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2024-12-04

[MTF]合成エストロゲン製剤内服により血中のコルチゾール値が高値

合成エストロゲン製剤内服により血中のコルチゾール値が高値を来したトランスジェンダーの一例

42 歳、男性

X-2 年に受けた健診で高血圧症脂質異常症を指摘されたものの、医療機関受診していなかった。

X 年 4 月、近医口腔外科で下顎歯根嚢胞に対し、抜歯・嚢胞摘出術を予定されていたが、

血圧 160/100mmHg と高値であったため、降圧治療必要とのことで、前医を受診した。

前医で 2 次性高血圧の鑑別のため、各種ホルモン検査をしたところ、

ACTH 3.0pg/mLコルチゾール 46.6 μg/dL であり、ACTH 非依存性クッシング症候群が疑われ、

X 年 6 月に当科を紹介受診した。

身長 172.5cm、体重86.4kg、BMI 29.0kg/m2肥満は見られたが、クッシング徴候は認めなかった。

また顕著な女性化乳房を認めた。

画像検査では副腎腫瘍を認めず、内分泌学的基礎値を測定し、

ACTH 3.4pg/mLコルチゾール 45.6μg/dLDHEA-S 85 μg/dLLH <0.1 mIU/mL

FSH <0.05 mIU/mLテストステロン <0.03ng/mLエストラジオール <5.1pg/mL であった。

これまでの検査で副腎性クッシング症候群否定的であり、

女性化乳房を来しているのにも関わらず性腺系ホルモン抑制という不自然な基礎値を呈していたため、

ご本人にサプリメント等の内服について、再度確認したところ、ご自身トランスジェンダーであり、

また胸を大きくするため合成エストロゲン製剤であるエチニルエストラジオールを内服していることを告白した。

この薬剤が高コルチゾール血症の原因と考え、内服中止を指示し、再度基礎値を測定したところ、

ACTH <2.0pg/mLコルチゾール 3.37μg/dL に低下した。

経口避妊薬などの女性ホルモン製剤の内服で、コルチコステロイド結合グロブリンの増加を来し、血中コルチゾール値が上昇する。

本例ではトランスジェンダーという患者背景のため、

ご本人から合成エストロゲン製剤を内服している事実について、初診時に申告されず、高コルチゾール血症の診断が遅れてしまった。

また合成エストロゲン製剤の内服中止により、ACTH、コルチゾール値が低値になったことも興味深い経過であった。

https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202202258067520027

Permalink |記事への反応(0) | 13:49

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