『四十路福田の俺ご飯』というもので、タイトルの通り、サラリーマンの福田がおいしくご飯を食べる。最近はすっかり定番ジャンルとして確立された日常系のメシ漫画だ。可もなく不可もなくという印象だが、メシ漫画なのだから肩の力を抜いて読めるこれくらいのものがいい、という意見もあるかと思う。
問題は、この漫画は「肩の力を抜いて楽しめない」ものだということだ。作中の描写が不自然で、どうしても気になってしまう。なんとなく読み進めていても、細かな違和感がいくつも積み重なっていく。
包丁の反りがおかしいとか、ちょっとした作画のミスなどはよくあることだし、ひとつふたつなら流してもいいのだけど、あまりにも多いと、内容が頭に入らなくなってしまう。気付けば違和感の正体を探していて、間違い探しをしているような気分になる。
「間違い」というのは少し大げさだけど、「違和感」のうち発見できたものをいくつか挙げよう。
タイトルの画像(正式な名前はわからない)は、ベランダでおにぎりを食べている福田の絵だ。ここからすでにおかしい。半袖シャツなのでクールビスだと思われるのだが、なぜかネクタイをしている。サラリーマンがネクタイを肩にかけるのは、おそらく作者の萌えポイントなのだろう。ただそれは、何かしらの作業をするときの仕草であって、おにぎりを食べるときには別にネクタイは邪魔にならないので何か変だ。ちなみに1話の扉絵では腕まくりをしていて半袖シャツではない。やっぱりネクタイを肩にかけているけれど、これも炒飯を炒めている最中なので、ネクタイが燃えないように肩にかけるのは理解できる。ワイシャツで炒飯つくるなよ、とは思うものの、そういう人もいるだろうし、「サラリーマンが料理を楽しむ」という漫画の内容を表す演出なのだから、そこはスルーしたい。
・四十路じゃないのに
ちなみにタイトルは「四十路福田」だが、作中で福田は41歳となっていた。四十路とは40歳のことなので、ちょっとひっかかかる。まあ、41歳の人が「四十路で」と言うことはあるだろうし、大きな問題ではないけれど、違和感のひとつにカウントしておく。読み切り版は40歳だったので、そこから1年時間を進めてなんとなく41歳にしたのだと思う。
1話の冒頭で福田は湯船に浸かりながら入浴剤を入れている。そんなことをする人はいない……とまでは言い切れないけれど珍しい。まあ漫画上の演出だろう。右手に持っていたはずの入浴剤用のスプーンがいつの間にか左手に移動しているのも、まあよくあるミスなので気にしないようにする。
風呂のシーンで一番の問題は腕時計だ。福田はなぜか浴槽に浸かっているときも腕時計をしている。よっぽど違和感があったようで、アプリ内のコメント欄でも複数指摘が見受けられた。激務のサラリーマンという設定なので、これが防水のスマートウォッチで、風呂の間にも通知を気にしている……という言い訳ができなくはないけれど、いくら防水の時計でも、OKなのはせいぜい軽めのシャワーくらいで、石けんやシャンプー、入浴剤などに浸けることは推奨されていないはずだ。「丁寧な暮らし」をしているはずの福田の一番わかりやすい奇行がこれだ。2話以降でこの奇行の説明があることを祈る。
・テレワを開く
コメント欄で一番指摘の多かった謎セリフ。風呂上がりにパソコンを起動して持ち帰り業務を始める際の「テレワを開いて」だ。テレワークを始める、という意味なのは推測できるけれど、あまりに馴染みのない言い回しに読者のほぼ全員が戸惑っただろう。
風呂上がりに仕事を始めようとしたところで夕食がまだのことを唐突に思い出す福田。そんなわけないだろう。帰宅後にまず風呂に入れるところは偉いけど、健康な40代男性なら、ぜったいにメシは忘れない。空腹を思い出した福田が食べるのは、お茶碗半分に、サバ缶半分を乗せた茶漬けだ……少ない! 少なすぎるよ! 倒れちゃうよ! 福田はかなり背が高く、おそらく元スポーツマンと思われるくらい体格もいい。あの体格の成人男性が、仕事終わりの夕食に、お茶碗半分で満足できるはずがない。半年前に胃の手術をしたとか、それくらいの事情があって、ようやく納得できるレベルだ。茶漬けを食べて「なんぼでも食える!」と叫んでいたが、もっと食べてほしい。心配になる。あと調理中にサバ缶を食べるのは、つまみ食いであって味見ではない。自分で味付けしてないからね。
・水にロックアイス
お茶漬けを食べたあとは水が出てくる。わかる。熱い茶漬けのあとの水がうまいのは同意する。コップの中身がたっぷり残っているのに、氷が「カラン」と音を立てるのも違和感があるけれど、それもまあ漫画的な演出として流そう。問題はその氷がどうみてもロックアイスなことだ。家で、ごはんを食べるときに、ロックアイスを……? 漫画は白黒なので「水じゃなくてウイスキーを飲んでいるのかも」という言い訳が思いつくが、それはありえない。福田は茶漬けを作る前にビールを飲もうとして、仕事があるから、と我慢しているのだ。丁寧な暮らしって、たぶんそういうことではないだろう。
「フライパンをその角度にしたら炒飯こぼれるだろ」みたいな作画上の違和感はほとんど無視した。リアルなだけがいいとも限らないし。
ひとつひとつは大した違和感ではないし、話自体がダイナミックなものだったら気にならないのだけど、丁寧な暮らしを扱ったメシ漫画でと、どうしても気になってしまった。少し乱暴な言い方をすれば『サラリーマンエアプ』『40代男性エアプ』『丁寧な生活エアプ』の雰囲気を感じ取った。
コメント欄に書くのも憚られるので、ここに吐き出させてほしい。
漫画の方は読んでないが、これを読む限りだと作者は女なんだろう
どれも全く変じゃない。Gショックみたいな時計を必ず外して風呂に入る人もいるし、つけっぱで入る人もいる。 お前が数え上げてる「違和感」はそんなのばっかりだ。 「半袖シャツに...