く、と打ったら最後に会ったのはしばらく前の先輩の苗字が候補に出てきた。他のひらがなは直近の言葉しか見えないのに。
私の母もそうだったんだろうな。SNSがない時代だったから母の心境をうっかり見つけることはないかと思ってたけど似たようなことを書く人はいくらでもいる。
ずっと「早く出ていきなさい」と言われていた。テレビを見て「ここ行きたい」「これいいな」と言うと「将来自分で働いて買いなさいね」と返された。私のこと好き?って聞いたら好きって返ってこなかった。毛深くて獣みたいで汚いって言われた。そういうののせいでずっとぼんやり悲しい。でも世間的に見たら全然大したことない。ご飯抜かれることはなかったし習い事も行っていた。でも感情への共感がないとダメらしい、というのはエックスで見た。思い返してみれば、うちには共感がなかった。怪我をした時に「痛かったね」と言われてみたかった。「ぼんやりしてるからでしょう」じゃなくて。
それだけなら諦めもつく。実際さっさと家を出たし今はそれなりに働き不自由なく、例えば中古じゃない本を買ったり、行きたいところに行けるくらいに稼げるようになった。好きに生きればいい。なのに母は私に連絡してくる。数ヶ月に一度、「最近どうですか?」「あなたの中学校の同級生の誰々さんが結婚したらしいよ」意味がわからない。いやわかるけど理解することを過去の私が拒絶している。出て行けって言われてたので出ていってあげたのに、それで満足じゃないの?
過去の自分とは違って私も大人なので心情は理解できる。子育てしていて経済的にも精神的にも余裕がなく、しかも子供はあまりいい性格とは言えなかったら、そりゃ可愛がることはできないだろう。感情の共感が大事、なんて知る由もないだろう。ただ、子供を可愛がらなかったあと、余裕が出てきてからどうこうしようとされてもこちらとしては困惑するだけだ。物理的に距離ができてお互い落ち着いたのは事実だけど、こちらの内心はそんなに穏やかじゃない。まだ月に数回は昔のこと思い出してこうやって寝付けずにモヤモヤとしながら、少し泣いたりしながら、でも自分自立してるし大丈夫、と思って寝て朝が来るだけなのだ。