいますと催促した。

 二人の女は笑いながらそばへ来て、いっしょにシャツを見てくれた。しまいに、よし子が「これになさい」と言った。三四郎はそれにした。今度は三四郎のほうが香水相談を受けた。いっこうわからない。ヘリオトロープと書いてある罎を持って、いいかげんに、これはどうですと言うと、美禰子が、「それにしましょう」とすぐ決めた。三四郎は気の毒なくらいであった。

 表へ出て別れようとすると、女のほうが互いにお辞儀を始めた。よし子が「じゃ行ってきてよ」と言うと、美禰子が、「お早く……」と言っている。聞いてみて、妹が兄の下宿へ行くところだということがわかった。三四郎はまたきれいな女と二人連で追分の方へ歩くべき宵となった。日はまだまったく落ちていない。

 三四郎はよし子といっしょに歩くよりは、よし子といっしょに野々宮の下宿で落ち合わねばならぬ機会をいささか迷惑に感じた。いっそのこと今夜は家へ帰って、また出直そうかと考えた。しかし、与次郎のいわゆるお談義を聞くには、よし子がそばにいてくれるほうが便利かもしれない。まさか人の前で、母から、こういう依頼があったと、遠慮なしの注意を与えるわけはなかろう。ことによると、ただ金を受け取るだけで済むかもわからない。――三四郎は腹の中で、ちょっとずるい決心をした。

「ぼくも野々宮さんの所へ行くところです」

「そう、お遊びに?」

「いえ、すこし用があるんです。あなたは遊びですか」

「いいえ、私も御用なの」

 両方が同じようなことを聞いて、同じような答を得た。しかし両方とも迷惑を感じている気色がさらにない。三四郎は念のため、じゃまじゃないかと尋ねてみた。ちっともじゃまにはならないそうである。女は言葉でじゃまを否定したばかりではない。顔ではむしろなぜそんなことを質問するかと驚いている。三四郎は店先のガスの光で、女の黒い目の中に、その驚きを認めたと思った。事実としては、ただ大きく黒く見えたばかりである

バイオリンを買いましたか

「どうして御存じ」

 三四郎は返答に窮した。女は頓着なく、すぐ、こう言った。

いくら兄さんにそう言っても、ただ買ってやる、買ってやると言うばかりで、ちっとも買ってくれなかったんですの」

 三四郎は腹の中で、野々宮よりも広田よりも、むしろ与次郎非難した。

 二人は追分の通りを細い路地に折れた。折れると中に家がたくさんある。暗い道を戸ごとの軒燈が照らしている。その軒燈の一つの前にとまった。野々宮はこの奥にいる。

 三四郎下宿とはほとんど一丁ほどの距離である。野々宮がここへ移ってから三四郎は二、三度訪問したことがある。野々宮の部屋は広い廊下を突き当って、二段ばかりまっすぐに上がると、左手に離れた二間である。南向きによその広い庭をほとんど椽の下に控えて、昼も夜も至極静かである。この離れ座敷に立てこもった野々宮さんを見た時、なるほど家を畳んで下宿をするのも悪い思いつきではなかったと、はじめて来た時から、感心したくらい、居心地のいい所である。その時野々宮さんは廊下下りて、下から自分の部屋の軒を見上げて、ちょっと見たまえ、藁葺だと言った。なるほど珍しく屋根に瓦を置いてなかった。

 きょうは夜だから屋根はむろん見えないが、部屋の中には電燈がついている。三四郎は電燈を見るやいなや藁葺を思い出した。そうしておかしくなった。

「妙なお客が落ち合ったな。入口で会ったのか」と野々宮さんが妹に聞いている。妹はしからざるむねを説明している。ついでに三四郎のようなシャツを買ったらよかろうと助言している。それから、このあいだのバイオリン和製で音が悪くっていけない。買うのをこれまで延期したのだから、もうすこし良いのと買いかえてくれと頼んでいる。せめて美禰子さんくらいのなら我慢すると言っている。そのほか似たりよったりの駄々をしきりにこねている。野々宮さんはべつだんこわい顔もせず、といって、優しい言葉もかけず、ただそうかそうかと聞いている。

 三四郎はこのあいだなんにも言わずにいた。よし子は愚な事ばかり述べる。かつ少しも遠慮をしない。それがばかとも思えなければ、わがままとも受け取れない。兄との応待をそばにいて聞いていると、広い日あたりのいい畑へ出たような心持ちがする。三四郎は来たるべきお談義の事をまるで忘れてしまった。その時突然驚かされた。

「ああ、わたし忘れていた。美禰子さんのお言伝があってよ」

「そうか」

「うれしいでしょう。うれしくなくって?」

 野々宮さんはかゆいような顔をした。そうして、三四郎の方を向いた。

ぼくの妹はばかですね」と言った。三四郎はしかたなしに、ただ笑っていた。

「ばかじゃないわ。ねえ、小川さん」

 三四郎はまた笑っていた。腹の中ではもう笑うのがいやになった。

「美禰子さんがね、兄さんに文芸協会演芸会に連れて行ってちょうだいって」

里見さんといっしょに行ったらよかろう」

「御用があるんですって」

「お前も行くのか」

「むろんだわ」

 野々宮さんは行くとも行かないとも答えなかった。また三四郎の方を向いて、今夜妹を呼んだのは、まじめの用があるんだのに、あんのん気ばかり言っていて困ると話した。聞いてみると、学者だけあって、存外淡泊である。よし子に縁談の口がある。国へそう言ってやったら、両親も異存はないと返事をしてきた。それについて本人の意見をよく確かめ必要が起こったのだと言う。三四郎はただ結構ですと答えて、なるべく早く自分のほうを片づけて帰ろうとした。そこで、

「母からあなたにごめんどうを願ったそうで」と切り出した。野々宮さんは、

「なに、大してめんどうでもありませんがね」とすぐに机の引出しから、預かったものを出して、三四郎に渡した。

「おっかさんが心配して、長い手紙を書いてよこしましたよ。三四郎は余儀ない事情で月々の学資を友だちに貸したと言うが、いくら友だちだって、そうむやみに金を借りるものじゃあるまいし、よし借りたって返すはずだろうって。いなかの者は正直だから、そう思うのもむりはない。それからね、三四郎が貸すにしても、あまり貸し方が大げさだ。親から月々学資を送ってもらう身分でいながら、一度に二十円の三十円のと、人に用立てるなんて、いかにも無分別とあるんですがね――なんだかぼくに責任があるように書いてあるから困る。……」

 野々宮さんは三四郎を見て、にやにや笑っている。三四郎はまじめに、「お気の毒です」と言ったばかりである。野々宮さんは、若い者を、極めつけるつもりで言ったんでないとみえて、少し調子を変えた。

「なに、心配することはありませんよ。なんでもない事なんだから。ただおっかさんは、いなかの相場で、金の価値をつけるから、三十円がたいへん重くなるんだね。なんでも三十円あると、四人の家族半年食っていけると書いてあったが、そんなものかな、君」と聞いた。よし子は大きな声を出して笑った。三四郎にもばかげているところがすこぶるおかしいんだが、母の言条が、まったく事実を離れた作り話でないのだから、そこに気がついた時には、なるほど軽率な事をして悪かったと少しく後悔した。

「そうすると、月に五円のわりだから、一人前一円二十五銭にあたる。それを三十日に割りつけると、四銭ばかりだが――いくらいなかでも少し安すぎるようだな」と野々宮さんが計算を立てた。

「何を食べたら、そのくらいで生きていられるでしょう」とよし子がまじめに聞きだした。三四郎も後悔する暇がなくなって、自分の知っているいなか生活ありさまをいろいろ話して聞かした。そのなかには宮籠りという慣例もあった。三四郎の家では、年に一度ずつ村全体へ十円寄付することになっている。その時には六十戸から一人ずつ出て、その六十人が、仕事を休んで、村のお宮へ寄って、朝から晩まで、酒を飲みつづけに飲んで、ごちそうを食いつづけに食うんだという。

「それで十円」とよし子が驚いていた。お談義はこれでどこかへいったらしい。それから少し雑談をして一段落ついた時に、野々宮さんがあらためて、こう言った。

「なにしろ、おっかさんのほうではね。ぼくが一応事情を調べて、不都合がないと認めたら、金を渡してくれろ。そうしてめんどうでもその事情を知らせてもらいたいというんだが、金は事情もなんにも聞かないうちに、もう渡してしまったしと、――どうするかね。君たしか佐々木に貸したんですね」

 三四郎は美禰子からもれて、よし子に伝わって、それが野々宮さんに知れているんだと判じた。しかしその金が巡り巡ってバイオリンに変形したものとは、兄妹とも気がつかないか一種妙な感じがした。ただ「そうです」と答えておいた。

佐々木馬券を買って、自分の金をなくしたんだってね」

「ええ」

 よし子はまた大きな声を出して笑った。

「じゃ、いいかげんにおっかさんの所へそう言ってあげよう。しかし今度から、そんな金はもう貸さないことにしたらいいでしょう」

 三四郎は貸さないことにするむねを答えて、挨拶をして、立ちかけると、よし子も、もう帰ろうと言い出した。

「さっきの話をしなくっちゃ」と兄が注意した。

「よくってよ」と妹が拒絶した。

「よくはないよ」

「よくってよ。知らないわ」

 兄は妹の顔を見て黙っている。妹は、またこう言った。

だってしかたがないじゃ、ありませんか。知りもしない人の所へ、行くか行かないかって、聞いたって。好きでもきらいでもないんだから、なんにも言いようはありゃしないわ。だから知らないわ」

 三四郎は知らないわの本意をようやく会得した。兄妹をそのままにして急いで表へ出た。

 人の通らない軒燈ばかり明らかな路地を抜けて表へ出ると、風が吹く。北へ向き直ると、まともに顔へ当る。時を切って、自分下宿の方から吹いてくる。その時三四郎は考えた。この風の中を、野々宮さんは、妹を送って里見まで連れていってやるだろう。

 下宿の二階へ上って、自分の部屋へはいって、すわってみると、やっぱり風の音がする。三四郎はこういう風の音を聞くたびに、運命という字を思い出す。ごうと鳴ってくるたびにすくみたくなる。自分ながらけっして強い男とは思っていない。考えると、上京以来自分運命はたいがい与次郎のためにこしらえられている。しかも多少の程度において、和気靄然たる翻弄を受けるようにこしらえられている。与次郎は愛すべき悪戯である。向後もこの愛すべき悪戯者のために、自分運命を握られていそうに思う。風がしきりに吹く。たしか与次郎以上の風である

 三四郎は母から来た三十円を枕元へ置いて寝た。この三十円も運命翻弄が生んだものである。この三十円がこれからさきどんな働きをするか、まるでわからない。自分はこれを美禰子に返しに行く。美禰子がこれを受け取る時に、また一煽り来るにきまっている。三四郎はなるべく大きく来ればいいと思った。

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2012-07-15

好きなライトノベル投票しよう!!2012年上期レーベル別 その1

http://1se.sakura.ne.jp/lightnovel/2012_01-06/index.html で0票のやつを見たかったついでにまとめた。

HJ文庫
6票六畳間の侵略者!? 9
2票僕の妹は漢字が読める4
2票俺のリアルとネトゲがラブコメに侵蝕され始めてヤバイ3
1票吼える魔竜の捕喰作法
1票六畳間の侵略者!?10
0票ひきこもりの彼女は神なのです。4
0票百花繚乱 巻ノ拾
0票俺がヒロインを助けすぎて世界がリトル黙示録!? 3
0票らぶバト! 2 反逆のサムライ乙女!
0票俺は天剣を掲げ/僕は飛竜と征く2
0票オレと彼女の絶対領域3
0票僕の妹は漢字が読める3
0票魔王学校に俺だけ勇者!? 五時間めっ☆
0票俺のリアルとネトゲがラブコメに侵蝕され始めてヤバイ2
0票ヤツの眼鏡は伊達じゃない
0票アウトスタンディング ―常識ハズレな奴ら―
0票僕はやっぱり気づかない4
0票白銀竜王のクレイドルIV
0票前略。ねこと天使と同居はじめました。 五匹目
0票はぐれ勇者の鬼畜美学VIII
0票シンマと世界と嫁フラグ ~びっくりするほどハーレムです~
0票私のために創りなさい!
0票前門の魔女っ子(オタク?)、後門の守護霊さま(やっぱり役立たず)
0票俺がヒロインを助けすぎて世界がリトル黙示録!? 4
0票突然騎士になってムフフな俺がいる7
0票ありすさんと正義くんは無関係ですか? 3
0票ひきこもりの彼女は神なのです。5
0票らぶバト! 3 鬼っ娘ぼでーがーど覚醒!
0票タタリ・ブレイカー弑子
0票オレと彼女の絶対領域4
0票百花繚乱 巻ノ拾壱
0票魔王学校に俺だけ勇者!? 六時間めっ☆
0票俺は天剣を掲げ/僕は飛竜と征く3
0票白銀竜王のクレイドルV
0票僕はやっぱり気づかない5
0票吼える魔竜の捕喰作法2
0票月花の歌姫と魔技の王
0票悪に堕ちたら美少女まみれで大勝利!!
スニーカー文庫
7票サクラダリセット7 BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA
6票サイハテの救世主 PAPER I:破壊者
6票子ひつじは迷わない 騒ぐひつじが5ひき
5票問題児たちが異世界から来るそうですよ? 十三番目の太陽を撃て
4票丘ルトロジック4 風景男のデカダンス
3票ベイビー、グッドモーニング
2票クロス×レガリア 吸血姫の護りかた
1票アリス・イン・ゴシックランドIII 吸血機ドラキュラ
1票レンタルマギカ 死線の魔法使いたち
1票それがるうるの支配魔術 Game4:ロックドルーム・ゴッデス
1票薔薇のマリア 17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで
1票ここから脱出たければ恋しあえっ1
1票僕の魔剣が、うるさい件について3
1票STEINS;GATE3 境界面上のシュタインズ・ゲート:Rebirth
0票R-15 カメラ少女の純愛スランプ!?
0票ワールドエンド・ヴァルキリー3 「あなたとずっと一緒にいたい」女神は祈った
0票地球の切り札 (3)地球の未来は任されました。
0票レイセン File4:サマーウォー
0票墜落世界のハイダイバー4
0票大奥のサクラ 現代大奥女学院まるにっ!
0票カレイドメイズ4 眠れる玉座と夢みる未来予測
0票僕の魔剣が、うるさい件について2
0票俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している
0票放課後は無敵ですが、何か? 戦う少女の、群雄割拠
0票クロス×レガリア 嵐の王、来たる
0票ミスマルカ興国物語X
0票俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している2
0票大奥のサクラ 現代大奥女学院まるさんっ!
講談社ラノベ文庫
2票アウトブレイクカンパニー 萌える侵略者2
1票スクールデモクラシー! 1
1票彼女がフラグをおられたら こんな女子ばかりの体育祭に出られるか、僕は二人三脚に出させてもらう
1票生徒会探偵キリカ2
0票アニメ化企画進行中(仮)!?
0票ちょこプリ! 1.巨人になった日
0票魔法使い、でした1
0票神童機操DT-O phase01
0票この素晴らしく不幸で幸せな世界と僕と!
0票デッドエンドラプソディ
0票好敵手オンリーワン1
0票小夜音はあくまで小悪魔です!? 1
0票いけめん彼女1 ~学校一のイケメンに告白された俺~
0票ちょこプリ! 2.勇者になった日
0票魔法使いなら味噌を喰え! 2
0票まお×にん! 1
0票雨乞い部っ! 1
0票魔法使い、でした。2
0票セクシャルハンターライオット2
0票神童機操DT-O phase02
0票アウトブレイクカンパニー 萌える侵略者3
0票小夜音はあくまで小悪魔です!? 2
0票アニメ化企画進行中(腐)!?
0票好敵手オンリーワン2
0票スクールデモクラシー! 2
このライトノベルがすごい!文庫
11票魔法少女育成計画
2票オカルトリック
2票しずまれ! 俺の左腕
1票ランジーン×コード tale.5パラダイス・ロスト 2nd
1票モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣)(3)
0票僕と姉妹と幽霊の秘密
0票ランジーン×コード tale.4パラダイス・ロスト 1st
0票暴走少女と妄想少年6 毎日が大騒ぎ!
電撃文庫
9票龍盤七朝DRAGONBUSTER 02
9票楽聖少女
4票エスケヱプ・スピヰド
4票ブラック・ブレット3 炎による世界の破滅
4票ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン
3票ソードアート・オンライン9 アリシゼーション・ビギニング
3票俺の妹がこんなに可愛いわけがない(10)
3票ゴールデンタイム外伝 二次元くんスペシャル
2票VS!! ―正義の味方を倒すには―
2票あなたの街の都市伝鬼!
2票はたらく魔王さま! 4
2票アイドライジング!(4)
2票ミニッツ ~一分間の絶対時間~
2票さくら荘のペットな彼女7
2票天使の3P!
2票はたらく魔王さま! 5
1票あなたが踏むまで泣くのをやめない!!
1票烙印の紋章X 竜の雌伏を風は嘆いて
1票よめせんっ! 5
1票@HOME(2) 妹といちゃいちゃしたらダメですか?
1票乙女ゲーの攻略対象になりました…。
1票明日から俺らがやってきた
1票勇者には勝てない
1票6 ―ゼクス―
1票なれる! SE6 楽々実践?サイドビジネス
1票新約 とある魔術の禁書目録(4)
1票三井澄花と四角い悪魔2
1票9S<ナインエス>XI true side
1票ゴールデンタイム4 裏腹なる don't look back
1票バニッシュ・ドロップス! 家出中アイドルをフォローしますか?
1票アクセル・ワールド11 ―超硬の狼―
1票ベッドルームで召し上がれ
1票僕と彼女のゲーム戦争3
1票乙女ゲーの攻略対象になりました…。2
1票ギフテッドII
1票ヘヴィーオブジェクト 第三世代への道
1票ストライク・ザ・ブラッド4 蒼き魔女の迷宮
1票特異領域の特異点2 非科学的な神の証明
1票エスケヱプ・スピヰド弐
0票楠木統十郎の災難な日々(2) 史上最悪のバカンス
0票金は彼女の回りもの
0票レトロゲームマスター渋沢2
0票トカゲの王II ―復讐のパーソナリティ(上)―
0票ようこそ、フェアリーズ・インへ!
0票人見知り部は健全です2
0票乃木坂春香の秘密(15)
0票回る回る運命の輪回る2 ―ビター・スイート・ビター―
0票嫁にしろと迫る幼馴染みのために××してみた(2)
0票シロクロネクロIII
0票カミオロシ弐 ~人形供養の儀~
0票ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー
0票ストライク・ザ・ブラッド3 天使炎上
0票夜のちょうちょと同居計画! 3
0票アトリウムの恋人3
0票ロウきゅーぶ! (10)
0票スイート☆ライン4ユニット結成編
0票シースルー!?(2)
0票彼女はつっこまれるのが好き! 6
0票れでぃ×ばと!(13)
0票死想図書館のリヴル・ブランシェV
0票花×華(5)
0票オズのダイヤ使い
0票アンチリテラルの数秘術師5
0票俺ミーツリトルデビル! 3 ひと夏のフェニックス
0票魔王のしもべがあらわれた!
0票アンダーランド・ドッグス
0票ご主人様は山猫姫9 帝国崩壊編
0票魔王なあの娘と村人A(3) ~ロボ娘は今日も空を飛べない~
0票竜と勇者と可愛げのない私6
0票魔法科高校の劣等生(5) 夏休み編+1
0票探偵失格2 真神原伏ノ殉教殺人
0票シュガーシスター 1/2
0票イヤになるほどヒミコなヤンキー2
0票ライアーライセンス2
0票ようこそ、フェアリーズ・インへ! 2
0票いるか寮の少女たちは恋できない
0票ちびとも!
0票小悪魔ちゃんとMP0の少年
0票レトロゲームマスター渋沢3
0票インテリビレッジの座敷童
0票らぶなどーる!
0票チェンライ・エクスプレス
0票デュラララ!!×11
0票断章のグリムXVII 白雪姫・下
0票煉獄姫 五幕
0票デュアルイレイザー
0票白奈さん、おいしくいただいちゃいます2
0票ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー2
0票メグとセロンVII 婚約者は突然に
0票楽園島からの脱出
0票トカゲの王III ―復讐のパーソナリティ(下)―
0票あなたの街の都市伝鬼! 2
0票スイート☆ライン5メモリアル卒業編
0票筋肉の神マッスル
0票烙印の紋章XIあかつきの空を竜は翔ける (上)
0票ハレルヤ・ヴァンプ
0票朝岡ひよりのドキドキカルテ
0票きみのぱんつを守りたい!
GA文庫
5票のうりん3
3票異能バトルは日常系の中で
2票這いよれ! ニャル子さん9
1票断罪のイクシード5 ―相剋の摩天楼―
1票魔法の材料ございます9 ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚
1票織田信奈の野望8
1票木崎くんと呼ばないで!
0票眠らない魔王とクロノのセカイ
0票ライトノベルの楽しい書き方10
0票あやかしマニアックス! 2
0票彼と人喰いの日常2
0票優等生以上、フリョー未満な俺ら。2
0票小手鞠荘は末期です。……詳しく。3
0票声優のたまごが俺の彼女だったようです。2 ~カラダだけの関係!? 浮気の中身は大事です~
0票ゆうれいなんか見えない! 6
0票お前のご奉仕はその程度か? 3
0票魔法世界は女ばかりで、俺がパパ!? 2
0票ブラパン!
0票俺はまだ恋に落ちていない2
0票双子と幼なじみの四人殺し2
0票おまえは私の聖剣です。
0票神曲奏界ポリフォニカ エイフォニック・ソングバード
0票EX! 14
0票EX! 15
0票あやかしマニアックス! 3
0票彼と人喰いの日常3
0票彼女の恋が放してくれない! 俺たちは手錠で繋がっているだけの健全な友達です。
0票優等生以上、フリョー未満な俺ら。3
0票アリス×アカデミィ ―彼女のついたウソ―
0票ありす×ユニバースキャプテンはJK―
0票ふぁみまっ! 6
0票あるいは現在進行形の黒歴史7 ―中二天使が俺の嫁?―
0票反抗期の妹を魔王の力で支配してみた。
0票眠らない魔王とクロノのセカイ2
0票うちの居候が世界を掌握している!
0票お前のご奉仕はその程度か? 4
0票妹は僕に手を出すなっ!
ガガガ文庫
7票やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(4)
5票ボンクラーズ、ドントクライ
5票羽月莉音の帝国10
4票森の魔獣に花束を
4票飛べない蝶と空の鯱 ~たゆたう島の郵便箱~
2票人生
2票うちの魔女しりませんか? 3
2票猫にはなれないご職業
2票空知らぬ虹の解放区
2票俺、ツインテールになります。
1票人生 第2章
1票女子高生店長のコンビニは楽しくない2
1票こわれた人々
1票ささみさん@がんばらない8
0票ケモノガリ4
0票競泳戦隊ミズギーズ
0票魔王が家賃を払ってくれない2
0票寄生彼女サナ(2)
0票ドラゴンライズ2 反逆者と竜の嘘
0票昼も夜も、両手に悪女2
0票RIGHT∞LIGHT2 いじわるな占い師のちいさなワガママ
0票GJ部(9)
0票女子モテな妹と受難な俺(4)
0票魔王っぽいの!(2)
0票GJ部中等部(1)
0票競泳戦隊ミズギーズ2
0票されど罪人は竜と踊る(11) Waiting Here to Stop the Noisy Heart
0票魔王が家賃を払ってくれない3
0票ドラゴンライズ3 王宮と竜の嘘
0票RIGHT∞LIGHT 3 朝焼けに飛ぶ三羽の鶫
一迅社文庫
4票パンツブレイカーG
1票死にたくなければ××! 脱ぐのは絶対にイヤ!
1票俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件2
1票千の魔剣と盾の乙女7
1票きゃんでぃっど 乙女とカメラと地獄突き
0票まほねーず☆とらいあんぐる
0票10歳の保健体育4
0票鈍感な僕と鋭い彼女
0票この家に勇者様もしくは救世主さまはいらっしゃいませんか?! 1
0票この家に勇者様もしくは救世主さまはいらっしゃいませんか?! 2
0票誰よりも優しいあなたのために
0票前略 嫁当たりました。2
0票XIII番の魔符詠姫
0票だから少女はおもいでをたべる
0票JSが俺を取り合って大変なことになっています
0票千の魔剣と盾の乙女6
0票淫魔に狙われた俺のDTが危険なんだが
0票魔導書が暴れて困ってます。2 ま、どうにかしまし
0票覚えてないけど、キミが好き
0票クーデレな彼女とキスがしたい2
0票あくまでも、妹が欲しいんです。
0票憧れのあの娘が突然迫ってくるんだが、どうしたらいい?
0票死神のキョウ6
0票前略 嫁当たりました。3
0票八丈島と、魔女の夏
0票魔導書が暴れて困ってます。3 まあ、どうにかなるでしょう
0票異世界の魔法使いがうちに居候中です!?
0票JSが俺を取り合って大変なことになっています2
0票XIII番の魔符詠姫2
富士見ファンタジア文庫
6票蒼穹のカルマ8
4票スカイ・ワールド
3票BIG-4 2.ククク……ついに勇者が現れたか。ってぼくの妹じゃねーか!?
2票生徒会の十代碧陽学園生徒会議事録10
2票消えちゃえばいいのに
1票いもうとコンプレックス! ―IC―
1票勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。
1票棺姫のチャイカIV
1票おおコウスケよ、えらべないとはなさけない! 2
1票ハイスクールD×D 12 補習授業のヒーローズ
0票ff3 ―フェアリーファイル
0票GENEZ-7 ジーンズ
0票聖戦のレギオス3 終わりなき夜光群
0票ハイスクールD×D11 進級試験とウロボロス
0票絶対服従カノジョ。 1.いいか、魔眼はつかうなよ?
0票ライジン×ライジン RISING×RYDEEN
0票変態先輩と俺と彼女2
0票大伝説の勇者の伝説11 ニンゲン総代
0票H+P(11) ―ひめぱら―
0票姫狐の召使い
0票紅のトリニティ5
0票鳩子さんとラブコメ
0票本日の騎士ミロク10
0票だから僕は、Hができない。6 死神と海水浴
0票キミが誘う境界線3 殺したいほど愛してる
0票双界のアトモスフィア
0票グロリアスハーツ
0票フルメタル・パニック!アナザー3
0票氷結鏡界のエデン9 限界決戦―アマリリスコーラス
0票デート・ア・ライブ4 五河シスター
0票期間限定いもうと。1
0票おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! 3
0票ヘルカム! 4 誰が為に地獄は微笑む?
0票神さまのいない日曜日VII
0票鋼殻のレギオス20 デザイア・リポート
0票いつか天魔の黒ウサギ10 校庭で笑う魔女
0票カナクのキセキ4
0票勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。2
0票ルースターズ 1.魔法銃とアルフライラの秘宝
0票だから僕は、Hができない。7 死神とパンツ
0票ライジン×ライジン2 RISING×RYDEEN
0票これはゾンビですか? 10 はい、ラブリーチャーミングだけどあたしは
0票東京レイヴンズ7 _DARKNESS_EMERGE_
0票生徒会の図鑑 碧陽学園生徒会活動記録
0票いもうとコンプレックス! ―IC2―
0票絶対服従カノジョ。 2.いいか、俺の布団には入ってくるなよ?
0票これはゾンビですか? 10 はい、ラブリーチャーミングだけどあたしは
0票黒の夜刀神 2.地下迷宮を彷徨う蒐集家
0票対魔導学園35試験小隊 1.英雄召喚
0票RPG W(・∀・)RLD 11 ―ろーぷれ・わーるど
0票魔法戦士リウイ ファーラムの剣 魔法の国の魔法戦士
0票真伝勇伝・革命編 堕ちた黒い勇者の伝説7
0票H+P(12) ―ひめぱら―
0票姫狐の召使い2
0票不完全神性機関イリス2 100億の時めぐる聖女
0票ルースターズ 2.トロンプ・ルイユと幻獣の歌姫
0票鳩子さんとラブコメ2
0票デーゲンメイデン 1.台場、両断
0票シークレット・ハニー 1.船橋から愛をこめて
0票乱☆恋5 婚約者は16人!?
0票おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! 4
0票変態先輩と俺と彼女3
MF文庫J
4票魔弾の王と戦姫4
4票僕は友達が少ない(8)
3票Tとパンツとイイ話2
2票黒のストライカ5
2票ノーゲーム・ノーライフ ゲーマー兄妹がファンタジー世界を征服するそうです
1票いもうとがかり2
1票そんな遊びはいけません! ~君がいると風紀が乱れる~
1票変態王子と笑わない猫。5
1票豚は飛んでもただの豚? 2
1票しゅらばら! 5
0票ツノありっ! 4 日高は△△を忘れる!?
0票まよチキ! 10
0票ミカヅチ5
0票無気力勇者と知りたがり魔王
0票神聖魔法は漆黒の漆原さん
0票あおはるっ!
0票正捕手の篠原さん2
0票星刻の竜騎士VII
0票精霊使いの剣舞6 追憶の闇精霊
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0票この部室は帰宅しない部が占拠しました。4
0票この中に1人、妹がいる! 6
0票聖剣の刀鍛冶12
0票101番目の百物語6
0票四人の魔女とエメラルドのキス2
0票まよチキ! 11
0票星刻の竜騎士VIII
0票機巧少女は傷つかない8 Facing "Lady Justice"
0票俺は彼女の犬になる! 3
0票オトコを見せてよ倉田くん! 7
0票無気力勇者と知りたがり魔王2
0票おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 その8
0票正捕手の篠原さん3
0票剣神の継承者
0票緋弾のアリアXII 狼狗に降る雪
0票精霊使いの剣舞7 最強の剣舞姫
0票お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ6
0票つきツキ! 7
0票神聖魔法は漆黒の漆原さん2
0票あまとう! 3 七瀬甘るりは不在につき
0票キミはぼっちじゃない! 3
0票そんな遊びはいけません! 3 パンツがないと風紀が乱れる
0票初体験にオススメな彼女4
0票オーバーイメージ2
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