「プロジェクトセカイカラフルステージ!」がリリースされてから、音楽ゲームとしての完成度やキャラクターたちの物語は多くのファンを魅了してきた。
だが――その華やかなステージの裏で、現代社会が決して見逃してはいけない構造的問題が静かに進行している。
問題の中心にあるのは、アイドルグループ「MOREMOREJUMP!」。
“明るく前向き”“キラキラ”“かわいい”と称される彼女たちだが、そのメンバー構成は女性のみ。一見すると当たり前に見えるかもしれないこの事実こそ、私たちが見落としてきた「ジェンダーの偏り」そのものではないだろうか。
現実世界では「男女共同参画社会基本法」が掲げられ、「性別に関わらず、あらゆる分野で活躍できる環境」が求められている。
しかし、MOREMOREJUMP!のステージに立つのは女性アイドルのみ。
オーディションの形跡もない。
つまりこれは、華やかなステージを装いながら、性別による“参加制限”が構造化されている状態に他ならない。
だが、影響力を持ったコンテンツだからこそ、そこに潜む偏りは現実へ強烈に波及する。
そんな旧来型の固定観念を、プロセカは無自覚に再生産してはいないか。
MOREMOREJUMP!のテーマは「再起」「前向き」「夢を追う」。
「アイドルは女性であるべき」という古いステレオタイプを、キラキラした世界観の中でそっと肯定しているようにも見える。
これでは、作品がどれほど前向きなメッセージを語ったとしても、ジェンダー平等の観点からは時代錯誤だ。
■多様性の時代に、なぜ“男女混合アイドル”が一組も存在しないのか
プロセカには多くのユニットが登場するが、特にアイドルをテーマにしたユニットが女性限定であることは、“多様性”を唱えるべき現代のコンテンツとしては明らかにバランスを欠いている。
MOREMOREJUMP!に限らず、男女混合のアイドル像や、性別に縛られない表現の開拓を避けて通ることはできないだろう。
■結論:MOREMOREJUMP!は、“優しい差別”の象徴になっていないか
華やかで、前向きで、輝いている。
だからこそ、その陰に潜む偏りはより深刻だ。